史上最強の弟子ケンイチ〜宇喜田転生伝〜   作:夏野菜固定金具

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新たなる要素、出現。


磨き上げるモノ

第一拳豪に負けてから一週間が過ぎた。敗北は結構応える。精神的にも肉体的にも、だ。しかし周りはそんな事を気にしちゃくれない。今日も今日とてまだまだ小さいラグナレクを潰そうとやって来るヤンキー君達を返り討ちにしなくちゃならない。しかしながら自身の力も付けなくてはならない。こんな事では心や体が干からびてしまう。だがオレはこの世界で潤いをもたらしてくれるモノを見つけることができた。プリッキャーという女児向けのアニメだ。勧善懲悪の素晴らしさ、戦う少女たちの凛々しさを伝えてくれる人生において無くてはならないものなのだ。今日は劇場公開されているプリッキャーを観るために映画館に向かっているのだ。ヤンキー共に構ってなんかいられるか。

 

と思っていたら見つけちゃったよカツアゲ現場。プリッキャーなら見逃さないはずだけどオレプリッキャーじゃないし。ん、あのメガネの冴えないオッさんが取り出した財布、プリッキャーのキャラ物財布じゃないか。なんと、彼はオレと同じく同志だったのか。こうしちゃおれん、助けねば。コンビニ横の路地でカツアゲしている三人組の背後に回り込み、天誅とばかりに通天双指肛を三連撃で各々に撃ち込む。これで平和が守られた。

 

助けた結果オッさんと意気投合。オッさんがロリ趣味だということにカナリ引いたが、初対面の人の趣味にあれやこれやと口出しするのはダメだと思ったので、当たり障りの無い事を言って誤魔化した。そしてプリッキャーについての素晴らしさについて語り合い、お互いがお互いに尊敬し合う世代を超えたソウルフレンドとなった。嗚呼、プリッキャーは素晴らしいかな。んで一緒に昼ご飯を食べることに。良い場所知ってるというオッさんに任せ、彼行きつけの定食屋へGO!する事になったのだ。

 

で、着いたわけだアメリカン食堂と言い張る店、本場アメリカンに。店内に入った瞬間「へらーっしゅ」と店主、ジャモジさんのお出迎えがあった。注文はオッさんに任せて二人並んでカウンターに座ってだべっていたら、ジャモジさんの舌の根の渇かぬうちに来店者が。寂れている様に見えて結構流行っているらしい。

 

「あれ?フサさんここに居たんだ。帰ってこないから心……」

 

俺を見て固まる黒髪ショートの女の人。さっきオッさんの話しに出て来た虐げて来るトウの立った同居人かな?あ、オッさんに近寄ってヒソヒソ話し始めた。

 

「…れは……レンド。…………けて…れた…………。」

「………そ!……な……う…………い…なし………。」

 

会話の断片が漏れて聞こえてくる。おやや、段々とヒートアップして来た様だ。

 

「フサさん、正直に言って?幾ら借金した?どんだけ借りた?フサさんの内蔵だけで足りる金額?」

 

いや、見た目がアレっぽいからって勘違いし過ぎ。確かに勘違いされそうな人相だけど飛躍し過ぎだから。ていうかフサさん?信用無いな。

 

「そ、そんな訳無いだろラブやん!彼は俺とおんなじプリッキャー大好きな社会から爪弾きにされたドロップアウターさっ!」

「ロリ・オタ・プー三拍子揃ったフサさんの同類のわけあるかっ!殴って目を覚ましてあげるからどんなクスリで意識飛ばしてるか吐けぃ!」

 

なんだか酷く心に刺さるだろう言葉の応酬が続いていたが、それも勢いを増してヒートアップ。遂には手も出る足も出る喧嘩へと発展。

 

「てめえらぁっ!店ん中で暴れんじゃ無えぇっ!」

 

ブチギレたジャモジさんが日本刀ぶん回しながら奥の部屋から出て来た。何故か返り血を既に浴びている謎。奥の部屋で何してたんだ?そして血で手が滑ったためか日本刀がすっぽ抜けてオレに刺さった。

 

「「「あ、」」」

 

ジャモジさんとフサさん?とラブやん?さんの声が重なった。ヤバイいきなり過ぎてリアクション取れない。

 

「パスッ」

 

ジャモジさんが日本刀の柄をナフキンで拭いて引っこ抜き、ラブやん?さんにパスした。そしてフサさん?と二人でラブやん?さんを追い詰めていく。

 

「ラ、ラブやん、信じていたのに一体何故こんな事を。」

「ふぃー、なんてこった。この店の常連から犯罪者が出るなんてよぅ。」

「ち違っ!アタイじやないしっ!事故だしっ!そもそもはジャモジさんがっ!」

 

泣く寸前のラブやん?さん。しかも彼ら彼女らの知り合いが集まって来た。

 

「どーも、ラブやん先輩はここっスかぁ〜?って先輩っ⁉︎その日本刀とこちらでグッタリしてる人とのご関係はっ!」

「どーしたミノッチ、早く入…ってうわっ!え、遂に一線を越えてしまったのか?」

「ちーがーうーっ!アタイじゃなーいーっ!」

 

最早逃げられない。

 

「いやいやいや、とりあえず落ち着けって。」

「あ、い、生きてるぅー。」

 

涙を垂らしながらこちらを見るラブやん?さん。驚く一同。

 

「ラブやん、信じていたよ。」

「ふ、フサさんっ!」

 

そっと肩に手を置き、優しげな視線を向けて今更なセリフをほざくフサさん?に

 

「せっ‼︎」

「目が⁉︎」

 

プリッと擬音が聞こえて来るほどの華麗なる目潰しを放つラブやん?さん。血を吹き出しながらのたうち回るフサさん?。

結局この後プリッキャー宜しくの悪は滅びる展開になって、ジャモジさん共々罪を着せようとした奴らは〆られた。何だか疲れがどっと押し寄せて来てグダグダになった。んで袖触れ合うも他生の縁という事で自己紹介して解散になった。

 

もちろんそのあとでプリッキャーの映画は観たがジャモジさんの料理を食べ損ねた。機会があれば今度こそ食べようと思う。それと日本刀が刺さった傷は大したこと無くて良かった。ラブやんさん曰く少しチビったらしい。

 

 


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