テンプレ…まじで?(リメイクしてみた) ※現在このすば!編    作:onekou

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どうもonekouでございます。

次話がやっとできました。
いつもながらキャラ崩壊が甚だしいですが、少しでも楽しんで頂けたらと思います。

あ、この題名の元ネタを気づけた方はほんとにすごいと思います。



『stage20:In der Nacht, wo alles schläft』

 

 

「さて、桜ちゃんをいつ助けに行こうか…。出来るだけ早く行きたいんだけどねー…」

 

 実は、桜の助け方は決めかねている。

 俺自身がやったゲームのルートじゃ全然関わってこないし、二次では結末なんて読んだ数だけ違う。

俺の知識ではよく知らない部分が多いんだ。

 分かってるのは、桜の中に虫がいて、虫は心臓とほぼ融合している。

 そしてその虫を殺さないと爺は死なない。

 それは、爺の本体がその虫だから。

 つまり、爺の命と桜の命はつながってしまっている。

 

「どうしよっかな…」

 

「「どうしたの?(ですか?)」」

 

 二人して声をかけてきてくれた。

 

「いや、桜の助け方を考えててさ……」

 

「え、考えてあったんじゃないの?」

 

「契約を持掛けるのですから、普通は考えておくのでは……?」

 

「いやいや、一応考えてるよ? ヒョウリシリーズ…出てこい」

 

 そう言い、俺が出したのは2対で一つの剣が2種。

 逆手に持つ巨大なナイフのような剣達(ツインダガ―)。

 2対とも見た目は一緒だが、能力が違う。

 

「絡まりし事象の鎖から、その姿を表すとされる連鎖の双小剣。過去と未来の過ちを支配し、表裏一体の運命を覆すほどの力を持つ、サイカ・ヒョウリ。ぶっちゃけこれあったら、今すぐに救えます」

 

「「…は?」」

 

 さっきから仲が良いね。妬けちゃう。

 って冗談言ってる場合じゃないか。

 

「こいつらが持つ概念を利用すれば、桜ちゃんの中にある虫に関する時間を斬り離すって反則技が使える筈だ」

 

「じゃあ使えばいいじゃない」

 

「いやぁ、それがね、俺って概念を使うことはできるけど概念そのものを操ってるわけじゃないんだよ」

 

「うん、待って。何かがおかしい。そもそも使える時点でおかしい。…って、ツッコんでいたら話が進まないわね。どうせあなたの事だから、何かあるってことなんでしょう?」

 

 もう慣れ始めたイリヤのジト目。

 というか俺に何か問題があるのを前提に話さないで頂きたい。あるかどうかはさておいて!

 

「異議あり! って言いたいところだけど、ほんとにそうなんだよ。俺が能力を使う際はイメージがとても大切になる。そしてこれは剣だ。だから斬るうえで能力を行使する必要がある」

 

「だったら、こう、ちょっとだけ斬るとか出来ないのかしら?」

 

 指先でもう片方の指をチョンチョンとつつくジェスチャーをするイリヤ。

 確かに、斬ることさえできれば直接干渉するっていうイメージを俺ができるはずだからイリヤの提案は的を得ている。

 ただし、前にも空間制御の方で使おうとして止めた最大の障害が残っている。

 

「こ、この剣、当たると一定確率で即死なんだ」

 

 じ、時間が止まってしまった。

 二人とも真顔――ライダーはアイマスクで解り辛いが――で止まっているせいで、反応待ちの俺も動けない。

 チクタクチクタクと設置してある柱時計が時間を刻む音だけが場に響く。

 

 

 

 

「さて、どうやって桜を助けようかな?」

 

「無かったことにした!?」

 

 考えても意味が無いので、そのうちイリヤは考えるのを止めた…なんてモノローグが付きそうなくらいあっさりと思考放棄されてしまった。

 まだライダーはオロオロしてるって言うのに。

 ただ、少し待ってほしい。

 俺も失敗してばかりではないのだ。

 

「タイム! 一応打開策は用意してある」

 

「…あるなら先に言いなさいよ」

 

 またしてもジト目なイリヤ。

 その横でライダーがほっと胸をなでおろしているのが微妙に可愛い。その撫で下ろされた(凶器)をジト目のままチラッと見るイリヤも。

 

「簡単に言えばだな、死ぬ可能性があるなら死んでも大丈夫なようにすればいいじゃないって感じでですね――」

 

「さて、どうやって桜を助けようかな?」

 

「なんでさ!?」

 

 解せぬ。

 数ある武器を一個一個確認して桜をどうにか助けられないか考えての苦肉の策だと言うのに。

 

「ほ、ほら! 前にイリヤに渡したカードあるじゃん?」

 

「あの人型が描かれたカードの事よね」

 

「That's right! あれを桜ちゃんに渡したうえでヒョウリシリーズを使う。それならもしも即死効果が発動しちゃっても生き返ることができるって寸法さ」

 

「で?」

 

「でって?」

 

「まだ何かあるんでしょう?」

 

「うぐ…」

 

 完全にバレてる…。

 そう、どうして最初から言わずにこんな遠回りな説明をしているのかっていう部分。俺がこの方法で不安が残っている部分についてイリヤは感づいているようだ。

 

「あー、あのね? 怒らないで聞いてくれよ?」

 

「内容によるわ」

 

「えーっとですね、前に士郎で試したことが…にょあ!? あ、あってですね」

 

 メッチャニランデル! 幼女がしちゃいけない目でニランデル!!

 

「で?」

 

「その時に、ちょっと弄って使ったら命は助かったけどどうやら不完全だったみたいで…。だからちゃんと使ったことが無いというか…ひぃあ!? あの、イリヤさん? なんでそんな睨んでるんでせう…?」

 

「その辺りの事を私知らないなー。なんでだろうなー。教えてもらってないなー。遠くから様子見だけしたって聞いたと思うんだけどなー」

 

 少女らしい声音でそう言うイリヤ。

 だが鋭い眼光で棒読みの為、可愛らしさは成りを潜めてしまっている。

 

「ほ、ほら、あの時は悩んでる時だったしあんまり別件で煩わせるのもって思ってさ…」

 

「……はぁ、それを言われると仕方がないわ。後で詳しく説明しなさいよ」

 

「ういっす」

 

 何とかイリヤの追及は逃れられたようだ。いや先送りにしただけだから、逃れきれてはいないのか?

 ま、まぁ、今考えても仕方ないよね!

 

「って、あれ? ライダーどうしたの?」

 

 そういえばさっきから全然ライダーが話していないことに気付いて目を向けると、何やら固まっていた。

 どうしたのだろうかと声を掛けてみると、ハッと再起動したライダーは恐る恐るといった感じで口を開いた。

 

「あの、あなたは命のストックを誰かに譲渡することができるのですか?」

 

「まだ検証する部分はあるけどね」

 

「話が戻るんですが、経験した時間を抜き出すという魔法を行えるのですか?」

 

「たぶん」

 

「そういえば、空間移動していたような」

 

「あれ昨日出来るようになったんだ! すごくない!?」

 

 なんだか褒められた気がしてついつい嬉しくなってドヤ顔しちゃう俺。

 ふふん、俺も失敗ばかりじゃないのさ。失敗は成功の友って言うしね。

 

「頭が痛い…」

 

 あれ、何故かライダーが頭を抱えだした。なにゆえ?

 

「大丈夫、慣れるわ…」

 

 そのライダーの肩にトンと手を置きながら慰めるイリヤ。

 すごくいい笑みだ。

 こう、ナカーマと言わんばかりに。

 

「えっと、俺なんかした…?」

 

 たぶん、俺が悪いのだろう。

 でも何がダメだったのかよくわからん。

 

「……」

 

 微妙に涙目になりながらライダーがイリヤにアイコンタクトをする。

 

「……」

 

 イリヤは諦めるように首を振った。

 

「っ……」

 

 ライダーは項垂れた。

 

 あれー…?

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 ありえないなんてことはありえない。

 そうコウジュは言っていた。ドヤ顔で。とりあえず魔術で攻撃しておいた。

 確か、それが冬木に来る前だ。

 けどありえないと言いたい。ライダーも言いたいだろう。

 コウジュが言うには、根本のルールが違うからそう感じるだけなそうだけど、全く別のゲームでルールを混ぜてプレイしても成り立つわけがないし、無理矢理行っても混沌とした何かになるだけだと思う。

 

 コウジュに会ってからずっと考えていた。

 魔法って何なのだろう?って。

 魔術師は『根源』へ至るため魔法を目指す。

 根源へ至った結果が魔法とも言えるそうだが、どちらにせよ目指したからといってどうにかなるものではない。

 だが、目の前のこの子はそれができる。

 

 私は魔術を使える。だけど、本当の意味では魔術師ではない。

 なぜなら私は至ろうなどとは考えていないから。

 そんな私がコウジュのマスターだなんて何の皮肉でしょうね。

 

 ともかく、コウジュはおそらくこの世界で一番根源に近くて、一番根源を理解していない。その内側についてもそうだけど、その外側に群がるモノについても。

 それはある意味仕方ないのだろう。だって彼女は異世界の存在だ。色々知ってはいても。

 でもコウジュはここに居る。この世界に居る。

 英霊が封印指定を受けるだなんて聞いたことは無いけど、受肉している以上コウジュは実験材料としては破格の存在だろう。

 そもそもおかしいのよ。

 スペックで言えば神霊の類いだし本人も神様見習いだと言っている。けど、英霊という枠にはまっている。

 それはきっとコウジュの力が安定しないことに関係するんじゃないかと思ってる。

 ただ、コウジュが言うには使えば使うほど安定するらしく、実際に普段はコウジュの好きなようにさせているんだけど、テンションが上がってしまうと何をしでかすのか分からないのが玉に瑕だけど。

 

 

「イリヤ? イリヤー? おーい、マスターどのー」

 

「…なに?」

 

 コウジュの呼ぶ声に意識が引き上げられる。どうやら一人考え込んでしまっていたようだ。

 

「なんだかぼーっとしてたみたいだから」

 

 そう言いながら私を見るコウジュ。

 可愛く首をかしげながらも、その表情から私を心配してくれているのが分かる。

 

「ごめんなさい、ちょっと考え事をしていたのよ」

 

「ほむ、それなら良いんだけど」

 

「コウジュが私のサーヴァントでほんとよかったなぁーって」

 

「にゃ、にゃにを!?」

 

 私の一言で、一転して顔を真っ赤にしながらあたふたするコウジュがかわいい。

 

 って、コウジュで遊んでいる場合じゃないわね。

 

「それで、話はどこまで進んだの?」

 

「うあー、イリヤがどんどんドSになる…」

 

 誰の所為だと思ってるのよ。

 言葉にしないがそう考えているのを見て取ったのかコウジュが目を反らす。

 

「とりあえずライダーにも軽く現状の説明をして、俺たちの目的のために協力してもらえることになった。報酬は桜ちゃんの救出とラブラブ生活」

 

「そんなこと言ってませんよ!?」

 

 コウジュがさらっと言った言葉に、飛び跳ねるように慌てるライダー。

 頬を真っ赤にしながら全力で否定しているところを見ると怪しいものだ。

 

 一先ず、気持ちを入れ替えるためにもお茶でも入れようかしら。

 内容は脱線してばかりだけど、話してばかりで喉が渇いてきているし。

 今現在も脱線しているしね。

 

 お茶を入れるために席を立ち、勝手知ったるなんとやらで手際よく準備をする。

 まだ使い始めてそれほど経っていないが、このマイルームは本当に居心地がいい。

 現代よりも進んだ電子機器があるため楽しくもあったりする。

 お湯を沸かすのもすぐであるため、湧いたお湯で手順を守りながら準備をしつつのんびりと後ろで聞こえてくる声に耳を傾けてみた。

 

 

「違うの?」

 

「違い…ます!」

 

「桜ちゃんと一緒は嫌なの?」

 

「嫌ではありませんが…」

 

「じゃあ好きなんだね!」

 

「確かに好きではありますが…」

 

「やっぱりラブラブしたいんじゃない?」

 

「ラっ…イクです! ライク!」

 

「ライブ?」

 

「何故ライブ!?」

 

「あ、ラブライブ?」

 

「悪化した!? せめてラブかライクに!」

 

「じゃぁラブで」

 

「だから!!」

 

「ラヴ?」

 

「違うそうじゃない!」

 

「あ、桜ちゃん」

 

「#$%&!?」

 

「…のことなんだけど」

 

騎英の手綱(ベルレフォーン)!! 騎英の手綱(ベルレフォーン)!!」

 

「ちょ、悪かったって! だからストップストップ!」

 

 

 

 

 

 

「平和ねー…」

 

 でも聖杯戦争ってこんなので良かったっけ?

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

「さておき、だ。桜ちゃんを助ける交換条件としてライダーにやってもらいたいことがあるんだ」

 

「……」

 

 攻撃できないからと無言で睨んでくる(アイマスクで見えないけど)ライダーからちょっと目を反らしつつ、イリヤが容れてくれたお茶をフーフーと冷ましながら飲む。

 

「説明は後でするとして、簡潔に言うとライダーには一回死んでもらうことになる」

 

「一回…と言うことは、さっきコウジュが言ってた桜に使うっていうスケープドールをライダーに使うってことよね?」

 

「その通り。これは俺たちの為にってのが最初の目的だけど、まぁライダー的にも桜ちゃんでやる前に経験しておきたいでしょ?」

 

 俺たちの目的としては、スケドをサーヴァントに使った際にどういう変化が起こるか知るためってのがあった。

 俺は受肉している訳だし、恐らくゲームの時と敗北条件は一緒なのだろうと想像が付くが、霊体でもあるサーヴァント相手ではどうなるのか、スケドで甦った場合聖杯戦争への参加権はどうなるのか、その辺りをはっきりさせておきたい。 

 実験になってしまうが、もし想像通りに(・・・・・)働いてくれれば、色々と仕事が楽になる。

 

「桜を助けてくれるのであれば、私の命など使っていただいて構いません。そもそも私はあなた方に囚われているのですから、強制的にして頂いても構いません」

 

 そんなことを若干の申し訳なさと共に考えていたら、ライダーさんがそう言ってきた。

 

 うん、やっぱり助けたいなぁ。

 ライダーが学校でしたことは決して許されてはいけないことだろう。

 でも、誰かをここまで思いやれる人を見捨てるなんてことは俺には出来ないや。

 

 それに、何かを詫びるってのはやっぱり生きてするものだと思うから。

 

「その意気や良しってか。でもそれじゃあ本当に桜ちゃんを助けたことにはならなさそうだ」

 

「どういうことですか?」

 

「ま、簡単に言えば契約した以上、桜ちゃんには幸せになってもらうさってことさ」

 

 誰かを助けても助けた側が助かってないなんてよくあるパターンはこの際無しで行こうや。

 

 そこでふと思いだす。

 それは凜との関係だ。

 桜を助けるならば、当然凜との仲も取り持つ必要があるだろう。

 傲慢な考えかもしれないが、すれ違いだって知っている以上どうにかしてあげたいと思ってしまうのだ。

 

「そういや、ライダーは桜ちゃんが本来遠坂家の人間だって知ってるかい?」

 

「っ!? いえ、何かあるとは思っていましたがそういうことだったのですね…」

 

 細かい描写は忘れたが、アニメでも凜が桜を気遣うシーンはいくつかあったはずだ。

 それをライダーは目撃したんだろうな。

 

「桜ちゃんは本来遠坂家の人間で、現当主遠坂凜の実の妹。けど魔術師の家系故に古くせぇ仕来りやら柵やらもあって間桐の人間になった。魔術師の家系は魔術刻印のこともあって引き継ぐ存在は一人しか無理だ。だけど桜ちゃんは才能があった。だからこそ前当主は他家に養子にやりその才能がつぶれるのを防いだ。問題は、その他家ってのが間桐なわけだが桜ちゃんを母体としてしか見ていなかったってこと」

 

 そこまで言うと、ライダーは鎮痛な面持ちになり、対してイリヤは怒りを露わにしていた。

 男としての人生しか知らない俺では分からないが、それでもそれがひどいことだってのは分かる。いや、ひどいなんて言葉で片付けていいものではないのだろう。

 イリヤは特にその産まれが少し特殊だから余計になのだろうな。アハトの爺に何か言われた時と同じ表情だから何かを思い出しているのかもしれない。

 

「まぁ、その辺りの間桐の爺がした細工は俺が切り取る」

 

「危険ではありませんか? 仮にも御三家のひとつ。桜に対する外部からの接触に対して防衛機能を混ぜ込んでいても不思議ではありません」

 

「いや、むしろそんな細々したものを慎重になんて俺には出来んさね。それならまるっと切り取る方がイメージしやすい」

 

「アッハイ」

 

 なんだかいきなり蔑ろな返事をされたような気がする。

 

「問題は人質として桜ちゃんが扱われた場合なんだよ。集中すれば兎も角、とっさに精密作業が出来るとは思えん。ぶっぱは得意なんだけどさ」

 

「ソウデスネ…」

 

「けどまぁ切り取った後は桜ちゃんの内側に居る寄生虫とその周りもちょちょいと綺麗にして、そこからは桜ちゃんの自由だ。ただし、俺が目指すのはハッピーエンド。ライダーも死なせはしない」

 

 やる。いや、できる。出来ると信じているなら出来るはずだ。

 

 Koujuになる前では決してなかった心の動き。

 普通に考えれば恥ずかしいセリフも、本当に思っていても別の感情が邪魔をして表に出てこなかった内心も、やたらと素直に表に出てくる。

 ちょっと表に出過ぎて隠したいものまで出るのが難点だが、昂ぶりやすいのは戦闘をする際にも助かる。

 有言実行。成せば大体何とかなるって最近言うらしいし。

 

 

「というわけで、一回逝ってみようか」

 

 

 

 

 所変わってアインツベルンの屋敷。その周囲に広がる森の中に来ました。

 マイルームの中でヤる訳にもいかないのでイリヤとライダーを連れてここへ来たわけだ。

 

「さぁじっけ…実践してみようか!」

 

「いま実験って言いそうになっていませんでしたか!?」

 

「ソンナワケナイジャナイカ」

 

「はいはい、漫才はもう良いから早くしましょうよ。いい加減眠たくなってきたわ」

 

 現時刻は既にてっぺん越えして2時に差し掛かろうってところか。

 欠伸を噛み殺しながら言うイリヤは本当に眠そうだ。

 この身体になってからは睡眠欲が減ったし、ライダーもサーヴァントだからすっかり気にするのを忘れてしまっていた。

 

「ふーむ、夜更かしは美容の天敵らしいからな。イリヤの為にもささっと終わらせるか」

 

「私としてもその方がありがたい。断頭台に上がったまま居続けるのは中々に受容しがたいので」

 

「おk」

 

 懐からカードを出し、読まないようにだけ伝えてから少し離れる。イリヤは既に巻き込まれない位置だ。

 ひょっとしたら外に出た時点でライダーは逃げるかもなんて思ったりもしたが、そんな様子もなくただ俺の行動を待っている。

 まぁ、わかめがどこに居るのかもわからないし偽臣の書も行方不明(実は回収済み)だからどうしようもないってのもあるかもしれないけど。

 

 とは言えどうやろうか。

 生き返ると分かっていても、誰かを殺すのは初めてになる訳だ。

 殺しそうになったことはあってもあれはテンションがかっ飛びんぐしている戦闘中のことだから躊躇わずにぶっ放すことができた訳で、素面でさぁヤるぞとは行かない。

 中身一般人ですからね、自分の血がプシャーと出るだけで卒倒物ですよ。

 

「…今度は何を悩んでるのよコウジュ」

 

 またしてもまごまごしている俺に声を掛けてくるイリヤ。

 その眼は眠気からか半目だ。ジト目ではないと思う。

 

「えっとどうやろうかと思って。ほら、血をぶしゃーってまき散らすなんてし辛いし。一瞬で終わらせてあげないとライダーが苦しんじゃうじゃん? だからこう一撃必殺的なものを模索中でしてですね」

 

「なんだそんなことか」

 

「そんなことかって、軽いっすねイリヤさん」

 

 割と真剣に悩んでるのに…。

 

「だったらあの桜色の魔砲…? だかを使えばいいじゃない」

 

「冬木市を吹っ飛ばす気か!?」

 

「吹っ飛ぶのですか!?」

 

 やっぱり眠たいのですねイリヤさん。その選択肢を挙げてくるとは思わなんだ。

 おかげでついツッコんでしまったぜぃ。

 というか突っ込んだ俺に突っ込むなんてライダーもこの短い間に馴染みましたね。

 一体誰の所為なんでしょうねぇ…。

 

 まぁでもイリヤの御陰でイメージは掴めた。

 

「うし、コクイントウホオズキ!」

 

 俺が取り出したのは大剣に分類される長刀。

 ちなみに概念は今回使わない。

 何せかなり物騒だからね。というか使ったらスケドの能力越えて殺してしまいそうだし。

 

「決まったのですか? 冬木市は大丈夫ですか?」

 

「いや大丈夫だから」

 

「でもあなたの事だから……いえ、なんでもありません」

 

 これは俗に言う風評被害ではなかろうか。

 せっかくライダーに気を使ったというのにひどい扱いだ。

 

 ゆ゛る゛さ゛ん゛!!

 

「そいじゃぁ行くぞー」

 

「待ってください。もうすこし―――」

 

 

 

 

 

「げつがてんしょおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 うん、魔力をぶっ放しただけです。

 ジュッて何かが蒸発するような音がしたかもしれませんが勿論キノセイデス。

 

 けどなんかライダーがロリっこになりました。




いかがだったでしょうか?

UBWでは可哀そうなことになってたライダーさん。ここでだけでも活躍してほしくて頑張りました!(`・ω・´)

ライダーの皮を被った何かに見えるかもしれませんが、一応あのライダーさんです!

でも、そのうちにSSFならぬSSKなんて言われるかもしれませんね。分からない場合はSSFを知らないままにしておきましょうね!!



P.S.
題名は日本語訳で『ものみな眠るさ夜中に』でした。
はい、某魔女さんです。
あの詠唱は何故か引き込まれるものがあったので使わせていただきました。

シーキューブとルサルカのコラボSSとか無いかなぁ…。

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