テンプレ…まじで?(リメイクしてみた) ※現在このすば!編 作:onekou
一日遅刻も申し訳ないです。
そしてライダー戦、始まります。
「はっはぁあああ!!! たーまやああああああああ!!!!!!!」
「フハハハッ!!! 何でもアリかバーサーカーめ!!」
冬木市の遥か上空、いつしか冬木へ雨を降らせるために厚い雲を形成したそのさらに上空でのことだ。
そこには今、いくつもの爆発が起き、同時に眩い光を辺りへと無差別に撒き散らしていた。
それを追いかけるのは、龍翼を背に生やし、両の手にはそれぞれ巨大な武器を抱える
その様相は、完全に追う者と追われる者となっていた。
どちらがどちらかは明白であろう。
しかし、ライダーとてただ逃げている訳ではない。
コウジュの攻撃を全て避けきっていた。
コウジュの両の手にはそれぞれ、巨大な武器があった。
右手にはパンツァー・ファウスト、左手にはSSPNランチャー、どちらもグレネード系Sランク武器だ。
そう、グレネード。
パンツァー・ファウストに関しては、現実にも兵器として存在する対戦車用兵器だ。
前の世界においては“鉄の逸物”等と揶揄されていた。
見た目もそれに似たモノであり、コウジュが放てば実体弾が筒の先から飛びだし、末端にある小さな安定翼を以てして相手へと飛んでいく。
しかし其れだけであろうはずもない。
見た目は似ていても、化け物へと昇華されている。
まず、弾数だ。
本来であれば、パンツァーファウストは使い捨ての兵器・・・・・・近代では弾頭を差し込み直すことで再使用するのだが、コウジュが持つ“パンツァー・ファウスト”にはそんなもの必要ない。
コウジュが
連射を可能とするオートマチックグレネードランチャーというのも存在するには存在する。
しかしそれは、設置式でありとても一人で持てる物では無い。
だがコウジュが持つ物は、単発式の携帯式に見えながら、連射が可能なのだ。
そしてさらに言えば、単発式であろうとも本来両手でしっかりと固定しなければその発射時に照準が容易にずれる程の反動があるものだが、それをコウジュは片手でも抑えきることのできる馬鹿力がある。
つまり、片手さえあれば
とはいえそこはグレネード。
さすがに次弾装填には多少のタイムラグは存在する。
ただ、見た目は実体弾でも、実際にはエネルギー弾だ。
そしてPSPoシリーズには、チャージショットというものまで存在する。
当然代償として、爆発威力に比例して魔力消費も増大するが、そんなものコウジュには有って無いようなものだ。
だから即時次弾発射が出来なくとも、それを補うだけの爆破範囲を誇るのだ。
本人としては同じ“戦車”だし丁度良いだろうという程度の認識で選んだ武器だが、ライダーにしたら堪った物では無い。
そしてもう一つ、SSPNランチャー。
これは更にひどいものだ。
特に、その弾頭。これがひどい
“ミサイル”だ。
聞いたものは耳を疑うだろう。
しかしグレネード系でありながらこの武器は小型のミサイルを発射するのだ。
そしてその
つまり、チャージするまでも無くSSPNランチャーは驚異的な威力を誇る。
一発でも当たれば、戦車など一溜りも無いのだ。
それらを、両翼で空を切り裂きながらコウジュは次々とブチかます。
「ふぉいやー!!!!」
「その程度では、落ちんわ!!!」
ライダーの叫びに呼応するように、二匹の神牛が吠える。
それはまさしく咆哮だ。
そしてそれに合わせ、戦車が雷を纏う。
遥かなる
ただ、これは真名解放に至る前の余波でしかない。
しかしその雷は原作Fate/Zeroにおいて一撃でバーサーカーランスロットを霊体化まで追い込むだけの威力がある。
それが空を走り、コウジュの放つ魔弾を撃ち落としていく。
「甘ぇっ!!!」
「ぐぬぅっ!!?」
ライダーの戦車が放つ雷は確かにコウジュの弾雨を迎撃する。
しかし、コウジュが放つのは弾丸ではない。
“砲弾”なのだ。
ライダーもそれなりに距離を取った状態で落としていくも、コウジュが放つソレの威力は絶大。
一撃一撃が戦車を揺らしていく。
とはいえいま一歩、コウジュの攻撃はライダーへと届かない。
それに焦れたコウジュは右手のそれへと無茶苦茶に魔力を注ぎ込む。
怪しげに光を増していくその筒を見て、ライダーは冷や汗を一筋かく。
あれはマズイ。
そう直感的に感じたライダーは2匹の神牛へと目配せする。
頷くように一鳴きする戦友達を見たライダーはすかさず手綱を握った。
その瞬間、光が爆発する。
「パンツァー・ファウスト、チャージショットⅡ!!!」
爆撃、そう言い現して良い程の魔弾がライダーへと迫る。
コウジュがしたことは単純だ。
弾に対して魔力をオーバーチャージする。
ただ、それだけ。
しかし、よくある話だろう。
“単純故に強い”、それは一つの真理だ。
そしてそれが、ライダーへと迫る。
「ぬぅぅううううんっ!!!!」
それにもライダーは雷を放ち、何とか誘爆させる。
当然、ライダーとてそれだけで済むわけも無いとはわかっている。
その一発に込められた神秘を圧として感じるほどだ。
幾ら近未来的な兵器であったとしても、神秘そのものが神秘を内包させて撃った弾丸など喰らいたいわけがない。
故に爆発させると同時に戦車を少しでもその驚異から逃れさせるために急降下させた。
爆音の後の爆風。
直撃は避けることができた。
だがそれでも、その爆発範囲から逃げ切ることは叶わなかった。
「っぐぅ!? 中々に厄介よのう・・・・・・。幸いなのは追尾式ではない所か」
肌が焼けるような感覚と共に爆炎の中から抜け出るライダー。
致命的なダメージを避けることに成功していた。
だがその様相は、無事というには些か心許ないものとなっている。
衣服は煤け、髪の端や自慢の髭は焼け焦げている。自慢の戦車も、後部は既に弾け飛んでいた。
「・・・・・・派手にやりおるわい」
自慢の戦車の惨状に思わず目を伏せるライダー。
しかしそれも一瞬だ。
コウジュは健在、戦闘は続行中だ。
未だ残る爆炎の影に隠れてはいるが、それも直ぐに晴れるだろう。
その前に距離を取ろうとして――――、
――――ライダーが思わず振り返る。後方で感じた魔力の高まりに。
そして、煙が晴れた。
目の前には既にミサイルが迫っており、更にその向こうには、また違う大砲のような何かを構えた、コウジュが居た。
その砲は、今か今かと放たれる瞬間を待つように、先端を輝きで溢れさせている。
「エクスゥゥゥゥ―――
―――――プロォォォォジョン!!!!!!」
光の柱が空を裂いた。
◆◆◆
「・・・・・・なんちゃって」
等と口にしながら、先程よりも大きな爆炎に見舞われている空を見下ろす。
流石に今のは避けられないだろう。
俺は、右手に換装した武器の方へチラりと目をやる。
見た目は白を基調に紅いラインの入った、肩越し構える大型ビームライフルと言ったところか。
正直に言えば、武器としては最強クラスとは言えない。
これよりも強い武器はあるし、何か特殊な概念がある訳でもない。
ただ、好きだった。
何が好きかというと、エクスプロージョンという名前なのに出す砲弾は電を纏ったレールガンだし、しかしやはりこれはレーザーなのだ。
当時は結局どれやねん的な感じに思わず使っていたものだ。
ただ、これによるチャージショット、それを行った場合には正しくレーザーが射出される。
それも工業用等の切断を目的としたような物ではなく、まさしく砲撃。
ソレを撃つことが可能となる。
そして今したのは、魔力を込めた弾頭を飛ばし、それを追っての砲撃で撃ち抜いたのだ。
グレネードよりも弾速が速いことを利用した攻撃だった。
とはいえグレネードも遅いわけではない。
ただ、2段目が先に言ったようにレーザーなのだ。
それを避けるのは基本的に無理だろう。
……基本的には。
その光速を避けそうなのが英雄だ。
撃ってしまえば避けられないとしても、銃口の向きやら直感やらでどうにかしてしまいそうな奴らなのだ。
あ、ちなみに俺はできませんよ?
俺の場合、基本戦術は肉を切らせて骨も断たせて、それでも最後は叩ききるのがやり方だし。
まぁそれはさておき、だ。
こうして珍しくも戦術を使ってーー自分で言ってて悲しくなるがーー、それでもまだ油断はできない。
"残心"というのだったか……。
今回に至っては、俺の負傷は目的ではない。
勝つこと、それが目的だ。
勿論ライダー……イスカンダルが与しやすいと思って相対しているわけではない。
王であり前線を生きた戦士である彼をどう侮れようか。
それでも、それでもだ。
悪いが彼は俺にとって前哨戦だ。
そしてここで勝てなければ、"奴”には勝てないだろう。
だから、勝つ。
そう意識したところで漸く煙が晴れ始めた。
ビーストである故か、先程の爆音は少々耳に堪えた。
臭いに関しては、実弾を形成するタイプの武器とはいえ元が魔力だからかそちらはあまり気にならない。
風向きの加減もあるか。
まあ何が言いたいかというと、どうなったかを目視で確認しなければならないわけだ。
だから目を凝らして俺は周囲を見た。
「へぇ……」
気づけば、俺はそう呟いていた。
そして自覚するまでもなく、口は弧を描いていた。
"ライダーが生きている"というその事実に……。
ライダーが神牛に跨がり地を目指していた。
おそらく、先の一撃で戦車だけでなく神牛の片方も墜ちたのだろう。
いや、ひょっとすると神牛の片方を盾に・・・・・・神牛が彼を守るために盾となったのだろうか。
想像でしかない、だが恐らくそうなのだろうという確信が何故かあった。
ライダーを乗せる神牛も、その身から血をだらだらと流している。
当然ライダーも無事ではない。
マントは既になく、背や腕には火傷の跡がある。血も多く流している。
それでも、彼らは逃げるわけではないようだ。
神牛はライダーが戦い抜けるように地上へと運ぼうとしている。
ライダーは、地上で俺との決着を付けようとしている。
少しばかり見えた瞳が、未だ勝利を諦めていないことが分かった。
それを見て、ブルリと身体が震えるのが分かった。
ああ、どこまでも俺はバーサーカーらしい。
「決着を、付けようか」
俺は両手の武器を消し、翼をはためかせてライダーの後を追った。
◆◆◆
「・・・・・・感謝する」
そうライダーが撫でながら言うとほぼ同時、最後の神牛はその役目を終えて光と共に散る。
ライダーはその姿を見て、多くの感情を抱いていた。
怒りが無い・・・・・・訳ではない。
戦友を屠られ憤らない訳がない。
悔しくない訳がない。
空中戦に於いて、容易く落とされた自慢の戦車に哀しみが産まれない訳がない。
しかしそれと同時に沸き上がるのは歓喜だ。
未知への歓喜、それが大多数を占めていた。
そしてそれが、征服王イスカンダルたる彼の原動力。
歩み続け、挑み続け、制覇し続けた彼の矜持。
彼が彼たる由縁だ。
そんな彼が、こんな所で止まる訳にはいかない。
「坊主、居るのであろう?」
ライダーの呼びかけに、彼の背後の草むらがガサリと揺れた。
そしてそこから人影が出てくる。
「・・・・・・ああ、ここに居る」
出てきたのはウェイバーヴェルベット、ライダーのマスターたる少年だ。
彼はずっと見ていた。
地上からずっと二人の戦いを。
見た、と言っても肉眼で見える距離では無かったし、雲の上でのことだから彼方此方で光っている事しか分からなかった。
それでも、見ていた。
だから、先程の雲を吹き飛ばすほどの爆炎の中から出て来たライダーを見ることが出来た。
そして比較的近場に墜ちるようにして着地したライダーの元へと、ウェイバーは恐る恐るではあるが来たのであった。
そんなウェイバーを見て、ライダーはニカリと笑った。
「なんつう顔をしとるのだお前さんは」
「だ、だって! お前それ!!」
ライダーの言葉に、ウェイバーは指摘をする。
ウェイバーから見てライダーは既にかなりの負傷を負っている。
すぐさま死ぬほどでは確かにない。
しかし、各所の火傷や出血を見れば、治療は確実に必要であった。
だがそれを、ライダーは笑って吹き飛ばす。
「ガッハハハハ!! 余を心配するなど10年は早いわい!! もう少し身体を鍛えなおして来るがいい!!!」
「うわっとぁ!? な、何するんだよ・・・・・・う? どうしたんだよライダー」
背中をバシンと叩かれ2歩3歩とたたらを踏むウェイバー。
文句を言う為に振り替えるが、そこに居るライダーは寸前までとは対極の真剣な顔をしてウェイバーを見ていた。
「なぁウェイバー・ベルベットよ。お主には余の征服はどう映る?」
「何だよ、いきなり」
「答えよ、我がマスター。お主には我が覇道はどう見えるのだ?」
急な変容にウェイバーは口ごもるが、ライダーは真っすぐにウェイバーを見続けていた。
それにつれら、ウェイバーもまたライダーを真っすぐ見る。
そしてゆっくりと、ウェイバーは口を開いた。
「よく分からないけど、端的に言うなら・・・・・・憧れだ。何かに向かって我武者羅に突き進むライダーの姿は素直に羨ましいと思えるよ」
それを言いきったところで、妙に恥ずかしくなったウェイバーは頬を赤くしながら目線を反らした。
そんなウェイバーへと、ライダーは言葉を返す。
「そうか」
短い、一言だ。
しかし、その一言にはライダーの様々な感情が含まれているようにウェイバーには感じられた。
特に感じられたのは、『満足』というもの。
それは、ウェイバーからしてみれば、ライダーらしくない感情のように思えた。
「ライダー・・・・・・?」
しかし問い返した相手であるライダーは、既にこちらを見てはいなかった。
「すまんかったな、待ってもらって」
ライダーはそう言いながら、空を見上げていた。
雲が晴れ、月が見える夜空。
そこへウェイバーも目をやる。
そして、目が合った。
「いいや、邪魔しちゃいけない場面だと思ってね」
「バーサーカー・・・・・・」
「やぁ、ウェイバー君。それにしても、もうコウジュとは呼んでくれないか。まぁ仕方がないさね」
気さくに話しかけるコウジュの姿に、ウェイバーもたじろぐ。
その軽快さの裏には、先程までライダーを追い込んでいた脅威があるのだ。
そう易々と気を許せるわけがない。
確かに、この戦いが始まるまでは気安く話もした。
だけど、空中に滞空するコウジュの姿を見て、やはり英霊という存在なのだと改めて認識する。
服装は変わらないが、その背に生えた龍翼。
好戦的な、縦に裂けた瞳孔を伴った紅い瞳。
それらは、楽しそうにゲームをしていた彼女とは全く別物であった。
“バーサーカー”、つまり狂戦士。
なるほど、戦いに酔っているように見えるその姿はまさしくバーサーカーである。
それを実感し、ゾクリとウェイバーは背に冷たいものを感じた。
ひょっとして自身のサーヴァントでは傷一つ付けられずに終わるのではないか、そんな恐怖すら生まれた。
しかしそんなウェイバーの前に、ライダーは立った。
そして、ウェイバーの方を見ずに、静かに言葉を発した。
「ウェイバー・ベルベットよ、そういえばもう一つ聞いておくことがあったのだ」
いきなりの言葉に、ウェイバーはすぐに問い返すことが出来なかった。
そんなウェイバーへと、彼の人生を揺るがす一言が告げられる。
「臣として余に仕える気はあるか? ウェイバー・ベルベットよ」
「そ、れは・・・・・・」
「お主は言ったな、余の覇道が憧れであると。ならば、我が背に続く覚悟はあるか?」
その言葉をすぐには、ウェイバーは理解できなかった。
しかし、少しの逡巡の後、彼は大きく頷いた。
「ああ、ああ勿論です王よ!! あなたこそが我が王だ!!!!」
胸に迫る感情を隠さず、涙として流れださせるウェイバー。
それを見ず、ライダーはただ背中で語る。
ならば見よ、と。
我が覇道の果てを見よと。
そしてその瞬間ウェイバーは理解した。
ライダーは死ぬ気なのだ。
本来の予定ではライダーの最終宝具はアーチャーかセイバーへと当てるつもりだった。
ライダーの宝具はどれもが一級であるが故にその消費魔力は莫大だ。
それを未熟な魔術師でしかないウェイバーが補えきれるわけもなく、その殆どをライダーが肩代わりしていることは最近になって分かったことだ。
だがそれも、ライダーの現界を脅かすほどでもなかったのが幸いしていた。
想像していたよりも聖杯戦争という名の儀式の最中に在りながら、ライダーは戦闘という戦闘を未だ行っていなかった。
唯一宝具を開帳したのがアインツベルン城でアサシンを屠った時ではあるが、あれはただの少しの間の蹂躙劇でしかなく、その消費はまだマシな方であった。
だからこそ、残る4騎を攻略するために、色々とウェイバーも策を考えていた。
策と言っても拙いものだ。
戦争のやり方も知らず、戦いというものに触れたことも無いウェイバーに、良い案は思い浮かばなかった。
悔しかった。
“マスター”という立場でありながら、憧れを感じた王を勝たせるための策を献上することが出来なかったからだ。
しかしそれも豪気にライダーは笑い飛ばした。
使い時に使えば良い。足りなければ足りないで、どうとでもなる・・・・・・と。
そしてこうも言ったのだ。
余はただ突き進むのみ、と。
その時にウェイバーは思ったのだ。
この王の征服をまだまだ見ていたいと、その先を共に見たいと。
だが、それは叶わぬ夢なのだと、今まさに目の前の王が告げる。
「なぁ、我がマスターよ。お主は届かぬ夢に意味は無いと思うか?」
否だ。
「余の覇道に意味は無いと思うか?」
絶対に否だ。
いつまでも流れ出る涙を何度も拭いながら、ウェイバーは心で叫び続ける。
それがどうやって届いたのか、令呪を辿ったパスか、思念か、それとも絆か、受け取ったライダーは、言いながら腰の剣を抜き放った。
「ああそうだ。届かぬからこそ我らは挑む。覇道は余の為であり、そしてこの背中を見守る臣下へと指し示す道しるべだ。それを無意味だとは誰にも言わせぬ」
「僕だって・・・・・・・、僕だって誰にも言わせない!!!!」
ライダーの言葉に、ウェイバーは叫ぶ。
そして歯を食いしばり涙をこらえ、それでも流れ出る涙越しに、霞む瞳でコウジュを睨みつけた。
そのままウェイバーはしっかりとした足取りで歩き、ライダーの横へ並び立った。
それを見て、ライダーは笑う。
その小さな体躯で必死に並び立とうと、自身を目指そうとする者へ、心内で賞賛を送る。
ならば今度は自身が示さねばならないと、ライダーは行動に移した。
「さぁ、幕と行こうかバーサーカーよ。前にも見せたな我が宝具は!! 我が臣下たちはその全てが英霊だ。貴様とて容易く喰いきれるものではないぞ!!!!」
ライダーの叫びと共に、周囲の景色が変わる。
悠久の空に、何処までも続く砂漠の大地。
かつて征服王が、数多くの臣下・朋友たちと共に見たその景色。
それが今、時代を越えて再びこの地に再現された。
そして次第に現れる人影、それこそがコレの真骨頂。
『
気づけば現れた人影は数千どころではない数へとなっている。
それら全てが、英霊であり、コウジュの敵となる。
「見届けよウェイバー・ベルベット。そして語れ、我が覇道を!!!!」
その言葉と共に、ライダーは近づいてきていた愛馬へと跨り、そしてすぐさまコウジュの方へと駆けだした。
そして同時に、周囲の兵たちもまた、征服王に遅れまいと駆け始める。
ウェイバーは静かに、右手を掲げた。
置き去りにされたのではない、勅命を与えられたのだ。
ならば、彼をそれを遂行しなければならない。
故にここから動く訳にはいかない。
語り部が巻き込まれる訳にはいかないからだ。
だが、それでも彼にやれることはまだあった。
「令呪を持って命じる、何処までも突き進め」
今まで結局一度も使ってこなかった令呪。
「重ねて命じる、勝って聖杯をその手に抱け」
これで2画、しかし止まらない。
「さらに重ねて令呪を持って命じる、我が王よ、その覇道をどうか僕に魅せて欲しい!!!!」
そう、砂塵に包まれる最中で、ウェイバーは叫んだ。
◆◆◆
全てが、聞こえていた。
彼らの想いも、紡いだ絆も、その全てを目の前で見てしまった。
罪悪感、それが俺を襲う。
どうあがいても俺がやろうとしているのは俺の我が儘なのだ。
イリヤの為にもという気持ちもある。
しかし、それ以上に俺がイリヤを幸せにしたいという気持ちがある。
だから、譲れない。
ここで譲ってしまえばそれこそ全てが無に帰す。
それは比喩ではなく、
だけど同時に、そんな彼らを見て胸に湧き上がる歓喜もあった。
ああ、これこそが英雄だ。
テレビ越しに見た様な姿ではなく、目の前で見ることのできたその英雄。
やはり俺も男だ。
憧れない訳がない。
その英雄に挑めるというのも、嬉しくない気持ちが無いと言えば、どうやっても嘘になってしまう。
だからだろうか、思わず静かに聞きいってしまった。
漫画とかでよくあるような舐めプではない。
ただそのやり取りに聞き惚れた。
そして俺も聞き届けたかったのだ。
今から闘うその相手の言葉を。
ああでも、いやだからこそか、悪いけど俺が勝たせてもらう。
俺の本気で。
今出せる全てで以てして!!
未だ宙に居る俺は、一度龍翼を消し、そのまま地へと降り立つ。
そして、迫り来るライダーを見ながら、俺は自身の“最強”を形にする。
『■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■―――――――――!!!!!』
俺にとっての最強のイメージとは何か?
それは何かを取り入れる度に変わってきた。
色んな姿になった、色んな技を手に入れた。
そして、神にも至れた。
ただ、最強の姿が獣神状態というわけではない。
あれは俺にとって“絶対”の姿だ。
だから、最強とはまた違う場所にある。
なら、最強は?
そう聞かれればあの姿しかないだろう。
『俺がバーサーカーたる所以、好きなだけ味わっていけぇ!!!!!!!!!』
いかがだったでしょうか?
重ねて申し訳ないですが、ライダー戦の戦闘はここまでとなります。
一番大事な所を端折っていますが、許してください何でもしますから(何でもするとはry
さておき、結果に関してはまぁ大体お察しだとは思いますが、次回はライダー戦のその後と、最終戦へと進めていくつもりです。
あともう少しで、Zero編も終わるかな・・・・・・。
さて、それでは皆様、また次週もよろしくお願いします!!
ではでは!!
P.S.
次週に関してですが、またリアル事情で申し訳ないですが遅れるかもです。
3月の初めまで滅茶苦茶忙しくて…。
またお待たせしたら申し訳ないです<(_ _)>
P.S.2
FGO新章ももうすぐですね!!
一体どうなるやら・・・。
そして新鯖ガチャでどうなるやら・・・・・・orz