高校生になって初めての夏休みが終わったよ。何故かまた病院のベッドの上に居るよ。何故かって?始業式の日に不良達に絡まれて喧嘩になったわけなんだけど、ハッスルしたバカの二人が軽トラック二台でプレスして来て、しかもその後火炎瓶を投げ付けて来るわけだ。本気の殺意を感じたね。高校ってこんなところだったか?まぁ少しの火傷と打ち身・打撲で済んだことにビビったけどね。そのおかげで現在検査中なんだけど、久々にブチ切れて
やって来たぜ退院日!首を捻る医者やあり得ないを呟く医者達からの解放だっ!看護師さんに好みのタイプは残念ながら居なかった。と言うより看護夫さんにカワイイねぇと太もも撫でられながら声掛けられた時はさぶイボがこれでもかと出て来たわ。ま、過ぎたことを愚痴ってもしゃーないし、母親さんのためにケーキ買いに行くかね。
「宇喜田孝造君かい?少しいいかな?」
ケーキ屋から出ると真っ白いスーツを着たメガネの
「家に帰った後でならいいぞ。」
とオレが面倒くさそうに言うと、そいつは微笑みながら一枚の紙を渡して来た。
「ではそこに書いてある場所で待って居るよ。」
まぁた喧嘩のお誘いを貰ったわけだが、そろそろラブレターの一つでも頂きたいお年頃である。
色付きのグラサンを掛けて、夜は少々寒い季節になってきたために長袖のワイシャツと黒いベストを着て指定された場所に行った。まさに平和島静雄の格好をした、少し筋肉が付いた平和島静雄な外見のオレ。だけど名前は宇喜田孝造である。と、お誘いを受けた廃工場に着いたようだ。中に入るか。
「やあ、待って居たよ。」
中にはメガネ白スーツとマッスルパツ金、ヘンテコメガネと褐色女がいた。喧嘩が始まるような雰囲気ではないなぁ。
「見ての通り喧嘩に誘った訳では無いのだけど、役者が揃っていなくてね。」
白スーツがキザったらしく、だけども似合う感じで告げてくる。そっか喧嘩じゃ無いのか。じゃ大人しく待つとしますか。
…しばらくすると黒フードやら羽根帽子やら筋肉ダルマやら個性派揃いの奴らが登場。仮装大会か何かをおっ始めるのだろうか?と、ここで白スーツが話しかけて来た。
「宇喜田君、申し訳ないがこちらに手違いがあって声を掛けるのが遅くなってしまった。済まないがこれから始まる催し物に参加してくれると助かる。」
いい加減君付けヤメろや。あと参加する分には構わない。とドスを効かせつつ言い放つと満足気に頷く白スーツ。結構イラつく余裕を見せつけてくれる白スーツにガンを付けながら待つこと数分、俺格闘技やってるからそこら辺の不良より強いよと言った具合の不良達が集まって来た。こちらは個性豊かな白スーツ軍団とは違いやる気満々である。
役者が揃ったのだろう、白スーツが前に進み出て言葉を発した。
「皆集まってくれて有難う。僕はチームラグナレクのリーダー、オーディーン。今日諸君らに来て貰ったのは他でもない…」
へぇー、アレがオーディーンで、ここに居るのが拳豪かあ。
「拳豪に次ぐ存在、準拳豪とも言える実力を持った者を探して居る。その実力を持ったのが君達だ。中には拳豪並の実力がある者もいるだろうが我々も暇ではない。全員この場で果し合いを行なってもらう…」
えぇー、聞いて無いわ。一言で済む話しじゃん。周りの連中はやる気満々だよ。ひょっとして知らないのはオレだけなの?しかも最後まで残ったらラグナロク入るの確定なの?でもそれは都合が良いから別にいいや。
「方式はバトルロイヤルだ…」
そりゃ都合が良いや。
「では、始めっ‼︎」
号令とともに殴り合いが始まった。さっさと終わらせよう。