鎮守府に変態が着任しました。   作:「旗戦士」

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川内「やったぁ! 待ちに待った夜戦だぁ! 」
提督「やったぁ! 待ちに待ったDT卒業だぁ! 」
川内「は?(威圧)」


第弐〇①集

<医務室>

 

 

 「たっ、助けてくれ明石えもん! 私のケツとビス子の頭が血まみれになってしまったんだ! 」

「いやぁぁぁぁ!! こっちにお尻向けながらこっち来ないで下さいよ!! 」

 

加賀さんと瑞鶴君、赤城さんと鳳翔さんに矢の集中砲火を食らった私とビス子は二人三脚で血を垂れ流しながら医務室へと辿り着く。

ケツを明石君に向けながら触診を要求するというのは何とも興奮するな。

現に彼女の蹴りが炸裂してるけど。

 

「駄目よアドミラール! なっちゃいないわ! 明石、私の頭を治療した後にそこのベッドでえっちな事しましょ! 決定事項よ! 破ったらアドミラールがありとあらゆるセクハラをするわ! 」

「最低な脅迫じゃないかソレ! しかも私に責任転嫁してない!? 」

 

「ツッコむとこそこじゃねぇだろ変態共!! 」

「そんな……突っ込むだなんて……意外と明石もイケる口なのね」

 

「お前ほんとに修正すっぞポンコツ戦艦」

 

口では毒を吐きながらちゃんと治療してくれる明石に萌える。

彼女のなめらかな手付きでケツが治療されるのにまた勃起してしまった。

 

「明石えもん、股間が変な感じするんだけど触診してほしいなって」

「はいはいこうですか」

「私のバベルの塔がぁぁぁぁぁぁぁ!!! 」

 

艦娘の力は人間が到底敵うものではない。

まあ同じ人間なはずなんだけど、艤装の力で強化されてるとか何とか。

なので大の男のチ○コも折る事なんて容易い事なのである。

 

「あっ、アドミラールのただでさえクッソ小さい愚息が血塗れになってるわ! あ、明石! こういう時ってオ○ホを突っ込むのがいいのよね!? 」

「いや違う、止めるんだビス――」

 

「アッハイそうだと思います」

「明石ぃぃぃぃぃぃぃぃ!!! 」

 

折るまではまだしも更に追撃とかさすがの私も死ぬ可能性がある。

激痛が走った瞬間、私の意識はそこで途切れた。

 

「あ、あれ? アドミラールが真っ白になって右手を掲げながら黙ってるんだけど……? 」

「多分数分後には復活するんで大丈夫ですよ。はい、ビスマルクさんの治療終わりました、今舞鶴の方の神通さんが寝ているので静かにしてあげてくださいね」

 

「ぶっちゃけもう手遅れだと思うんだけど」

「ですよね」

 

騒音の原因は無論の事私とビスマルクにあるだろう。

案の定医務室の奥で寝ていた神通は起きた様で、先程の演習からだいぶ回復した様子だ。

 

「あっ、あの……明石さん。こちらに来て手伝って貰いたい事が……」

「はい、どうかしました? 」

「私も行くわよ明石! 何かエロイベントが起きそうだわ! 」

 

言われるがままビス子と明石は医務室の奥へと消えていく。

無論の事私は股間が痛くて立ち尽くしたままだ。

 

「その……提督の手が離れなくて……あっ、明石さん? ビスマルクさん? 」

 

彼女たちが目撃したのは遊佐少将が神通の手を握ったまま眠り込んでしまった様子らしい。

何やら奥から禍々しい波動を感じる。

おかげで愚息もだいぶ復活してきた。

 

「何なんですかもう! うちの提督は二人みたいな純愛しなくてセクハラばっかだし!! 見せつけてるんですか!? えぇ!? 私だってそりゃ提督気になりますよ! だってイケメンなんだもん!! でも変態なんだもん!! うわぁぁぁぁん!! もうやだぁぁぁぁぁぁ!! 」

 

「明石さん!? えっ、ちょっ、えぇっ!? 」

「大丈夫よ明石。その寂しさを私に分け与えて欲しいわ、ムラムラするから」

 

「慰めになってないよぉぉぉぉぉぉ!! 」

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<食堂>

 

 私が目覚めて数分後何故か涙目になっている明石君に興奮を覚えながら私達はみんなが待っている食堂へと向かっていた。

打ち上げを急遽行う事となったので料理が出来る艦娘たちを総動員した結果、多国籍料理がテーブルに並ぶ事態となる。

元帥殿や遊佐少将も参加するらしく、私は医務室で眠り込んでいた彼を起こして今に至る訳だ。

 

「すいません元帥殿、遅れてしまいました」

「構わんよ。わしのバカ弟子は何かしでかしてた様だが、君は何か大切な事をしていたのだろう」

「……何もかも、お見通しのようで」

 

遊佐少将と元帥殿が何かシリアスな雰囲気でいる中、私のケツに激痛が走る。

空気読んでくれよケツ。

頼むよケツ。

 

「おいおい提督、何突っ立てるんだ? みんなお前を待ってる。さあ、早く来てくれ」

「き、木曾……お尻が痛くて歩けないんだけど……」

「……はぁ。しょうがないな、肩貸せ。俺が連れて行ってやる」

 

口ではそう言いながらも木曾の口角をつり上がっている。

なんだこのイケメン、思わず惚れそうになったぞ。

 

「よお提督! 遅かったじゃねぇか! 先に飲んでんぞ」

「ごめんね、ちょっと野暮用でさ。隣失礼するよ」

 

おう、と言いながら天龍ちゃんは自分の隣の席を手前に引き、私を座らせるように示した。

木曾に連れられながら椅子に座るも、私のケツは悲鳴を上げる。

 

「またケツ痛めてんのかよ、懲りねぇなぁ」

「これは男の勲章と言ってほしいね、とりあえずみんなお疲れ様」

 

天龍ちゃんの周りの席には先程の演習で出撃した霧島、加賀、鳳翔さん、足柄がその腰を落ち着けていた。

彼女たちを囲むように長門、瑞鶴、翔鶴、北上、大井が酒の入ったコップを呷っている。

神通と遊佐少将もそのグループに入ったことを確認すると、鳳翔さんはコップを掲げた。

 

「それじゃ、双方の提督も来た事だし乾杯し直しますか」

「そうだね。じゃあみんな、今日はお疲れ様! 」

 

私の一言で甲高い音が響き、全員はコップに口を付ける。

ほど良い刺激が私の喉を通り、思わず声を上げた。

 

「一仕事終えた後のお酒は美味しいなぁ。そう思わないかい? 」

「今回のMVPは間違いなく提督ですし、そう思うのも必然的でしょうね。……不本意ながらですけど」

 

「まあまあ、加賀さん。提督の作戦指揮で私達は勝てた様なものですから」

「そうだな。あの作戦には驚かせられた。我々の提督も見習ってほしいものだ」

 

長門の言葉に、遊佐少将は肩を竦める。

 

「おっと、失敬。だが提督、今日は私達の愚痴を聞いてもらうぞ? 」

「……分かっているさ。私が変わる為にもな」

「あら、随分と素直になられたのね。私達の中佐殿のおかげ? 」

「その通りだ。全く、自分の未熟さが嫌になるよ」

 

自嘲気味に遊佐少将はグラスを呷った。

その肩を翔鶴が叩き、彼は口角を上げる。

 

「まあまあ、その辺にしときなよ長門っち。今まで私達が生き残れたのは事実なんだからさ~。そういう点は自信持っても大丈夫だからね、提督」

「そうですよ。ちょっと性格に難があるだけです」

「ありがとう、北上、大井。私も君たちに何度救われている事か」

 

遊佐少将の思いがけない言葉に、二人は思わず目を見開いた。

 

「……ほんとに変わったっぽいねぇ。そう言われるとあたし嬉しいなぁ」

「提督も遊佐少将を見習ったらどうですか? かなり変わられた様ですよ」

 

「何言ってんの、私ほど優しい人いないよ? ちょっとボディタッチが多いだけで」

「ボディタッチってレベルじゃないだろ、何度裸見られた事か」

 

天龍の言葉で、遊佐少将の視線が私に突き刺さる。

……あれ、なんか嫌な予感が。

 

「中佐殿。少しばかりお説教が必要のようですな」

「へ、へっ? ちょっと遊佐少将? 目がマジですよ? 」

 

彼は私の肩を掴み、私を隣に座らせる。

どうやら遊佐少将はかなり酔っているようだ、顔かなり赤いし。

 

「いやちょっ……助けてみんな!? 私今日MVPだったんでしょ!? あっ、遊佐少将そこは……アッー!! 」

「あぁっ……なんて濃厚な絡み何でしょう……」

 

「神通っち見ちゃダメだよー、大井っちみたく戻れなくなるからねー」

「それどういう意味ですか北上さん!? 」

 

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<鎮守府埠頭>

 

 遊佐少将に本格的♂お説教を食らったせいで打ち上げの記憶がほとんど無い。

ちなみに私の貞操は守られたことをここで言っておこう。

決してホモ展開ではないからな!

 

そんな中、私は煙草を吸おうと埠頭の近くへ行こうとした時であった。

既に夕日は沈み、夜が更けている中で私は夜風に当たる長門君を見つける。

 

「やあ、長門君。君も涼みに来たのかい? 」

「貴方は……中佐殿でしたか。うちの提督に随分とお灸を据えられたようで」

「まさか遊佐少将があんなにお酒弱いとは思わなかったよ……」

 

そう言いつつ、私は彼女の隣に座った。

既に入渠後なのか、シャンプーの良い香りがする。

……興奮してきた……。

 

「一本吸ってもいいかな? 」

「どうぞ。中佐殿も煙草を吸われるのですね」

 

「色々ストレス溜まるからねぇ。職業柄さ」

「おや、ストレスは艦娘へのセクハラで解消されていると思いましたが……違う様ですね」

 

「……痛いところ突くね、長門君」

 

私の言葉に長門は口元に手を当てて笑う。

元々の顔立ちが中性的というか美人なせいか、かなりその様子は夜のコントラストに引き立てられていた。

こんな美人に厳しく接してたのか遊佐少将、これはお説教が必要だな。

私は咥えた煙草に火を点け、煙を吐き出した。

 

「改めて、中佐殿。演習での作戦指揮、お見事でした。"白狼"の名は伊達ではない事を思い知らされましたよ」

「その名前は好きじゃないんだけどねぇ。こちらこそ長門型の性能、見させてもらったよ。改二状態の艦娘と互角に渡り合う……流石だね」

「お褒めに授かり光栄です」

 

やっべぇ長門君寝間着姿可愛すぎる、なんて事を想いながら私は彼女と握手を交わす。

だってピンク色の着物だよ?

そりゃ似合うはずだよね。

 

「まあそんな固くならなくていいよ。私の股間は既にガチガチだけどね。触ってみる? 」

「…………殴りますよ? 」

「ごめんごめん流石にアイアンクローは死ぬかなって」

 

無礼講と言った途端にアイアンクロー。

これこそ私の求めていたセクハラだ。

顔を真っ赤にして可愛いな。

 

「……はぁ。そのような戯れ言はお止めください、中佐殿。幾らなんでも急すぎます」

「美人は見つけた瞬間に口説くのが性でね。ついやっちゃったよ」

 

美人という言葉に彼女は反応を示し、顔を赤く染める。

 

「こ、コホン。それで中佐殿、一つお聞きしたい事があります」

「何だい? 」

「どうして、前線に立って指揮を執られないのですか? 」

 

こりゃまた痛い事を聞いてきた。

勘が鋭いったらありゃしない。

私は腰に手を当て、煙を吐き出すと彼女に視線を向ける。

 

「……私のせいでこれ以上艦娘を死なせたくはないから、かな」

「貴方以上の指揮官を見たことがありません。率いる艦娘が轟沈する可能性はほぼ無いと思いますが」

 

「長門君。指揮官というのは僅かな可能性にも目を配らなきゃいけない。私は過去に、その少ない可能性を無視してかつての第一艦隊をほとんど死なせてしまった」

 

彼女の目が見開かれた。

 

「ですが、今の貴方は過去の貴方とは違います。今の貴方なら――」

「……悪いけど、私は前線に復帰することは無いよ。大本営からの指示が無い限り、ね」

 

ばつが悪そうな顔を浮かべ、私は煙草の吸殻を携帯灰皿に押し込む。

彼女に別れを告げると、頭痛が私を襲った。

 

「一番過去を気にしてるのは私、か。皮肉なもんだねぇ……」

 

長門君に聞こえないように、私は呟いた。





提督がシリアスになったりギャグになったりしてます。
厳密に言うなら尻アス(激寒)

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