Magic game 作:暁楓
いや、大分前にすでにできてはいたんですけどね? 五十五話作成中にこれじゃあダメだなと、五十四話の一から書き直したんですよ。で、やっと五十五話も書き終わったため投稿となりました。
繋ぎのため今回は短いです。
あと、感想を非ログインユーザーからも受け付けられるようにしました。すげー今更。
作者は現金な負け組ですよ。このゲームに呼ばれたらすぐ消されるようなクズです。ええ。
それから一ヶ月半……闇の書事件から二ヶ月近く経過した。
魔法による自己回復もあって、左脚の骨はもう繋がっている。ただ繋がっただけであって動きはまだぎこちない。リハビリ段階である。それでもまあ、その左脚を除いて治るところは治ったため退院。海鳴市の俺達の自宅での生活を再開している。
デバイス製作については、武器を造るための知識ならすでに入った。現在はデバイスの設計図を作成中。完成したらマリーさんに頼もうと思う。
あと、『左腕』はすでにものにしている。一ヶ月程前に完成して、操作訓練や『左腕』の操作数値の調整などをして、すでに普通に生活する上では知らない人からすれば本物と見間違うだろうというレベルにまで達した。調整して消費魔力を極限にまで抑えているとは言え魔力を食うため、必要のない時……特に自宅にいる時にはシステムを切るようにしている。出掛ける時には袖の長い服や手袋で『左腕』を覆い、鋼鉄の表面が露出しないようにしている。今は外が寒いからその格好でいいんだが、近いうちにミッドチルダへの引っ越しを考えている。
後は、
◇
雪が降る上に風も吹き……ようは軽い吹雪の中、俺はレジ袋を右手に歩いていた。
普段は海斗と末崎(名前は
「あー……寒っ」
行く時は雪こそ降ってはいたが吹雪いておらず、大丈夫だろうと思って買い物に出た。しかし帰る時になって風が吹き始め、こんな軽い吹雪状態になっている。
(確か雪は一晩中降るって予報だったか……今日はもうこの調子か?)
だとしたら嫌な話だ。明日早くに雪かきする必要があるし、それ以上に灯油の需要が増える。春にはもうミッドへ行く予定である俺達はとにかく節約を意識したいところだ。
買い物をするスーパーやデパートはいくつかおさえているが、今日行ったスーパーへの往復道は公園の前を通る。
いつも閑散とした公園でただ素通りするだけ、特に今はこんな天気なんだし急いで帰りたいものなのだが、ふと公園のベンチに誰かがいるのを見つけ、俺は立ち止まった。
「あいつは……」
それが誰なのかを理解し、俺は足の向きを
◇
雪が降り積もる中、私……夜天の書管制融合騎・リインフォースは一人寂れた公園のベンチに座っていた。
何かをしている訳ではない。何かを眺めている訳でもないし、誰かを待っている訳でもない。ただ一人で、何の目的もなくずっといた。
こんな天気の中外に居続けたら凍えてしまうだろう。
だが、そうなってもいい。むしろ、私はそうなってしまうべきなのだろうと思う。私は、温もりを求めてはいけないのだから。
ここ一ヶ月ほどの間、私は主と共に世界を渡り、闇の書事件の被害者と会って謝罪する日々を送っていた。
最後の闇の書事件の被害者は、はやてを想う騎士達の加減が功を奏し、『蒐集段階で』重い怪我や障害を負った者はいなかった。だがそれでも、私や主の謝罪を受け入れる者はいなかった。
そして、
いや、考え方としては逆だろう。今回の被害者は特別被害が軽かった。主はやてを犯罪者としないために、騎士達は手加減をして、重い怪我はさせなかった。
だがそれ以前の時には、
――この、人殺しが。
――この人喰いが。
――息子を返せ。
――お父さんとお母さんを、返して。
――局員だった妻を殉職させて、お前らは局員としてのうのうと生きてるのか。
――ふざけてる。
――ふざけるな。
――お前達なんかを許すか。
――お前達の名前も聞きたくない。
――お前達は死ぬべきだ。
――死ねよ。
――夫が受けたように、焼き斬られてしまえばいい。
――俺の親友は蒐集されてから心臓を叩き潰された。お前がそれ受けろよ。
――体中串刺しにされろ。
――リンカーコアを握り潰されて死ね。
……また、生きていた者も、完全無事な者は誰もいなかった。
リンカーコアに障害をきたし、魔法を使えなくなった者。神経が潰れ、身体を自由に動かせなくなった者。……そして、『彼』のように腕や目など、身体が欠損してしまった者もいた。
――腕を返せよ。
――車椅子の生活から元に戻してくれ。
――私の目、あなたのせいで何も見えなくなったんだよ。
――どんな魔法も入ってるんじゃないのかよ。
――何のためにあんたがいるんだ。
――呪いの魔導書は、結局呪いの魔導書か。
みんな闇の書を恨んでいる。みんな私を恨んでいる。
それが当然だ。被害者の中で、私を恨まない人はいない。そうなるのが普通であり、そうなるべきだ。
そうなるべきなのに、しかし『彼』――朝霧綾だけは、私に恨みの言葉を向けていない。
どうしてだろう。
彼は私のせいで、腕と目を失った。下手すれば命をも失っていたかもしれなかった。闇の書事件の後彼の友人、坂本竹太刀が行方知れずとなっているのも、私が原因だ。
それに、彼に心の闇があるのは間違いなかった。理由は、あのマテリアルの言葉。
――俺達闇の欠片は……オリジナルの悲しみや憎しみ、怒り、狂気……心の闇を元にして駆体構築をする……闇を持たねえで存在する人なんざいねえんだよ……。
――せいぜい……また後ろからぶっ刺されることがねえように……………気ぃつけるこったなぁぁぁぁ!!
最後の忠告は、彼の記憶を持っているからこそ言えたことだろう。つまり、彼の心の闇は、あのマテリアルは、私のせいで生み出された。
彼は私を恨んでる。恨まれて当然だ。
なのになぜ、彼は私に怨みの言葉を吐かないんだろう。
なぜ、彼は私に償いを求めないんだろう。
なぜ――
「こんなところで何やってんだ、リインフォース」
――あなたはこうして、私に声をかけてくれるのか。
私には、わからない。
新章までもうちょっとかかりそうかな。どうにか早く書かないと。