暇潰し?面白いから転生?まあいいですよ。頑張ります。★更新停止中   作:写身

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20話

20話

 

 

 

 

 

 

 

翌日。結局ナツは帰ってこなかった。

 

「ルーシィ、グレイとハッピーを呼んできてくれ」

「分かった」

 

これからどうするのか聞きに来たルーシィにグレイとハッピーを連れて来てもらう。そしてもう一度状況を説明してもらう。

 

「すまねえシスイ。俺が負けたせいで」

「気にするな。ただ、負けたままではいられないぞ」

「分かってる。負けたままなんて妖精の尻尾の名折れだからな」

 

グレイが気合いを入れたところで話を変える。

 

「それでナツは?」

 

聞いても全員が首を横に振り、知らないと言う。仕方ないか。

 

「ならナツは抜きだな」

「何がだ?」

「俺たちでリオンを止めに行くぞ」

「ええっ!?ナツはほっといていいの?」

 

ルーシィがナツ抜きに驚く。俺も帰ってこなかったことに驚いてるよ。

 

まったく、せっかくウルティアと戦わせてレベルアップをさせようと思ったのに、これじゃ俺がウルティアの相手をしないといけないのか。

 

あいつ、絶対根に持ってるから本気で来るだろうなー。確かに無理やり言うこと聞かせたのは悪かったと思うけど、元々ウルティアの方から手を出してきたのにな。それにウルを生き返らせたっていうのに、感謝してくれてもいいような気がするんだけどなー。いや、ウルティアは俺の方に来てたからこいつらは知らないんだよな。無視していくか。

 

「おい、どうしたんだシスイ?何か心配事か?」

 

っと、考え込んでしまったな。

 

「いや、何でもない。行こうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺たちは森を進み、遺跡を目視できるところまで来ていた。

 

しかし、遺跡が傾いている。

 

「ナツだな」

 

グレイが言う。

 

まあ確かに、こんなことするのはナツぐらいだな。

 

「どうやったかは知らねえが、これで月の光はデリオラに届かねえ」

 

そうだな、グレイ。これでお前を安心してリオンのところに送ってやれる。

 

その時、周りからがさがさと、何者かが動く音がする。

 

その音の正体はすぐに出てきた。

 

「見つけたぞ妖精の尻尾」

 

出てきたやつらは、皆同じ格好をしている。

 

体を覆う大きな服に被り物をして、目の部分以外の顔を隠している。出ているのは手だけで、足も隠れている。そして特徴なのが、覆面に三日月のマークがある。

 

敵意剥き出しのそいつらは、後から後から出てきて、何人いるのか正確に分からない。

 

しかしこれは好都合。ナツが遺跡にいた以上、ナツの相手はウルティアがしてくれるだろう。あとはルーシィとハッピーをここに残すようにすれば完璧だ。

 

「行け、グレイ」

「…シスイ」

「ここは俺に任せて、リオンとの決着をつけてこい」

 

グレイは頷き、走って遺跡に向かう。

 

成長して帰ってこいよ、グレイ、ナツ。

 

「ルーシィとハッピーは逃げようとするやつらを捕まえてくれ」

「分かったわ」

「オッケー」

 

ルーシィとハッピーが、戦闘態勢にはいる。

 

ここは森、丁度いい。

 

「火遁火走り」

 

地面に炎が走る。火で敵を囲み逃げられなくする。これで横には逃げられないだろう。

 

「火遁火龍炎弾」

 

火の龍が意思を持っているかの如く敵を襲う。当然だが火の龍は俺が操れるので敵を逃がすことなく全員に当てる。

 

もちろん死なないように威力は落としてある。しかしそれでも倒すのには充分な威力で、しかも次々と襲ってくる火龍に敵は恐慌状態となり、抵抗らしい抵抗もなく、ものの数分で全員を沈黙させる。

 

そして火走りで燃えていた森を水遁で消火し、木遁で元通りにする。

 

「アタシ何にもしてないんだけど、要らなかったよね?」

「あい、ハッピーもです」

 

そんなことをルーシィとハッピーが言うから手伝ってもらうことにする。

 

「んじゃこいつら縛って」

 

俺は木遁で木の蔦を作り、渡す。魔法(忍術)で縛れるけど、わざと人力でやることで、時間を稼ぐ。思った以上に早く終ったからな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃のナツたちはというと、ナツとリオンが戦っていた。リオンはナツの変則的な動きになかなか対応できず、てこずる。

 

ナツの攻撃を喰らうというところで、ザルティ(ウルティア)が、時のアークでナツの足下を崩して技を反らせる。

 

しかしリオンはナツに負けると思われたことで腹が立ち、周りを氷で囲み、ザルティに手を出させないよう出ていけと言う。

 

ザルティは出ていき、ナツとリオンの戦闘が再開される。しかしお互いにダメージらしいダメージを与えることができず、膠着状態になる。

 

そしてその場に氷を砕いてグレイが乱入する。

 

グレイはリオンとの勝負を譲ってくれと、ナツに言い、絶対氷結(アイスドシェル)の構えを取る。グレイは自滅覚悟でリオンを倒そうとする。

 

しかしそれを、ナツがグレイを殴って止める。そしてナツが「逃げるな」と、グレイを説教する。

 

その時、ゴゴゴゴゴ……と大きな音がする。その音が止むと、遺跡が元に戻っていることに気づく。

 

不振に思っていると、グレイが砕いた場所からザルティが出てきて元に戻したと言う。

 

ナツは苦労して傾かせたのに、それを元に戻したザルティに戻した方法を聞くが、ザルティは無視して儀式に向かう。

 

ナツはそれを追いかけ、ぶっ飛ばすために、リオンをグレイに譲り、ナツはザルティを追いかける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ど、どうするのシスイ?」

「そうだな……」

 

遺跡が元に戻ったということは、やったのはウルティアか、グレイもそろそろ着いてるだろうし、二対二で丁度いいな。それにウルティアがナツを挑発して、グレイ対リオン、ナツ対ザルティ(ウルティア)になるだろう。

 

ならあとは、生き残りが居たときに、儀式を止めるように遺跡の上に向かうか。

 

俺の考えをルーシィ達に話し、一緒に向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遺跡では、シスイの思っていた通り、グレイとリオンが戦っていた。グレイは最初の時は、ウルを死なせた負い目があり、魔法に力が籠っていなかったが、今回は覚悟を決めていて、魔法の威力が全然違い、リオンと互角の勝負をする。そして氷雪砲でリオンを倒す。

 

ナツはザルティの後を追いかけ、デリオラのところにまでやって来る。そこで儀式が行われているのを目撃し、それを止めにいこうとするが、ザルティがそれを止める。

 

ザルティはナツをここに止め、デリオラを復活させる。

 

(上はシスイが倒すでしょうし、シスイならデリオラも倒せるかもしれないし、復活しても大丈夫でしょう)

 

ザルティは、水晶を操りナツを攻撃する。しかしその速度は、ナツが反応できる程度のスピードで、火竜の鉄拳で壊す。しかしザルティが時のアークでそれを元に戻し、再び攻撃する。

 

ナツはその変幻自在な攻撃に戸惑うが、足に炎を纏って跳躍し近づく。ザルティが石を何個も操りナツに放出する。ナツは火力を挙げて、石を殴る。そのあまりの威力に、ザルティはナツを見失う。そして火竜の鉄拳で吹き飛ばされる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オオオオオオオオオオ!!!」

 

謎の声が聞こえる。

 

「何?今の?」

 

ルーシィが声の主が誰かを聞く。しかしこの状況だと……。

 

「…デリオラか」

「嘘っ!復活しちゃったの!!?」

「あ!あれ見て」

 

ハッピーが、指差す方を見ると、一筋の光が、降りてきていた。

 

「もしかして月の雫(ムーンドリップ)か?」

「そ、そうよ!見たことあるわ!」

 

ルーシィが俺の疑問に答えてくれる。

 

しかし、やはりまだいたのか。しかも面倒なことになったな。

 

「よし、儀式をしているやつを倒すぞ」

 

儀式が続行されているなら、まだ完全には復活していないんだろう。ならば、そいつを倒すだけだ。

 

俺たちはダッシュで上に向かい、上にいたやつを殴り、儀式を止める。

 

しかし、手遅れだったようで、デリオラが復活する。

 

俺たちは、穴から飛び降り、デリオラのところに来る。そこにはナツとグレイがいた。

 

「シスイ!!やべえぞ、デリオラが復活した」

「分かってる。心配するな、俺が倒してやる」

 

俺が印を組み、攻撃しようとするが、デリオラの体にヒビが入り、デリオラが崩れ落ちる。

 

どうやらデリオラは、氷の中で徐々に命を奪われ、すでに死んでいたようだ。

 

皆が驚きに目を見開く。そのなかでグレイだけは師へ感謝の涙を流す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやー、終わった終わった」

 

一息着いて、ナツがそんなことを言う。そしてそれに喜ぶ、ルーシィとハッピー。グレイも口には出さないが、満足な表情をしている。

 

「おいおい、まだ終わってないぞ」

 

俺は依頼内容を確認させ、まだ終わっていないことを告げる。そして当事者のリオンも知らないと言う。まあ、その答えはもうでているからどうでもいい。

 

「とりあえずそれに関しては俺に考えがあるから大丈夫だ」

「そうなんだ。ならはやくやろうよ」

 

ルーシィが急かすが、俺はここでやっておかないといけないことがある。

 

「とりあえず出てこいよ、ウルティア」

「ウルティア?」

「ウルティアって誰だ?」

「ウルさんに似てるよね」

 

皆が口々に自分の疑問や意見を言う。

 

「ウルティアはウルの娘だよ」

 

俺がウルティアの正体を教えてやると、全員が絶叫をあげる。俺はたまらず、耳をふさぐ。

 

そしてそこに、ウルティア(ザルティ)が出てくる。

 

「ザルティ、無事だったのか」

「てめえ、俺がぶっ飛ばしたはず…」

 

ウルティアをぶっ飛ばした?すごいじゃないかナツ。どうやら成長できたようだな。

 

「ウルティア、もう仮面はいいだろう」

 

俺が言うと、仮面を外し、素顔を見せる。

 

「き、綺麗…」

 

ルーシィがため息を漏らすが無視だ。

 

「ザルティがウルティアだと!!?」

「そうよ、本当は目的があって、リオンに近づいたんだけど、シスイに止められたのよ」

「シスイ、何したんだ?」

 

それまで固まっていたグレイが聞いてくる。

 

「いやー、なんか、親に復讐とか言ってたから止めた」

「かるーーー!!」

「親に復讐って、どうやって?ウルはもう……」

 

ハッピーの驚きをグレイは華麗にスルーした。すごいスルースキルを身に付けたな。

 

「いや、昨日お前らと別れた後、ちょっかい出してきたからねじ伏せた。んで、理由聞いて、復讐やめるように(ウルが)説得した」

「シスイに喧嘩売ったのか、よく無事だったな」

 

グレイがウルティアを驚きの目で見る。

 

「無事じゃないわよ」

「え?でも無傷に見えるけど?」

「体はね。でも心を犯されたわ」

 

ちょっ、まっ、何言ってんだよ、ウルティアァァ。

 

「何したんだシスイィィィ!!!」

 

グレイが突然襲ってきた。

 

「なんもしてねえぇぇぇ!!月読ぃぃぃ!!!」

 

なんとか月読で大人しくさせる。時間にして72時間、地べたに這いつくばらせて延々説教して落ち着かせた。

 

「今のは…」

 

戻ってきたグレイが、何をされたのか、理解する。

 

「適当なこと言うなよ、ウルティア」

「あら、本当の事じゃない。私を返り討ちにした後、拘束して、言いたくないことを無理やり聞き出したんだから」

「シスイ、そんなことをしたのか」

「シスイ~、おいら幻滅だよ」

「シスイにそんな趣味があったなんて」

「ん?何かおかしいのか?」

「…………」

 

グレイが俺を見て呆れ、ハッピーが幻滅したといい、ルーシィは身を震わせ、ナツはよくわかっておらず、リオンは軽蔑の眼差しで、ウルティアは口を押さえ下を向き震えている。

 

俺には分かる。ウルティアが笑いを堪えているのだと。

 

俺はため息を吐いて、口を開く。眼は万華鏡写輪眼だ。

 

「ちょっと、黙ろうか?」

 

俺の目を見た皆は無言で首を上下に振り、肯定する。そのなかでリオンだけは、なぜ皆が黙ったのか疑問に思うが、周りが黙ったのでとりあえず黙っておく。シスイの目を見て、嫌な予感がしたからだ。さっきグレイに月読とか言うのをしたときにしていた目だったからだ。

 

「んで、ウルは呼んできた?」

 

そう、俺はウルティアにナツと戦った後、ウルを呼んできてくれと頼んでいたのだ。

 

「ええ、後ろで待機しているわ」

 

ウルティアが、自分が出てきた方を差し、そう言う。

 

「は?」

「え?」

「ん?」

「はい?」

「あれ?」

 

上からリオン、グレイ、ナツ、ハッピー、ルーシィである。

 

「んじゃ出てきていいぞ~」

 

俺はウルに声をかける。そして俺とウルティア以外で、ウルを見た全員が固まるなか、グレイとリオンが叫ぶ。

 

とりあえず二人を月読で大人しくさせる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

落ち着きを取り戻し、平静になる。そしてウル、リオン、グレイの三人で暫く話した後、横で聞いてた俺に話が振られる。

 

「何でウルが生きてるんだ」

 

当たり前のことを聞いてくるが、今更感が強い。

 

「俺が生き返らせたからだ」

 

俺がそう言うと、俺、ウル、ウルティア以外が叫ぶ。

 

俺はそれをまた月読で大人しくさせる。まったく、無駄に魔力消費してるぞ。

 

「悪い。んでどうやって生き返らせたんだ?」

「これは一応禁術の一つなんだが、穢土転生と言う死者を蘇らせる技があってだな。それを使った」

「内容は?」

「死者の肉片の一部、これは血とかでもいい。か、生前にずっと身につけていて、魔力がのこっていたりすると、供物(生け贄)を代償に蘇生できる」

「ほんと、シスイって何でもありだな」

「ウルティアを説得するために蘇らせる必要があったからな」

「娘の事は後悔してたんだ。感謝してるよ、シスイ」

 

その後も少し話した後、忘れていた訳ではないが、クエストの話しに戻る。

 

当然、解決策を知っていると言った俺に話が振られる。

 

「村で話そう」

 

そして俺たちは村に戻る。しかし、リオンは仲間を連れてやり直すと言い、仲間を探しに離れて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今周りには、村人全員がいる。

 

「んで、どうするんだよ」

「任せろ。村長さん、今から月を壊しますね」

「よろしくお願いします」

 

俺は螺旋手裏剣を作るが、ここからではさすがに届かない。

 

「ここから投げて届くのか?」

 

グレイが気づき、問うてくる。

 

「届かないよ。だから、こうする」

 

俺は軽重岩で空を飛び、螺旋手裏剣が届く距離まで行くと、螺旋手裏剣を投げる。そして、俺が地面に着地すると同時に、螺旋手裏剣が月を壊す。

 

しかし、本当に壊れたのは、この島を覆っていた月の雫により発生した邪気の膜で、それを俺は壊した。

 

そして村人達は光に包まれる。

 

しかし、元に戻る事はない。当然だ。元々ここは悪魔の村で、邪気の膜は体ではなく、頭を冒していたからだ。

 

そしてそれに気付いた皆が驚く。ウルティアは知っていたみたいだ。

 

「今夜は悪魔の宴だー」

 

彼らの姿は悪魔と言うより天使みたいだが、自分等で悪魔というなら別にいいか。という悪魔の宴……ものすごい物騒な宴に聞こえる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日。俺たちは報酬を受けとる。

 

「ありがとうございました」

「いやいや、よかったですね。元に戻って」

「はい。お帰りの船もご用意しましたので、お使いください」

「ありがとうございます。そうだ、ついでに家を建て直しましょう」

 

俺たちは、村のあった場所に戻ってくる。

 

「村を建て直すのはいいんだけどよ。どうやるんだ?」

「大丈夫だ。木遁連柱家」

 

印を組み、手を地面につくと、木造の家が何個もできる。

 

「うおおおおおお」

「すっげえぇぇぇぇ」

 

周りはその家が建つスピードに驚く。

 

「何で昨日やらなかったんだ?」

 

グレイが当然な質問をしてくる。

 

「魔力がなくったらもしもの時にヤバイだろ」

 

これまたもっともな答えを返すが、実は忘れていただけである。

 

家を建て終わると、船の場所まで案内される。そして俺たちは船に乗り、ハルジオンに向けて出発する。

 

 

 

 

 


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