すいません
「ーーでして、ISの基本的な運用は現時点で国家の…………」
…は〜あ、何言ってるんだ?
さっぱりわからん。
一夏は何一つとして理解をしていなかった、周りがノートをしっかりととっている中、クラスでただ一人眠そうに肘を突きながら虚ろな目で山田先生が説明しているスライドを見ているだけであった。
このIS学園というエリートを育てる為の機関は、入学試験も相当な倍率で入ってきて予習などもほぼ完璧に済ましてきた優等生ばかりである中、全く中学の頃から勉強していなかった一夏が着いていける筈が無い。
事前に渡された《必読》と書かれていた参考書ですらタバコの火で焦がしてしまい捨ててしまっていた。
一夏の眠そうな目に気がついた山田先生は、訪ねてきた。
「織斑君、何か分からないところがありますか?」
「はぁ…」
「分からないところがありましたら先生に聞いて下さいね!なにせ私は先生ですから!!」
眠い目を擦り取りあえず答えてみた。
「心配ないっすよ先生」
「本当ですか!」
…まあ心配はないな
「一切分からないんで」
「え…一切ですか…え、えっと織斑君以外で今の段階で分からない人ってどれ位いますか?」
挙手を促しても一人として手を挙げていなかった。
当たり前だろう、何せ最初の基本的な事しかやっていなかったのだから。
もう一度言うが、ここに集まっているのはえげつない倍率を勝ち上がってきた人しかいない、当然予習や復習をやれと言われる前にしてくるような真面目な女の子しか存在しなかった。
この学園始まって以来だろう、一切予習をせずに授業に取り組む学生など。
教室の端で控えていた千冬姉が訊いてきた。
「織斑、入学前の参考書は読んだのか?」
「…焦がしてしまいまして捨てました」
ズパン!
「焦がして捨てた…だと?…必読と書いてあっただろうが!この馬鹿者、あとで再発行してやるから一週間で覚えろ、いいな…」
「ってぇ〜、…はいはい、分かりました」
する気なんか一切起きないけどな。
「…貴様、自分は望んでここにいるわけではないと思っているな?」
…当たり前だ、誰が望んでいるんだ。
「望むか望まないかにかかわらず、人生の中で人は集団の中で生きなくてはならない。それを放棄するならまず人である事を辞めるんだな」
人である事をね……なら俺はそんな人生はいらないな。
「えっと織斑君分からないところがありましたら放課後に教えてあげますので…その」
「あっ、すんません」
前途多難な二時間目はこうして終わりを告げた。
…………………
「ちょっとよろしくて?」
「あん…!」
休み時間、いきなり声をかけられて驚いたが声をかけられて驚いたのではなく
少し見た目が似ていたのだ、鮮やかな金の髪。綺麗な蒼の瞳
生前自分が愛した生きている女に。
そいつがぎゃーぎゃー何か言っていたが何一つと聞いていなかった。
「って聞いてますの?さっきから私の事を見つめていましたけど?」
「あっあぁ、すまないな知り合いに似ていて……見惚れてた」
「っ…そ!そうですか…わたくしに見惚れていた、それならば仕方がないですわね」
女ならば知らない男であろうとも見惚れていたなどと言われれば悪い気はしないだろう、先ほどまでの剣幕な顔つきは変わり、満更でもない表情に変わっていた。
「あぁ、知り合いの雌猫に似ていてな…」
「なっ!…貴方、馬鹿にしていますの…」
再び親の仇でも見るような目つきに変わり一夏を睨む
「わたくしに話しかけられるだけでも光栄ですのに…知り合いの雌猫に似ている……貴方侮辱するにしても……こんな屈辱を受けたのは初めてですわ!」
机をバン!と叩き周りの女の子はおどおどとこちらに視線を当てていた。
「わたくしのようなエリートにクラスを同じくするだけでも奇跡なのに……」
「そうか、それはお疲れ…」
「意味がわかりませんわ!!」
女尊男卑と言われるこのご時世、一夏改めスパイクには過ごしにくい世の中であった。
こう言った相手をまともに相手をしているだけでイライラが募っていた。
…一夏には嫌いな物が3つあった。
ガキとけだもの……そして跳ねっ返りな女だ
街には何か勘違いした女がゴロゴロしていた、一夏も以前絡まれてイライラし、警察の厄介になった事が幾つかあった。
故にこう言った相手に対しては適当に接すること、それが一番であった。
相手も相手で大体は呆れて他を当たる事が多く、これが正解かもしれない。
「だいたいあなたはー」
キーンコーンカーンコーン
「っ………また後できますわ!」
「二度と来るな!…はぁ〜、退学に早くなんないかね…」
二度と関わりを持ちたくないと考え、早くも辞める事を考えていたが、まさかこんなにも早く……。
………………
3時間目、早くも寝ようと考えていたが千冬姉がいたため仕方がなく適当に過ごそうと考えている所、千冬姉が教壇に立ったようで、仕方がなく真面目に授業を受けているフリだけしていた、口に鉛筆を咥えて。
「最初にクラス代表を決めたいと思う」
クラス代表?………なんだそれ?
なんとなく聞いて分かったが、…とりあえず面倒くさい役職というのが分かった。
とりあえず決まった奴はご苦労…そんな事を考えていた時だった。
「はい!織斑君を推薦します!」
「私もそれがいいと思います!」
はあ!?
咥えていた鉛筆を落として立ち上がった。
「織斑席につけ邪魔だ、さてほかにいないのか?いないなら無投票当選だぞ」
巫山戯るなと言おうとした時だった
「待って下さい!納得がいきませんわ!
そのような選出は認められません!大体男がクラス代表だなんていい恥さらしですわ!わたくしにこのような屈辱を一年間味わえとおっしゃるのですか!?
大体文化も………」
ぎゃーぎゃーうるせえ女だな。
「うるせえな、くそまずい飯しか出せねえ国にいわれたかねえよ」
「なっ!?あっ、貴方わたくしの祖国を侮辱しますの!?」
「だいたいなんだあれは!フィッシュアンドチップスだっけ?あれなら天婦羅のほうが百万倍美味いじゃねえか!…いやそれよりも中華の方でなにか揚げた……あーなんだっけ」
場違いではあるが、セシリアをほっておいて一夏は他に美味い物を探していた。
「ふふふ、ここまで苔にされたのは初めてですわ!?決闘ですわ!」
「…はあ?」
こうして怒涛の1日野、授業は終わりを告げた。
イギリスのみなさんすいませんでした
作者はイギリスの事が大好きです!
フィッシュアンドチップスも自分で作る位好きです!
あの鱈の香ばし香りと衣の感じがマッチしてよく酒のつまみ作ります。
ただ一夏(スパイク)の感想ですのでスルーして頂けると幸いです。