第一拳豪に負けてから半年が過ぎた。既に春休み間近となる今日この頃。ラグナレクのトップ三人衆、通称スリーオブカードに武田共々呼び出された。ちなみに古賀は季節外れの食中毒のせいで欠席である。
「すまないが頼みがある」
凛とした空気を持つ女性、第三拳豪フレイヤが
「ここからは僕が話そう。」
と第一拳豪が言うに、ワルキューレは武器使い女組であり、件の南條キサラの格闘スタイルには合わないとのこと。しかし女でありながら負けん気が強く実力も相当有る為他に移ってもトラブルの元になる可能性が高い。それを解決するために遊撃隊の技の三人衆を名目上第三拳豪預かりとして、欠番となっている蹴り技に南條キサラを入れてワルキューレとの摩擦を減らす方向で収めるようにしようと決まったらしい。ややこしいことこの上ないが、そうまでしてプリッキャーを見たいという第一拳豪の熱意は伝わった。確かに常にオープンでいるには勇気がいる。隠れながら応援をするということもまた、ファンとしての形の一つ。
「さすがは第一拳豪、と言ったところか。」
思わす声が漏れた。そのせいで注目されているが気にしない。というか地味に古賀が欠番扱いになっている。あとパツ金第二拳豪、コッチを見るな!
「早速だが今から顔合わせだ。何か要望があればその時に頼む。」
第一拳豪がメガネのブリッジを指で押し上げながら言うと、第三拳豪が明後日の方を向きながら入って来いと声を掛けた。息ピッタリだ。入って来たのは癖の強い髪をセミロングにした少女、南條キサラだ。
「……………。」
あいさつすらせずブスッとした態度。視線すら向けやしない。と、武田がいつもの様に軽い空気で提案をした。
「
暴走だなんて、人を牛か何かと勘違いしてやいないか?それに暴走っぽいことになったのはあのクソ不良がプリッキャー缶バッジを踏みつけやがったからだ。タコ殴りにした後未完成の撃壁背水掌を連続で叩き込んでやった。おかげでまぁ連撃のコツを掴めたが
「!!!」
顔面に蹴りですかい。結構な
「宇喜田、だいじょぶかぁ〜い」
「あぁ、いー蹴りだ。これなら安心じゃねぇか?」
微動だにせず、着地を決めたキサラちゃんを見ながら武田と話す。グラサンは犠牲になった。
キサラちゃんは顔を顰めて口を開いた。
「ちょぉーっとまったぁー!」
キサラちゃんのセリフを遮った男、古賀太一が颯爽と登場した。
「華麗なる蹴りの貴公子、この古賀太一を抜きに話しを進めてもらっちゃ困るよっ!」
食中毒はどうした?と聞けば完治との答えが。離れたところにはやれやれ顔の辻隊の面々。道案内お疲れ様だ。そういえば華麗なる蹴りの貴公子は自称なのだろうか?武田に確認をしてみると、オレが武蔵○村へプリッキャーショーを見に行っている時に招集が掛かり、そこで似たような名前で呼ばれたとのこと。
「やいやいやい!そこの君ぃ!」
ズビシッとキサラちゃんを指差し詰め寄る古賀。話がややこしくなるなぁ。
「久我館流裏極意…」
低めの第三拳豪の声が聞こえた。
「
「はおっうぁ」
またしても古賀の尻に致命の一撃が見舞われた。
「穴を起点に脳を揺らした。意識が戻ることはもう無い……五分くらい。」
第一拳豪がポカンとしてる。
「話しはまとまった。今は互いの交流を深める為に技を披露する場。そこに乱入した者が巻き込まれた。不幸な事故だ。」
最後の方にはやけにイイ笑顔なって話した第三拳豪。古賀の尻は呪われているのだろうか?
「ぐっ、お・おー、」
なんと古賀が立とうとしてる。拳豪の一撃をもらったのにも関わらずだ。ナイスガッツ。
しかしここは技を披露する場、
「通天双指肛!」
「はっおうぉ!」
偶然にも
この後辻隊によって古賀は運び出され、話しは第一拳豪が言った当初の事項を踏襲することになった。ただ、この場に乱入者を連れて来てしまった辻隊は罰として、現権利剥奪の上に配置替えという憂き目にあった。多分古賀であろう人物の尻が蹴られる音が響いた。
話しは予定通りに終わった。さて今日は新番組、ふたりはキワキワ〜帰ってきた極みすと〜が始まる。第一拳豪も見るのだろうか?意外なところにプリッキャー好きがいたために若干テンション高めに家路についた。