ヒカリが太一を落とすまで   作:斧我為

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 オリキャラ登場!

 そのせいで太一がキャラ崩壊しているかも知れません。

 ご注意を。


第2話 実際にあったこと

〜〜ヒカリと別れた後の太一〜〜

 

「まだ時間はある、か。ならちょっとジュースでも−−」

 

 買いに行こう。そう思って席を立とうとした太一は、

 

「ハッロ〜、太一君。ご機嫌いかが?」

 

 直後、聞こえてきた声に瞬間的に意識を切り替えた。

 

「何の用だ?」

 

 おおよそ、太一を知る者からしたら信じられないくらいには冷たい声。

 

 その声にショックを受けたように少女は泣き崩れる、振りをした。

 

「ひ、酷いわ、太一君。私が何をしたっていうの? 私はあなたの肉奴−−」

 

 そこまで語ったところで少女はその場から飛び退いた。

 

 その一瞬後、空手家も真っ青な蹴りが少女のいた場所を切り裂いた。

 

「てめえは! いちいち下ネタを交えなきゃ話一つできんのか!」

 

 怒りに満ちた、殺意すら交えて放たれた太一の咆哮。

 

 それを正面から受けてなお少女は平然としていた。

 

「ごめん、ごめん。“気にいった人はとことんからかえ”ってのがわが家の家訓でね」

 

「そんな家訓、家ごと滅べ」

 

「まあまあ、そんなに怒らないでよ。そんな目で見られたら思わず濡れ−−うん、ごめん。もうしないからその殺気をしまって? さすがに怖いから。もう用件に入るから、ね?」

 

「誰・の・せ・い・だ・と……! ……はあ。もういいよ。で? 用件ってなんだよ?」

 

 怒っていても仕方ないと思ったのか、ただ単に諦めただけなのか先を促す太一。

 

「そうそう♪ さっすが太一君。男前〜♪」

 

(ギロリ)

 

「睨まなくたって良いじゃない……。え〜と、まあ簡単に言えば中間報告よ」

 

 その言葉を聞いたとき太一の纏っている雰囲気が変わった。

 

「……何か分かったのか?」

 

 そう問いかける太一は真剣その物で、何かに怯えている様にすら見えた。

 

「ん〜、何かが分かった、と言うよりも何かが分かりそう、てとこね。ま、8月までには答えは出るわ」

 

「そうか……」

 

 その返答にどこか安心様に太一は息を吐いた。

 

「と・こ・ろ・で♪」

 

 少女のとても愉しそうな声に思わず引く太一。

 

「な、何だよ?」

 

「あの子がヒカリちゃん? 実物は初めて見たけど、とっても可愛いわね〜♪」

 

 と、言ったところで、

 

「おい……」

 

 先程までとは比べ物にならない殺気がその場を満たした。

 

「なぁに?」

 

 少女は平然と答えるが、その回りにいてしまった他の生徒の一部はあまりの恐怖に腰を抜かしてしまった。

 

 ……何故一部なのか?

 それは簡単な話だ。

 

 その一部の生徒は今までこの場に遭遇した無かった生徒で、他の生徒は何度も遭遇していたから。単に慣れているのだ。

 

 ちなみに慣れている生徒の中で“中級者”と呼べるものは平然と飯を食べ、または談笑している。

 

 そして“上級者”と呼べるものに至っては、

 

「おおっとぉ! 八神先輩はここで殺戮領域(キリングフィールド)を展開したぁ! この先どうなってしまうのかぁ!?」

 

 などと小声でふざけあう程の余裕があった。

 

 まあそれは置いといて。

 

 明らかに太一が何を言いたいのかを理解していながら、からかう口調で問い返してくる少女に苛立ちながらも太一は冷静に言葉を紡ぐ。

「俺をからかうのはまだいい。だがな……」

 

 そう言う太一の後ろにはオレンジ色の装甲に身を包んだ竜人が見える気がした。

 

「もしも。悪意でヒカリを傷つけたなら、その時は……覚悟しておけ」

 

 本気の殺気を、否、殺意をぶつけられながらも少女は平然と返す。

 

「ご安心ください。“可愛い子には真の幸福を”が私の信条ですから♪」

 

 その言葉に太一はため息を一つ吐き椅子に座った。

 

 ところで、

 

「ああ、太一君。ちょっといいかな?」

 

「ん? なに−−」

 

 と、問い返そうとした太一はしなだれかかってきた少女に驚き口を止めた。

 

 が、

 

「……何のつもりだ?」

 

 動揺の一つも無く太一は平然と聞く。

 

「あらあら、こんな美人さんに抱きつかれて、その言葉は酷くない?」

 

 少女は特に傷ついた様子も無くあっさり離れた。

 

「別に、ただ何となくよ。んじゃ、そろそろ帰るわね」

 

「ああ、そうかい。……て、ちょっと待て。さっきの話、もう光子郎には話したのか?」

 

「いいえ、この後よ。どうかした?」

 

「……光子郎には話さないでくれるか?」

 

 少女は太一の瞳の奥にある不安を見抜きあっさり返した。

 

「……まあ、構わないわよ? それぐらい。気持ちは分かるしね」

「そうか。……ありがとう」

 

「いいわよ、お礼なんて。いつか性的に−−」

 

「止めろ! このど変態!」

 

「きゃあ〜、怖い怖い♪ それじゃ、待ったね〜♪」

 

 太一の怒鳴り声に笑いながら少女は走り去っていった。

 

「はあ……全く。あいつが絡むと殆どろくなことにならねえな……」

 

 1時まであと数分後という時計を見て太一はため息を吐いた。

 

「うっし! じゃあまた頑張るか!」

 

 そう言って、太一は荷物を手早く片付けてグラウンドへと戻った。

 

〜〜10数分後、泣きじゃくるヒカリ〜〜

 

「ひっく、ひっく、うぁぁぁぁぁぁん……お兄、ちゃん、お兄ちゃん……」

 

 泣きじゃくるヒカリのもとに人影が近づきそして、

 

 ポン、と肩をたたかれた。

 

「っ!?」

 

 先程まで泣きじゃくっていたヒカリは驚き、思わず振り返る。

 

 そこには、

 

「ハッロ〜、泣いてちゃ駄目よプリティガール。可愛い女の子は笑ってなくちゃ♪」

 

 先程太一と仲良さげに話していた少女がいた。

 

「あなたは……」

 

「私? 私の名前は暁 折紙(あかつき おりがみ)。そんなことよりも、ねえヒカリちゃん?」

 

 少女はにんまりと愉しそうに笑って、

 

「ちょっと私と、お話しない?」

 

 その少女の言葉にヒカリは思わず、こくんと首を縦に振っていた。

 


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