提督「ねえオイゲンちゃん、"ふぉいや♡ふぉいや♡"って言いながら手○キしてくんないかな」
プリンツ「ビスマルク姉さま、この人銃殺してください」
<初詣>
「突然だが、初詣に行こう」
「本当に突然ですね、どうかしたんですか提督」
「いや、ネタ切れで」
「それ以上喋らない方がいいです」
鳳翔さんによる笑顔の圧に押され、私は口を閉じる。
まあ行くと言っても既に神社に来ている訳なので、こう言われても仕方がない。
私の鎮守府に所属している全員の艦娘たちを集め、私は皆に特注の着物を渡しておいた。
もちろんみんなの晴れ着姿を見て興奮する為である。
「ヲッ! 提督、あそこかヲ? 」
「そうだよー。おっ、結構人いるなぁ」
朝なのにも関わらず、最寄りの神社には多くの人々で賑わっている。
無論のことヲ級ちゃんには頭につけた被り物を外してもらい、藍色の着物を着て貰ってるから問題ない。
「ねえクソ提督、おみくじ引いていい? 」
「まだお参りしてないから後にしよう。みんなもそれでいいかい? 」
はーい、と元気よく駆逐艦の子たちは返事をした。
うむ、女の子が元気な様子はとても微笑ましい。
「おし! いい子にしてたら天龍様がみんなに甘酒奢ってやるぞー! 」
「ふふ、天龍ちゃんは将来先生なんかが似合いそうだな」
「おう、真剣にそれは考えてるぜ。この戦いが終われば俺達艦娘もただの人だからなー」
「そうねぇ、天龍ちゃんが先生になるなら私もなろうかしら~」
「龍田君のような子が先生だったら筆おろしされたいという生徒が続出するだろうね。現に私はそう思ってる」
瞬間、龍田君の薙刀が私のケツに刺さる。
既に見慣れた光景なのか、一番新しく着任した加賀さんでさえも微動だにしない。
「司令、お尻に薙刀が刺さってもピンピンしている貴方に周囲の人がドン引きしているのですが」
「私ぐらいになればこんな事造作もないのさぬいぬい。それより君の着物姿かわいいね、那珂ちゃん並の可愛さだ」
「なっ……! や、やめてください司令! 恥ずかしいです! 」
「プロデューサー、それお尻にモノ刺さって言う台詞じゃないよ……」
いつ見てもぬいぬいは可愛い。
こういうのをギャップ萌えと言うのだろう。
「あっ、私たちの番になったのです! イムヤさんは何をお願いするのです? 」
「そうだなー……。私はとりあえずオリョール海周回を止めてほしいことかな」
「待ってイムヤ、私そんなことした覚えないんだけど」
「スマホで調べたら潜水艦の艦娘のイメージそうだって……」
「なんつーイメージだよ! 私はむしろスク水エロいとしか思わないよ! 」
「それもそれでどうかと思うんだけど」
私はとりあえずイムヤをオリョール海域に連れて行かない事を決心する。
その後私は全員で参拝し、長蛇の列を抜けた。
「提督、次はどうしますか? 」
「初詣と言ったらおみくじだろう。行きたい子も多かったみたいだし」
「く、クソ提督にしては粋な計らいじゃない! 褒めてあげるわ! 」
「うふふ、曙ちゃんはそんなに引きたかったみたいねぇ」
愛宕が曙君の頭を撫でるが、それに反発する曙君を見て私は心が癒される。
隣にいた鳳翔さんも同じように和んだ表情を見せ、うふふとお淑やかに笑っていた。
「あ、すいません。おみくじ14人分お願いします」
「はい。2800円になります」
「ちょうどこれで。ありがとうございましたー」
「いえいえー(なんでこの人パンツ被ってんだろ。しかも薙刀ケツに刺さってるし)」
受付の巫女さんに人数分のおみくじの代金を払うと、私はみんなの元へ戻る。
途中で龍田君の薙刀が抜けて激痛が走るアクシデントが起こったが、変態紳士特有の驚異的な回復力により一命を取り留めた。
「よっしゃあ、今年最初の運試しだぜ! 」
「いいのが出るといいな」
「時雨はきっと出るっぽい! 」
各々引いた番号の引き出しを開け、それぞれの運勢を確認する。
私の番号は0721番。
まるで私の為に用意された番号だな。
「うっひょお! 私大吉じゃん! やった! 」
「あら、提督もですか? 奇遇ですね、私もです」
「やはり私と鳳翔さんは運命の赤い糸で結ばれている様だな……」
「そ、そんな事仰らないでください! 恥ずかしいです! 」
顔を赤くする鳳翔さんを見て私はニヤつく。
「さあ鳳翔さん! このまま夜戦と洒落込みましょう! 」
「えっ!? そんな、いきなり……」
「提督、時間と場所を弁えましょうねー♪」
「あっ、愛宕!? 目が笑ってないんだけど!? とりあえず離して痛い痛い! 」
巨乳金髪美少女とは思えない馬鹿力で私を鳳翔さんから引き剥がす愛宕。
さすが、重巡洋艦の名前は伊達じゃないな。
「あっ、さては照れ隠しだな愛宕! このこの、可愛いところあるじゃないか」
「私普通のイケメンが好きなのー」
「知ってる愛宕? 私も傷付く」
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<戦艦>
「なあ加賀さんよ。私たちの鎮守府に何かが足りないと思わないかい? 」
「まともな提督、でしょうか」
「ははっ、私の存在全否定」
常に真顔の加賀さんだから本気なのか冗談なのか分かりにくい。
本気だったらそれはそれで泣く。
「違うよ、戦艦だよ戦艦。最近重巡の愛宕とか軽巡の天龍ちゃんたちじゃ火力出にくくなっちゃってね、そろそろ戦艦の子を着任させようと思うんだ」
「なるほど、そういう事でしたか。資材の方は大丈夫なんでしょうか? 」
「私の鎮守府はそんなに浪費しないからね、戦艦の艤装を造る事くらい造作もないよ」
「では工廠へ向かいましょう。戦力強化は重要です」
やけに乗り気な加賀さんに手を引かれ、私たちは工廠へと向かった。
相変わらず妖精さんたちが張り切って作業しており、私が戦艦の艤装を造ってほしいと頼むと二つ返事で親指を立てる。
「かわいい……」
「ん? 加賀さん今何か言った? 」
「い、いえ、何も」
そうして待つこと数時間。
無事戦艦の艤装は完成し、該当する子が私たちのいる工廠へと訪ねてくる。
巫女服のような服装に紺色に近いミニスカート、そして黒ボブカットに眼鏡をかけた女の子が私たちの前にやって来た。
「金剛型戦艦4番艦"霧島"、よろしくお願いします。貴方がここの司令官と秘書艦さん? 」
「そうだよ、霧島くん。よく着任してくれた、こちらは加賀さんだ」
「加賀です。よろしくお願いします」
お互いに自己紹介を済ませ、早速私は霧島くんのスカートをめくる。
ほう、ピンクか。
いい色だ。
「マイクチェックゥッ! オラァッ!! 」
眼鏡を掛けているので大人しい子だと思ったら、まさかのスタンド持ち。
私は彼女のスタンドにぶん殴られ、そのまま地面にめり込んだ。
「って司令! ごめんなさい、つい私ったら……! 」
「手加減は不要ですよ霧島さん。ところでそのスタンドの名前は? 」
「スターキリシマです」
「まんまじゃねえか」
個人的に霧島さんは殴り専門のイメージ。
「おい、胸にゴミついてるぜ」と言いつつアッパーカットしそう。