テンプレ…まじで?(リメイクしてみた) ※現在このすば!編 作:onekou
ちょっと短いけどキリが良かったのでここまでにしました。
「そろそろ来るとは思っとったが、存外早かったのう」
「あはは、早めに終わらせておこうかと思ってね」
「ほぅ、終わらせる。この征服王をか?」
「ああそうだ。そうだよ。俺の目的の為にも、ね」
笑みを浮かべながらも、
周囲に居る者からすれば気が気ではない状況だ。
片や本物の英雄、そしてもう片方は成り上がりと言えども神たる者。
その覇気に当てられた者は須らく、今までに感じたことの無いそれに畏怖を持つ―――
――――筈であった。
そう、残念ながら(?)そうはならなかった。
問題があるとすれば、この場所であろう。
騒音とも言える喧噪、結果に一喜一憂し、人によれば無我の境地とも言える超集中の最果てに至った者も居るこの場所。
その名を、『ゲームセンター』と言う。
そんな場所に居るからであろうか、巨漢と幼女が人並み外れた圧を放とうとも、ちょっと気合入った外人さん達がなんか勝負始めそうだぞ的な感じで流されていた。
むしろ、注目され始め観客は増えていく一方である。
そんな中、ライダーの隣に座っていたウェイバーは、ライダーの巨体に隠れるようにしながらも鋭い視線をコウジュへと向けていた。
「ど、どうするんだよライダーっ! お前がこんな所に行きたいとか言い出すから!!」
「何を言うか。祭の如く華やかで人の集まる場を見ては興じる他無かろう。人の営みを見るのもまた王の務めだからなぁ」
「唯の興味本位だったろうが!!」
「ガハハっ、よく分かって来たじゃないか坊主。真その通りよ。しかし、良い出会いに恵まれたであろう?」
「良くないっ!!」
漫才にも思えるそんな掛け合いを、苦笑い交じりにコウジュは見る。
闘おうとしていたのにやる気が削がれる等と思うも、今まで自身がやってきたことを鑑みれば言えないよねなどと自嘲する。
それよりも思うのは、二人の主従としての関係性だ。
コウジュ自身も、主との間柄には自信がある。
むしろ一線越えようとして来るまでありそうなイリヤに、色んな意味で真っ新なコウジュは戦々恐々としている程だ。
しかしそれとは別に、目の前で繰り広げられる遣り取りにも憧れを持たずにはいられなかった。
「ほんっと仲が良いよね、御宅ら」
そんな言葉が思わず出るも、目の前の二人は気づかずやり取りを続ける。
それから暫くして、ウェイバーが言い合いに息切れしたころにやっとライダーがコウジュの存在を思い出した。
「おお、すまんすまん。律儀に待ってくれておったのだな」
「・・・・・・これで帰ったら何のために来たか分からないじゃんよ」
「それもそうか!」
少し皮肉交じりにコウジュが言うも、ガハハと気にした様子も無く笑うライダー。
そんな姿を見てしまえば、コウジュも諦めるしかなかった。
しかし、ここでこのままこの空気に飲まれ続けている訳にもいかない。
そう思い直し、コウジュは口を開いた。
「こうして話しているのも良いんだけど、とりあえず一勝負と行こうか」
コウジュの言葉を聞き、ライダーはニヤリと笑みを浮かべた。
そして、静かながらも腹に響く言葉で彼は返す。
「良かろう」
その一言、それだけで場の空気は引き締められた。
周囲の観客も、思わず息を飲んで成り行きを見守る。
一体今から何が行われるのか、まるで命の奪い合いが始まるのではないかという緊張感の最中に、瞬きすら忘れて手を握り込む。
「場所を変えるとするか」
「おーらい、そっちに任せるよ」
言うとともに立ち上がり、歩を進めるライダー。
そして、その後ろへとコウジュも着いていく。
それに合わせ、ライダーの進む先に居るオーディエンスもモーゼが海を割るがごとく横へと裂ける。
その間を悠々と歩いていく二人。
人々は引き寄せられるようにその姿を追いかける。
それはまさに、英雄の後姿。
何も無い筈のそこに、積み重ねてきた何かを感じることが出来た。
そんな二人を、当事者である筈のウェイバーもまた眺める。
その瞳にあるのは憧憬だ。
ウェイバーは魔術師としては新興の家系である為に軽んじられてきた。
魔術師の世界では、蓄積された年月と共に積み重なった魔術回路の質が絶対とされている。
当然ウェイバーにとってはそんなものは認められなかった。
頑張った者が頑張っただけの成果を得られないのは嘘だと、許せなかった。
この聖杯戦争に参加した理由もまた、大勢の前で自身を馬鹿にしたケイネスを始めとした奴らを見返す為であった。
だからケイネス宛に届いたライダー召喚の触媒を盗み出してまで日本に来たのだ。
当のケイネスは既に自分より先に敗退したとの報告を聖堂教会から得ているが、それだけでは意味が無い。
勝者として凱旋しなければならないと彼は思っていた。
だが、目の前の二人を見てウェイバーはそれでは違うような気がした。
ただ勝つことに意味は無い、そんな気がしたのだ。
こんな場所で、こんな場面で、だけど二人は“英雄”であった。
その背中は、誰が見ようとも、英雄だったのだ。
故にウェイバーはその背中に憧れた。
英雄たらんとするのではなく、ただ“英雄”なのだ。
その生き様に、ウェイバーは英雄を見た。
今まさに置いて行かれているウェイバー。
その状況が、ウェイバーにとっては“英雄”との距離の様にも感じられて仕方が無かった。
だが、いや、だからこそ彼はその背中を見た。そして考えた。
歩けば近づく。進めば届く。
今目の前に確かに英雄は居るのだから、後は手を伸ばし、ゆっくりだろうともただ前へと進めばいい。
そう決心し、ウェイバーは見るだけであった自分を辞め、一歩を踏み出した――――。
―――ところで気付いた。
「っておい! そっちはエアホッケーコーナーだろう!? 何しに行くんだよ!!!」
◆◆◆
「あー楽しかった」
「うむ、中々に愉快であった」
そんな風に、俺はライダーと軽く言葉を交わす。
昼頃にライダーと出会ったというのに、気付けばもう日も暮れ始めている。
それだけの間ライダー達とゲームセンターで遊んでいたのだ。
やったゲームに関して言えば、ほぼ全てと言って良いだろう。
しかしライダーとの勝負はほぼ同点だ。
現代知識のある俺が有利かと思ったのだがそんなことも無く、少しの練習の後で本番をやったのだがこの結果となった。
特に理不尽なのが、リッ〇レーサーとかのレースゲーム系だ。
それらの勝利は全部ライダーに持って行かれてしまった。
騎乗スキル万能すぎるだろう。
あの身体で無理矢理シートに座っているくせに、何だよあのテクニックは・・・・・・。
対して、俺が勝てたのは格闘ゲームとか縦スクロールシューティングとかの筐体ゲームだ。
そこは何とか持ち前の反射神経で勝ちをもぎ取った。
一度割り込みで入って来た一般人(?)に負けたのだが、あの人は何者だったのだろうか・・・・・・。
あ、ちなみにウェイバー君も一緒にやったのだが、銃を持ってやるタイプのガンシューティングゲームは彼の独壇場だった。
最初の練習時には戸惑いながらやっていたのだが、途中からは敵が出てくるより早く構えてたりととてつもない活躍を魅せてくれた。
そんでどうやっているのかを聞いてみたのだが、人の嫌がりそうな場所に出てくるのが分かったからそこを狙ってたら来るとか言ってのけた。
うん、将来の片鱗が見えますね。「罠だ!」とか言いそう。
あ、とある世界線では言うのだっけか。
それはさておき、今俺達は町外れの山間部へとやってきていた。
その理由は当然、決着をつけるためだ。
「決着を付ける方法は当然ガチバトルってことで良いよね?」
「応とも!」
山間部の少し開けた場所、木々がある程度切り倒され切り株は有るもののそれなりに見通しが良い場所だ。
そこで俺とライダーは向き合っていた。
ライダーたる所以の
そして俺は、その対面にて立っている。
ライダーは元々が2mを越える巨漢だし今は戦車に乗っているため、その迫力は一入だ。
対する俺は幼女な少女ボディーな為、その差は余計に大きい。
だが、それがどうした。
そんな物は英霊同士の戦いには然程の意味は無い。
そう改めて意識し、念の為に俺はライダーに聞いてみる。
「一応聞いておくけど、受肉できるようにすれば降りてくれたりする?」
「何を言うかと思えば。否だ。断じて否。それは勝ち取ってこそ意味があるものよ。与えられては征服王たる余の沽券に関わる。自らの手で略奪してこそ先導者たり得るのだ」
その言葉に、デスヨネー等と口にしつつもつい笑みを浮かべてしまう。
彼は自身を暴君と言う。
だがその有り様は、産まれてから一度は男が目指すであろう欲望の探究者である。
そして俺もまた、外はともかく中身は男のつもりだ。
だから、彼の在り方は純粋にカッコいいと思える。
伝説上の彼は夢を叶えるに至らなかったけど、それでも死ぬまで夢を追い続けた。
苦難も苦行も、夢の為に乗り越え続けた。
そんな彼を原作で知り、思わず惹かれたのが懐かしい。
「ま、分かっちゃいたけどさ」
「であろうな。断られておきながら然程残念そうには見えん」
「顔に出てた?」
「うむ。見目と違い闘争者の顔をしておる。成程確かにお前さんは英雄だ」
「っ!! ・・・・・・そっか」
何とも嬉しい事を言ってくれるものだ。
心の底から湧き上がる歓喜を押さえきれずに声が漏れそうになってしまう。
ああ、血が滾るとでも言えば良いのだろうか。全身が熱を持ち始めるのが分かる。
憧れる英雄に言われたのだ、仕方ない。
俺は改めて笑みを浮かべる。
よく、笑みとは本来敵を威嚇するものだと言うけれど、まさしく今の俺はそれであろう。
第5次には無かった、戦意とでもいうべきものが今の俺にはある。
前の時はただ我武者羅に結果だけを追い求めたが、今の俺は戦って勝つつもりなのだ。
獣の本能に任せたソレではなく、俺自身の意志を以て叩き伏せるつもりだ。
第5次聖杯戦争では、奇策に次ぐ奇策にて闘った。
ライダーは死角からの一撃、キャスターとアサシンは交渉、エミヤアーチャーは死んだフリからの一撃、ランサーは奇をてらった武術、そしてギルアーチャーに至っては他人任せだ。
だからこそ、今度こそ真正面から勝つ。
これは正直に言えば“願い”に直接関わるものではない。
ぶっちゃけて言えば、今回も勝てさえすれば“願い”は成就する。
だが、“勝ちたい”のだ。
所謂ケジメというものだろう。
その為にも、勝つ。
そう改めて決意を胸に気を昂ぶらせると、ライダーは眉をピクリと動かした後難しい顔をしだした。
そして、ウェイバーの方を見て彼へと口を開いた。
「坊主、降りて離れておけ」
「は? 何を言って・・・・・・」
「あ奴からお前さんを守って戦うのは分が悪い」
俺が自らの身体に迸る熱を意識しながら居ると、ライダーはそう言ってウェイバー君の首根っこを掴み持ち上げた。
持ち上げられたウェイバー君は突然の事に驚きながらも抵抗せず、釣られるがままになっている。
「だ、だけど今まではこの上の方が安全だって言ってたじゃないか」
「そりゃあそうなんだがな。余の勘が言っているアレはまさしく
「え、コウジュが?」
ゲーム合戦をする中で仲良くなり、俺の名前を呼んでもらう様にしていた。
その時にバーサーカーらしくないと彼は言っていたのだ。
しかし、俺の何を見てそう思ったのか、ライダーは俺は正しくバーサーカーだという。
「まあ見ておけ。あ奴の戦い方はお前さんにも異様に映るだろうよ」
そう言いながら、ライダーはウェイバー君を横の地面へと降ろした。
ウェイバー君はといえば、言われたことに一瞬キョトンとするも、ライダーが早よいけと手を動かすと素直に離れた木の影へと隠れた。
「バーサーカーらしくないって言われる事の方が多いんだけどなぁ俺」
「馬鹿を言え、お前さんの表情はバーサーカーらしいわい」
「そう、なのかな?」
顔をピタピタと触るも全く分からぬ・・・・・・。
自分でもビックリする位にツルツルスベスベなお肌しかそこには無い。
顔も、既に慣れてしまったいつものモノだ。
そんな俺を見て、ライダーは溜息を吐く。
「余が言えることでもないが、お前さんの近くに居ったものはさぞ気苦労が耐えんかったであろうよ」
「そ、そんなことないよー」
確かにおまいう案件だろうけど、俺自身否定しきれないために思わず目線を反らす。
しかしライダーは続ける。
そして、その続けられた言葉に俺はドキリとする。
「だがなぁ―――
―――お前さん、自身の負傷を怖がっておらんだろう?」
その言葉を聞き、俺は驚いてしまう。
いや確かに、痛いのは嫌だけどそれほど怖くは無い。
むしろ、自分で自分の腕を斬り落としたりもしてきた位だ。
自己犠牲とかそう言うのではなく、ただ単に傷ついてもすぐに治せるというのもあるが不思議と視野に入れていなかった。
ついでに言えば、傷つくことで俺は経験値を得ることも在る為、自ら身を差し出していた時もある。
勿論Mではない。ドMでもない。
ただ、何となくだった。
しかし言われてみれば不思議なものだ。
幾ら治るとはいえ、自分のことながらやけに吹っ切れているものだ。
どうしてだろうか?
『獣の本能』が関係している?
だが、“獣”と言うならば生存本能が優先の筈だ。
ならば何故?
そんな風に自問自答していると、ライダーは再び口を開いた。
「余の知る者にも似た奴が居た。そ奴がサーヴァントとなったならばまさしくバーサーカーであろう。ただ、お前さんはそれ以上だ。意志の元に踏み越えるのではなく、そもそも躊躇しておらんだろうお前さん」
「そういえば、そうかも」
誰かを思い出しながら言うライダーの言葉に、不思議と納得が出来た。
まぁでも改めて考えればそのお蔭で生き残ってきた気もする。
そう思うと、存外気になりもしない。
いや、だからこそテンションのままに闘ってこられたのだろうか?
とりあえず言えるのは、戦い終わってからまた考えればいいってことだな。
「厄介、実に厄介だ。お前さんを倒すのは少々骨が折れそうだ」
「残念だけどそれは叶わない。今回ばかりは
「ならば、やはり闘うしかあるまいな。ハッ!!」
言うや否や、ライダーは
そして幾らかの高度を取った後、悠々と空中からこちらを見下ろす。
何も言わずこちらを見るその瞳には、来ないのか?という言葉が混じっているように感じた。
どうやらお誘いのようだ。
なら、乗らない理由も無い。
第5次ライダー戦では飛ぶというのも烏滸がましいレベルの物であったが、今の俺は空中戦も出来ない訳ではない。
俺は膝を曲げて身を落とし、そこから一気に地面を蹴って空へと身を飛ばした。
まだ、届かない。
そこで俺はもう一歩、
いつしかやったホワイティルウィングを装備するような状態ではなく、そもそもが飛ぶ機能を備えたモノだ。
それを、羽ばたかせる。
「ガハハハハハハッ!!!! そうか、お前さんは
俺の姿を見て、豪快に笑みを浮かべたライダーはすぐさま
だが俺も、それを追う様に身を翻し、天を駆ける。
そう、ライダーの言うように、今の俺は龍の翼を出している。
前の世界でこの身に宿した炎龍のものだ。
この翼はそれだけで飛ぶ概念を持ち、魔力を燃料にこの俺に宙を駆けさせてくれる。
「面白い!! これだから聖杯戦争は愉快である!!! 余の
「悪いけど今夜の晩御飯はステーキにさせてもらおうか!!!」
いかがだったでしょうか?
あ、タイトルを見て内容も見てピンと来た方は凄いと思います。
訳は『無限の彼方へ、さあいくぞ!』です。
そう、トイストーリーのバズが言う有名な台詞ですね。
ライダーを追いかけて飛ぶコウジュから連想して出てきたのがこの言葉だったので、ちょっと捻った形で使わせて頂きました。
一応いつもタイトルが内容に関係するように考えているのですが、そのワードを言いたいだけの時もままあります。
どこかで見かけたセリフなどをメモしておいて使うことが大体なのですが、それでも思いつかない場合はグーグル先生にお願いしていますw
さておき、今回からがライダー戦であります。
もう少しライダーと闘う前に話を入れても良いかなとも思ったのですが、私的にはメインを残り2戦に持ってきたいのでここは端折り気味に行きたいと思います。
とはいえ、続きはまた次回となるのですが・・・。
ま、まぁ、このSSを読んで下さってる皆さんは某小説のワンコのごとく「いいから色欲書けよ!」みたいには急くことの無い温和な方ばかりだとは思いますが、念の為、ゆっくりと次回をお待ちいただければと思います。
あ、そういえば前話のことですが、ちらっとハサンが口にしたハサンでなくなればどちらにしろ死ぬということばですが、FGOユーザーはご存知のキングハサンが故ですね。キング破産ではないです。
彼はどうも歴代ハサンがハサンとしての役目を負うことが出来なくなった時に現れその首を絶つのだそうです。
そのまま皆さんご期待のロリ展開も良かったのですが、知っている以上はチラッとでも書いておかないと違和感が有ったのでああいう風にさせていただきました。
実際に、必殺仕事人の要らない世界にしたいというのもコウジュの願いであるわけですしね。
さて、それではまた次話でもよろしくお願いします。
各地で大雪が猛威を振るっておりますが、このSSでちょっとでも温まって頂けていれば幸いであります。
ではでは!!
P.S.
FGOで文系のバーサーカーとかいう不可思議な鯖が出てきましたが、ぶっちゃけ滅茶苦茶可愛いですよね。
メガネ冬服セーラーにマフラーでスパッツとか盛り過ぎやろ!!
と、思いながらガチャッてる私でした。
それにしても、フレに宝具3に重ねてる人が居るんですが、幾ら注ぎこんだのだろう・・・・。
流石に宝具重ね出来るほど運もマネーも無いので諦めましたが、どれだけの運もしくはマネーが有ればそれが出来るのでしょうか・・・。
某SNSでも一回で数枚当てている方がいらっしゃいますが、他の分の運まで使っていないか心配になってしまいます。
と言いながら羨ましいのですがw
P.S.2
PSO2のアプデがされるたびにコス勢のエロ度やテクニックが上がるのは何ででしょうか・・・。
最近よくある部分がはみ出ているスクショを見るんだけどどうしてそうなったwww