提督「ろーちゃんをハイエースでダンケする」
呂500「ガルルゥッ(迫真)」
今回下ネタ成分低めです。
<執務室>
「提督提督ぅ~!! 大変だよぉ~!! 」
「おや、島風じゃないか。どうしたんだそんなに慌てて。ケツにTバック食い込んでるぞ」
「ひゃっ! 止めてよぉ~! 」
慣れた手付きで島風のミニスカを捲ると背後にいた秘書艦の鳳翔さんから矢が飛んでくる。
額スレスレで突き刺さったその矢は、私の被っていたパンツをいとも容易くむしり取った。
「それで、島風ちゃん? 急いでここに来たみたいだけどどうしたの? 」
「おうっ!? そうだった! この鎮守府に演習のお誘いが来たんだよ! 」
「演習の申し込みが? 珍しいなぁ、ここに演習を挑みに来る艦隊がいるなんて」
壁に突き刺さったパンツに五体投地しながら私は島風から手紙を受け取る。
どうやら彼女の言っている事は本当のようで、大本営を通しての伝達だった。
相手は……海軍名家の出の舞鶴鎮守府の提督のようである。
なぜ私の横須賀の辺境鎮守府に演習を挑んできたのかは不明だが、彼は舞鶴鎮守府の中でも相当性格が歪んでいると聞いたことがあった。
え? 私も歪んでるって?
歪んでるのは股間だけだ馬鹿者。
「それで……どうしましょうか提督? 一応練度が高い艦娘たちで艦隊は組めますし、私は受けてもいいとは思いますけど……」
「演習の申し込みなんて滅多に来ないしねぇ。島風、貰った手紙の中に相手側の編成が記された書類は入っていたかい? 」
「うん! 開けてみて、どんな編成で来るの? 」
封筒を開けてみると申し込み用紙の他にもう一枚が入っている。
相手の旗艦は"長門型一番艦・長門"であり、彼女のサポートをするように重雷装巡洋艦球磨型の北上と大井っち、五航戦の瑞鶴と翔鶴、そして川内型二番艦の神通。
思わず私はうわぁと声を上げ、隣から覗き込む鳳翔さんや島風も苦笑いを浮かべた。
「ガッチガチで固めてきたな……。北上と大井っちが艦隊にいるとか完全に開幕雷撃で叩きに来ている。対するこっちの重雷装巡洋艦は木曾ただ一人……」
演習を申し込まれた以上、私も負ける訳にはいかない。
私のプライドが砕かれるのは構わないが、艦娘たちの誇りや信念が壊されるのは流石に提督として許しがたい事である。
「……鳳翔さん、今から名前を挙げる艦娘たちを呼んでほしい」
「はい。どなたでしょうか? 」
「霧島、足柄、木曾、天龍、加賀さん……そして旗艦は貴女、鳳翔さんで頼む」
ハッとした様子で驚きの表情から勇ましい表情へと変わった鳳翔さんは、パタパタとアナウンス室へと消えていく。
艦隊に所属されていなかった島風は少しだけ残念そうな顔を浮かべるのを見て、私は彼女の頭を撫でた。
「ごめんなぁ、島風。私としても君を演習という晴れ舞台に立たせてあげたい。しかし、私はこの鎮守府の提督だ。ここにいる艦娘たちの誇りを守らねばいけないんだ」
「うん……分かってるよ……」
「だから約束しよう。いつか私が、君を含めたこの鎮守府に配属されている全て艦娘達の誇りと信念を海軍全員に見せると。島風、分かってくれるかい? 」
彼女と視線を合わせると、島風は私に笑顔を見せる。
「えへへ、提督がそんなカッコいい事言うの似合わないよ! 私は大丈夫、だから勝ってね? 」
「もちろんだとも。変態紳士の真髄、演習にて見せようじゃないか」
「じゃあ私、みんなに演習がある事知らせてくるね! 」
「あぁ、頼んだよ」
そう言うと笑顔で島風は執務室を去って行く。
まだ年端もいかない女の子に事実を突き付けるのは正直言ってきついが、彼女の笑顔を見れて安心した。
「さて――――」
私は壁に突き刺さった矢を抜き取り、パンツを再び頭に被った。
「"勝つ戦"を始めようじゃないか。舞鶴の提督よ」
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<作戦会議室>
数時間後、私は正装に着替えて作戦会議室の扉を開ける。
中では呼び出された6人の艦娘たちが首を長くして待っていたようであり、彼女たちに詫びを入れながら部屋の中心にあるホログラムの前に立った。
「よく集まってくれた、霧島、天龍、木曾、加賀、足柄、鳳翔。君たちを呼んだのは三日後に控えている演習の作戦を構成する為だ」
「司令。相手はどのような編成で? 」
「この6人だ」
そう言うと私はホログラムのコントローラーを操作して舞鶴側の編成を見せる。
「長門さんに重雷装巡洋艦の北上さんと大井さん、軽巡の神通さん、それに五航戦の二人……ですか。確実に勝利を得ようとしていますね。頭にきました」
「おいおい、落ち着いてくれよ加賀さん。怒るなんてあんたらしくもない」
「まあ、加賀が怒るのも最もだけどね。舞鶴の提督がこんな辺境鎮守府の艦隊相手に演習を申し込むなんて何か裏があるに違いないもの」
「幾ら詮索したところで相手側の思惑は分からないさ。それで提督、どんな作戦でいくんだ? 」
いくら辺境鎮守府にいる艦娘と言えど血気盛んなのは有難い。
私は不敵な笑みを浮かべて5枚の白紙のカードを取り出した。
「これは何でしょうか、司令? 」
「今から構成する戦略に名前を付けるのさ。いわゆる暗号ってやつ」
「おおっ! かっこ良い事するじゃねぇか提督! 俺が名前つけていいか!? 」
ふふふ、と私は笑みを浮かべて五枚のカードを6人の前に広げる。
「あぁ、構わないよ。まず一つ目。重視すべきなのはこの二人の先制雷撃。さすが手練れと言ったところか、命中率はほぼ100%だ。そして確実に狙われるのは霧島、君だろう」
「……そうですね。この中で一番火力が出やすいのは戦艦クラスである私でしょうから、先に叩く事が向こう側の勝利のカギとなりますね」
霧島は眼鏡を光らせ、中指で眼鏡の位置を修正した。
「じゃあここから本題だ。霧島、君には申し訳ないが――」
次の言葉で、6人は驚愕の表情を浮かべる。
「――敢えて先行雷撃を食らってくれ」
瞬間、木曾が身を乗り出した。
「……おいお前、まさか血迷ったのか? 」
「とんでもない。戦略の内に決まってる。そして霧島が先制雷撃を食らうと、魚雷の水しぶきが上がるよね? その合間を縫って、天龍と木曾が神通と大井に攻撃を仕掛けると同時に加賀と鳳翔が航空戦を開始だ」
「お言葉ですが、提督。それは危険な賭けすぎます。霧島さんを危険に晒すよりかは、木曾さんの雷撃で被弾する可能性を減らすべきだと私は思います」
案の定、鳳翔さんから猛反対の意見を貰った。
それもそのはず、高威力かつ高速の先制雷撃を敢えて食らうなんて気が狂っていると言われても仕方がない。
「危険な賭けだからこそ、やる価値があるのさ。追い詰められた獲物が狩人に食いつくようにね。正直言って、勝ちに飢えなきゃこの演習は勝てない」
「……つまりこの霧島に囮になれ、そういう事ですね? 」
霧島の言葉に私は頷く。
「いいでしょう。雷撃を耐えうる装甲を持っているのは戦艦しかいませんもの。たとえ中破や大破しようとも、私は一泡吹かせてみせますがね」
「いい返事だ、霧島。次に足柄、君の出番だよ」
「私は誰を倒せばいいのかしら? 」
私の言葉に足柄はニヤリと不敵な笑みを見せた。
「君には長門の相手をしてほしい。君の相手には持ってこいの相手だろう? 」
「えぇ。長門型の一番艦と戦り合える日が来るなんて思ってもみなかったわ」
「ふふ、頼もしいね。次に交戦中の木曾と天龍の援護を鳳翔、そして五航戦の遊撃を加賀が続行。その後中破以上なら霧島が北上を狙ってくれ」
「分かった。雷撃か? 近接戦か? 」
「君たち二人が最も得意とする戦法で構わない」
天龍と木曾は顔を見合わせた後、凶悪な笑顔を浮かべる。
迷わず二人は近接戦を神通と大井に仕掛けるであろう。
「この戦略の名前は天龍、君が決めてくれ」
「おっ、俺か……。うーん……"奮起の挑戦者"なんてどうだ? 」
「ふふっ、なんだか天龍らしいネーミングセンスね」
霧島の言葉に天龍は恥ずかしそうに俯いた。
思わず胸を揉みたくなったが、この雰囲気でその愚行をしてしまってはおそらく私は死ぬだろう。
いやまあ、残機1個減るだけだけど。
こうして、大まかな戦略が決まったところで鎮守府内に食堂の始業を告げるチャイムが鳴り響く。
一息ついた所で、私たちはまず夕食を採る事にした。
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<横須賀辺境鎮守府近海・演習海域>
そうして、約三日の月日が流れた。
元帥殿を含めた多くの海軍将校たちがこの辺境鎮守府を訪れ、その大勢を辺境鎮守府全員の敬礼で迎え入れる。
「ご無沙汰しております、元帥殿」
「ああ、久しぶりだのう。元気にセクハラしておるか? 」
「ええ、そりゃあもう。毎日ケツに龍田君の薙刀や額に矢が刺さりまくりです」
「はっはっは、それでこそ儂の見抜いた男だ」
実を言うとこの元帥殿は私の師匠に当たる人間である。
まあ何というかじいちゃんもかなりの変態であり、弟子と師匠は似るという事か。
「それで、今日演習をして下さる舞鶴の少将殿はどちらに? 」
「ここだ、中佐」
言葉の主に振り返ると、そこには長髪を携えた180cm超の男性が私に敬礼を向ける。
この男が演習相手の舞鶴鎮守府の提督、"遊佐(ゆさ) 誠(まこと)"であった。
「今日はよろしくお願い致します、少将殿」
「あぁ。貴様のような低い位の提督との演習だ、あまり失望はさせるなよ? 」
「激励の言葉、有難うございます」
「皮肉だよ、馬鹿者」
私よりも若いというのに少将なんていう階級に就けるのは正直言って羨ましい。
だってセクハラし放題じゃん。
きっとあの遊佐少将も長門あたりにしてるよ多分。
「……とまあ、こやつも性格に難がある若者じゃ。中佐よ、決して負けるではないぞ」
「了解です、元帥殿」
「何か言付けでも? 元帥殿? 」
「いんや、何も。ほれ、お主も自分の艦娘の元へ行ったらどうじゃ? 」
じいちゃんの言葉に渋々少将殿はこの場を立ち去る。
まあじいちゃんも彼の事は快く思ってないんだろう、だって私に勝てなんて言うし。
私の後ろでは既に加賀や木曾の顔に不満という文字が書いてあった。
「おい提督、なんだ今の少将殿とやらは。とんでもない男じゃないか」
「なんだかそういう噂で有名らしいからねぇ。ま、これでより負けたくなくなっただろう? 」
私の言葉に6人は頷く。
「それじゃあまあ、私達も行くとしようか。"勝ち"に、ね」
「当ったり前だぜ! あのすまし顔に一泡噴かせてやらぁ! 」
天龍の言葉を合図に、私達は各々の持ち場へと着く事にした。
今作初となる戦闘シーン。
提督が真面目になるとなんか調子出ません。