史上最強の弟子ケンイチ〜宇喜田転生伝〜   作:夏野菜固定金具

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夏休み

拳豪戦も無事に終わり、拳豪候補として武田、古賀と辻、そして南條キサラが残る結果となった。そのせいなのかラグナレク全体が活気付くようになり、夏休み前後に沸いて出てくる(たぐい)の不良共を元気良く掃除している。それは多分、一般の構成員から拳豪が出るというある種の、構成員(ひと)が思う希望も要因の一つと言えるかもしれないが。次は自分が拳豪だっていうね。

 

そして夏休みまさかの補習であるオレ、宇喜田孝造です。転生してからあんまり勉強してなかったせいかと思ったが、解答欄を一つずらして書いていたようで一教科だけの補習で済んだ。国語の担当小野先生には申し訳なさでいっぱいになってしまう。だけどアレだ、担当が小野先生で嬉しいわ。ちょっとのんびりしてる処とか可愛らしいよね。モチロンその可愛さを見逃さない為に一番前の席をキープしているし、一言一句聴き逃さない心構えだ。

 

小野先生の補習という癒しの時間を満喫していると、路地裏でよく聞く話し声が響いて来た。夏休みの補習中、校舎は変に静かになっているため雑音の正体がこちらに来るのはすぐに解る。

 

「おい!宇喜田って奴はここに居るのか?」

 

勢いを付けてドアが開きガラの悪い奴等がやって来た。小野先生が涙目になってるじゃねーか。オレはここだぞ。

 

「へっへへ、ちょっとツラァ貸してもらおうか?」

 

五人程であろうか、ニヤニヤと顔をイビツにしながらやって来てこの言い様。小野先生は教卓の下に避難中だ。オレの癒しの時間が終わった。……うん、上等!屋上か?表か?好きな場所選ばしてヤるよ。

 

 

 

んで、やって来たのはビルとビルの間に出来て居る空き地。なるほどなるほど、人気が無い上に表からも見えずらい、格好の喧嘩スポットだ。それとなんでもこいつ等がほざくには拳豪候補と名高い武田、古賀、辻よりも劣るオレをフルボッコにして名をあげようとしているらしい。だったらこんなとこに呼び出しかけるんじゃ無くて闇討ちかけりゃ良いのによ。せっかく二十人ばかしに声かけたのにもったいない。お、いきなり鉄パイプで殴りかかって来やがった。

 

「囲め囲めぇー!エモノ持ってりゃそう簡単に投げられねぇぞぉー!」

 

中々ナイスな判断をしてるがそれじゃ足りない。今でこそ投げ技を使っちゃいるが本当は殴ったり蹴ったりの方が得意なのよ。

左右からの鉄パイプの一撃を右に大きく踏み込んみ、迂回するように躱す。ついでに避けた方向にいた二人をノドと鼻下に一発ずつ入れて倒す。そうしてほとんど一直線に並んだ鉄パイプの二人のうち、手前側の奴に撃壁背水掌を左手で見舞った。

 

「げっぼおぉ!」

「なんだぁっ!」

「ぎゃっ!」

 

未だ一撃を貰った奴が吹っ飛んでしまうが一応は完成した技だ。五人程纏めてお寝んねだ。おっと、後ろからのバットによる横薙ぎをしゃがんで躱す。今までなら脇腹に受けてから裏拳で殴っていたがアラン須菱先生のおかげで避けることの重大さが分かった。相手を見るように回転しながら立ち上がりつつ右足による中段蹴りを放つ。三人くらいだろうか、纏めて壁にぶつかった。

 

「な、何なんだよてめぇはっ!」

 

半分を瞬く間に倒したら、逆ギレかましたリーダー格が叫びながら突っ込んで来た。手にはサバイバルナイフが光っていたがノドに右前蹴りを入れて、動きを止めたところで踏み込んでからの左アッパーで宙に浮かす。すると二拍程の間を置いてちょうど良い所に落ちて来たので、右平手打ちで水平に空を飛んでもらう。そこからの流れでこども煉獄をコンボで発動。左手と右手を交互に振るって残ったザコを一掃して行く。

 

 

どうやら終わったみたいだが、なぁーんか視線を感じる。そっちを見ると道着と袴を来たロン毛がいた。どうやらやる気まんまんのようだ。

サッとソイツが手を振ったら幾つかの金属製であろう礫が飛んで来た。空手の回し受けで打ち払うとソイツはオレから見て右側に回り込むが、しかし衝撃が左側から来た。気配は感じなかったし撃ち漏らしも無いはずなので生き残りや伏兵の可能性は無い。オレが不審に戸惑って居るとさらにソイツは左手から礫を投げつけて来る。避けるのが面倒だったのでアッパー気味の右中段突きを入れた。礫の痛みやダメージは無視できる。これで終わりかと思ったが右手に痛みが。何とコイツトゲ付きのインナーを来て居るようであり、ニヤリと笑って飛び付き十文字固めを決めてきた。さらに右手がひるがえって鎖分銅を振るって来る。さっきの衝撃はこれが原因か。きっとオレの右手を十文字固めで決めながら鎖分銅でフルボッコにするつもりだろうが、

 

「な、なぁっ!」

 

体重が少し足りない。そのまま踏みとどまってハエの様にウザい分銅を左手でキャッチ。驚く顔のロン毛を睨みながら壁に向けてフルスイング!フルスイング!四回目辺りで手を離したので他の奴等同様に其処ら辺にほっぽっておいた。これで終わったはずだ。いつもならお掃除係りに連絡する所だが今日はヒデヒコさんの本屋でバイトなのだ。急がねば。

 

 

アルバイト先の本屋、ブックスハシモトに着くとヒデヒコさんが何やら言い争っている。どうにも常連客の中国人のオッさんがサイフを忘れた為に取り置きをして欲しいそうだが、すぐ近くにいる不良っぽい男もその本が欲しいらしい。ま、エロ本なんだけどね。てゆーか筑波じゃねーかあの男!結局オレが間を取り持ってこのエロ本は中国人のオッさんに売ることになり、筑波にはオレがいる時にイロイロと融通を聞くことで一件落着した。

 

「いやーありがとね。おいちゃん感激ね。何かお礼をしたいけど何かアルネ?」

 

中国人のオッさんがそう言うがどうしよう?あ、せっかく中国人なんだからオレの撃壁背水掌を見て貰って何かアドバイスもらおう!

結果子供の使う技にしてはナカナカネッ!とお墨付きを貰うとともに改善点なども教えてもらった。ついでに何か技を教えてと言ったらあんまし良い顔をしなかったのでそれ以上は辞めといた。でも常連さんだからサービスする旨を伝えたら、活人拳を学ぶならいつでも教えてあげるネ!とすんごい嬉しそうにしてた。原作知識で知っている活人拳も良いが現在はどちらかと言うと殺人拳に縁があるみたいなので、そのウチにという事にしておいた。

 

 

 

 

 

 




馬剣星さん登場。

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