黒い銃弾とは何だったのか   作:黄金馬鹿

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今回からはフクロウの子の話ですね。新たに夏世ちゃんを仲間に加えていざ出陣

早くブラック・ブレットの八巻を読みたいあまりに学校でめちゃくちゃそわそわする俺がキモい


ナインパンチ

「もしもし木更さん?え?なに、誘導に成功した?」

『えぇ、いい具合に夏世ちゃんがショットガンでの牽制で誘導してくれたわ。もうすぐ着くからスタンバイよろしく!』

「あいよ。」

とある遊園地の中。蓮太郎はグッズ売り場のアルバイターをしていた。

ちょっとトイレ行ってくると同期のアルバイターに声をかけてサッと外に出る。来るとしたら入り口付近だろう。と、考えているとショットガンの爆発音にも似た銃声が聞こえてきた。

それが夏世の持つショットガンの銃声だとすぐに察し、一直線に建物を飛び越え進んでいく。

暫くしてショットガンを突きつけている夏世とやっと追い詰めた。という顔をしている木更と延珠。そして絶望に染まった顔色をしている今回のターゲット二人が目に見えた。

「待たせたな。」

建物の上から飛び降り、夏世の後ろで木更と延珠の前に降り立つ。

「今回の依頼であなた達の身柄は天童民警会社が捕縛させてもらいます。」

そんじゃ、とっとと捕まえますか。と蓮太郎が木更に手を差し出す。木更は察してロープを蓮太郎に渡す。

「天童民警会社って……あの天童民警会社?」

「知ってるのか?」

「そりゃあ……あの里見蓮太郎がいる事務所だって。」

「その里見蓮太郎は俺な。ほら、お縄についたついた。俺まだシフト中なんだから早く捕まってくれよ。」

数分ならまだ大の方かと思われるだろうが、流石に十数分もあけるわけにはいかない。

「っつかお前ら何やったんだ?確か俺らとは別の民警から追われてたんだろ?」

「それが……」

二人の青年と少女の内、青年が話した。青年はどうやら父親の借金の肩代わりをさせられ、ヤクザのバラニウム鉱山で強制労働させられていたらしい。

そして、隣の少女……朱里と共にその鉱山からジープを奪って命からがら脱出してきたそうな。

しかも、その鉱山では雇われた民警が気にくわない作業員を青年、常弘が知る限り三人も殺してるらしい。逃げるのも納得だ。

「蓮太郎、妾はこいつらが犯罪者とは思えんぞ。」

「私もです。」

「……嘘は言ってないんだな。えっと……小星常弘に那澤朱里……だったか?」

コクリ。と二人が無言の肯定。人の嘘は多少見抜ける夏世にアイコンタクトで嘘はついてないか?と聞くと夏世は嘘はついてないと頷く。

「……俺としては見逃したいが?」

「奇遇ね。私もよ。けど、もう連絡しちゃった。」

「って事は?」

「もうすぐ来るわよ。」

瞬間、風切り音。方角は後ろから。自分たちには角度と音と方角的には当たりそうになかったが、常弘の足には当たりそうだった。ここで刺さったらスプラッタ間違いなしなので自分の顔の横を通過した時、二本指で挟んで止める。ボウガンの矢だった。

「ようやく見つけたぞ、ガキ共が!!」

何処の世紀末の下っ端だと蓮太郎は思ってしまったが、モヒカンじゃないので違うかと分かった。

「とっとと連れ帰って殺して豚の餌にしてやらァ!!」

常弘の顔色は真っ青で朱里は常弘にしがみついてガクブルと震えている。

蓮太郎はやってきた民警を見る。民警の側にイニシエーターはいない。

「おい、イニシエーターはどうした?あの子は呪われた子供たちだぞ。プロモーターだけで連れて行けると思ってるのか。」

そう言うと、プロモーター……羽賀は目を逸らした。

「あー、いたな。いたいた。ギャアギャアうるさかったからぶっ殺しちまったぜ。ま、殉職扱いにすりゃあ代わりのイニシエーターなんて……」

「何言ってんだ……」

「ひょ?」

「俺のバトルフェイズが始まったぜこの腐れ外道が!!」

刹那。風が吹いたと思ったら羽賀が吹っ飛んでいた。

「次に民警やってるの見たら顔面が矯正必要な位の力で殴ってやるぞこの虫野郎!!」

見えないほど速く動き、殴ってたのに気付いたのは蓮太郎が拳を振り切った姿が一瞬見えたからだ。しかも、大の大人が吹っ飛ぶ力で殴っても本気ではない。その事実に常弘はポカンとする。

「里見くん!何してるの!?やるのは報酬貰ってからにしなさいよ!!」

「んなもんあいつが報酬払わなかったってことにしといてくれよ。」

「この……って電話だわ。はいもしもし……って十一区でガストレア!?里見くん、走りなさい!」

「俺バイト……」

「辞めなさい!」

「理不尽だな家の社長は!!お前らも就職するならこんな理不尽な社長の元に就くなよ!!経験者からの助言だ!」

急に指をさされて叫ばれたのでビクッとする常弘と朱里。

「いいから走りなさい!」

「わーってるよ!!掴まれ、延珠、夏世!」

「いえーい!」

「えいっ。」

「アデュー木更さん!」

「私も連れてけこの馬鹿!!」

結果、蓮太郎に延珠、夏世、木更が掴まり、蓮太郎はスポーツカー真っ青な速度で走り去っていくのだった。

そして、常弘は決めた。将来は蓮太郎のような強い民警に、朱里と二人でなろうと。隣でポケーっとしてる少女を見て思うのだった。

蓮太郎はバイトをクビになった。

 

 

****

 

 

「んじゃ、延珠、夏世。留守番しとけよ。」

「分かったのだ!」

「誘拐だけはしないでくださいね。」

「するか馬鹿野郎。」

今日は平日。蓮太郎は学校へと行く日だ。延珠と夏世は今は学校に通ってないため、留守番だ。

延珠の転校先は未だに見つかっておらず、夏世も延珠と同じ学校に編入させようと考えているので夏世の通う学校も保留中だ。

どうやら勾田小学校から色んな学校へと延珠の事が又聞きで伝わってるらしく、どこも延珠を受け入れようとしない。毎回それにブチ切れそうになりながらも抑えている。延珠はストレスで胃をやられてるが、いつか蓮太郎は怒りで血管をやるかもしれない。

「おはよ、里見くん。」

「おはよー、木更さん。」

途中、木更と偶然にも合流した。延珠ちゃんは?と聞かれるが、まだ学校が決まってないとだけ話す。

「……そう。大変ね。」

「あぁ。延珠のような奴は学校へ行くべきなのにな……」

「大切に思ってるのね。延珠ちゃんのこと。」

延珠の事をちゃんと考えている蓮太郎を見て微笑む木更。

「家族だからな。当たり前だ。」

蓮太郎は当然だと返す。この御時世、蓮太郎と同じ考えを持つ者は少なくはないが珍しい。蓮太郎は是非とも聖天子の発案したガストレア新法を可決してくれと何時も願っている

「そうね。それじゃ、そんな里見くんにお話がひとつ。」

「なんのだよ。」

「護衛の依頼よ。しかも聖天子様から直々のご指名よ。ヘマしないように。」

どうやら、スコーピオンを倒した後も蓮太郎に降り注ぐ厄介事は後を絶たないらしい。

蓮太郎の小さな溜め息は鳥の鳴き声にかき消された。

 

 

****

 

 

蓮太郎は指定された時間通りに聖居についた。守衛に要件などを伝えると記者会見室に守衛がバンズで蓮太郎が具のサンドイッチされて連れて行かれた。

中は綺麗に椅子が並べられおり、登壇には聖天子が登っていた。そして、聖天子が演説を始めた。

演習か。と蓮太郎は察すると、なるべく音を立てないように近くにある椅子に座る。が、ガタンッ。と大きめの音が響き、やべっと思ったその時にその場にいた全員が蓮太郎の方を向いた。

「ごきげんよう。時間通りですね、里見さん。」

「家の社長と居候が失礼のないように時間通りに行けって行って蹴り出されてな。仕方なく時間に合わせて歩いて来ただけだ。」

例え相手が国家元首でも蓮太郎はタメ口のままだ。何というか、蓮太郎はその無敵さ故に恐れという物を捨てたようだ。

「そうでしたか。」

と、聖天子と会話してると隣にいた聖天子の秘書らしき人物───名は清美と言うらしい───が聖天子にこの人は何者かと聞いてきた。

「この方あのゾディアックの一体を消滅させた東京エリアの英雄、天童民警会社の里見蓮太郎さんです。」

「レールガンで倒した事になってるんじゃなかったのか?」

「聖居に居る方の大半は真実を知っています。」

「里見蓮太郎って……あの元歌のお兄さんでゲイバーのストリッパーのあの里見蓮太郎!?」

「おーい、何だよその俺が変態みたいな言い方。」

「違うのですか?」

「聖天子様?言っていい冗談と悪い冗談っつーのがあってだな。」

清美の言葉に聖天子がニコニコとしながら便乗する。蓮太郎、軽くキレかける。

どうやら中途半端な報道規制のせいで蓮太郎の事は色々と歪んでネットに広まり、蓮太郎は元シイタケ栽培員とか元開運アドバイザーで元占い師でネットで噂されるあの『ワンパンマン』らしい。ワンパンマンだけは正解だ。

「俺をおちょくる為だけに呼んだのなら壁を破壊してマッハ3で帰宅させてもらう。」

「それやったら捕まえますよ?おちょくる為ではありません。あなたに依頼を頼みたいのです。」

「最初からそう言えっての……で、何をしたらいいんだ?」

聖天子がニコニコとしながら冗談を言うのに蓮太郎は彼女はこんな事も言うのかと考えながらも要件を聞くことにした。

「明後日、大阪エリアの斉武大統領が非公式に東京エリアを訪れます。」

「……これまた大々的な事が……」

斉武宗玄。大阪エリアで色々とやってると聞く大阪版聖天子と言った感じだ。性別も性格も真逆に近いが。

蓮太郎は一応斉武宗玄には会ったことがある。

「なんで今だ?」

「菊之丞さんの不在が大きいかと。」

「いねぇのか?」

「足を折ってるのに外国に出張に……」

「……」

なんか凄く申し訳なくなった。だが謝らない。

「……って事は、俺はジジイの代わりか?」

「はい。彼のやってた護衛の仕事を里見さんにはやってもらいたいのです。」

「あんたにゃ専属の護衛達がいただろ。」

よくテレビの端に写っている男たちのことを思い出す。

「はい。今からその方達を紹介します。入ってきてください。」

聖天子の言葉と共に軍靴が地面を叩く音が聞こえる。

「こちらが隊長の保脇さんです。」

保脇と呼ばれた男が一歩前に出て蓮太郎に手を差し出す。

「どうも、紹介にあずかりました、保脇卓人です。階級は三尉。護衛隊長をやらせてもらってます。お噂はかねがね。もしもの時はよろしくお願いします。」

保脇が手を差し出してくる。握手という事だろう。

「あぁ、よろし……」

刹那の間感じた悪寒。蓮太郎は本能に従い保脇の目を見る。

歓迎されていない。それは目を見ただけで分かった。だが、他にも蓮太郎は感じていた。蓮太郎の勘が告げている。

こいつは、自分達とは根元から違う。腐っていると。本能が告げている。

差し出そうとした手を引っ込め、保脇を睨む。

「里見さんっ!握手を返さないのは流石に……」

「……」

蓮太郎の発するただならぬ気配に聖天子が言葉を引っ込める。何か、蓮太郎の様子が先程までのおちゃらけた感じとは違う。

保脇は肩をすくめると手を引っ込めた。

その後話された報酬の話を右から左に聞き流すと聖天子は時間が迫ってたのか何処かに行ってしまった。

「あっ……出口……」

数十秒後、蓮太郎は見事にレッドカーペットが敷かれてる廊下で迷った。

窓を開けてそこから出るか?なんて考えて窓を探す。が、不意に後ろから殺気。倒すことは容易い。だが、何故殺そうとするのか知りたいがためにわざと捕まる。腕を組まれて近くの男子トイレの壁に叩きつけられる。額が壁に当たったが全く痛くない。

「喚くな。」

「お前がな。」

後ろから組み付いてきた二人をまず後ろに下がって壁から距離をとり、上半身をお辞儀をするように勢い良く曲げて組み付いていた二人を壁に叩きつけ、手を無理矢理開放し、鳩尾を死なない程度に殴り気絶させる。

「……何だったんだ。」

さらに背後に殺気。同時に撃鉄の音。

「……だろうと思ったぜ。」

後ろにいたのは保脇を含めた護衛官六人だった。

保脇は腰から大振りのナイフを取り出すと、蓮太郎を壁に再び叩きつけ、顔の横にナイフをつきたてる。

「聖天子様からの依頼を断れ。」

「……」

「目障りなんだよ。何がゾディアックを倒した英雄だ。たまたま放棄されてたレールガンで倒せただけじゃないか。あの場に僕がいれば僕がやっていた。」

あぁ、こいつらは本当の事を知らされてないのか。と蓮太郎は何の脈絡もないことを考える。所詮、こいつらが持ってる武器を一斉に振るおうと蓮太郎は殺せない。

しかも、あのレールガンには弾が無かった。どの道、保脇にあのスコーピオンを倒すことは不可能だ。

「やる事が小物だな。」

「黙れ。お前が僕の意思だけで地獄に落ちる事が分かっているのか。」

「その言葉、まんま返すぞ。」

「この民警風情が……貴様がいなければ聖天子様の隣は僕の居場所だったんだ。それを貴様は……」

「いつも傍にいるだろ。」

蓮太郎はそれのどこが不満だコノヤローと内心で付け足す。これ以上何か言ったら蓮太郎にナイフを突き刺して折れたナイフで傷ついた保脇が冤罪を擦り付けかねん。

「馬鹿めが。車中や会合でのお供と一緒にするな。それにな、里見蓮太郎。」

保脇が舌なめずりする。今すぐぶん殴りたかった。

「聖天子様はお美しく成長され今年で十六歳となった。そろそろ、世継ぎが必要だとは思わんか?」

「ケッ、ロリコンが。触んじゃねぇよ。」

「なんだと貴様ァ!」

まだ学生に例えれば高校一年生の少女に欲情する大人の何処が正常だこのロリコンがと付け足す。

保脇が拳銃を乱暴に突き立てる。

「で、返事は?」

聖天子の依頼を断るかだろう。

「お前の指図なんてギロチンで首を掻っ切られようと受けるか。」

「……手足を粉砕しろ。」

保脇が拳銃をしまい、後ろの護衛官に命令。護衛官が蓮太郎に組み付く。

手足を粉砕しようとするが、蓮太郎はビクともしない。

「手足の粉砕っつーのはな。」

蓮太郎が片足で一人の足を払い、腕を引っ張って拘束から外す。そして、もう一人の腕を握り、思いっきり握る。そして、倒れたもう一人の足を踏みつける。

「こうやって圧倒的力でやるのが一番なんだよ。」

何と言う暴論。だが、現に蓮太郎に腕を掴まれ踏まれている護衛官の骨はミシミシと悲鳴をあげている。

「貴様!!」

保脇が拳銃を抜く。

だが、それより早く蓮太郎がもう片方の手を拘束から解き、手をコイントスをするときの形にする。

親指を保脇へと向け、手加減して弾く。弾丸が発射されたような音が響いた瞬間、圧縮され発射された空気の弾丸が保脇の頬を掠った。

蓮太郎が新たに開発した遠距離攻撃、指弾。空気を弾き弾丸のように発射するというワンパンマンである蓮太郎だからこそ出来る芸当だ。

全力で放てばアンチマテリアルライフル真っ青な威力も出るであろうそれはもしかしたら影胤の斥力フィールドも貫くやもしれない。

「貴様……何をした!!」

「次は……当てる。」

次弾の装填は容易い。そして、ロックオンも。

聖居内では発砲できない。保脇は部下に行くぞ。と言うと去っていった。蓮太郎も聖居の換気用窓から出ていった。

 

 

****

 

 

聖居前にやっと出れて伸びをする。パキパキっと小気味のいい音が響く。そしてちょっとした爽快感。

さて、タイムセールも近いしとっととスーパーに行くかと歩き始めようとするが、聖居の前の噴水になにやらプラチナブロンドの髪の毛の子が自転車でぐるぐる回ってるのが見えた気がした。パジャマでスリッパ履いて。

疲れてるのかなと目頭を揉んでから暫く噴水をじーっとみる。確かに噴水を回っていた。パジャマでスリッパ履いた子が。頭が痛くなった。

触らぬ神に祟なし。と考えたが、流石に放っておくのもどうしたものかと考える。家に強制送還するのは容易いが話しかけづらい。

と、考えているとガシャーン。と自転車で転んだ音がした。

「ってぇなァァァ!?このガキャァ!!」

はいめんどくさくなってまいりましたと蓮太郎が額に手を置く。

仕方ないし助けるかと自転車をストンピングしてる不良三人に大きめの石を持って近付く。

トントン。と肩を叩き振り向かせる。威圧しながら振り向く。

「ここに石があるじゃろ?これをこうしてこうじゃ。」

蓮太郎はここに石があるじゃろ?の所で手の上に石を乗っけてこれをこうしての所で石を握り込み、こうじゃのところで粉砕する。ガゴッバキィッ!!と凄まじい音が響くが、蓮太郎の鋼の皮膚には傷一つつかない。そして、落ちている石の破片を拾い、こう言った。

「これが三秒後のお前たちの姿だ。」

不良三人は迷わず全速力で逃げ出した。




最初のシーンはアニメ版ではカットされた部分ですね。アニメ見てから原作買ったので最初はえってなりましたw

そして皆さん大ッ嫌いな保脇の登場。マジで死ねばいいのにと思いました

ティナちゃんはセリフありませんでした。次回からはちゃんとセリフあります

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