テンプレ…まじで?(リメイクしてみた) ※現在このすば!編    作:onekou

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どうもonekouでございます。

それではFate編最終話をどうぞ!


『stage49:うん、ハッピーエンド!!』

 

 

 

 

 

 

 あれから長い年月が経った。10年だ。

 

 実は、俺が思うハッピーエンドを終わらせた後しばらくして、メールが来ていた。

 内容は単純に、次の世界まで10年の猶予があるというもの。

 ひょっとしたら聖杯戦争が終わってすぐに俺はこの世界から出て行かなければならないのかもなんて嫌な予想が若干あったのだがどうやら外れたようで助かった。最初の時にいくつかの世界を渡るなんて言われていたからな。

 けど、今あらためて思うと10年は長いようで短かった。

 この10年でいろんなことをした。色んな事があった。

 そして今日、お別れの為に何人もの仲間…戦友? が集まってくれた。

 ちなみに今居るのは衛宮邸の庭だ。

 だけどあの広い庭も狭く感じるほど集まってくれた。

 イリヤ、サーヴァント勢全員に、士郎、凛、桜、慎二(ムキムキマッチョメン)、美綴綾子。

 そしてここからが驚きのメンバー、白レン、レン、遠野志貴、アルクェイド、遠野秋葉、シエル、シオン、弓塚さつき。あと浅上藤乃。

 うん、この世界って遠野家あったよ。つまり、月姫の世界でもあったようだね。

 そんでもってふじのん、何故いるふじのんっと思ってしまうが、いつだったかライダーがメル友になった一人がふじのんだったらしい。あとの二人がさっちんとまさかの桜ちゃん。

 世界って狭いね…。

 

 まぁでもほんと色々あったなぁ…。

 

 最初の方は、アインツベルンを正式にイリヤに継がせるために爺さん共をぬっこぬこにしに行ったり、イリヤにカレイドステッキをマジで持たせてみようと時計塔行ったり、そしてそこで何の因果かアルクェイドについてキシュアのじっちゃんから頼まれたり、驚きながらも行ったらホントに月姫だし、さっちんからのヘルプメール便りにとある町まで行ったら偶然にもあのさっちん(弓塚さつき)だし、案の定士郎達が魔術師協会に目を付けられて、結局協会もOHANASHIしに行かなければならなくなったり、と色々あった。

 

 ふじのん経由で両儀のシッキーと会うこともあったっけか。

 黒桐青年が俺にラッキースケベをやらかして何故か俺が切り刻まれるなんてこともあったぜぃ。

 

 あ、いつだったかどこの国だったか戦災被害にあってる所へチャリティーコンサートしに行った時に、ムキムキ慎二が素手で戦車に無双してたなんてのもあったなぁ…。

 最初誰だか分からなかったし、『80パーセントォォ!!』って言いながら突っ込んで行ったからビビったビビった。

 最近は斧にハマってるらしくて、『今死ねぇ! すぐ死ねぇ!』なんて言いながら無双してるよ。ちゃうねんキャスターの魔改造の所為やねん。

 

 そういえば綾子についてなんだが、その後一段落した時に退院は済んでいたから士郎の学校を見学という名目で会いに行った。

 その時一緒にキャスターと行ったんだけど、どうやら綾子ってば魔術的なものに縁が出来てしまっているのだそうだ。それが先天的に持っていたモノなのか、後天的にあの巻き込まれた時にか、はたまたそれ以外で発現してしまったのかは分からないが記憶を消したからといって放っておくのは危険な状態のようだった。

 だからある程度知識を教えてあげるか、もういっそのことこちら側の世界に入るかを決めた方が良いって事になった。もちろん本人の意思を尊重してだ。

 結果は、ここに居るのが答えだ。生来の姉御肌もあって、一緒に行動している。

 ただ、魔術自体には適性が無かったから装備は俺のモノを使ってる。種族ヒューマンとして色々調整できたのは幸いだったな。

 ちなみに結構強い。

 英霊とまでは行かないけど、元々運動神経も良いし、槍を薙刀として使う事で結構な戦闘力がある。

 綾子にまで戦闘力が求められる世界であるってのは悲しい事だが、綾子が自分で決めた事なので俺も納得している。

 最近ランサーと仲良い気がするんだけど、このままくっ付くのかね?

 

 あ、レンと白レンだけど、なんか色々してたら使い魔じゃ無くなった。

 どちらかというと精霊に近いな。単独行動できるようになっちゃった。

 白レンとは俺が契約する事になったし…なんでさ?

 まぁ契約とは言ってもパスを繋ぐ程度のものだし、白レンは自律行動できるからあんまり意味は無いモノなんだけど、なんかどうしてもって…。

 

 そして、何よりも俺の中で大変だったものがこれだと断言できる。

 会社作っちゃった!

 うん、突然この子は何を言ってるんだろうと思うのも仕方ない。

 けどな、仕方無いんだ(血涙

 俺達って、自分に関してはナルシストみたいになるから言いたくないが見てくれが良いんだよ。男女とも両方にな。

 そして、そこにキャスターさんの趣味である可愛いものを更に可愛くしたいという欲望。

 当然のようにアイドル養成とかその他もろもろをする会社になっちまったよ…。

 会社自体は考えてたんだ。その為のショタギル君でもあるし。

 なにせ彼、黄金律っていう何もしてなくてもお金が手に入るっていう羨ましすぎるスキルを持ってるからね。

 で、まぁ、ギルのおかげもあって基盤はどうとでもなるんだが、その方向性に悩んでたら、キャスターが…キャスターが……。

 いつだったか罰ゲームでコスプレの撮影会が行われたんだが、ある日、ニ〇動とかネット巡りしてたら、例の動画やらがネット上で何故か拡散されてたんだよ。

 とりあえず裏切りモノを探した。犯人はランサーだったのでとりあえず埋めた。

 で、でだ。

 それを知ったキャスターは、もうこのままYOUいっちゃいなよ的なノリで会社をそっち方面にもっていきやがった。

 おかげでアイドルデビューだよ。

 まさか、好きだった歌(カラオケレベルだったけど、マネーの力でプロの元で練習させてくれた)がワールドワイドな話になっちまうとは…。

 当然イリヤやキャスターもだぜ? キャスターはマネージャーで忙しいからってあんまりしないが。

 仕舞いにはアイドルやらそっち関係だけでなく、開発やらレジャー系やら、もうその会社なんなのって位に手広く手を広げている。

 月姫勢と出会ったのはその位の時期だったかな、もちろん人員確保しましたよ。月姫勢にも可愛いどころ綺麗どころいっぱいだもの。

 一時期、俺、イリヤ、レン、白レンでアイドルグループ結成した時もあった。一部で狂信的なファンが発生してかなりビビったなぁ…。

 まぁ全員一般人では無い訳だから歌って踊っても息切れ一つしないしこの業界ではある意味チートだよね。

 イリヤとか元から歌が上手いから今じゃソロでミリオン叩き出す有名歌手だよ。

 他のメンバーも交代とかで色んなグループ作ったなー。

 あ、そういえばアルクェイドだけは最後まで歌関係はやらなかったな。写真集はやったけど。

 後はアルクの姉にあたるアルトルージュが来たときはビックリしたっけ。まぁ結局期間限定ユニットの生贄になったけど。

 

 うん、思い返すと良い思い出だな。

 恥ずかしい思い出ばっかだったけど、面白かったて言えば面白かったし。

 会社の売り上げのほとんどは紛争地や難民の手助けとかのボランティアに回した。

 だってうちの会社の重役の何人か、っていうか士郎達だけど、正義の味方だもんね。今じゃ名実ともに正義の味方だ。

 おかげで、会社の社員さんもいっぱい増えた。子会社とかいろいろね。

 エンターテイメント部門なんか今じゃ世界レベルでひどいレベル(ほめ言葉)だよ。誰だよオタク文化で各国を侵略したの。平和で良いけどさ。

 

 あ、最後にもう一つ、忘れられないものがある。

 『Fate/stay night』なんだけど、この世界でゲームになっちまった。細かい部分は違うけどな、バーサーカーが俺とか。

 何でだろうな。俺知らないよ?

 まぁ開発に関わった身ではあるんだがな。

 で、何が問題かというと、何故かコウジュルートが付け加えられている。

 俺ルートとか誰得!?

 いや、一応18禁じゃなくて、通常ゲームソフトだよ? グロシーンあるから年齢制限あるけどさ。

 ホント誰得だよ。

 おかげで自分のフィギュアとかが出来たりした所為で気軽に秋葉行けない。ちなみに最初の原型師はキャスター。ほんとにクリエイターになってたからビビったよ。

 元の世界でも行った事無かったから入り浸ろうと思ったのにさ…。

 ま、行ったんだけどね。変装してだけど。

 勿論祭典にも行ったぜ。

 自分の薄い本にはビビった。うん。

 まぁそれだけ好いてくれてるってのは嬉しいんだけどね。

 ってやばい、本格的にアイドル思考になってる部分がある。

 俺は中身男なんだぞ!? しっかりしろ!! 俺!!!

 

 と、まぁ長い長い回想だったが、とにかく今日でお別れだ。

 挨拶はほとんど済ませてある。

 最近ずっとお別れ会してたしな。

 お別れ会なのにずっとはおかしい?

 いやいやいや、いつの間にか随分と増えた、魔術やらの裏関係の人外どもが一日やそこらの酒盛りで終わる訳無いじゃないか。三日三晩どころじゃない長い期間でやりましたとも。 

 

 さておき、今俺の前には扉がある。

 さっきメールが来て、これをくぐれとの事だ。

 もう一度、何気に長かったこの世界での事をさらっと思い出す。

 色々あったなホント。

 悔いは無い。

 いや、あるか。

 どうせならイリヤの結婚式とか見たかったなー。俺ってば生前の妹のやつ見れなかったし。

 

 あ、ここで皆さんにご報告があります。

 士郎の野郎やりやがりました。セイバーとの間におめでたです。

 それだけじゃありません。凛と桜もです。

 公認ハーレム築きやがったんだよあいつ。

 

 ちなみに遠野家の志貴君もです。赤ん坊はまだいないけど時間の問題じゃないかな? あんなにいっぱい居るんだし。

 あ、でも白レンは何でか志貴の方に行かなかったな。はて?契約も俺としたし。

 

 ま、本人たちが幸せそうなんで別に良いけどねー。

 いやいや、末永く爆発しろとか思ってませんので。

 

 でも、ホントにイリヤの花嫁姿は見たかったなー。

 今じゃもう成長してボンッキュッボンッな美人さんだぜ?

 かなり言い寄られてた筈なんだけど、浮いた話は全然出てこない。

 

「何考えてるの?」

 

「いや、イリヤの花嫁姿見たかったなーっと」

 

「ばかコウジュっ!」

 

 また頭をはたかれた。

 やめてください縮んでしまいます。

 

「まったく、いつまでたっても変わらないんだから…」

 

「当然じゃん? 俺は俺以外の何者でもない」

 

「厨二乙」

 

 うっせえよランサー!!

 また埋めるぞこのやろう!

 

「でも、ホントに変わらないわ。初めてあなたを召喚した時の事が昨日のように思い出される。ホントに変わらないわ。身長とか…」

 

「サラッと人が気にしてる事言うんじゃねぇ!!」

 

 そうなんです。

 俺を残して皆成長しました。

 サーヴァント勢も完全に受肉してるから当然な。今丁度20歳だ。スケドの効果で10歳くらいまで若返っちまってたからな。

 だから、俺を残して皆本来の身長位まで戻ってる。

 レンと白レンすらもちょっとずつ、ホントにちょっとずつだけど成長してるんだぜ?

 不老不死とか……けっ。

 

「もう、拗ねるんじゃないわよ。そんな事してもかわいいだけなんだから」

 

「可愛い言うなっての。何回言えば良いんだよ。俺は元男だっての」

 

「だってホントの事じゃない?」

 

 足元に居た白ネコが声を出して言う。白レンだ。

 ちなみに、今言ったように俺はカミングアウトした。一段落すれば暴露すると決めていたしな。 

 まぁふーんで終わらされたけどさ。

 

「ま、それは置いておいて、もう行かないとダメなんじゃない?」

 

 白レンを地面から持ち上げて胸元に抱えるイリヤ。

 この二人、元々犬猿の仲だったのに、今は仲良いよな。いや、喧嘩するほど仲が良い? 何で喧嘩してたのか知らないけど。

 まぁたぶんキャラが被るからとかそんなんだろう。

 

「まぁそうだな。とはいえ、俺は不老不死で、時間を操る方法も知ってる。予定通り、力を得たらこの時間帯に戻ってくるさ。案外俺がこのドアくぐった瞬間未来の俺が来たりするかもよ?」

 

「そうだったわね…」

 

 それでも寂しげに言ってくれるイリヤ。

 しかし、すぐに笑顔に戻って言う。

 

「本当に、あなたを召喚できてよかった。私がここに居るのはあなたの御陰よ」

 

「ははっ、そう言ってもらえると俺も嬉しいよ。偶然だったかもしれないけど、俺もイリヤに召喚されてよかったと思ってる」

 

 この世界の人達とチートを貰っただけの俺とでは繋がりが無い。だから誰に召喚されていてもおかしくは無かった。

 一応ゲームコラボとしてセイバーが持つエクスカリバーを持っているから、可能性的には士郎が一番高い位かもしれない。

 けど、そんな中で俺はイリヤの元へと来ることが出来た。

 その偶然に、俺は何よりも感謝した。

 俺のマスターがイリヤであったから目標が出来た。イリヤと触れることでこの世界で戦う覚悟が出来た。イリヤが居たから前へ進むことが出来た。

 他の人がマスターでも俺なりに何かしたかもしれないけど、やはりイリヤ以外のマスターは考えられない。

 

 そう思いを馳せていると、イリヤは微笑みながらゆっくりと首を振った。

 イリヤは抱えていた白レンを近くに居たキャスターに渡すと、俺の目の前まで来て言う。

 

「違うわコウジュ。これはきっと偶然じゃなかった」

 

 偶然じゃない?

 そう言ったイリヤに俺は首を傾げる。

 そんな俺を見て苦笑するイリヤは続けた。

 

「私たちは根本的なところで似ているのよ。私は小聖杯である願いを叶えるための物。そしてあなたは、思った(願った)ことを事象にしてしまう者。きっと私たちはそういう所で似ていたからこそ繋がることが出来た」

 

 自分を物扱いするイリヤに俺はついムッとする。

 そんな俺に対してイリヤは、慈母のように優しげに微笑みながら首を振る。

 

「私はもう自分の生まれを恨んでなんかないわ。私が小聖杯であったからこそあなたに出会えて、人としての人生を歩むに至れた。自分が願いを叶えるための物なのに自分の願いは決して叶えられないという絶望を、あなたが変えてくれた。私の願いを叶えてくれた」

 

 言いながらイリヤが俺に抱き付いてくる。

 あー、くそ、成長したイリヤに抱き付かれてしまえば俺はイリヤの胸の下まで位しか身長が無いから悲しくなってくる。おかげで涙が止まらない。

 

「だから、ありがとうコウジュ。私のバーサーカー」

 

 その言葉を聞いた瞬間、もうダメだった。

 誤魔化しているつもりだったが、胸の内を暖かい何かが埋め尽くし、後から後から涙が出てくる。

 なんだよなんだよ、しみったれた雰囲気で別れるのはやめようなって昨日話したじゃんか。

 なのになんで今になってそんなこと言うんだよ。

 

「ふふ、泣いているの?」

 

「泣いてねぇ…」

 

「コウジュは昔から泣き虫よね」

 

「だから泣いてねぇっての。ってか涙脆くなったのはこの身体になってからだ」

 

「やっぱり泣いてるんじゃない」 

 

「う、うるせぇ…」

 

 イリヤは抱き付いていた手を離し、かがんで俺の目を正面から見る。

 そして、霞む俺の視界を投影したハンカチでふき取り、最近しなくなった昔の様な天真爛漫な満面の笑みを浮かべた。

 

「いってらっしゃい、コウジュ」

 

 そんなイリヤの後ろで、他の皆も言葉にしないが手で仕草で『また会おう』と言ってくれている。

 それを見て、俺は頬を叩いて気合を入れる。

 泣いてるだけじゃぁやっぱり俺じゃないよな。

 だから、俺も負けじと笑みを浮かべる。

 

「ああ、行ってきますだ!!」

 

 それだけ言って、俺はイリヤたちに背を向けて扉へと歩き出す。

 そうだ、さっき自分でも言ったようにこれが最後のお別れとは限らない。

 いつか自分の力で、ここへと戻ってくればいい。

 

 俺は力強く、扉を潜った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして感じる浮遊感。

 認識する前に落ちていく身体。

 

 ああ、最後まで俺はこんな扱いなのね…。

 

 

 




いかがだったでしょうか?

いやぁ、最後までやりたいことをしたので気持ちよかったです。
特にリメイク前では書けなかったコウジュとイリヤの繋がりの部分、お互いが願望器としての特性を持っている部分を書けたので大満足です。

小聖杯の本来の役割等に関してツッコミどころもあるとは思いますが、願望器としての側面として“願いを叶える”という部分に焦点を当てたかったのでお許しください。

その他にもツッコミどころ漫才だったとは思いますが、ノリと勢いで楽しんで頂けたならば幸いです。


それでは皆様、ここまで読んで頂きましてありがとうございました!
これにて、Fate編終了としたいと思います。
改めまして、ここまで付き合っていただいた皆様ありがとうございました!!!



P.S.
今後は小休止の後、また違う世界というものを書いてみたいと思いますので、よろしければ引き続きよろしくお願いします。

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