テンプレ…まじで?(リメイクしてみた) ※現在このすば!編 作:onekou
もうすぐ総合評価が2000に届きそうで変なテンションの私です。
すごく、ありがたいです。
このSSが皆様に少しでもクスリとしていただけるよう、引き続き頑張ります!
オッハー。
って、なんか懐かしいな…。この姿になった今となっては余計にそう思う。
おっと改めまして、おはよう。
今はあの話が終わって次の日の朝だな。
つ・ま・り、士郎君の半告白シーン到来なわけだ。
ワクテカせざるを得ない。
とりあえず、現状説明から言ってみよう。
現在居間に居る訳なんだが、居るのは俺、キャスター、士郎、凛だ。
バゼットさん(思いだした)はまだ起きていない。
そしてランサーは朝からどこかに行った(釣竿を持って出ていったが、何かあってもキャスターが強制転移で呼び戻すから大丈夫)。
アチャ夫さんは『マイルーム』にでも居るんじゃないかな。
桜は部活の何かがあるってさ。
ライダーも一緒に動いてもらった。
リアルに太陽がまぶしいとか言ってたんだけど、あのサーヴァント大丈夫か…?
あ、ライダーに桜と一緒に行ってもらったのは勿論護衛のためだ。
桜も狙われる可能性が一応まだある。
ちなみにライダーの格好だがロリサイズの穂群原学園制服だったりする。
キャスターさんが一晩で作ってくれました。
魔眼封じのメガネも掛けてるし、一応一般人に見えるだろう。
俺も着せられそうになったのは置いといて、ライダーさんってばものすっごい嬉しそうにしてたなあ。
桜っちとお揃いだとか言ってさ。
良きかな良きかな。
ただ一つ問題がある。今の状態のライダーさんだと護衛に見えない点だ。
どう見ても背伸びして高校の制服着てる、ちびっこな桜っちの妹さんだよ。
威圧感とまでは行かなくても相手に警戒させる程度には護衛っぽさが必要だと思うんだ、俺。
ふふふ、まぁこれで彼女もコスプレ幼女の仲間入りだね(血涙
一応、リーチ以外の基本スペックはそのままだし大丈夫って言えば大丈夫だろうけどさ。
それにいざとなったらキャスターが居るし!(ブラック企業感
あ、そういえばライダーが生きてる事まだ士郎達には言ってないんだけど、どうしようかな…。
士郎達ってのは士郎、凛、セイバーなんだけど、前にライダーさんを確保してからずっと会わせてなかったし、もう隠れててもらう必要はないんだけど、今更言うのもアレだし…。
そ、そうだ。
あの時俺ってライダーを連れてそのままあの場を去っただけだし、今まで俺がサーヴァントに第二の生を生きてもらってるとこからきっと気づいてる筈だよね?
周知の事実過ぎてつっこまれてないだけだよね!?
何故黙ってたとか言って罰ゲームとかないよね!!?
よし、気づいてると思っとこう…。
後はなるようになるよな…。
話がそれたんで戻すと、現在居間に居る俺達は、俺とキャスターはテレビを見ていて、士郎と凛は机を挟んだ向こう側でずーっとデートとはあーだこーだ話をしている。
凛が士郎に色々と享受している感じだ。
机の上にはずらっと雑誌が積み重ねられている。デートスポットやらがどうとか書いてあるようなあれだ。
どこから持ってきたのか気になるが、凛はそれらを指し示しながら『デートとは闘いなのっ』と格言じみた事を言った後はデートコース、店と言ったものの確認をしながら士郎にいろいろ吹き込んでいる。
どうでもいいが、士郎が行くのに凛が行くかの如くなノリだね。もしくは士郎のママ的立ち位置?
それにしてもマジで凛さんのテンションたっかいなー。士郎はもうたじたじだよ。
まぁ他人の恋路を応援したくなるのは分かるけどさ。
そんな2人を視界の端に移しながらニュースの合間にやってる今日の運勢を見ているとセイバーが入ってきた。
慌てて士郎と凛は机の上の本を片付ける。
おい、セイバーがビクッて若干引いてるぞ。
「お、おはようございます…」
「「お、おはよう…」」
「ぷっ…くくっ……」
ムリ…助けて誰か…くくっ…。
キャスターと二人、知らないふりをしながら笑いを堪えるのが大変です。
「えっと、セイバーここどうぞ」
「あ、はい」
このよくわからん空気を脱出させてくれたのは士郎だった。
士郎は自分の横、凛が居るのと反対側に座布団が空いているのでそこに呼んだ。
「……」
「……」
いやしゃべれよ。
そしてこのもどかしい雰囲気をそろそろやめてほしい。
青春してんなぁほんと。おじさんにはこの空気は辛いよ(元20歳大学生現幼女
テレビを見ているふりをしながらチラリと士郎達を見る。
士郎は話をどう切り出そうかと目線を向けてはまた下げて、セイバーは最初は良く分かってなかったみたいだが途中から士郎と目が合う度に顔を少し染めて同じように目線を下げる。
なんていうか痒い! あぁぁ!! やぁめぇてぇ!!
さっきとは違う意味で助けて欲しい。
「コウジュ? どうかしたかしら?」
「何でもアリマセンヨ?」
キャスターめ! この空気を打破するためだからって俺に話を振りやがった! この裏切り者め!
「でもそわそわしてたじゃない」
「え、だってそりゃなるでしょう!?」
何でも無いって言ったのにニヤニヤしながら食い下がるキャスターについ声を荒げてしまった。
そんな俺をギン!と鋭い目で睨む凜。
「コウジュうっさい!!!」
「…ごめんなさい……」
凛に怒られてしまった…。
俺まだ何もしてないのに……。
◆◆◆
「デート…ですか? それは何でしょう、あまり専門的な訳語は使わないでほしいのですが」
俺は今、一大決心をしてセイバーを誘っている。
ただ、返ってきた言葉は少々予想外ではあったが…。
デートの説明ってどうすればいいんだ?
「えっと、デートっていうのはだな…。あ、女の子と遊びに行くっていう意味だ」
これならどうだろう。
「女の子…とは私の事を言っているのでしょうか」
「もちろん」
「言葉の意味は分かりましたが、意図が全く分かりません。そんな事をする理由は何ですか?」
「……」
クロスカウンターというものを喰らったらこんな気分になるんだろうか。
数少ないボキャブラリーを総動員してるんだが素で返されてしまった。
これ以上どう説明すればいいんだ?
意図…という部分で考えれば俺がセイバーの事が気になるからっていう事になるんだろうが…。
この状況でそれをいきなり言えと?
いや、別に恥ずべき感情なわけでもないし、むしろまっすぐ表現するべく告白をするべきなのだろうか。
いやいやでも端で笑いを堪えたりもじもじしたり突然体を捻ったりしてるコウジュが居る前でするのは駄目な気がする。あと見たことないほどの暖かい眼で見てるそこのキャスターも要注意だと思う。
ってそうじゃない、問題はどう説明するかだ。
そんな風に頭の中でパニックを起こしていると、遠坂から声がかかる。
「士郎、さっさとしないと」
「うぐ…」
時計を見る。そろそろ家を出ないとゆっくり回れない。
「分かってはいるんだが…」
ボキャブラリーの少ない自分に自己嫌悪に陥りそうになる。
勉強は苦手ではないんだが、こういう感情を吐露する事や説明っていうのはどうも苦手だ。
そんな事を考えていると、遠坂はよしっと声を出した後、セイバーに向き直り―――、
「良い?セイバー。デートっていうのはようするに逢引の事なの」
「っ!」
爆弾発言をした。
っておい!! 遠坂さん!?
しっかり言えない俺のせいだけどそこまでストレートに言われると恥ずかしんだけど!?
誤魔化しまぎれに咳払いを一つする。
…?
今、豚と牛?鳥も?ってどこからか声が聞こえた気がする。それは合挽だ!
って犯人はコウジュか!!
…いや、何でそんなに疲れた顔してるんだ?
「男の子が好きな女の子にアピールするチャンスってわけなのよ」
「な、なるほど…」
隣では恥ずかしい説明がまだ続いていた。
「もう良いからさっさと行けよ! あとリア充爆発しろ!」
良くわからないが怒られた!?
コウジュは突然席を立ち、俺とセイバーの所まで来ると手を引っ張ってきた。
俺たちはそのまま立たせられる。
「士郎、準備は?」
「え、えっと出来てるけど…」
持っていくものは小さいリュックに入れてそこにあるので、それを持っていくだけだが―――なんだ?
「よし、ならいい。さっさと行って来い」
コウジュは俺とセイバーの手は握ったまま、器用に障子戸を足で開け、玄関の方に俺達を引っ張っていく。
コウジュのいつものごとくな突発的な行動だが、今回はかなり感謝したい。
さっきの空気は俺もさっさと抜けだしたかったからな。
よし、覚悟は決まった。
このまま俺はセイバーと今日一日デートを―――、
「待ちなさい! どうせならオシャレをしていくべきよ!!」
できなかった。
そこにはゴスロリ?でいいのかな…、とにかく黒と白のフリフリとしか形容できないレースがふんだんに使われた服を掲げるキャスターが居た。
◆◆◆
いつのまに!?
くそ、さっさとこのリア充どもを送り出して俺も自分の事をしようと思ってたのに…。
「どういうつもりだキャスター…」
「今言った通りよ。外出、それもデートというものをするのだからそれ相応のおめかしが女の子には必要じゃない?」
聞くだけなら確かに正論。セイバーの為を思って言っているような言葉…。
だが!!
「それが本音じゃねぇだろあんた!! 明らかに目がそんなセイバーの為じゃないことを物語ってるぜ!!」
「そんな事は百も承知よ!」
開き直りやがった!?
葛木先生! あんたの嫁をどうにかしてくれ!
「えっと…キャスターさん?」
今まで黙っていた士郎が後ろから声を出す。
あまりのキャスターの勢いに今まで固まってたのだろう。
なにはともあれ言ってやれ! 家主としてガツンっと!!
「男は黙ってなさい」
「はい……」
家主よっわ。
今更か…。
俺も何期待してたんだか…いや、この考えはさすがに酷いな。
よし、ここは俺が一肌脱いでやろう!!
「セイバー、士郎…」
「どうしました?コウジュ」
セイバーが答えてくれる。士郎さん律儀に守らんでも…。
「ここは俺が一肌脱いでやろう」
ふっふっふ、これってかなり男らしいんじゃないかな。
俺は男らしくガシッとキャスターの腕を掴む。
「俺がここを押さえる! お前たちは行け!!」
「くっ、コウジュ。すみません!!」
「ありがとうなコウジュ!! 後それってこの間コウジュが言ってた死亡フラグっぽいぞ?」
2人は俺達の横を抜け早足で玄関を出ていく。
おかしいな。士郎が不吉な事を言ってたような…。
死亡フラグ…?
「あらあら、コウジュ。あなたが着てくれるのね? 私はどっちでも良かったのだから文句はないわ」
「え? あれ?」
「一肌…脱いでくれるのよね…?」
……え?
・
・
・
「汚されてしまった…」
「良いじゃない似合ってるんだから」
「そういう問題ちゃうわ!!!」
変な関西弁が出てしまった。
しかし許してほしい。
一肌脱ぐとは言ったが、誰が本当に脱がされると思うだろうか。
いやまぁつまり俺は今ゴスロリなフリフリを着せられてるわけだ。
鏡を見た時、普通に可愛いと思っちまったじゃないかこん畜生。中身は俺だってのに。
さて置き現状だが、さっき言ってた俺のやりたい事ってのはズバリ尾行だったりする。つまり尾行なう。
ちゃっちいとか言うなし。これは必要だからやってるんだ。
今まで大まかな流れは原作沿いにしてこれたけど、なんの拍子に死んじまうか分からない訳だからな。
このデートイベントなんて、アニメでは覚醒イベント的に死ぬ寸前まで行って、力が目覚めるパターンが起きる訳だけど、一歩間違えれば死亡一直線だ。
だから必要なわけだ。
決して野次馬的なサムシングではない。
なのに、なんでこんな格好に…。
目立つやん。
どう言い表せばいいのか…黒ゴス、絶対領域、フリルでひらひらほわほわ……?
おっとこれ以上は俺の精神が死ぬ。
帽子も獲られ(誤字にあらず)てしまったので獣耳が出っぱなしだ。
堂々としてたらコスプレにしか見えないと言われたが…何といえばいいのか今まで目立たないようにしてきたので恥ずかしい。
いや待て、コスプレの時点で恥かしくない?
「ほら堂々とする! 怪しまれるわよ?」
「そんなこと言ったってさ…ていうか自分だけ認識阻害掛けるのひどくないか?」
「あら、私はできるからやってるだけよ?悔しかったら自分で掛ければいいじゃない」
「うぐ…」
できない事はない。アサシンのカード使えば良いだけだからな。
だが!!
あれは代償が大きすぎる。なにせ革ベルトだからな。
認識阻害だけで見たらものすごい良い効果なんだが、あれは真昼間からできる恰好じゃない。
それにたぶんだが、魔力抵抗の高いキャスターだと認識されてる状態からだと容易く見つかるだろうし、そうなったら破滅だ。
「うー、うー…」
「うーうー言わない。ほら早く行くわよ」
「おぅ…」
ちくせう…。
尾行にしに来たのになんでこんな目立つ格好でしなきゃならないんだよ。
あ、ちなみにキャスターは俺が今着ているやつの色違いを着ている。
ふりふりほわほわなやつな。
私も一緒に着てあげるからあなたも着なさいとか言われた時はなんか今日のキャスター優しいとか思ったが前提としてキャスターのせいで着る事になった訳だから完全に嵌められた。
しかも自分だけ認識阻害とかひどい。いつもの若奥様風に見えるように設定してるらしい。
これだから頭脳派は…。
ってこの言い方だと俺が頭悪いみたいだな。
俺は頭は悪くはないと思うぞ?
まあ良くもないが…。
そのおかげかチートを持て余してるんだろうしな。
「ほら、次のバスが来たわよ」
「ういー」
しゃーない。
とにかく尾行するか。
最近諦めてばっかりな気がするなぁ…。
そういや、結局キャスターさんはなんで着いてきたの?
下見?そうですか…。
・
・
・
「さってと、2人は―――」
「あそこよ」
キャスターさん超便利。魔術で士郎達の位置が分かるんだってさ。
今だけはレーダーのクラスを授与しよう(笑)
しかし――、
「ん? どこだ?」
人ごみで見えん。
ぴょんとジャンプしてみるが、周りは一般人しかいないので常識の範囲内でしか飛べない。
結局見えない。
「っぷ…」
「おいてめー、今俺の身長見て笑っただろ。ちょっと俺よりでかいからって」
「いいえ、思ってないわ」
こっち見て言いやがれ。
っと、早くしないと余計見つからなくなるな。
ほんとなら小一時間問い詰めてぇところだが、今は尾行が優先だ。
とりあえず、キャスターが言ってた方向へ向かう。
[服屋]
「この店に入って行ったな。この辺で居れば見つからないかな?」
「何やってるの入るわよ」
「ちょ、見つかるって!」
「堂々としてたらばれないわよ。結構中は広いし」
「うーん、まぁ了解」
自動ドアを潜り中へと入る。
いらっしゃいませ、と上品に告げる店員さんたち。
あ、高そう。
元々服はブランド物よりも量販店で気に入ったものを買う方が好きだったのでこういう所は苦手だ。
「へぇ結構広いのな。来た事あったのか?」
「ええ。あ、ちょっとそこの店員さん例の物持ってきて」
「かしこまりました」
「はは、例の物で通ってしまう位には常連さんなわけね…。で、セイバー達はっと、あれか」
目線を向けると店員さんの一人が服を持っているセイバーにどうぞ広げて御覧になって下さいと言ったら、セイバーが文字通り腕いっぱい広げて破く所だった。
あんたは過去からタイムスリップしてきた人がテレビを見て壊すタイプのアレか!?
いやでも衛宮邸では普通にテレビ見てたし、あれは素でやってるってことですか?
「ちょっとコウジュこっち来て」
「な、なんだ!?」
手を引かれ俺は連れて行かれると、何人かの店員さんがそれぞれ違う服を持って立っている所に着いた。いやーな予感。
持ってるのほとんどがまた今着ているのと同じくらいふりふりだったりする。
「あのー、キャスターさんこれは何でせうか?」
「何って服よ?」
何当然の事を言ってるのといわんばかりの顔でこちらを見てくる。
あれれーおかしいぞー?
思わず某体は子ども頭脳は大人な少年探偵がよく言う口癖が出てしまった。
「あのさ、俺って士郎追いかけたいんだけど?」
「だったら早くしないといけないわね♪」
いやに良い笑顔でそう言うキャスターについ顔が引きつる。
同じようにその後ろから笑顔で詰め寄る店員さんたち。
男的にお姉さん方に詰め寄られて幸せなシチュエーションだろうに今の俺は逃げたい。超逃げたい。
だって逃げないと俺の中の何かがまた消えてしまいそうだもの!
「ほら早く。時間が無いなら厳選してまずはこれを―――」
「ちょっと待てぇ―! 何でそんな服がこんな服屋にあるんだよ!!」
明らかに周囲にある服とは系統が違う。
いま彼女たちが持っているの物は確実に専門店でもないと手に入らなそうな一般向けではない服たちばかりだ。ドレスっぽいのもあるし!
「ここはオーダーメイドも可能なの。そしてここの店長はこっち系にも一部で人気がある商品をいくつも出しているのよ!」
「何でそんなこと知ってるんだよ!」
「あ、それはライダーがネットの電子掲示板?とかいうので調べてくれたわ」
あいつライダー止めてチャネラーにでもなったの!?
最近ネットばかりやってるからって馴染みすぎだろ!?
その中毒性は分からんでもないけどさ!!
「あ、そ、そうだ! ほら、そういうのって高いじゃん? だから受け取れないかなぁーって…」
苦しい理由だが、実際にそう思うのも確かだ。
というか買ってしまえばせっかく買ったのだからとなし崩し的に着せられてしまいそうで怖い!
「それも大丈夫よ」
「なんで英霊が現代でそんなの買えるお金持ってるんですかねぇ!?」
俺なんて小遣い制だぞ。
しかも1週間5千円。
普通に考えればそれでも十分だけど今のボディのエンゲル係数は尋常じゃないんだよっ!
そんなひもじい思いを俺はしてるってのに、あんたのその余裕は何処から出てるんだ!
「私、内職で原型師を始めたのよ。それをライダーに売ってもらったりしていると思った以上に高値が付いてね。ほら、道具作成とか得意だし」
いつからあんたはクリエイターになったの!?
というかなんだその無駄に豪勢なスキルの使い方は!?
でもとりあえずツッコミは後だ!!
「戦略的撤退!!」
「ちっ、逃げられたか。仕方ないわね全部買うわ。いつも通りに配送でお願い。あ、でもこれとこれは後で回収に来るわ」
「ありがとうございましたー」
[映画館]
何も持たずにキャスターが出てきたので安心して合流した俺は、再び士郎達の後を尾行し始めた。
一瞬笑顔でこちらを見たキャスターにゾクリとしたものを感じたけど何故だろうか…。
さて置き今するべきことは尾行だ。
そう思い直ししばらく着いていくと、今度はどうやら映画を見るようだ。
「定番だな」
「ええ」
士郎達が何を見るのか確認してから俺達も同じものを購入し中へと入った。
ちなみにこの時だけはキャスターは子どもの姿に戻って年齢割引を買っていた。
地味にせこいぞこのサーヴァント。
そして俺は大人チケットを買おうとしたが係りのお姉さんに子供料金にしておくわねとやさしい微笑みと共にお釣りを受け取り地味にダメージを受けていた。
さておき、二人が見ることにしたのはどうやらバトルもののようだ。
普通なら恋愛ものだと思うが、セイバーがデート相手だからこっちの方が良いのだろうな。
とは言え俺も恋愛ものよりは手に汗握る展開というものの方が好きだ。
少し離れた所からセイバーを見るに可愛い位にわくわくしているのが見て取れるし、ここで何かが起こる訳でも無さそうだから俺も大人しく映画を見ることにした。
しかし、半分くらいを過ぎた所で気づく。
そしてそれはキャスターも同じようで、俺より先にキャスターが口を開いた。
「……」
「……」
「ねぇ」
「何さ」
「こう、生ぬるいというか、物足りないというか」
「それはそうだろ。俺たちは元とはいえサーヴァントだ。聖杯戦争と比べたら当然だって」
「……」
「なぁ…」
「何…?」
「ポップコーン…食べるか?」
「……いただくわ」
ポリポリ…。
[ファンシーショップ]
「セイバーとのデートで何故このチョイス」
「まったくね」
俺もデートに関してよく知ってるわけではないが、初めてのデートでは行かないであろうチョイスだと思う。
まあ実際にはアニメでセイバーはここで運命の出会いと言っても良いライオンのぬいぐるみと相まみえる訳だが。
確か何気にセイバーは可愛いものが好きな筈だ。
ペンギン型のかき氷器だったかにも一目惚れしていた筈。
そんなことを思い出しながら俺は、今までと同じように士郎達から少し遅れて中へと入っていく。
「ここも結構大きいし、ちょっとやそっとじゃばれなさそうだな」
「そうね…っ!?」
「どうした…って、あ…」
・
・
・
「まったく、あの坊やはこんなところにセイバーを連れてくるなんて何を考えているのかしら…」
「ほんとだよな…。小さい子じゃないんだからさ。ところで…」
「何かしら…?」
「いや、その手に持ってるのは何かなーって思ったり? 蛇?」
「そ、そうね。ところで私も聞きたいのだけど」
「何さ?」
「猫と犬と、狐?」
「おう…」
「コウジュ…」
「何だ…」
「あの坊や…中々やるわね…」
「まったくだ」
取得:ぬいぐるみ × 多数
[海岸沿いの公園]
これだけは言っておこう。
船乙(笑)
ちなみにどういう事かというと、前回の聖杯戦争で海上戦を余儀なくされたセイバーが宝具使って運悪く船が巻き込まれた残骸がむなしくそこに鎮座しているとかそんな感じだったはず。
何がどうなってこうなったのかは俺も知らないが、よくもまぁこんな無残な姿になったものだ。
なんだろう…、陸に打ち上げられたタイタニックとでも言えばいいのだろうか?
ちなみに、遠くに見えるセイバーさんですが自分がやりましたと士郎に自首し、こんな感じ。
セイバー (´・ω・`;)
士郎 (;゜д゜)
え? 俺達?
ニヤニヤ(・∀・)(・∀・)ニヤニヤ
とこんな感じです。
[大橋]
あ、キャスターさんはログアウトしました。
もう十分だってさ。
あと、何か寄る所があるとか行ってたな。閉店前に回収がどうとか。
ほんと現代をエンジョイしてるよなあの人。
そんな事を橋の上で考えていると、下の士郎とセイバーがシリアスタイムに入った。
ふむふむ、熱いねコンチクショ―。なんて言うのか情熱的?
恥ずかしくて見てらんないぜ。
夜の帳も降り始めて人気が少ないとはいえ、良くやるよほんと。
あ、下の会話が喧嘩っぽくなりだした。
喧嘩と言っても、犬も食わないという例の痴話喧嘩だ。はたから聞いてたらリア充氏ねと言いたくなるような感じの。
『――――これ、本当はコウジュには言うなって言われてるんだけど――――』
『―――え?――――』
ちょっと待てぇ!!!!
その前振りに出てきた本人が上に居るんですけど!? 気づいてないからこそ言うんだろうけどさ!!
っていうか、その前振りって事は、この間の―――。
『―――あの子が言ってたんだ。セイバーが望んでした結果、最後は国が滅んだのだとしても、それを否定してほしくない。その中で皆が感じたであろう幸せまで否定してほしくないって――――』
うおぉぉぉぉぉ!!! やーめーてーぇぇ!!!
恥ずかしくて死ねる!!
既に俺のライフはゼロだ!!!
だから続きなんて言わないで!!
『―――俺もそう思った―――コウジュの言葉を借りることになるけど――――だから―――』
『士郎!!』
パンっ・・・!
恥ずかしくて下の会話がちょっと耳に入ってこなかったんだが、なんか急展開。
セイバーが士郎の頬を打ぶった。
え? 何? 何があったの?
いや、ホントはこんなの聞いちゃいけないんだろうけどさすがに気になるって!!
っていうか、俺の言葉を言ったからじゃないのか?
気持ちの整理がついてない時に一気に言われたらそうなるだろうけど、打つとはねー。あのセイバーが。
こんなシーンは無かったと思うから、変わったのかね?
『勝手にしろっ!!』
さっきの言い合いからまた少し問答した後、士郎が走って去っていく。
セイバーも少し意固地になっている様で、大橋に留まっている。
ただ、その顔が今にも泣きそうに見えるのは俺の気のせいではないと思う。
ここは原作と一緒か、士郎は家に向かってるみたいだし。
≪コウジュ、セイバーは予定通りこっちで遠見で見ておくけど…≫
キャスターから念話が入る。
≪んじゃ、頼む。多分大丈夫だと思うけど、金ぴかが来たら教えてくれ≫
≪分かったわ≫
さてさて、俺は士郎の方に行くか。
俺の言葉が士郎の考え方に少なからず影響を与えている。
俺は口下手だから大層な事は出来ないと思うが、ほったらかしというのは気に入らないしフォローというか、アフターサービスってやつをやろうかね。
このやり方が正解なのかはわからないけど、少なくとも途中で投げ出すのはもっと駄目だと思うしね。
セイバーの感情は原作よりも表へ出てきているような気がする。
そして士郎もまた変化を始めている。
なら、後ろ何て見てないで俺は俺のできることをしないとな。
いかがだったでしょうか?
場面変換とか場所の変更が多いため変な書き方になっていることをお許しください。
さておき、今回はほのぼのとした回でしたがクスリとしていただけましたでしょうか?
なんだか変な変化を遂げているサーヴァントたちですが、まぁだいたいコウジュの所為なのでお許しください(え
それでは次回もまた週末に投稿すると思うのでよろしければまたご覧ください。
P.S.
次週と言いつつ月曜から職場の新人さん教えたり研修生さん教えたりで忙しくなりそうで、出来る限り一週間以内にとは思うのですがもし遅刻したときは申し訳ない。
P.S.
PSO2でバーサーカーの斧剣コラボきたこれ!!!