1000001回生きた男   作:61886

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お疲れ様です、皆さんクリスマスは満喫できましたか?

…僕は本当に前ページ通りでした(泣)

彼女欲しいな………


4話

 

 

開始のゴングと共に先手を取ったのは鈴であった、手に余る程の豪快な両端に刃がある青龍刀をバトンの様に回し、慣れた手つきで角度を変え切り込んで来た。

 

一夏は距離を詰めてくる鈴に対し、一歩も動かず上空で仁王立ちするだけであった。

 

「(どうして一夏は動かないの?彼奴に限ってびびって動けないなんてあり得ない…まあいいわ、兎に角…もらったよ!)」

 

鈴の中の疑問は晴れずにいたが、これはチャンスに間違いは無い、警戒しながらではあるが自分の距離に入りそして。

 

「もらった!」

 

変則的に回していた青龍刀を切り替え縦に鋭く振り落とした、だが。

 

「っと、甘いぜ!」

 

僅かに半歩だけ後ろに下がり、鈴が振り終わると同時に強烈なミドルキックがちょうど鈴の振り下ろした腕に炸裂した。

 

「っいた!?ック」

 

バリアー貫通、ダメージ30。シールドエネルギー残量513。実体ダメージ、レベル中。

 

ダメージが貫通した!?…まさか見切られるとはね、まあいいわ…シールドエネルギー自体には余り問題ないけど、私自身のダメージの方が深刻よ。…許さないわよ一夏、嫁入り前の体に傷つけて。

 

…痛みが引かない腕を支え一度鈴は距離を取った。

 

 

「随分と手荒い挨拶だな鈴」

 

「…戦いの基本を知ってる?、先制攻撃って事を…まさか避けられて反撃されるなんて思ってもいなかったけどね…」

 

「安心しろ、もうしやしねえよ」

 

 

「そうね、二度は通用しないわ。…どこかまだあんたを舐めていた様ね、…本気で行くわ!」

 

「!?」

 

鈴の肩アーマーが開き、中心の球体が光った瞬間、一夏は目に見えない衝撃を受け下降し地面スレスレで止まり、大地に立った。

 

「ッウ!…効いたぜ今のは」

 

だが、鈴は喜ぶ事なく上空から冷たい視線を一夏に向けていた。

 

「…今、避けようと思えば避けられたでしょ一夏。なんで避けなかったの?」

 

 

「…なに、先に手ェ出したのは俺だ、一発ぐらいの不意打ちはゆるしてやるよ」

 

一夏の一言で鈴の雰囲気が変わった、先程までの少女の雰囲気では無く、憤怒を堪え内に秘めている様な表情で一夏を上空から見下ろしていた。

 

 

「…舐めてるの一夏?あたしと同じ代表候補生に勝ったからって舐めて掛かっているの?…言っておくけどあたしはそんな甘くは無いよ」

 

「…別に舐めてる訳じゃねえよ。これは俺の美学の問題だ。舐めてかかる程柔じゃねぇってのは承知の上でだ」

 

しかし、今の鈴に一夏の言葉は届かなかった。

 

「そう、いいわ。…ここからは幼馴染じゃないから。今のはジャブ、次は大砲で行くから…」

 

「…上等だぜ」

 

不敵な笑みを浮かべ一夏も上空へと上がり、両翼のスライドを外し、搭載されているガトリングの照準を鈴に合わせた。

 

………………………………

 

「…何なんだあれは?」

 

ピットからモニターを見ていた箒が呟いた。

 

「『衝撃砲』ですわね、空間自体に圧力をかけて砲身を生成、余剰で生じる衝撃それを弾丸として打ち出す…そんなとこですわ」

 

「…なるほど、概ね見えない弾丸って処か、あとは大気を使用しているからリロードの必要も無いな」

 

「…まあニュアンス的には間違いではありませんわ、その様に理解して頂いて結構です」

 

 

 

………………………………

 

「よく躱すじゃない。『衝撃砲』《龍咆》は咆弾も砲身も目に見えないのが特徴なのに」

 

幾らか落ち着いた鈴は一度口を開き、一夏を賞賛した。

 

「なに、如何やら追跡するような仕掛けは無さそうだからな、なら軌道上に入らなければ問題は無い、鈴の肩…いやお前の正面に立たなければ砲身が見えなくても何とかなるって事さ」

 

まあ推測ではあるのだか。

 

 

「…とにかく、あたしのプライドを侮辱したのは許さないから、格の違いを見せてあげるわ!」

 

鈴が再び特攻しようとした時であった。

 

ズドオオオオンッ!!!

 

 

「「!?」」

 

突然桁違いの衝撃がアリーナ全体に轟いた。

 

ステージ中央に煙が上がり見えないが、恐らく先程の何かがアリーナの遮断シールドを貫通して入ってきた『何か』であろう。

 

そして

 

「なっ!」

 

所属不明のISと断定。ロックされています。

 

 

煙が晴れ、姿を露わにしたが……その姿はまさに異形であった。見たこともない全てを飲み込む様な灰色の全身装甲のIS…何だこれは。

 

 

「ッチィ!」

 

正体不明のISから残りの煙を晴らすかの様にビームの連射が放たれた、一番近くに居た鈴をそっちのけで…一夏のみを狙ったかの様にして。

 

「(何なんだ?やっこさんまるで鈴なんか眼中にも無いようにして俺だけを狙って来やがって…)」

 

レーザを全て躱し鈴の隣に立った時、二人に通信が管理棟から入った。

 

『織斑君、凰さん、今すぐアリーナから脱出して下さい、すぐに先生たちがISで制圧に行きますので』

 

何時もの様にほんわかしてないなく、威厳のある声であった。

 

「…どうやら無理みたいっす、やっこさんのご指名は俺みたいなんで、…恐らく俺を追ってきますよ、それも周りを巻き込んでまでね」

 

恐らくではあるが、あのISは俺だけを狙っている、ならもし下がったら?混乱している会場の中…避難していねえ人間まで巻き込まれんな。…それにだ、今ここで相手しねえと観客席の人間にまで被害がいくなありゃ。

 

「鈴、下がってもいいぜ」

 

「…笑えない冗談ね、あたしも邪魔されて結構来てるのよ…」

 

「OK、なら行くか!」

 

『織斑君!だ、だめですよ!生徒さんにもしもの事があったらー』

 

『そんな事より生徒を避難させて下さい、あと千冬姉に言っといて貰っていいすか?、…飯くらい奢って貰うって』

 

それだけ言い残し一夏と鈴は管理棟からの通信を遮断した。

 

………………………………

 

「もしもし!織斑君!聞こえてますか!?凰さんも!」

 

山田先生はとにかく焦っていた、通信が切られた事を理解はしているが、そんな事を失念する位まで焦っていた。

 

「本人達がやると言っているのだ、やらせてみてもいいだろう。…ったく、まあ倒せたら中華でも奢ってやるか」

 

「お、織斑先生!何を呑気な事を言っているのですか!?」

 

「落ち着け、もう出来る事はやっている、コーヒーでも飲んだらどうだ?糖分が足らないからイライラするんだ」

 

「…あの、それ塩ですけど」

 

「…………………」

 

「や、やっぱり先生も弟さんが心配なんですね!だからうっかりそんなミスを…」

 

山田先生の一言で場の雰囲気が凍りついた。

無理もない、唯一の家族が危険と隣り合わせにいるのだが千冬は冷静を保っていた…まぁ結果的に崩れ去ってしまったが。

 

 

「落ち着いてくださいよ千冬さん…

焦ったら負けですよ、こんな時こそ氷の様にクールになって下さい」

 

何時の間にか千冬の側に移動していた箒が千冬の手を取り、千冬を宥め始めた。

 

「…何だ?篠ノ之」

 

「どうやら救助にも行けない見たいですね」

 

「…そのとうりだ、遮断シールドがレベル4に設定され、扉を全てロックされている。…現在三年の精鋭がシステムクラックを実行中だがな」

 

「そんな…」

 

セシリアは頭を押さえながらその場に座り込んでしまった。

千冬自身も苦虫を噛み潰したかの様に口元を歪め告げた。

 

「そうですか、まあ心配無いと思いますよ、あいつの…一夏の顔を見てくださいよ」

 

「一夏の?………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フッ、なるほどな」

 

箒に言われた通りに千冬はモニターに映る一夏の表情を見ると、先程まで表情から一変し自然と笑みが零れ、何時もの表情へと戻っていった。

 

「一夏さんの顔?どういうことですの?…笑っている、一体?」

 

その場に居たセシリアと山田先生は訳が分からずにいた。

 

「見てみろ一夏の表情、…笑っているだろ、楽しんでんだよあいつは。…誰よりも危険を楽しむ男だからな、…そうなった時の私の弟は負けないさ、強いぞ…そんな時の一夏は」

 

どこか誇らしげに千冬は二人に告げた。

 

「「…………………」」

 

 

二人は何も言い出せなかった、何も無い確証、信じる事が出来ないが…世界最強のブリュンヒルデに言われたらそう信じるしかする事が出来なかった。

 

 

「とにかく…賽は投げられたんですよ、山田先生、オルコット、今私達に出来ることは…茶でも飲みながら祈るだけですよ」

 

 

箒はそれだけ言い、備え付けてある椅子に座り込んだ。

 

 

…………………………

 

 

正体不明のISから雨の様なレーザが放たれている中、鈴と一夏はそこに居た。

 

「ッ、全然攻撃が通らないじゃないのよ、めんどくさいわねコイツ!」

 

「ずいぶんと硬えな、落ち着け…なるようになるからよ…」

 

 

「あんたね……大丈夫?あんたさっきから笑ってるけど…笑うしかないってやつ?」

 

 

正体不明のISは一夏だけを狙い、鈴には被害が行っては無いものの、一夏と鈴は徐々に押されて来ていた。

 

「フッ、心配ねえ。俺はこういうのが好きなんだよ。…それよかおかしくねえか?」

 

 

「…どういう事?」

 

 

鈴は視線を敵に向けた。

 

 

「まるで機械みたいに俺ばかり狙って来やがる」

 

 

「ISは機械よ何を言っ!………まさか無人機って事!?あり得ないわ!」

 

 

「それにだ、やっこさん攻撃の方法が寸分違わず同じ行動を何度も繰り返している、人間が操作していりゃ感急や乱れがあるが、それが一切見当たらねえ、ならコンピューターが自動的に制御してるってのも辻褄が合う」

 

「そんな、ISは人が乗らないと動かないのよ、無人で動くISなんて世界中どこにも…」

 

「あり得ないって事はあり得ねえぜ、…まあ無人なら問題ねえな」

 

 

不敵に一夏は笑みを浮かべた。

 

 

 

「鈴、少し時間を稼いでくれ、…主砲のエネルギーを溜めるからよ、こいつは戦艦だって紙みたいに貫くからな、あいつも無事なはずがねえ、んで溜め終わったら軌道まで奴を誘導してくれ、無駄なエネルギーを消費したくねえから」

 

 

「…何で今まで隠してたのよ?」

 

「言ったろ、戦艦ですら紙みてーに貫くんだ、…絶対防御ですら貫くかも知れねえぞ、危な過ぎんだよこれは…」

 

 

 

一夏はソードフィッシュの前に自機に接続してある巨大な筒を召喚し、エネルギーを溜め始めた。

 

「何よそれ、無茶苦茶じゃないの!…まぁいいわ…頼むわよ!何度もやらせないでねそんな事」

 

「安心しろ…弾は一発で充分だ」

 

隣に居る鈴が一夏の側を離れて正体不明のISへと突っ込んでいった。

 

「あんたの相手はあたしよ!」

 

青龍刀が入る距離に入り、振り下ろしたが

 

 

「ッウ!やっぱ硬い!?」

 

弾き返されバランスを崩した、しかし持ち直し再び距離を縮めた。

 

 

「ならこれはどう?ほぼゼロ距離だから効くわよこれは!」

 

ほぼ密着した状態での龍咆が敵を襲う、だがそれも…

 

 

「なによ…これも効いて無いじゃない」

 

吹き飛ばされはしたものの、それすら効いておらず、正体不明のISは何でも無かったかの様にして立っていた。

 

 

「鈴、もう充分だ。軌道まで誘導して合図と共に上空に離脱してくれ」

 

「遅いわよ!、…分かったわ、合図は?」

 

 

「何時もの通りだ…」

 

二人は共に鼻を鳴らし、不敵に微笑んだ。

 

「オーケー!」

 

龍咆で軌道上まで吹き飛ばし、動こうとする敵に向かい、鈴は青龍刀で移動するのを防いでいた。

 

 

「…Are you ready?」

 

「大丈夫よ!」

 

「OK… Three-two-one let's jam!」

 

合図と同時に鈴は離脱し、そして

 

ズガアアアンッ!

 

 

ソードフィッシュのプラズマカノンが轟音と同時に上空の正体不明のISを貫通し、アリーナの遮断シールドまで貫き天へと光の柱が突き刺さった、そして徐々に縮小していき…やがて消えていった。

 

 

バチバチ……………ドカァァァ!

 

 

胴体のど真ん中にプラズマカノンが貫通し大きな穴が空いた正体不明のISは火花を散らしながら墜落していき、地面に叩きつけられ、アリーナに音が響き動かなくなり、拳を握りしめ一夏の声が代わりにアリーナに轟いた。

 

 

「北京ダックでも食うか!」

 

 

こうしてIS学園全体を巻き込んだ事件は幕を閉じた、…多くの謎を残して。




NGシーン


「千冬さん、タバコ一本くれませんか?」


「…なんだと」

「此処で出来る事なんてお茶を飲むか祈る事か…タバコを吸う事位ですからね、ただ待ってるのも暇なんで下さいよ、あいつが何時もどんな感じで吸っているのか知りたいんですよ、さもないと中継室まで行って大声で一夏に声援を送りますよ」

「…面白いな私を恐喝するとは」

「堅いこと言わないで下さい、ここにいる人間なら誰にも言いやしませんよ」

渋々ではあるが、千冬は懐から出したタバコを箒に渡し、箒は口に咥えライターで火をつけ吸うと、思いっきりむせた。

「ゲホゲホ…あいつ何時もこんなの吸っているのか!」

「…お前にはまだ早い」


………………………………

戦闘描写が難しい…誰か俺に文才をくれ!(割とマジで)

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