千種学園
学園艦統廃合計画により、廃校になった四つの学校を統合した新学園。
男女共学だが、統合前の学校の内二校が女子校だったため女子の比率が高い。
生徒数が多いため艦の規模も大きく、生徒の通学には路面電車が用いられる。
「取り柄のない学校の寄せ集め」として世間からあまり関心を持たれていなかったが、生徒会や広報委員会の奮闘により各学科の活動実績が校外に知られ始めている。
出身校の違う生徒同士での軋轢もあり、特に航空学科では孤立主義の風潮があったが、農業学科の作った農産物を航空学科が校外へ売りに行くなどのシステムが作られ、次第に融和していった。
その一方、統合前の学校の伝統・校風を保つための活動も推奨されており、各校出身者の派閥作りが半ば公認されている。
航空機は九七式大型飛行艇やPBYカタリナ、T-6テキサン練習機などの他、エアレース用のHe100やP-51、大型輸送機An-124ルスラーンや輸送ヘリコプターMi-26をも保有している。
その一方で戦車道チームはマイナー戦車や欠陥戦車によるシュールな編成となったが、高い士気と隊長の采配により成果を上げている。
前身四校
トラップ=アールパード二重女子高校
一つの学園艦に二つの女子校が同居していた学校。
学園艦はテゲトフ級戦艦がベースだった。
艦首側にはオーストリア系のトラップ高校があり、音楽を始めとする芸術分野の教育が盛んだった。
艦尾側に位置するアールパード高校はハンガリー系で、スポーツ分野、特に馬術において非常に優れた実績を残していた。
船橋ら広報委員チームはトラップ、大坪たち馬術部チームはアールパードの出身。
学園艦内で起こった事故により、アールパード高校の保有していたサラブレッドが多数死亡し、馬術部が廃部寸前の危機に陥る。
アールパード高校は学校の顔である馬術部を救うべく、予算削減のため戦車道を廃止し、トラップ高校も隣人を支援した。
それでも衰退を止めることはできず生徒数も減少し、トラップ高校側も活動実績が徐々に悪化したこと、そして特殊な構造の学園艦ゆえ特に維持費がかかることから、百年以上続いた歴史に幕を降ろすこととなった。
両校の生徒たちは得意分野の住み分けがはっきりしていたため競争意識がなく、軋轢は少なかった。
逆にそれほど仲が良かったわけでもないが、廃校後は同じ悲しみを共有したことで団結が固くなっている。
在りし日のアールパード高は全国大会に出場した記録もあり、ハンガリー製戦車の他、パンターやヘッツァーなどを保有してそれなりの戦力を持っていた(それ故出費も多かったのが廃止された理由の一つである)。
トラップ高校では戦車道を行っていなかったが、希望者はアールパードへ出向してCV.35部隊に参加しており、また非常時のための救護班を派遣するなどサポートを行っていた。
UPA農業高校
ウクライナ系の学校。
学園艦は空母『ヴァリャーグ』(現:『遼寧』)に準じた形状だった。
北森たち農業学科チームの出身校で男女共学。
統合後も民族衣装や毛皮帽子を着用したり、ウクライナ民謡や舞踊などの活動をする生徒が多く、自分たちを『コサック』と称している。
千種学園になってから入学した一年生にも、華やかな民奥衣装や勇壮な舞踊、そして結束の固さに惹かれて派閥に加わる者は多い。
彼らを中心とした農業学科は時折生徒会の決定に反発し、学内でクーデターを起こすことがあり、時には戦車道チームが鎮圧に出動する。
クーデターの際には見物人に食べ物やグッズが販売されるなど、半ば恒例行事のお祭り騒ぎになっており、青師団高校から助っ人を呼んでトマト投げ合戦が行われたこともあった。
気性は荒くても情に厚い生徒が多く、他の学校の生徒からも徐々に親しまれてきている。
在りし日のUPA農業高校ではシンボルとしての役割が強かったT-35の他、T-34、SU-76i、35(t)などの戦車を保有していたが、隊員が問題を起こしたことにより、戦車道は統合に先立ち廃止された。
白菊航空学園
丸瀬ら航空学科チーム、三木たち鉄道部チームの出身校で男女共学。
学園艦は『鳳翔』の形状を流用。
航空機のみならず乗り物全般に関する教育に力を入れていた。
航空学科は統合後に入学した一年生を除き、全員がこの学校の出身である。
そのため航空学科は専門性の高さと相まって孤立主義の風潮が強く、他の学科の生徒からは近寄りがたい印象を持たれていた。
また海外提携先がないため、統合当初は他の学校の出身者を「バナナ(皮が黄色で中身は白い=白人かぶれ)」と揶揄する傾向もあった。
路面電車の運行に携わる鉄道部もこの学校の出身者がほとんどだが、他の生徒たちの日常と密接に関わっているため親しみを持たれている。
廃校の原因は航空機の墜落事故で、千種学園には死者の慰霊碑が作られており、献花が絶えない。
最近は他校出身者からも献花がされるようになり、航空学科も次第に千種学園の一員としての意識が強まっている。
戦車道は行っていなかったが、教材として九五式装甲軌道車ソキ、そしてカヴェナンター巡行戦車を保有しており、後者は「乗り物の設計において搭乗者への気遣いが如何に重要であるか」を生徒たちに教えていた。
生徒会チーム
河合美祐
好きな戦車:SK105キュラシェーア
好きな花:オキザリス
・千種学園の生徒会長を務める三年生。常に公正な姿勢から周囲の信頼は厚い。
・華族の血を引いており、普段表には出さないがそれを誇りとし、血筋に恥じぬ人間であろうと努力している。
・民主主義に一定の価値があると信じており、角谷杏のように強権を行使することを好まないが、危急のときには彼女を見習うつもりでいる。
・船橋と同じトラップ女子校の出身で、彼女とは互いを頼り合う親友であるが、それ故に意見をぶつけ合うこともある。
使用戦車
Mk.V巡航戦車カヴェナンター
武装:オードナンス 2ポンド砲(40mm)、ベサ同軸機関銃(7.62mm)
最高速度:50km/h
乗員:4名
・イギリス軍の巡航戦車。詳しくは登場キャラ・戦車メモ1を参照。
・初陣後真っ先に第一線から下げられ、『
・決勝前に八戸タンケリーワーク社から提供された改修キットを用い、試作車仕様(通称『真カヴェナンター』)に改造された。
・試作車は量産型より大型の冷却ファンを搭載し、車体は溶接装甲、転輪は軽量なアルミ製を使用。その後試験的にメリットブラウン式操向変則装置を搭載していた。
・結局アルミは航空機への供給が優先され、溶接工も不足していたために量産型は余計に残念なことになった。
・改修キットにはラジエーターの配管にかぶせる断熱材が付属しており、それによって居住性は少しは良くなっている(守保はパイプ自体を断熱構造にすることを望んでおり、連盟と協議中)。
・さらに2ポンド砲の口径を30mmに縮小するリトルジョン・アダプターを装備し、ゲルリッヒ砲と同じ原理で装甲貫徹力を増している。
農業学科Bチーム
東ハルカ
好きな戦車:T-84
好きな花:カンボク
・農業学科チームの二年生で、準決勝まではT-35の副車長を勤めていた。
・農業学科の代表である北森を尊敬し、実の姉同然に慕っている。
・北森らと同様にガサツな振る舞いが多く、その一方で縫い物や料理が得意な点も北森と同じ。
・観察力に長け、
使用戦車
CV.35快速戦車
武装:ブレダM38車載機関銃×2(8mm)
最高速度:42km/h
乗員:2名
(以上は基本形のスペック)
・いろいろな意味で有名なイタリアの豆戦車。
・CV.35はCV.33の後続モデルで、製造工程簡略化のため装甲を溶接からリベット接合に変えている。
・火炎放射型も存在し、また一部の車両は現地改良で対戦車ライフルを搭載していた。
・CVシリーズが戦車として貧弱なことは否めないが、輸出品としては一定の成功を収めており、ブルガリア、オーストリア、ハンガリー、ブラジル、中華民国などが購入している。
・千種学園の車両は車長席に四角いキューポラを取り付けたハンガリー仕様で、武装はオーストリア製のシュワルツローゼ水冷機関銃となっている。
・トラップ・アールパード二重女子高校の学園艦に眠っていたが、OGからの連絡により千種学園が回収した。