テンプレ…まじで?(リメイクしてみた) ※現在このすば!編 作:onekou
はい、というわけで新しくゲート編が始まったわけですが、たくさんの感想ありがとうございます!
さておき、ゲート編を始めるにあたって当SSの原作名に関してのご助言をいくつか頂きましたので、活動報告の方に書きますのでよろしければご意見など聞かせて頂けると嬉しいです。
目の前の後輩との間に何かが生まれた。
あ、こう言うと微妙に犯罪チックだな。
違う言い方をすれば、何かが繋がったと言うべきか。
目の前で何故だ何でだ何なんだと慌てる後輩を見ることで逆に俺は冷静になれた訳だが、流石にうるさいので静かにしてくれ。
うーん、それにしても俺のこの手に出来た傷のようにも見える3本の爪跡状のこれは何なのだろうか。
表面を摩ってみるが別に凸凹してるわけではなく、自然と皮膚に馴染むようにしてそこにある。
パッと見ではただの傷跡にも見えるが、よく見れば入れ墨だ。こんなものが上官に見つかったらただでは済まない。
とはいえそれは手に怪我をしたとでも言って隠せばいい話だ。
しかしそれは根本的な解決にはなっていない。
問題は、これが何かということだ。
一応、これに該当するものであろう知識は頭の中にある。それはもう馴染み深いものなのですぐに脳内検索でヒットしてしまった。
だが、その知識が当たりであるのならば色々とおかしい。
というのもその引っかかった知識というのは俗に言うサブカルチャー、オタク知識というものだ。
それが今現実のものとして俺の手にあるのはおかしいと言わずして何と言おうか。
引っかかった知識の名前は『Fate』シリーズの中に出てくる“令呪”というもの。
『Fate』シリーズと言ったからには幾つかのシリーズとして発売されている訳だが、元々はPCゲームで、そこからドンドンとPCゲームだけに収まらずコンシューマ版やアニメ、漫画とその手はのばされていった作品だ。
内容としては大体がその基盤としているのが聖杯という万能の願望器を得るために7人の魔術師が7人の英雄をサーヴァントとして使役し殺し合うというもの。
その中で令呪とは、魔術師が英霊という規格外の存在を使役する為に与えられるたった3つの絶対命令権とされている。そして大体が3画で構成される入れ墨の様なもの。
そう、3画だ。
己が手に現れたソレの画数を見る。
1、2、3、ポカン…と忘れたい気分だがやはり3画。まごう事なき3画にて構成されている。
いや待て。俺は魔術師なんかじゃない。
ふと我に返りそう思うも、一度思い始めるとこれが令呪にしか思えなくなってきた。
しかしきっかけはなんだ? 先程ふざけて言った言葉?
だがその程度でサーヴァントを召喚できるのならこの世界は今頃英霊だらけだろう。誰しも在る筈だ。若かりし頃の黒歴史というか、ついつい詠唱とか唱えたくなるそんな衝動。
そして俺もある。それも何度も。
というのも、厨二病的なサムシングの所為でというのもあるが、その原因の一旦は目の前の後輩の所為でもあるのだ。
コウジュスフィール・フォン・アインツベルン。それが目の前で未だ慌てている少女の名前だ。
初めてこいつの名前とその姿を目にした時は、原作を知っているのもあってえらく気合の入った厨二病かキラキラネーム的な何かでそうなったのかと思ったものだ。
だが違った。
実際にこの名前で国籍も持っているのだ。日本にだが。
この後輩は元々とある掲示板における知りあい程度の仲だったのだが、通う大学を探していると言われ、魔が差してつい自分が行っている大学を紹介してしまった。
そうして出会ったのがこの少女、もとい幼女だった。
最初はもうなんだこの2次元生物はと自分の目を疑ったものだ。
まず名前がアレだし、見た目が完全に幼女…ギリ少女。しかも銀髪紅目で整った容姿だなんて言うフルコンボ。
ほんと、ついに自分の頭が現実を否定して2次元に迷い込んだのかと思ったものだ。
だがまぁ大学を紹介したのもあって交友を持つと中々にネタも分かるし自分に近しい中身だと分かり今に至るまでの付き合いとなっている。
そして、こいつのこの名前を聞き、そしてFateを知っていれば大体そのことに関して言ってしまうのは仕方がないことだと思う。本人もそっち系の知識がある訳だしな。
その関係で、この幼女がからかわれる時は大体Fateに関するものになってしまい、原作中でも人気ヒロインの一人であるイリヤスフィール関連での事が大部分を占めてしまうわけだ。大体涙目でやっちゃえバーサーカーを言わされるのがこの幼女だ。
勿論、本人が本気で嫌がってるなら無理強いはしないのだが、なんだかんだでこの後輩も好きらしく、押すなよ絶対に押すなよ的な意味で拒否しているようなので結局からかわれているのだ。本人曰く感慨深いものがあるらしい。
話がそれたがそんなわけで、この後輩に関わってからは先程そらで言えてしまう程度には召喚に関する詠唱も何度も言ってきたわけだ。
だが、こんなものが出てきたのは今回が勿論初めてだ。
「って、いい加減に落ち着け」
「ぬわっ!?」
未だにわたわたと慌てている後輩の頭をペシンと軽くはたく。すると慌てるのをやめて若干涙目になって俺を睨んでくる。解せぬ。
だがまぁ、そうしなければきっと話は進まない。
この後輩はたまにポカをやらかすんだが、基本的には何事もそれなりに卒なくこなす。
だが、先程からやけに焦っていた。
焦りというものは何某かに対して自らの思惑とは違った場合に起きるものだと思う。
つまり、こいつ何か知ってるんではないかと思ったわけだ。
「なぁ後輩、これが何か分かってたりするのか?」
手の甲を見せるようにして後輩に聞くも、後輩はあーやらうーやら唸りながら悩む。
そしてポンと手を打ち、口を開いた。
「カッコいい入れ墨ですね!」
「殴るぞ」
「痛っ! 脅しじゃ無くて宣言!? 酷くないですか!!?」
これ絶対何か知ってるやつだ。
それなりに長い付き合いだからよくわかる。いや付き合いが無くても分かるか。
そんな後輩を俺は無言で見る。
「うっ…、いやまぁ知っちゃあいるんだけど、なんでそうなったのかが分からなくて…」
俺がジッと見ていると観念したのか、はぁと後輩は溜息をつく。
「それはたぶん、先輩の思ってる通り令呪だよ。Fateにでてくるあの。でもほんと、何でこのタイミングで出てきたのか分からないんですって」
「俺が聞きたいのはそう言うことじゃない。これが令呪だってのなら、サーヴァントが居る訳だよな。それが、お前なのか?」
俺がそう聞くと、後輩は先程までとは違い真剣な眼差しになって俺を見る。今まで見たことないような目だ。
だがすぐに、ふにゃりと笑みをこぼした。
「どうやらそうみたいだ先輩。サーヴァントバーサーカー、寄る辺とか特にないけど参上した。よろしくマスター」
バーサーカー…、ダメなやつじゃないか…。
◆◆◆
うへぇ、なんでこのタイミングでこんなことが起こったんだ? 今までにも悪ふざけで今みたいなやり取りを何度もして来たってのに。
考えられるのは目の前のこの門か。
今の俺と先輩のやり取も埋もれてしまう位に、今この門の前はごった返している。
スマホを向けて撮影している者や門をペチペチ叩いている者、それぞれがこれを何なのかと観察している。道路のど真ん中な為に車も沢山あるんだが、運転手自体も降りてきて門に対して文句を言っているのだから渋滞どころの話ではない。
そんな中、俺はあの門からやけに懐かしい空気が流れ込んでくるのを感じていた。空気というか、雰囲気?
この世界に来てすぐ、Fate世界に比べて
そして、それの所為でこの先輩と繋がってしまった。状況的にはそれくらいしか考えられない。
しかしまぁなんなんだろうねこの門は。
とりあえず確実なのは門というからにはどこかに繋がっていて、そしていずれ開くということか。
いやーな予感がするなぁ。
「なあ後輩、前からファンタジーの住人みたいなやつだとは思ってたが、本当に英霊なのか? お前が?」
俺が色々考察していると、何やら失礼な質問をされた。
全くもって遺憾である。
しかし客観的に考えても英霊らしさとかプレッシャーとか無いのも事実。
まぁ結局は与えられた力で内面が一般人だしな。凄みがないのは当然だろう。殺気とかナチュラルに出せる人マジスゴい。
「まぁ残念ながらその通りさ。けど、これでも聖杯戦争を経てここに居るんだぜ?」
「・・・・・・」
何度か死んでるけど。とはさすがに言わないが、それでもそれなりに修羅場は潜ってきた。
だから安心してくれという意味を込めて笑みを浮かべる。
しかし微妙な顔をされた。解せぬ。
そんな先輩に抗議しようと詰め寄った瞬間、ゴリゴリと重々しい音が辺りに響きわたる。
音の発生源の方を向くと、そこには開き始める門があった。
ここからは人混みもあってそれなりに離れているが、その突然の動きに門周囲の人たちが離れるのが見える。
同時、中から何かが出てくるのが見える。そして聞こえるのは、いくつもの金属がすれる音。
嫌な予感が確信に変わる。
ネコミミボディスーツの宇宙人が遊びに来ましたなんて流れなら嬉しいんだけど、そんな風にはいかなそうだ。
「先輩、逃げた方が良い」
「どうしたんだよいきなり」
俺の言葉にキョトンとする先輩を視界の端に捉えながらも俺は門から目を離さない。
「走れええええええええええっ!!!!!!!!」
出来うる限りの声で叫ぶように言う。
その瞬間には、出てきた何か達が人を襲うのが見えた。その内の一匹、小学生程度の身長しかないそいつがその手に持つのはどう見ても剣だ。
だが、周囲の人間はそんな俺に驚いたのかこちらを訝しむように見るだけで現状理解には及んでいない様子。とはいえ弁明している場合では無い。
俺はこちらに来てからは暫く使っていなかった、使う必要が無かった全力で地面を蹴り上へと飛ぶ。そしてすぐに身体を地面と平行にして空気を蹴るように足元に固めた魔力を足場に門の方へと飛び出した。
門からは続々と様々な生き物が出てくる。
見た目で名称を付けるならばゴブリンやらオーク、そういったファンタジーの代名詞とも言えるような
それらが手当たり次第に敵を襲い始めている。
何でいきなり世紀末になってんだよこんちくしょう!! そう叫びたい気持ちもあるがそれをする時間すら惜しい。
とりあえずは目の前で呑気にスマホで撮影しようとしている女性をトンと軽く押し遣る。
だが、遅かった。
すぐそこには大きく口を空いたワイバーンとでも言うべき竜。その背には騎士。
避けられないっ!?
◆◆◆
咆哮のごとく声を上げた後輩はアスファルトを割るほどの力で跳んだと思いきや門の方へと流星のごとく飛んでいった。
だが次の瞬間にはワイバーンみたいなのに咥えられ飛んでいく。
思考が停止した。
しかしすぐにハッと我に返る。
どう考えても幼子一人くらい容易に噛み砕けそうな咢をした竜だった。それに後輩が咥えられていったのだ。脳裏には噛み砕かれる後輩が浮かぶ。
その妄想を振り払うように首を振るう。
人ごみの所為で前は見えないが、今後輩を咥えて後ろに飛んでいった生物が種や仕掛けで作れるものではないのは簡単に理解できた。そして前方では遠巻きに聞こえる悲鳴の数々。
慌てて飛んでいった後輩の方を見る。
「は…?」
ワイバーンに咥えられた後輩はもうそれなりに離れていたが、ワイバーンの口元からこぼれる銀髪が見えた。
それを見てどうにかしたいと思うもどうすることもできないと諦めかけた自分に苛立った瞬間、何故かワイバーンが爆発四散した。それはもう赤いものを辺りに撒き散らしながら。
続いてその血霞の中から後輩が抱えた何かに電気のようなものを走らせたと思いきや、次の瞬間には再び前方の門へと飛んでいった。
な、何だ…?
理解が追いつかず居ると、人混みが津波の様に門から遠ざかろうと動き始める。
その中に居ては流れに逆らうことも儘ならず、徐々に俺自身も流されていく。
後輩は!?
何とか流れに逆らう様に後輩の方を見ようとするも、空を飛ぶワイバーンたちが何かを囲うように飛んでいる所しか見えない。平均身長よりもやや高い程度でしかない俺では人混みをかき分けながら向こうが見えないのだ。
たまにワイバーンたちの間を黒い影が飛んでいるのが見える。
よく見ようと目を凝らすも出来ない。
そんな俺の頭に突如ノイズのようなものが鳴り始める。
『あー、先輩聞こえ…おっと、きこえるかなっ?』
電波の悪い無線の様に聞こえてきたのは後輩の声だ。
『今使ってるのは念話的な何かなんだけど、ギャーギャーやかましい! あ、こっちの話ね。んでまぁこの念話、あまりうまく使えないもんで一方通行しか使えないんよ。だから簡潔に言うぜ先輩。
そう言うだけ言って、先程鳴っていたノイズのようなものと共に頭の中が静かになる。
「何なんだよこの野郎!!!!」
俺は必ず後輩に文句を言うと決めて、とりあえず何かできないかと模索し始めた。
いかがだったでしょうか?
銀座事件はもう1話やって終わろうと思っています。
その次からは晴れて異世界へ! ある意味既に異世界だというのは置いておいてください…。
さておき、門の向こうに行けばやっとヒロインを登場させることが出来ます。
はやく猊下に会いたいです。アニメでの登場も待ち遠しいw
P.S.
グリフォン退治に勤しむ日々ですが、☆13出ません。そもそもレア種が出ません(´;ω;`)