暇潰し?面白いから転生?まあいいですよ。頑張ります。★更新停止中   作:写身

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17話

17話

 

 

 

 

 

翌日。俺達は島を調査するといって村から出て、島を散策していた。

 

「結局どうするんだ?」

 

とグレイが言う。

 

「何言ってんだよ!月を破壊するんだろ!!」

 

ナツが当たり前のように言う。

 

「バカね。どうやって破壊するのよ」

 

もっともな疑問がルーシィから出る。

 

「もちろんハッピーに飛んでもらう」

「無理です」

 

ハッピーはナツの言葉を即、否定する。

 

「シスイならできそうだけどな」

 

笑いながらグレイが言う。

 

「さすがに無理でしょ」

「いや、できるぞー」

 

ルーシィが無理だと言うからそれは否定しておく。

 

「できるのか!!!」

「ええっ!!」

「嘘っ!!ほんとに!!?」

「マジかよ!……でもシスイなら本当にできそうで怖いぜ」

 

上からナツ、ハッピー、ルーシィ、グレイの順。

 

だからできるってのに。まあやらないけどな。

 

「じゃあ早速やろうぜ」

 

月破壊に賛成のナツがせかす。

 

「まあ聞け、俺は村を白眼で見たが特に変わったところはなかった」

「だからなんだってんだよ」

「それがどうかしたのか?」

 

ナツとグレイは分からないのか?

 

「ちょっと待って!白眼って何?」

「白眼とはこれだ」

 

俺は白眼を発動する。

 

「嘘……眼が白い、何で?」

「何でも何も、これが白眼という眼だ。そして洞察だけなら写輪眼よりも優れている。この眼で見ても異常がなかった」

「異常がない?どういうことだ?」

 

グレイがもっともな質問をする。

 

「分からん。だから調べる必要がある。この島には何かあるはずだ」

「そうか」

「どういうことだ?」

 

全員が考え込むなか、ナツだけはいつも通りだった。

 

みんながナツを呆れた目で見る。ネコに呆れられる人間って…。

 

「ナツ、あのな―――」

 

俺がナツに説明しようと口を開いたときだった。

 

「ちゅ~~~」

 

巨大なネズミが俺たちの横から出てきた。ネズミだが、その大きさ的に、ネズミと認めたくないな。

 

ネズミの頬が膨らむ。

 

「おい!何かを吐き出すつもりだぞ!」

 

分かってるって、グレイ。風遁……

 

「ぶは~~~~~~~~~」

「大突破」

 

煙状のブレスを大突破で吹き飛ばす。

 

「くっせーーー!!」

 

確かに臭いな。吹き飛ばしたのに臭うって相当きつい臭いなんだな。良かった、吹き飛ばして。俺やグレイが臭うってことは、嗅覚の鋭いナツからしたらとんでもなく臭うんだろうな。

 

「うげっゲホッゲホッ」

 

自分の口臭?を喰らってネズミが咳き込む。

 

「今だ!!」

「おおっ!」

「分かってる!」

 

俺の言葉に、ナツとグレイは当然だと言うように構え、返事をする。お前ら、好戦的すぎるだろ。人の事言えた義理じゃないが。

 

「火遁豪火球」

「火竜の咆哮」

「アイスメイク・ランス」

 

俺たちの攻撃を喰らいボロボロになり、ネズミは倒れる。

 

「よし、先に進むぞ」

「あんたら、容赦無しね……」

 

俺の合図は逃げるものだと思っていたルーシィは、俺達を見て呆れ、そんなことを言う。

 

それからしばらく歩くと建物が見え、近づくと、それは遺跡みたいなものだった。

 

中に入ると、中はボロボロだった。相当古い建物らしい。床から、石を破って木が生えていたり、オブジェ的なものが、崩れたりしている。

 

さらに、至るところに月の紋章みたいな物がある。確かこの島は月の島と呼ばれていたな。

 

「月の島に、月の呪い…月の紋章。この遺跡、なんか怪しいわね」

 

ルーシィも何か気になるらしい。

 

思案に耽っていると、ナツが床をガンガン蹴る。ボロいから床の心配をしているらしい。

 

なんか嫌な予感が……。

 

ガコン!

 

ナツの足が床に埋る。そして床が崩れてその近くにいたルーシィとグレイ、ハッピーが落ちていく。

 

俺は土遁軽重岩で浮き、回避する。下は結構深いらしいく、声が遠くなる。というかハッピーは何で落ちたんだ?

 

まぁ固まってくれてた方がいいんだけどな。一応S級クエストだからな。

 

とりあえず白眼で見たが、特に心配は要らないようだ。良かった。

 

じゃあ下はあいつらに任せて、俺は上を探索するとしますか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ってぇ~。何でこいつはいっつも後先考えないんだよ!

 

「ここどこ?」

 

ルーシィが場所の確認をする。まぁ上に穴があるから遺跡の下なのは確実だな。

 

「秘密の洞窟だー!!探検するぞ!!」

 

ナツが走り出す。

 

「おい!もう余計なことするな!!」

 

ナツを注意し、周りを見る。シスイはいないのか。てことは上だな。

 

「な、なな…」

「え…嘘…」

 

ナツとルーシィが何かに驚いたような反応をみせる。何があるのかと二人の見ている方を見る。するとそこには、氷付けの怪物がいた。

 

「デリオラ!!?」

 

俺は思わずそいつの名前を叫ぶ。

 

「そんな…バカな……何でこんなところに…」

 

何でこんなところにこいつがいる!!

 

「知ってんのか?コイツ」

「あり得ねえ!こんなところにいるはずがねえんだ!!」

 

いったい誰が……。

 

「何なのコイツは?」

 

ルーシィの疑問に答えるように説明する。

 

「デリオラ、厄災の悪魔…しかもあの時の姿のままだ。どうなってやがる」

 

その時、足音が聞こえてきた。俺達はそれが誰なのか確認するため、ひとまず隠れる。

 

「人の声がしたのはこの辺り」

 

現れたのは二人組の男。なんか漫才しているようだが、俺の頭には入ってこない。

 

「ユウカさん、トビーさん、悲しいことですわ」

 

さらに一人女が出てきた。

 

「シェリー」

「アンジェリカが何者かにいたぶられていました」

 

女はシェリー、男はユウカとトビーというらしい。

 

そいつらは侵入者、つまり俺たちの存在に気づいた。

 

その後、霊帝とか言うやつに報告するためその場を離れていった。

 

「ややこしくなってきたな」

 

とナツが。

 

「何者なんだろうね」

 

とハッピーがあいつらについて考察しているが、俺はデリオラの事で頭が一杯だ。

 

「どうやってデリオラの封印場所を見つけたんだ……」

「封印場所?」

 

俺はこいつらにデリオラの事について話す。

 

10年前にイスバン地方を荒らし回った不死身の悪魔で、北の大陸の氷山に封印されていた事。俺の魔法の師匠、ウルが命を懸けて封じたということを。

 

「霊帝…何者か知らねえが、ウルの名を汚すならただじゃおかねえぞ!!」

 

俺達はあいつらの目的を知るために、ここで待つことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方地上ではシスイが探索していた。

 

「特に気になるものはないな…」

 

この気配以外はな。遺跡に入ってすぐに気配に気づいたが、いつまでついてくるつもりだ。

 

一定の距離を保ち、後を付けてくる。害がないから無視していたが、ここまでずっと見張られていては、いい気がしないな。

 

俺はその気配の場所からは死角となる位置に素早くはいる。

 

気配は焦ったように追いかけてくる。そして角を曲がったところで、腕を掴む。

 

「ひょ!!?」

「さて、俺の後を付け回していったい何のようかな」

 

顔は仮面をしていて、誰だか分からない。

 

「さすが妖精の尻尾の門番か。気づかれていたとは」

 

俺のことを知っている?まぁ今はどうでもいい。

 

「そんなことより、貴様の目的を聞いている、答えろ」

「ほっほっほ」

 

仮面の男は腕を天井に向ける。この状態でなにを……と思ったら、天井が崩れてきた。

 

「なにっ!?」

 

俺は手を離し、その場を離れる。

 

「今のは……」

 

俺は崩れた場所を見る。すると、崩れた破片がもとに戻っていき、天井が元通りになる。

 

「時間操作系か」

「さよう、時のアークという失われた魔法(ロストマジック)の一つです」

「確かに強力だが、人には効果がないようだな」

 

あれば天井を崩す必要がないしな。直接俺の時を操ればいいだけなんだから。

 

「一度見ただけで見抜きますか。すばらしい洞察ですな。さよう、人には効果がありません。しかし、正確に言うなら生物に効かないの方が正しいですよ」

「そうかい」

 

ナツたちが下に落ちたということは、ここの下も空洞の可能性があるな。

 

「俺を付け回していたのは何でだ?」

 

俺はクナイを片手に持ち、質問する。

 

「取り引きしませんかな」

「取り引きだと?」

 

取り引き……しかし、何を取り引きするんだ?状況が全くわかっていないんだが…。

 

「あなたは依頼を止めて帰る、もしくは手を出さない」

 

つまり、依頼を解決しようとするとこいつらと当たるということか。

 

「見返りは?」

「今回の依頼の報酬の半額でどうですかな」

 

半額。この依頼は700万Jと黄金の鍵だから350万Jか。ま、関係ないけどな。

 

「お断りだ」

「おや?額が少ないですか、ならば全額でもいいでしょう」

「魅力的な取り引きだが、これはS級クエストでね。俺しかS級がいないんだ。だから止めるわけにはいかないな」

 

それにそこまでして俺を遠ざけようとするとは、相当ヤバイことをやっているんだな。

 

「そうですか。ではここで死んでください。フラッシュフォワード」

 

仮面の男は、俺の周囲、360°に水晶玉を展開した。そして無数の水晶玉の時間を操り、俺に一斉に迫ってくる。

 

「あぶねっ」

 

俺はそれを瞬身で素早く交わす。

 

「早いですね。しかし、いつまで避けきれますかな」

 

仮面の男は水晶玉で俺を追撃してくる。なんとか攻撃しようとしても、水晶玉の数が多く、攻撃に転じることが出来ない。

 

「ここまでこれを避け続けたのはあなたが初めてですよ」

「それはどうもっ!!」

 

瞬身で素早く移動しても、技を使う隙がない。かといって打撃で直接行こうにも、仮面の男の周りにも水晶玉があり、それで対処される。

 

仕方ないな。俺はクナイを仮面の男に向かって投げる。それは水晶玉に弾かれ、仮面の男の足元に落ちる。当然それにはマーキングしてある。

 

「ほっほっほ、どうしました?その程度の攻撃は当たりませんよ」

 

俺は少しずつ後ろに下がる。その際、クナイを取りだす。

 

「これが妖精の尻尾の門番の力ですか。些か拍子抜けですね」

「言ってろ」

 

俺はその瞬間、飛雷神の術で先に投げたクナイのところに移動する。

 

「え…!?」

 

虚を突かれ、一瞬茫然とする。俺はその隙を逃さず、相手の手を取り、地面にうつ伏せに倒し、クナイを首筋に当てる。

 

「きゃあ」

 

え!?きゃあ?

 

「お前!女だったのか!!」

 

仮面を外すと、紫色の髪が目に入り、続いて顔を見る。十人中九人は美人と答えるだろう容姿だった。

 

「離しなさいよっ!!」

 

つい見とれていたが、暴れ出したことで我に返る。俺は逃げられないようにしっかりと押さえる。さすが創作の世界。美人が多い。

 

「大人しくしろって」

 

しばらく暴れたが、やがて諦めたのか、仮面の男改め女は、大人しくなった。

 

「今の何?」

「今の、とは?」

「途中まではギリギリで避けていたのに最後になってあのスピードで近づくなんて、なぜ最初からしなかったのかしら」

 

飛雷神の術のことか。

 

「瞬身だけでは避けられなかったからな。それ以上のスピードが出せる移動法を使っただけだ。正直、対人でこれを使ったのは初めてだ」

「あら、それは光栄ね」

 

というか、落ち着きすぎだろう。一応敵に捕まっているって言うのにさ。俺、嘗められてるのかな。

 

「そんなことないわよ」

「……何が?」

「逃げられないと思ったから諦めただけよ。開き直ったが正しいかしらね」

「…………心を読む魔法でも使ったのか?」

 

何で俺の考えていたことが分かる。

 

「簡単よ、顔に書いてあるわ。意外と単純ね」

 

そうか、顔に出ているのか、頑張ってポーカーフェイスを身に付けないとな。

 

「それで、私をどうするつもり?」

「どうすると言われても、お前の目的が分からないとどうしようもないな」

「甘いわね」

 

甘いと言われても、俺は平和が好きだからなー。穏便に済ませたい訳ですよ。穏便に。

 

「まあそれは置いといて、目的は?」

「あら、素直に答えると思う?」

 

ですよねー。でも俺相手にそれは悪手だけどな。

 

「答えてくれないなら、幻術で無理やり聞き出すけど?」

「好きにすれば?」

 

おや?予想外の反応だな。

 

「ちなみに、その幻術をかけると、知られたくない過去とかも知ることができるんだけど、いいかな?」

 

知られたくない過去が無ければ意味ないけど、そんな人っていないよね。ナツは大丈夫そうな気がするけど……。

 

「……話すわ」

「ありがとう」

「女の過去を知ろうなんて、いい趣味してるわね」

「あ、あははは」

 

別にそういうつもりはないんだけどな。それにそれが目的なら、なにも聞かずに幻術にかけると思うんだけど、今は言わなくていいか。

 

 

 

 

 

 


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