暇潰し?面白いから転生?まあいいですよ。頑張ります。★更新停止中   作:写身

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魔物はあのお方です


9話

9話

 

 

俺は魔物を見て固まる。

 

「え…………?」

 

それが致命的なミスだった。

 

魔物はその隙を見逃さず、その爪で凪ぎ払うように攻撃してきた。

 

「しまった!」

 

気づいたときにはもう遅い。全力で回避するが、避けられない。幸いなのは叩きつけるのではなく、なだったことだろう。

 

本能レベルの反射でジャンプし力を受け流す。といっても威力がありすぎて吹き飛ばされる。

 

近くの山――といっても十キロ以上離れている――まで飛ばされる。地面に叩きつけられる寸前に、影分身で受け止める。なんとか動ける。

 

「その技…どこの忍だ?」

 

俺はもう一度魔物を見る。その容姿は目つきが悪く、体毛はオレンジに近い赤色。鋭い狐を持ち、尻尾が九本ある。

 

俺はこいつを知っている。知識としてだ。何でこいつがこんなところにいるのか分からないが、どう考えても爺さんのせいだろう。

 

俺は思わずそいつの名前を呟く。

 

「………九喇嘛」

 

そう。ナ○トに出てくる主人公の中にいるお方だ。

 

「貴様、なぜ儂の名を知っている?」

 

冷や汗ダラダラだぜ。やッべぇよ。どうすりゃいいんだこれ。

 

「なぜ黙っている。まぁいい、おい貴様。この世界について説明しろ」

「ははははいっ!」

 

俺に拒否権は無い!!俺は九喇嘛にこの世界について説明する。

 

「つまり儂は別世界に来たと言うことか?」

「そうですね」

 

俺は只今正座中です。相手はチャクラの固まりと言われる尾獣の中で最強の九尾。いくら俺が強いからって写輪眼無しじゃ勝てる訳ねえ。

 

なぜ写輪眼が使えないかと言うと、最初の一撃のダメージが大きく、チャクラを全部回復につぎ込んでいるからだ。

 

「なら儂はこの世界で好き勝手できるってことか。今までは比較的大人しくしてたが無駄だったな」

 

やべえって、そんな暴れる宣言マジNGですから。

 

「あ、いや、それはやめた方がいいかと」

「なぜ?ここには俺を倒せるやつがいない。どいつもこいつも雑魚ばかりだ。気にすることはない。まぁお前はこの世界の事を教えてくれたから逆らわない限り生かしてやろう」

 

このままじゃまずいな。

 

「一つ、いいかな?」

「何だ?」

「俺と勝負しないか?」

 

頼む、乗ってくれよ。

 

「勝負だと?儂とお前が?」

「ああ」

「フンッ。話にならん。その状態で儂に勝てると思っているのか?」

「そうだね。だから勝負は明日今日と同じ時間にここに来るよ。それで、勝負しよう」

 

本当はもっと日にち空けたいけど、九喇嘛が乗ってくれないと意味ないからな。

 

「なんのためにだ?儂は今ここで貴様を殺してもいいんだぞ?」

「それは九喇嘛より強いやつもこの世界にいるかもしれないでしょ」

「フンッ。そんなやつが居れば面白いがな」

「で、俺がその第一号に名乗りをあげるよ」

「ほう。面白い。儂を倒すと言うのか!」

 

九喇嘛が威嚇してくる。だけど怯むわけにはいかない。

 

「そう。だから明日までに傷を治してくるよ。手負いの相手を倒しても自慢にならないでしょ?」

「いいだろう。今日と同じ時間だな。勝負してやる」

「ありがとう。それと、勝った方は負けた方に何か一つ命令できるという賭けはどうかな?」

「どうせ儂が勝つんだ、いいだろう」

「ありがとう。じゃあ明日」

 

俺はそこから去っていく。これ、十年クエストだよね?それでこれだけの被害ってことは、九喇嘛は多少押さえてたんだな。知らない世界だから様子見してたのかもしれないけど。

 

そして町の人の話から推測すると、俺がこの世界に来る十三年前にこの世界に来たと…………。事情も知らず跳ばされた割にはよく我慢してるな。

 

原因は分かります。神様ですよね、分かります。面白くしたいのはいいですけど、こんなことマジやめて。

 

とにかく明日、なんとしても勝たなければ…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日の同刻。昨日の場所にきた。

 

「まさか本当に来るとはな」

「なんだ。逃げるとでも思ったのか?」

「当たり前だ。儂の力を知っているんだからな」

「それなのに見逃してくれるって、優しいんだな」

「ハッ!何をバカな。言っただろう、この世界の事を教えてくれた仮があるからな。一度なら見逃してやろうと思っただけだ」

「そうか。それは予想を裏切って悪いことをしたね」

「フンッ。関係ない、儂に楯突くなら殺すまでよ。行くぞ」

「ハイハイ……。月読!」

「なっ!」

 

九喇嘛を幻術世界に連れて行く。

 

「貴様!うちはか!?」

「まあね。この幻術世界は俺が時間の流れを決める。ここでいくら戦おうと現実では一瞬ですむ。現実ではないから地形が変わる心配もない。存分にやろうぜ!」

「フンッ!バカなやつだ。その目で儂を操ればいいものを」

「言っただろう、勝負だと」

「ハッ。なら全力で叩き潰してやるわ!!」

「望むところだ!行くぜ、九喇嘛!」

「こいっ!」

 

 

 

 

 

 

 

時間にして丸二日戦い続け、漸く勝利した。

 

「ハアッハアッ……俺の勝ちだぜ、九喇嘛」

「くっ、まさか、この儂が負けるとは……」

「ハァ、ハァ……見直したか?」

「神羅天征は反則だろうが!」

「尾獣玉の方が反則じゃないか!」

 

何だよあの攻撃範囲は!しかも連射可能っておかしいだろうがっ!

 

「約束通り、言うこと聞いてもらうからな」

「ちっ!仕方ない、何だ?」

「俺の相棒になってくれ」

「は?」

「ほら、ナ○トに力貸してたみたいに、俺にも力を貸してくれってこと」

「何だと?」

「約束、だろ?」

「………………ちっ、クソッ!分かった。約束は約束だ。力を貸してやる」

 

不機嫌そうに言う。

 

「おいおい、そんなに怒らなくてもいいじゃないか。俺の中に居れば安心だぜ?」

「自分の身ぐらい自分で守れる。だか、約束だからな。貴様の中に居てやる」

「ツンデレか……」

「誰がだ!!」

「意味分かるのか」

「知らん!だがバカにされた気がした」

 

勘かよ。

 

「まあいいや。そういや俺の名前言ってなかったな。俺の名前はうちはシスイだ。これからよろしくな、九喇嘛」

「フンッ」

「ツンデレ乙~」

「誰がツンデレだっ!!」

 

 

 

 

 

 

そろそろ帰るか。九喇嘛に勝ってから三日間俺は寝ていた。幻術空間だったから肉体は問題ないが、精神の方が消耗しすぎて、意識を取り戻すのに三日かかった。

 

魔物は倒したと言うことを町の人に伝え、報酬はギルドに送ってもらう。

 

「さて、帰るぜ、九喇嘛。俺たちのギルドに」

『フンッ』

 

九喇嘛は今、俺の中に居るため、九喇嘛の言葉は俺にしか聞こえない。

 

「ツンデレ乙~」

『ツンデレじゃない!!』

「じゃあ無視するなよー」

『フンッ』

「ツンデレ乙~」

『だからツンデレじゃない!!』

「九喇嘛が無視するからだろ」

『分かった分かった』

「ならいい」

『たくっ、めんどくさいやつに会ったもんだな』

 

九喇嘛ってこんな性格だったっけ?………………………………まあ、いいか。

 

 

 

 

 

 

意識は戻ったが、消耗が激しく、一週間ほど町に滞在してから帰った。その時は、もう怯えて暮らすことはないと、町全体がお祭り状態になり、俺はものすごく手厚く対応された。

 

例で言うと、喉が乾いたな、と呟くと、十種類以上の飲み物が瞬く間に用意され、どれでも飲んでくれと言われたり、俺が食べたものとかは全て無料になった。接待として、何人もの美人な女性が付きっきりで世話をしてくれたりと超VIP扱いだった。

 

俺は一週間で町を後にしたが、祭りはその後も続き、結局1ヶ月もの間続いたらしい。仕事は大丈夫か、と思ったが聞くのは止めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




というわけで九喇嘛さん登場です。

シスイさんさらにチート(笑)

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