暇潰し?面白いから転生?まあいいですよ。頑張ります。★更新停止中   作:写身

29 / 35
29話

29話

 

 

 

 

 

 

 

俺は評議院に呼び出され向かうと、ある依頼をしてきた。それはとあるギルドの調査だった。場合によっては討伐してくれとのことだったが、とりあえず調査ということで、敵の実力が分からないことから影分身に行かせておいた。本体はそいつらがどんなことをしているのかに付いて調査する。

 

その間にナツ達はいくつかのクエストをするが、特に問題のような問題は起こさなかった。珍しいと思うが、次の大きなクエストまではまだ時間があるのかなと思う。こっちも依頼をされているのでナツ達に手が貸せないから問題は起こさないで欲しい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――です」

「なるほど」

 

俺は尋問したやつの情報から、上納金を倍にしたりと、最近活発に行動しているということを聞く。いや、活発に行動しているのは評議院から聞いていたから、予想以上に活発に動いている。それは末端組織のはずのこいつでも知っているということからも推測できる。

 

「あ、あの、教えたから見逃してくれるんですよね」

 

そういえばいたな。バカか?誰も見逃すなんて言ってないんだがな。とりあえず当て身を喰らわせ、気絶させる。この事を評議院に知らせ検挙してもらう。

 

「それにしても、六魔将軍(オラシオンセイス)……いったい何を企んでいる」

 

六魔将軍は闇ギルドの一つ。闇ギルド最大勢力バラム同盟。バラム同盟は3つのギルドから構成されている闇の最大勢力。その一角が六魔将軍。構成員6名からなるギルド。たった6名のギルドで闇の最大勢力の一角。それだけで、そいつらが強者ということが分かる。いったいどれ程の力を秘めているのか。

 

元々バラム同盟と俺は不干渉だった。俺が強いと言っても所詮は一人。まあ、影分身があるから完全に一人とは言えないが、それでもバラム同盟に手を出して、その間に他のやつに仲間を狙われる可能性があるため、手を出せば互いに少なくない傷を負うことになる。だから暗黙の了解として不干渉を貫いていた。互いに実力の全貌が分からない故にぶつかることはなかった。おそらくバラム同盟のやつらもある程度俺の実力を把握しているが、それが全てではないと分かっているんだろう。だからこそバラム同盟が直接ででくるようなときは、人の避難をするだけでやつらに干渉はしなかった。逆に俺があいつらの傘下のギルドを潰しても俺を殺しに来なかった。

 

そのバラム同盟の一角が相手ではギルドに迷惑がかかるかもしれないが、既にマスターには報告しているし、何らかの手を打っているだろう。

 

そういえば影分身の方はどうなったんだろう。うまく捕捉できたのかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やっと見つけたぞ。あいつらが六魔将軍か。確か情報ではあの蛇を連れてるやつが毒蛇のコブラ。サングラスにモヒカン、顎を守る鎧を着けたスピード系の魔法を使うレーサー。カクカクした顔に体で、金さえ積めばなんでもやるという天眼のホットアイ。心を覗けるという六魔将軍の紅一点のエンジェル。星霊魔導士と聞いたが、どんな星霊かは不明。ミッドナイトと呼ばれる普段寝ていて、戦うところは見たことないという。逆に見たことないからこそ六魔将軍で最強との噂もある。こいつは情報が少なすぎて不気味だ。最後はこいつらを束ねる司令塔のブレイン。基本戦わないが、常闇の魔法を使うと聞く。

 

どいつもこいつも一癖も二癖もあるやつらだ。何か話してるようだし、様子を見るか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

聞こえた内容から、ニルヴァーナという暗黒をもたらし、全ての光を崩す伝説の魔法らしい。

 

そんなこと、させる訳にはいかないな。とりあえずやつらの実力を測るために戦うか。そのまま倒せればよし、倒せなくても本体に情報がフィードバックされるから問題ない。後は意味ないかもしれないが、正体がばれないように面を着けるか。

 

俺は襲撃する準備をして、機会を待つ。そしてやつらの会話が途切れたと同時に仕掛ける。

 

まずは瞬身で、一気に近づき螺旋丸でコブラを狙う。

 

「聞こえてるぜ心の声が」

「なに!」

 

避けられた!?完璧な奇襲で?とりあえず距離を取らねば。

 

瞬身で下がり、距離を取る。

 

「我ら六人相手に一人で向かって来るとは気でも狂ったか?うちはシスイ」

 

ばれてるのかよ。なら仮面に意味はないな。俺は仮面を取る。

 

「完璧な奇襲だと思ったんだけどな……何故分かった」

 

俺は懐からクナイを取りだし、答えるか分からないが聞いて損は無いと思い聞く。

 

「簡単だ。俺には心の声が聞こえる。勿論貴様のもだ」

 

素直に答えるとは思わなかったが……心の声か。どんな魔法だ。こいつは毒蛇のコブラのはず。毒系の魔法を得意と聞いたが、それ以外にも何かあるということか。

 

「貴様が我らに手を出すと言うことは不干渉を止めるのだな」

 

ブレイン。こいつは相当の切れ者。受け答えは慎重にしないとな、油断できん。

 

「まあ、そーゆーことだな」

 

俺は全員を見ながら答える。幸いミッドナイトが寝てるから5対1か。今ばかりは寝てるのはありがたい。

 

「貴様がいくら強いとは言え、我ら全員を相手にするとは自惚れすぎだな」

「こっちにも事情があってな」

「どちらにしても敵対するなら容赦はしない」

「それはこちらの…ッ!」

 

レーサーが一瞬で俺の横まで移動し回し蹴りを放つ。反応はできたがガードするので精一杯だった。

 

「遅いな。貴様はここで終わりだ」

「チィィィッ!」

 

速すぎる。ラクサスよりも速い。その場を動かなければなんとか対処できるレベルだ。あいつに追い付くには飛雷神しかない。しかしあいつの魔法は身体強化しているのか。いくら早く動けてもこのスピード、肉体に相当負担がかかると思うが。

 

「ぐぅぅ」

 

ちっ、とうとう捉えきれんかったか。一撃もらったか。

 

俺は体勢を立て直し、次に備える。しかし追撃がない。

 

「俺のスピードにここまで着いてくるとはな。さすがたった一人でバラム同盟を牽制するだけのことはあるということか。ここからはギアを上げるぜ」

 

まだ上がるのかよ。俺は後ろに飛んで距離を開ける。それにしても何故他のやつは動かない。はっきり言って、レーサーのスピードは驚異だが、攻撃力が伴っていない。そのお陰で俺は消えずにここにいる。しかし飛雷神を使ってないとはいえ、レーサーのスピードで一杯一杯なんだから、やつらが手を出せば速効で負けると思うのだが、何故手を出さない。

 

「はっ!これにも着いてくるかよ。ならさらにギアを上げるぜ」

「くっ」

 

このスピード、いったいどこまで上がると言うんだ。そろそろ不味いぞ。あいつらが手を出さないから、迂闊に攻撃に回れなかったが、様子見と言ってられん。四方にクナイを投げる。

 

「ははは、どこに投げている」

 

俺は後ろに投げたクナイに飛雷神で飛ぶ。

 

「何!?」

 

レーサーはその移動速度に驚き一瞬硬直した。今しかない。風遁螺旋手裏剣をレーサーに向かって投げる。いや、正確にはその後ろにいるやつらに向かってだ。レーサーのスピードからすればこの程度を避けるのは容易いだろうからな。

 

しかしホットアイが地面を操り、壁を作って螺旋手裏剣を防ぐ。

 

その間に俺は次の準備をする。氷遁秘術魔鏡氷晶。そこから鏡の中を高速で移動しながらの氷遁秘術千殺氷翔。

 

しかしこれもホットアイが地面を操り、すべて防ぐ。千殺氷翔は手数はすごいが威力はどちらかというと低い。千殺氷翔では壁を貫けない。

 

そうしてまごついてる間にレーサーが鏡を壊していく。それと俺の行動はコブラが読んでいるみたいだ。心の声とか言うやつか。面倒な。

 

このままではじり貧だなと思ったところで、エンジェルが俺の姿を真似る。

 

「なるほど。ブレイン、やつは本体ではなく分身みたいだゾ。それからシスイが動いているのは評議院に言われたからみたいだゾ」

 

俺はそれを聞いて絶句する。これが心を読めると言うやつか。なるほど、姿をコピーした相手の思考が読めると言うのか。いや、コピーした相手の頭の中を覗けるということかな。なんにしてもこいつは不味いな。

 

距離を取ろうとするが、それを読んだエンジェルがレーサーに指示して先回りさせる。なんとか避けるが、その後もエンジェルの指示で、レーサーが先回りしていくので、避けるので精一杯で攻撃が全くできなくなる。

 

そして、それも限界を向かえ、今や消えてないのが不思議なくらい傷を負っていた。

 

「ここまで強いとはな」

 

影分身で人数を増やしてもいいが、ただでさえ魔力を半分に分けてる上に、こいつらの場所を探すために色々嗅ぎ回ったから元々ここに来た時点で魔力も少ない。それをさらに分ける影分身は得策じゃないと思ってしなかったが、これは最初からしておけばなんとかなったかもな。まあ、後の祭りだし、俺は所詮は影分身。問題はない。それにこの情報は本体にいくしな。幸いなのは、エンジェルが既に元の姿に戻っていることだろう。この思考が読まれていたらと思うとぞっとする。

 

「次は本体が来い。常闇奇想曲(ダークカプリチオ)

 

ブレインの持つ杖から回転するレーザーのような魔法が放たれる。俺はもう動くことができないため、黙ってそれを喰らう。この技の情報も本体に還元するために。俺はレーザーをまともに喰らい、消える。

 

「さすがの実力だな。分身でここまでやるとは」

「全くだ。俺のスピードにあれだけついてくるやつは初めてだ。正直ぞっとするぜ」

「エンジェル。評議院に潜り込み、動向を探れ」

「分かったゾ」

「例えシスイといえど、邪魔はさせん。ニルヴァーナは必ずや手に入れる」

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。