テンプレ…まじで?(リメイクしてみた) ※現在このすば!編 作:onekou
なんとかいつも通り(?)に投稿できました。
あ、今回前半で微ホラーなのでお気を付けください。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ……ふぅ……」
悲鳴を上げる肺と足を休めるために速度を落とす。
だが進むのは止めない。そんな暇はない。
少しでも進まなければならないからだ。
進まなければ自分に待っているのは―――、
「くそっ」
悪態がつい出てしまう。
何がどうなってやがるんだ……。
どれだけ走ったかも分からない。
どれくらい離れられたかは分からない。
だが、少しでも進まなければ俺も
そして、歩くほどに落としていた速度がついには止まる。
限界だ。
俺は死角になるであろう建物の角に身を預け、息を落ち着かせようとする。
かれこれ40年以上の人生を歩んできた訳だが、これほどに足を酷使したことは無い気がする。
紛争地域などにも行ったが、その時求められたのは速さよりもうまく隠れることだった。
見つかれば終わり。そこで人生終了。
だからこそ有る物を利用して生き抜く力はそこそこ備わった。
それが今も役に立ってはいる。
だが、それも自分を守るために使うので精いっぱいだ。
そして気づけば、一緒に居たはずの奴らもどこかへと消えた。
「なんでこうなっちまったんだ……」
ついていると、最初はそう思った。
なのに……。
ツキが来たと最初に思ったのは、俺が特地訪問使節団の一員に選ばれた時だった。
正直な所、何故俺が選ばれたのか分からなかった。
徹底したやり方しかしない俺が扱いやすかったのかもしれないが、それでも良いと思った。
それほどに美味しい仕事だったからだ。
むしろこちらからお願いしたいほどだ。
一応特地に行くにあたって危険が付いて回ることは説明を受けている。
しかしアルヌスは既に日本の土地となっており、護衛も付く以上その危険はたかが知れている。その護衛もあのアインツベルン嬢だというのだから、向かってくる相手の方が危険だろう。
そうして俺は特地行きを決めた。
特地に行くことになった人間は、“どのような立場であっても勝手に行動した場合は命の保証はしない”等が書かれた書類を受け取り、サインを求められる。
当然俺もまたそれに一筆書いた。
だが俺はそれを大人しく守るつもりは無かった。
なにせ特地だ。スクープだ。
職業柄貪欲に、強欲に、他の同業者よりもネタになるモノはどうやってでも手に入れなければならない。
どんなことでも良い。
それが買う側にとって売れそうなものなら何でもいいのだ。
そして俺はそれを見つけることが出来た。
特地での取材が始まり数時間後、昼休憩ということで使節の面々は食堂へと通された。
料理の内容は飽食大国と言われる日本の味覚から特別外れても居らず、バイキング形式で各国使節を歓待した。
そんな中、俺は二人の随員と共にその場を抜け出した。
自分たちが求めるのはスクープであり、美味そうな料理をカメラに収めても意味がないのだ。
表通りを歩くと警護役の自衛隊に見つかるため、俺達は路地裏を中心に歩く。
幸いにもこちら側の住人による警備員は堂々と歩けば使節とはわからないようで、比較的自由に歩けた。
そんな中、路地裏で二人の少女と出会った。
紅と蒼、そう言い表すべき双子の炎龍だ。
事前説明として、この双子が炎龍だというのは聞いていた。
だからコミュニケーションを取り、上手く行けば良い情報が得られるかもしれないと気も逸った。
だが、そこからケチがつき始めた。
激高した片割れに俺のカメラは壊され、後から来たアインツベルン嬢にはあしらわれた。
その後仕方なしに食堂へと戻れば、出てくる料理はクソ不味いし、日本に帰って来てからもメモリースティックはいつの間にかどこかへ消える始末。そういえばカメラとマイクのあいつも空き巣に入られたとかで嘆いていたか。
終いには自社のトップが変わり、俺たち3人そろって解雇だと今日付けで言われてしまった。
そして、今日は3人でヤケ酒を飲みに行っていたのだが、その帰りにこれだ。
最初は酔って変な所に迷い込んだだけだと思った。
だが、そんなことは無かった。
ここは見知った東京の一角だ。よく行く飲み屋の近くなのは間違いない。
けど何故誰も居ない?
平日の夜とはいえここは日本の首都であり、歓楽街なのだから人通りが無くなることは無い。
無い、筈なのだ。
――――かーごーめーかーごーめー
「ひぃっ」
情けない声が思わず出てしまう。
だが、それどころではない。
俺は悲鳴を上げる足を無理やり動かし、再び進み始める。
この歌、この歌が聞こえるたびに一人ずつ消えて行った。
最初はただ酔っているせいで幻聴が聞こえるだけだと思っていた。
しかし歌が終わった次の瞬間には何かが現れマイク持ち役の男が頭から喰われていた。
残った俺達はすぐに逃げた。
B級のパニックホラー物みたいだと頭のどこかでそんな言葉が出る。
だが映画のようにヒントをくれる老人も助けてくれるヒロインも居る訳がなく、2回目にはもう一人が消えた。
ただ、これにも法則があるようなのだ。
2回目の時、歌が終わりそうな瞬間に俺は咄嗟に物陰へ隠れた。
しかしあいつは隠れずにそのまま進んだ。
その結果喰われた。
そこから何度か歌が聞こえたが、隠れるとやり過ごすことが出来た。
問題は、歌が終わると同時に何かが近くを通り、暴れる。
そしてしばらくしたら消えるのだが、消えてすぐに逃げなければ寸前まで居た場所が襲われる。
ここまで来るとゲームのようだが、何回目かの時に隠れ場所が近くてそれをこの目で見てしまった以上、恐らくそういう事なのだろう。
だが逆に、このまま逃げ続けていれば……。
――――つーるとかーめがすーべったー
来た。
俺はすぐに、近くにあった積まれた瓶ケースとゴミ箱の間に身体を滑り込ませる。
そして息を殺し、その時が来るのを待つ。
この歌は童謡だ。
それほど長い歌詞は無く、すぐに終わる。本来なら。
歌っているのが誰かは分からないが、そいつが楽しむためかゆっくりと歌っているためにすぐに終わらないだけ。
だがそれもたかが知れている。
――――うしろのしょーめん…
この次の一言で終わり。
それが終わればまた走る。
家まであと少しだ。
身を縮こませ、
そこでふと思い出す。
この童謡には隠された意味があるなんて都市伝説があったはずだ。
俺がまだ駆け出しの頃、何かのホラー特集番組で取材に行ったのだが、少し調べるだけでも幾つもの説が出てきた。
遊女の心情を現した物、埋蔵金の隠し処、後ろから押された妊婦が流産して犯人を捜しているという物、そして多かったのが斬首された死刑囚が首だけになって身体を見た時の―――、
「だ あ れ ?」
すぐ近くで声がした。
そっと、前を見る。
誰も居ない。
横を見る。
左には積まれた瓶ケース。右にはゴミ箱。
誰も、居ない。
居なかった。
上を仰ぎ見た。
「あなたはそこに居ますか?」
「ああああああああああああああああああああああああああああ!!!?」
目が合った。
目の前に居た。
逆さまになって俺の目の前にソレが居た。
赤い、紅い、朱い目がそこにはあった。
だが、それ以外の全てが黒い。
そんな少女が、逆さまになって浮かんでいる。
誰かに似ている。そんな気がした。
だがそれを考えている余裕など無かった。
俺は慌てて駆けだす。
瓶ケースもゴミ箱も蹴とばしてしまい散らばるが、そんな物に構っていられる暇はない。
走る。走って走って、既に限界を超えていたが、ただ我武者羅に前へと逃げる。
しかし、声が離れない。
「希望を持っちゃった? でも絶望した? くふ、良い表情だ」
声が耳元から離れない。
ねっとりと、吐息すら感じるほどに耳元で声が続く。
「悪いけど、飽きちゃったんだ。あの子で遊ぼうとしたお前が悪いよ」
「お、お前は、誰なんだよ!!?」
もう逃げても無駄なのかもしれない。悪あがきかもしれない。
だがそれでも足を止められる訳もなく、走る。
そしてそのまま周りを確認する余裕すらなく、この声の主へと問う。
「誰、か。そんなモノはもう無いかな。それに答える義理も無い」
「何で、こんなこと、を……」
「何で? 自業自得って知ってる? ああ、でも一つだけ感謝していることもある」
感謝、だと?
この状況でありながらそんなことを告げる声。
そのことに殺意すら芽生えるが、この不可思議な状況を作れる犯人に適う気はしない。
「あの子には無色で居てもらわないといけないんだよ。正確には中間か。最近は悪感情が多かったから困っていたんだ。でも、お前の御陰で彼女は慈愛を知った。ああ、良いね慈愛。慈しむ愛。なんて素敵なんだろうか」
今までの感情の籠っていない声とは違い、恍惚とした声。少女のものとは思えない艶のある声だ。
ソレは俺が居るのを忘れているのではないかと思うほどに、トリップしたかの如く続ける。
「家族愛、親愛、友愛、恋愛、何とも素晴らしいね。愛が付くだけで輝いて見えるよ。その中でも慈愛。うん、良いね良いねすごく良い。自己犠牲とは違い、それもまた自分の為の行動ではあるけれど、誰かのために何かをしたいというその感情、素晴らしいとは思わないか?」
「ぐっ!?」
足が
しかし声はお構いなしに続ける。
「あの子も我慢せずに現出させれば楽だろうに、だけどそこで周りを気にして我慢するところが何ともあの子らしい。わた…ああ、己には到底できやしないよ」
何とか立ち上がるが、転げた拍子に足を痛めて走ることも儘ならなくなった。
だが、この耳元で聞こえ続ける声から少しでも逃げたいが故に、離れたいが故に、足を引きずってでも進む。
息すらままならない。
声を出す余裕すらなくなった。
けど声はまだそこに居る。
「溢れた分は喰べるけどさ、喰べただけ己には栄養となる。それが悪感情であっても」
何とか、自宅前まで来た。
これで家に入れば……。
入れば?
いや、何故俺は家に入ればなんて思ったんだ?
何を根拠に家に入れば安全などと―――、
「くふ、もう終わりか。すぐ終わっちゃうと詰まらないから調整したけど、まぁ所詮はこんなもんか」
な、にを言っている……?
調整? 詰まらない?
遂に動かなくなった身体は地面へと投げ出され、既に朦朧とし始めている視界には冷たく固いアスファルトが映っている。
だがそこへ、あれほど見たかった人影が入る。
見たかったものの筈なのに、今は全身で鳥肌が泡立つ。
「どうしてこんな話をしているのかって思うでしょう? くふふ、よくある話さ。お前が知ったところですぐに関係なくなるってだけ」
「あ、うあ……」
「残念さよならまた来週。ま、利用した人間を恨むんだね」
すぐ目の前、そこまで来て目の前の少女の姿が薄明かりの中、目に入った。
そしてやっとわかった。誰に似ているのかを。
「ア、インツ、ベ―――」
「ばいばい」
◆◆◆
「あれ? この人って最初の時に喧嘩売ってきた人じゃ……」
「ああ、あのジャーナリストだろ? 何でも自宅前で髪の毛全部抜けた状態で、しかも真っ裸で発見されたそうだ」
「何それ」
「専門家の話では何か怖い物でも見たようだだってさ。この間の件でこっちも追いかけていたんだが、記憶の方もここ暫く分無くしているそうだ。一応命に別状は無いそうだ」
「えっと、日本ってそんなオカルトが存在する場所だったっけ?」
「いやお前が一番不可思議だからね?」
「……」
読んでいた今日の朝刊を机に置き、失礼なことを述べる先輩を軽く睨む。
先輩は悪い悪いと、全く悪いとは思ってなさそうな顔で返してくる。
まぁそんなのはいつもの事なので、俺も追及せずに淹れてあったコーヒー(ほぼカフェオレ)を口に含む。
あの使節団訪問から早数週、俺の仕事も終わり今日から再びロンデル周辺の探索へと戻ることになっていた。
いや、正確にはベルナーゴ神殿へと遂に訪問することになった。
本来ならロンデル周囲の探索をある程度終わらせてから向かう予定だったのだが、アルヌスへと戻ってきていた分があるので予定を繰り越して神殿訪問を先に行うことになったのだ。
これは俺も楽しみで仕方がない。
何せこの世界に来る時に俺に似た存在や神について触れろみたいなことを言われたから、実際に会うというこの機会を逃す手はない。
ちなみに、今まで忘れていた訳ではない。
いやまぁ若干忘れていたというのはあるけど、でも神様に会うって言ってもどうすればいいのさ。
近場で言うとロゥリィ(こう呼ぶのにも慣れてきた)が亜神だというのは聞いているけど、彼女の主たるエムロイ神は死と断罪と狂気と戦いを司る。
正直な話、最初に会うってのにはハードルが高すぎる気がするんだ。
そこで今回のハーディ神。
ハーディ神は冥府を司り、死んだ人の魂を集めて冥府へと送り、世界の調和を守っているそうだ。
これなら大丈夫だろう。まだ、ね。
何故まだ、なんてものが付くのかというと、ロゥリィがかなり苦手らしいのだ。
というのも、ロゥリィはハーディに求愛されているとか。
そのことについて聞くともの凄い顔をするので詳しくは聞けていないが、ハーディは一応女神であり、美しい女性の姿を取っているとか。
まぁ所謂同性愛ってやつだ。
特段それについて偏見がある訳ではないが、きっとあなたも気に入られるわよなんて言われるとちょっと尻込みするのは当然だろう。
でも今回はみんなで行くので、まぁ大丈夫でしょう。大丈夫だと、良いなぁ……。
一応、他の神についてもロゥリィから少し聞くことが出来ている。
だが他の神は会えるような場所に居なかったり、そもそもが会うには一癖も二癖も有るような方々ばかりらしい。
でもロゥリィからすれば神なんてのはそんなもんらしい。
自分の権能であり司るものの為に世界を調整するために独自の価値観を持っているから他者の考えにそぐわないことが多いのは当然とも言えるのだとか。
あれ、その流れで行くと俺は……?
いやきっと俺はそれに当て嵌まらないだろう。何せ異世界から来てるし。
なんてことを呟いたらロゥリィに暖かい眼で見られてしまったけど、気のせいだと思いたい。
「そういや、さっきのジャーナリストなんだけど……」
「古村崎?」
「そうそう」
コーヒー(砂糖も多め)を啜っていると、何かを思い出したのか先輩がそう言いだした。
「まだ調査途中らしいんだけど、どうもあの時のデータが行方不明になってるみたいなんだ」
「行方不明?」
「あの時に居たカメラとマイク持ってたの居るだろう? あの二人の自宅に空き巣が入ったそうでな」
「盗まれたと」
「そういうことだな」
「同時に?」
「同時に。ちなみに古村崎の方はいつの間にかデータスティックを無くしていたそうだ。特地に居た間にな。まぁ幸いにもどれもが自動でバックアップを取るタイプでは無かったが、盗まれた後ではそれも意味は無いか」
「凄い偶然もあったもんすねぇ……」
当然、偶然なわけはないだろう。
古村崎の方は分からないが、カメラとマイクの二人に関しては、
しかしどこから情報が漏れたのか。
あの時、あの場に他国の使節団関係者は居なかった。
少し離れた場所で耳の良い獣人種がこちらの様子を窺っていたが、その結果古村崎たちに地味な嫌がらせをしていたのでそっちはアルヌス関係者だろう。
俺に気付かれずにあの場で他に聞き耳を立てているのが居た?
いや、それは多分無い。
これでもこの身はサーヴァントだ。
他に気を割いている時ならともかく、気を張っていたあの時に俺の感覚の内側で活動できる地球の人とか考えたくない。
「表現の自由だとか言われるから自衛隊としてはあのカメラとかを没収することは出来ないから上の人間にアプローチしてくれてたんだが、どうにも後手に回ったみたいだ」
「ああ、データが出回らない様にって言ってくれてたやつですか」
「手を回してデータを手に入れて、そのデータを基にこっちに都合の良い編集を先にしようかって話になってたみたいなんだが、その結果がこの状況みたいだ」
「なんか、最近そんなのばっかりっすねぇ……」
そういえば最近は狭間さんがかなり忙しそうだ。
狭間さんは出来る限りこっちに利益が出るように――もちろん自衛隊にもメリットが出るようにはしてるみたいだけど――してくれてるんだけど、どうにも今回の事は狭間さんらしくない気がする。
いやまぁこの数か月で何を分かったようなことをって気もするが、あのやり手の狭間さんがこんな使節団訪問の形式を許すような気はしないのだ。
特に、アルヌス内なら兎も角、帝国まで連れて行くことになったのは無茶が過ぎる気もする。
まぁ今回の使節団訪問で各国もとりあえずは納得してくれたらしいし、不思議なくらいに何も無いからとりあえず用心するに留まるしかない。
……でも、何もない訳無いよなぁきっと。
「あ、そういえばこっちも聞きたかったんですけど、紀子さんと栗林妹さんってどんな感じですか?」
「ああ、あの二人ね。なんか上手く噛みあってるみたいで、結構な注目株だよ」
「おお! 良かったです!!」
紀子さんこと望月紀子さんは、拉致されていた事などから何とか抜け出し、その時の事に負ける訳には行かないとその時の経験を生かす形でアルヌスでの仲介役として働けるように志願した。
実は紀子さん、5か国語を話せる上に、拉致されていた間に少しでも生存率を上げようと他の奴隷の人から話を聞いたりして特地の言葉も結構話せるのだ。
未だに男の人が急に近づくと恐怖感があるようだが、俺を見て、俺と話して、負けたままではいられないと奮起してくれたようなのだ。
何か感動してしまって抱き付いてしまったけど、俺の身長が低いもんで逆に俺が慰められてるみたいになったのはちょっとした赤面ものだろう。
けどホントそう言ってくれたのはとても嬉しかったのだ。悲しいこともあったけど、これからは幸せいっぱいになってほしいものだ。そう願わずにはいられない。
それに、これがあるから引きこもろうとは思えない。
正直に言って面倒なことも多いけど、こんな風にありがとうと言ってくれる人が居るとやっぱり嬉しい。
元気を貰えたと笑顔を見せてくれた紀子さんにはこちらこそありがとうと言いたいくらいだ。
そして栗林妹さんこと、栗林菜々美さんは苗字からわかるがあの栗林さんの妹さんだ。ちなみにお米が好きそうな声をしてる。いや関係ないけどね。
参考人招致の後、銀座からゲートを潜る際にたまたま近くで取材をしていたらしく少し話をしたんだが、あの姉妹の胸部装甲はどうなってるんだマジで。
いやまぁ俺も身長に対してアレなものぶら下げてるけど、俺のはあくまで身長にしてはってだけだ。
けどあの姉妹がぶらさげてるのはあれだ、“爆”クラス。
その癖ウェストはそれほどだってんだから俺よりファンタジーな体格している気がする。
さておきそんな素晴らしい物を御持ちな妹さんの方なのだが、お姉さんが自衛隊で働いてたり俺と面識があったりというのもあり、定期的にアルヌス内で活動を許され、その際に紀子さんと仲が良くなって今では二人で注目番組のメインを張るようになった。
ドジな菜々美さんとクールな紀子さんで大人気だ。
そんな二人はアルヌスを中心として動く訳だから、アルヌス内であれば俺も接触する機会が多いので今では飲み仲間である。
ただ、番組も常に見れる訳でも無いし、地球での評判はこっちでは手に入れにくいので気になっていたのだ。
「ほんと、よかったです。紀子さんも元気になったみたいで」
「なんつーか、元気になり過ぎてこの間ウォルフと腕相撲して勝ってたんだけど、お前さんなんかした?」
「へ? いや何もしてないですけど……。ってウォルフってあのウォルフ?」
「おう、ワーウルフのウォルフ」
「アレに勝ったの? 俺なんかに発情するような奴だし、女癖大分悪いみたいだけど、傭兵してたし結構強かったっすよね?」
「何か気になる言葉が聞こえたが、まぁ、そのウォルフで合ってる」
「えっと、マジで?」
「これがマジなんだわ。一番驚いてたのは本人だったけど。あとウォルフのやつは泣いていたな」
一体紀子さんに何が起こっているのか……。ウォルフはどうでも良い。
あ、でもそういえば最近身体の調子が凄く良いとは言ってたな紀子さん。
それが関係している?
それかどこぞの世界みたいに空気中にプロテインが……ってそれなら駐屯地の面々がもっと凄い事になってるはずだよな。
な、謎だ……。
そんな風に頭を捻っていると、先輩は飲み終わったのかカップを持って立ち上がった。
それに倣って俺も飲み干して立ち上がる。
アイスにしてたので出来るのです。
「とりあえず、こっちは一段落だ」
「ですね。次はハーディ神との面会っす」
「……ロゥリィが斧をご機嫌で磨いたりしてたんだけど、止めた方が良いかな?」
「俺は死にたくないです」
「俺もやだよ」
「「はぁ……」」
同時に出る溜息。
いや実は今居るのはアルヌスの警備隊詰め所なんだけど、奥からシャラ…シャラ…と刃物を研ぐ音がしていたのだ。
ぶっちゃけ、今までの会話すべて現実逃避ってやつだったりする。
「まぁ、そこそこに頑張るか」
「うい」
「うふふ、待ってなさぁいハーディ。うふふふふふふふふふふ」
いかがだったでしょうか?
感想で頂いていたのもあってちょっと伏線の内容を予定していたものより多くし過ぎてくどいかもしれませんが、マツリちゃんとコウジュに関するヒント的なものを入れました。
一体何なのでしょうねマツリちゃん。
情報を知った人を消しに来るそうですよ……(震え声
おっと、そろそろインターホン鳴ってたりしませんか?
さておき、次回でハーディにやっと会います。
お待たせしました。
神っぽいものとガチ神が会う時、一体何が起こるのでしょうか?
どうぞお楽しみに!!
P.S.1
FGOでまさかUFOを召喚できるようになるとは……()
後ナイチンゲールさんのクラスはどうしてそうなった!
P.S.2
大和まであと少し!
楽しみですね!!
でもこの間のスクラッチで散財したのでちょっとまだダメージが…w