【習作】日本帝国×日本国(マブラブ Muv-Luv) 作:門前緑一色アガり鯛
難しい。難し過ぎるよ。
低レベルなのは分かっています、ゴミカスみたいな文章でごめんなさい。
でも始めたからには一応終わらせたいので、この様な駄文を公衆に今後も晒し続けることをお許し下さい。
多分図とかが無いとわからないと思います。にじファンみたいに挿絵が投稿できたら・・・・。
イメージとしては、日本地図を二枚重ねてください。
そして佐渡島のあたりにピンを差してください。
そして上の一枚を丁度180度回転させます。
2つの日本列島はだいたいこんな感じの位置関係です。
第2話
12月26日 午前7時10分
時刻は既に午前7時を過ぎ、日の出を迎えた日本海の一角に「暗がり」が口を広げていた。
「まるでハサミで空間が切り取られたよう・・・と言った具合ですね。」
「ああ、誰が言い始めたか知らんが、事実は小説より奇なりとはよく言ったものだな、副長。」
事の顛末はこうだった。
あのあと「はるな」は速やかに反転した。
そして反転して暫くするとレーダーの異常は回復し、僚艦を捉えることが出来た。
それを受けて詳しい状況分析と上層部への報告のため一旦待機状態にあった「はるな」以下3隻の目の前で再び信じ難い現象が起こった。
朝日が顔を出す直前となり周りの空一帯が白んできているというのに、一向に目の前の海域だけは暗いままで、ついに日の出を迎えてもそのままの状態つまり暗がりのままという現象が観測されたのだ。
光の明暗差によって顕になった輪郭。
それは虹のように海上の二点から半円の弧を描いていた。
二点間の距離はおよそ10km弱といったところだった。
そこだけ夜が明けていないのだ。
こちら側から差し込む光によって「向こう側」も近い範囲は視認でき、そこはこちらと同様に海原が広がっていると確認できた、完全な暗闇という訳ではないが、光が差し込まない向こう側の奥はよく確認できずにいた。
そして現在に至るというわけだ。
「まるでSFですね・・・。」
川満が漏らす。
「SFだろうがなんだろうが、我々は眼前の事象に対処しなければならんよ。
よし、艦載ヘリを「向こう側」の観測へ出せ。」
「了解!」
そして、ヘリが当に発艦しようとしたその時、
「左艦首艦影視認!!」
その報告は「向こう側」はレーダーが効かないために、双眼鏡で前方を監視していた観測手からだった。
大崎と川満も首に掛かっている自らの双眼鏡を取って確認する。
見えたのは光点と薄っすらと見える船の輪郭。
「あきづき・・・か?いや、そんな筈はない。」
それは、あきづき型護衛艦だと思われたが、即座に自分の言を否定する、否定せざるを得ない。
あきづき型護衛艦は、昭和30年代中頃に2隻が就役したが、老朽化と兵装の陳腐化により昭和末期には練習艦へと回され、平成5年に2隻とも除籍されているのだ。
たしか除籍後は江田島に係留されスクラップか標的艦になるの待っていたはずだ。
約10年も放置され自力で走行もできない、しかも舞鶴より更に遠い江田島にある船が、この佐渡島周辺にいるわけがない。それはどうやっても不可能だ。
あれがあきづき型である筈がない。
大崎はそう結論づけた。
「艦長、「向こう側」はレーダーが機能しないため敵味方識別装置(IFF)も使えません。しかし、状況から考えてあれは、友軍では無いと愚考します。」
「ああ、分かっている、無線で呼びかけろ。」
<<此方は日本国海上自衛隊第3護衛隊群所属護衛艦「はるな」である。
所属不明の軍艦に告ぐ。
貴艦は我が日本国の領海に近づきつつある。
我々は国連海洋法条約に基づき無害通航権を認めるが、貴艦がその所属を明らかにし、我々の指示及び規則に従わない場合はその限りではない。
速やかに所属を明らかにし停船したのち我々の指示に従え。
以上のことが速やかに実行されない場合、我が国への攻撃の意志ありと判断し、速やかに然るべき措置をとる。>>
自分の額に汗が溜まっていくのを川満は感じていた。
自分の内心の緊張を自覚させられる。
無理もない。
無線ではああ呼びかけたものの、それは半分虚仮威しもいいところだ。
自分たちは今、「防衛出動」ではなく「海上警備行動」として出動している。
所属不明艦が此方に敵対する意志が明白となったとしても、宣言通り速やかに措置、言い換えれば「武力行使」を取ることなど出来ない。
「海上警備行動」はあくまで海上保安庁の業務代行という形であり、自分たち海自には自衛隊法ではなく警察官職務執行法・海上保安庁法が適用される。
極端な話「艦砲一つ(命中させることを狙って)満足に撃つことが出来ない。」
勿論、先制攻撃による戦闘、いや此方の威嚇攻撃の後の相手の攻撃を待ったとしても、それにすぐ反撃が許されるとなれば、勝機は圧倒的に此方にあるだろう。
なぜなら此方は3隻、しかもハープーン対艦ミサイルもある、対して相手の此方に対して有効そうな装備は艦砲ぐらいだ。
しかも、例の境界をまたぐ形ではレーダーが機能しないから相手はあの境界を超えて此方に接近し無い限りレーダーなしの射撃管制となるだろう。
此方のハープーンはそれ自体がレーダーを内蔵して自律的に目標に突入できるから境界を超えるた後にレーダーを起動させるようにしておけば何ら問題はないのだ。
最悪、艦砲同士の殴り合いになったとしても数の上で此方が優っている以上此方が有利だ。
だが、上記のように自衛隊が武力行使に移るには、自衛隊の最高指揮官たる総理大臣から「防衛出動」が発令される必要があるのだ。
果たしてどうなることか?
期待することも、全く期待しないことのどちらも出来ないな・・・。
もし総理大臣が約十年前の村山富一などであったとしたらそれは絶望的であることは言わずもがなだが、自民党政権の今でもはっきりとは分からない。
そんな川満の考えを察したのか・・・・
「案ずるな副長。覚悟はできている・・・。」
その一言を告げると大崎は無言で川満とじっと目を合わせた。
その目は暗に伝えていた。
「最悪の事態となれば、私の独断で反撃する。私が全責任を負う。」と
もしそうなれば、職を失い、犯罪者として裁判にかけられ、メディアと自称進歩的知識人と政治家に糾弾され吊るし上げられるだろう。
付き従う部下を、そして何より、此処から僅か100 km足らずの後方で今まさに平穏に暮らしている日本国民を護らんとするために、それを従容として受け入れるという上官に川満は畏敬の念抱かざるを得ない。
川満と大崎は暫し無言で頷き合う。
数秒後改めて意を決した大崎は軽くため息を吐く。
その時、また観測手からの報告が入った。
「不明艦の艦尾に旭日旗が掲げられています!」
先程より彼我の若干距離がつまり、それにより此方側からの日光で不明艦がより明瞭に見えるようになったためだ。
それを受けて大崎は思う。
旭日旗は海上自衛隊及びその前身の大日本帝国海軍の自衛艦旗(軍艦旗)、それを掲げているというのは・・・、いや、あの艦が友軍でないは極めて明白ないこと・・・、ならば、無線で告げた当初の通りの対応でいくべきだ。と
「艦長!不明艦より返信来ました。読みます。
我々は、日本帝国海軍舞鶴基地所属、駆逐艦「雪風」である。
我々は、哨戒任務中に我が日本帝国領海内での原因不明の発光現象を観測し、その調査していたものであり、我らは我らの領海内に於いて他国の指示に服することは出来ない。
しかし、我らには貴国へ対する攻撃の意志はない。
それを明白にするために我々は自主的判断により適切な処置をとる。です。」
雪風は敵意がないことを示すためか、右へ舵を切り、そしてその主砲・副砲の仰角を一杯まで上げたうえで右舷に向けた。
一方「はるな」では、読み上げられた返信は当然ながら、大崎以外の艦橋いた者たちの耳にも入ったわけだが、その誰もが耳を疑う、腑に落ちない、齟齬を感じるといった具合であった。
相手が問答無用で戦端を開いてくる、例を上げれば北の不審船ような、不逞の輩ではなく一先ず良かったと安堵する気持ちも艦橋の面々に無いことはなかったが、やはり疑問符や警戒感が先行していた。
それもそのはず、「大日本帝国」は「日本国」の戦前の国号であるが、日本帝国などはそもそも今も昔も国号として使われたこともない。
つまり、日本帝国などという国は歴史上にも現在にも存在しないのだ。
だが、それを名乗る者たちが今、眼の前に現れている。
酔っぱらいの戯言などでは断じて無い、明白なものを彼らは伴っている。
我々のものではない軍艦を海に浮かべそう宣言しているだ。
だが、指揮官としてあくまで冷静な大崎の頭には、現況の認識に関して複数の要素が飛び交う。
佐渡島の原因不明の消失。
共通する発光現象の目撃。
空間に生じた半円状の切れ目。
その前後の空間での明らかな差異。
「日本帝国海軍」と名乗る軍艦の出現。
そしてそれらを結びつけ、ひとつの仮説をたてる。
そして、一つの決断をする。
「副長、無線を私の方へ。私が直接呼びかけよう。
それと、此方側も主砲を左舷に向けよ。「あぶくま」と「みょうこう」にもその様に伝えよ。」
そして、3隻の主砲が雪風とは反対側にあたる左舷に向けられたのを確認した大崎は、雪風への呼びかけをはじめる。
先ずは、穏便な対応に対する謝辞から入り、それから自己紹介を行い、そちらの責任者と直接やり取りをした旨を伝えた。
とにかく情報が欲しい雪風側もこれを承諾。
かくして無線によるトップ同士の対話が始まった。
「改めて自己紹介申し上げる。
私は日本国海上自衛隊第3護衛隊群所属護衛艦はるな艦長大崎幸雄一等海佐。
先ずはこの交渉に応じていただけた事に礼を申し上げたい。」
「はじめまして大崎一等海佐。
私は日本帝国海軍舞鶴基地所属駆逐艦雪風艦長東中野修中佐。
我々としてもこの様な場を持てたことは本意であるし、我々こそそちらの冷静な対応に礼を申し上げます。」
先ずはお互いに挨拶から始めて行く。
「さて東中野中佐、早速ですが話を始めさせて頂きます。
我々は、いままで日本帝国なる国家を認知したことがありません。
また、我が日本国は、一時期「大日本帝国」という国号を使用していた時期はありますが、「日本帝国」という国号を使用したことはないのです。
つまり、我々はあなた方の「日本帝国」という国について知る所が無いのです。
恐らくは、あなた方「日本帝国」も我々「日本国」について同様だと思います。」
「はい。確かに我々もあなた方のおっしゃる「日本国」という国家について聞き及んだこともありませんし、我が国の国号に日本国というのを用いていたこともありません。」
「東中野中佐・・・・・、一人のただの人間が、自分たちと同じ言語を以って同じ旗を掲げ全く聞いたことのない組織を名乗り、今まで見聞きもしたこともない名前の国の者だ主張しても、酔っぱらいか精神異常者の唯の戯言であると一笑に付す事が出来ましょう。」
数秒間を置いて、続ける。
「ですが、我々はお互いにその裏付けを持っています。
我々があなた方の艦の後ろに広がる日本列島を確認できているように、あなた方も我々の艦の後ろに広がる我々の日本列島が見えるはずです。
また、何によってひきお起こされたのかわかりませんが、我々とあなた方の間にあるこの半円状の空間の切れ目も確認できていますでしょう。」
「つまり、異なる2つの世界がこの切れ目を通して繋がっている状態で、我々とあなた方は異なる世界のもう一つの日本ということなのですか?」
「はい、私はその様に考えています、東中野中佐。
ここを境に明らかに空間に差異が生じているではありませんか。
また、あなた方が観測したという発光現象がどの様なものかわかりませんが、我々も実は先程、発光現象を観測しています。その直後に我々の眼前に現れたのがこの切れ目なのです。」
「大崎一等海佐、小官も先ほど述べた説が妥当であると判断します。
ここに至るまでは六分・七分そう考えていましたが、この交渉を通じて確信しました。
お伽話かSFのような事ですが、現実に起こっている以上は対応しなければなりません。まして、公僕の身なら尚更であると考えます。」
「同感です。
東中野中佐、今回もしできる事なら貴官と直接顔を付き合わせて交渉を持ちたかった。」
こうして海自と帝国海軍、日本海にて邂逅した彼らはお互いに現状に対する認識を共有するに至った。
そしてお互いに上に報告を行う。
その報告は軍組織から軍を監督する行政機関(日本国は防衛庁、日本帝国は国防省だ)へと上り、行政権のトップ内閣総理大臣へと行き着く。
さあ、ここからは行政の出番だ。
・この小説に登場する「自民党」とは「自由民主主義党」という架空の政党の略称であり実在する「自由民主党」とは一切関係ありません。
この小説に登場する「民主党」とは「民主主義党」という架空の政党の略称であり実在する「民主党」とは一切関係ありません。
この小説に登場する「社民党」とは「社会民主主義党」という架空の政党の略称であり実在する「社会民主党」とは一切関係ありません。
この小説に登場する「共産党」「日本共産党」とは「日本共産主義党」という架空の政党の略称であり実在する「日本共産党」とは一切関係ありません