黒い銃弾とは何だったのか   作:黄金馬鹿

7 / 46
連日投稿するかと思った?したよ

ちょっとすぐに終わらせると文字数キツかったので戦闘シーンを色々と水増し

そして問題。蓮太郎はゾディアックをどうやって倒すでしょうか

1……海の上を走っていくしかなかろう。そしてぶん殴る
2……影胤、お前はゾディアックを倒したという名誉を受けるのだ……さぁ、飛べ、蛭子影胤!!
3……俺自身が弾丸となることだ!
4……ニュータイプは伊達じゃない!!

ちなみに、感想に予言者がいました


セブンパンチ

深夜の街を蓮太郎と延珠と夏世は走っていた。三人の足は教会へと向いている。

蓮太郎が人外レベルの速さで走れるし、モデル・ラビットが故にかなり速く延珠が走れるので延珠と蓮太郎は夏世の出せる全速力に合わせている。

もし、置いていった時にガストレアに襲われたら首の骨に異常がある彼女では死んでしまうかもしれないからだ。

「……すみません、スピードを合わせてもらって。」

「気にするな。お前を一人にしておけないからな。」

蓮太郎と夏世が話していると、延珠が文句あり気に見てくる。そんな延珠に夏世が耳打ちする。

「取ったりはしませんよ。」

「うぇっ!?」

「どうした、延珠。」

「な、何でもないぞ!」

そんな延珠を見て愉悦に浸った笑みを浮かべる夏世。この子の性格も大概である。

もうすぐ教会につく。と、そんな距離になった時、延珠が何かを蹴った。

「な、何?」

「……ッ!見るな二人共!」

蓮太郎が自分の体で二人の視線を遮る。

延珠が蹴ったのは『腕』だ。

腕の先に、体はない。蓮太郎は二人に目を閉じてろ。と言うと二人を抱えて走り出した。

この光景は子供にはキツすぎる。蓮太郎自身も気を抜いたら吐いてしまいそうだ。

夏世の首が悪化しない程度に走る。

暫くして、後ろに人の気配を感じた。威嚇には丁度いいだろうと夏世のショットガンをひったくって後ろに向ける。

数秒後、闇の中から出てきたのは夏世のプロモーター、伊熊将監だった。

「あんた……」

「将監さん!」

夏世が蓮太郎の手を離れて将監に近付く。が、途中で足を止めた。

「夏世か……?なぁ、俺の武器を知らないか……?あれがあれば俺は……」

そこまで将監は言うと、ドサッ。と音を立てて倒れた。背中には将監のバスターソードが突き刺さっている。

いきなりの事に頭がついていかなかった蓮太郎だが、すぐにAGV試験薬を手に将監に近付く。

呆然としている夏世を傍目に脈を確認する。

「……間に合わなかった……ッ!!」

蓮太郎が悔しそうに喘ぎ、首を横に振る。死んでいるのなら、AGV試験薬を使っても生き返る事はないだろう。

「そんな……」

「すまない……俺がさっさとこいつを打っておけば……」

蓮太郎はAGV試験薬をしまう。

「……ここに残るか?」

地面に座り込んで両手で口元を覆っていた夏世だが、ゆっくりと首を横に振った。

蓮太郎はそうか。と言うと、将監の遺体からバスターソードを抜き取り、将監の横に置いた。

蓮太郎は無言で夏世の肩に手を置くとすぐに走り出した。夏世も返されたショットガンを手に、延珠も蓮太郎について走る。

そして教会につく。

「蛭子影胤ェッ!!」

怒号。教会が震え、ステンドグラスが割れる。

蛭子親子はいた。教会の屋根にそびえる十字架の上に。

「やぁ、里見君。」

「さっさと降りてこい……」

「言われなくとも。だが、ここでは君と戦うには狭すぎる。あっちの橋へと移動しよう。」

影胤と小比奈が橋の方へと移動する。

「……来るか?」

蓮太郎は夏世に聞いた。夏世は首を縦に振った。

ならば止めはしない。三人は橋へと走る。

橋の向こう側。影胤はいた。

「……タイムセールまで時間がないんだ。」

「ヒヒヒッ、あの世のタイムセールになら間に合わせてあげるよ。」

「やれるもんならやってみろよ。」

蓮太郎から発せられる怒気。いつになく、蓮太郎は本気だった。

影胤の前に蓮太郎。そして夏世が並び、小比奈の前には延珠が行く。

「おや、その子は?」

「テメェの殺したプロモーターのイニシエーターだ。」

おやおや、敵討ちかい。と影胤が笑いながら言う。

夏世はショットガンを構えた。

瞬間、動いたのは延珠と小比奈。残像が見える程の速さで動き出し、超高速下での戦闘を開始する。それと同時に夏世がショットガンのトリガーを引く。

「それ、お返しだ。」

影胤がそれを斥力フィールドで防ぎ、散弾をそのまま夏世へとお返しする。蓮太郎はそれを全て拳で打ち落とす。

夏世が蓮太郎の肩に足を置いて跳躍。空中でリコイルをものともしない連射をする。

ドンッ!ドンッ!ドンッ!と三回の銃声。だが、それも斥力フィールドに防がれ、返される。それを蓮太郎が拳圧だけで明後日の方向に軌道変換する。

「どうやら、君は足手まといになってるようだが?」

「っ……」

「んな事はねぇ。」

蓮太郎が動く。一瞬で拳の間合いへと移動する。そして振るわれる拳を影胤はイマジナリィ・ギミックとマキシマム・ペインでいなしていく。

唐突に蓮太郎が後ろへと飛んだ。そして、蓮太郎に隠れるように突っ込んできたのは夏世。

「この距離なら、バリアは張れませんね!!」

零距離でのショットガン。本来ショットガンは中距離での面制圧をするための武器だ。そのため、零距離では弾が広がらずに面制圧が出来なくなるが、今回はそれでもいい。

ドンッ!という重低音。やった!と叫びそうになる。が、影胤の体からは血が飛び出さない。

「死にたまえ。」

そして、夏世の額につけられるベレッタ。

(し、死ぬっ……)

だが、夏世は死ななかった。凄まじいGと共に夏世は後ろに投げ出されていた。前を見れば手を後ろへ振り抜いた蓮太郎。

その瞬間、始まる拳とガン=カタ。

蓮太郎の拳を斥力フィールドで上手く受け流し、蓮太郎へ向けて拳と共に銃弾をお見舞いする。それを蓮太郎が歯で噛んで受け止め、吐き出す。吐き出した弾丸はライフル真っ青なスピードで飛んでいくが、斥力フィールドを貫けない。

さらに蓮太郎の拳が超高速で振るわれる。顔面を捉えるコースの右の拳を影胤はマキシマム・ペインを最大出力で横からぶつけ、さらにベレッタから弾丸を放つ。蓮太郎の右拳が影胤の顔の横を素通りする。弾丸をほぼ零距離から受けたというのに蓮太郎の腕には弾丸は通らず、皮膚で塞き止められている。影胤は次の攻撃が来るわずか一瞬。蓮太郎の顔面へマキシマム・ペインを最大出力で放つ。が、蓮太郎の顔面は特に形を変えず、表情も変わらない。さらに振るわれる左拳を先程と同じ要領で避けると、ベレッタを乱射しながら後退する。が、蓮太郎はそれを許さず、目と鼻の先から放たれる弾丸を全て手のひらで包んで衝撃を殺す。

さらにその弾丸は圧縮され一つにされて凝縮され、全力で投げられる。音速を超えた一撃は斥力フィールドにぶち当たり、あまりの威力に斥力フィールドに沿って真横へと飛んでいく。その弾丸の当たった木はそこを中心に円形にくり抜かれ、倒れた。そして蓮太郎が拳の射程内に影胤を捉える。

肉を打つ音と銃声が響く。だが、音が蓮太郎と影胤の動きについて行ってない。二人は、音すら置き去りにして戦っている。

(……無理だ。こんなの、私が踏み込める領域じゃない……)

夏世はイニシエーターでありながらも武器に頼っている自分が情けなく思えた。

だが、不意に悪寒。振り向けば、そこには首を跳ねようと刀を構える黒い天使。

「死んじゃえ♪」

そして振るわれる避けようのない一撃。だが、それは割り込んだ赤い残像が蹴りとばす。夏世がなんとか後ろへ跳ねる。

黒の足が赤の足を払い、態勢を崩させて刃を振るう。が、態勢が崩れても両手を地面につけバク転の要領で刀を打ち上げ、足が地面についた所でその足に力を込め、回転しながらの踵落としを繰り出す。が、それはもう一本の刀に止められ、届かない。素早く着地し、足払いを結構するが、小さく飛んで避けられる。そして、上段から振るわれる漆黒の刀。

ちょっと下がって足を広げる。ザクっ。と刀が橋に突き刺さった。

「……股が割れるところだった。」

「最初から割れてる!」

そして首を跳ねようと横なぎに振るわれる刀。頭を下げて避ける。赤い髪の毛が舞う。両手を地面につけて起き上がりざまに顎に一撃。だが、顔を逸らされ避けられる。

たった数秒の戦闘。だが、夏世はこれについていけるなんて思えなかった。

さらに小比奈が延珠へと接近する。振るわれる神速の刀を延珠は見切り、最低限の動作で避ける。そして、威力を込めた上段の一撃を避けてから、後ろに倒れ込み、腕の力だけで飛び上がる。空中で回転しながら右足での踵落とし。小比奈はそれを左手で防ぐが、ミシミシッと音がする。さらに、今度は左足での踵落とし。それを小比奈は右手でパリィして延珠の左足を振り払い、そのお返しにと延珠の胸へ向けて右手の刀を突く。が、延珠は払われた足をすぐに戻し、刀の横っ腹を蹴り飛ばす。そして、延珠がすぐさま右足に力を込め、小比奈から距離を離し、地面に足がついた瞬間、再び小比奈へと突っ込む。

実力が違いすぎる。それが夏世の抱いた思いだった。だから、

「……里見さん!」

蓮太郎に呼びかける。

「将監さんの仇を取ってください!」

自分の達成できない願いを託して。

「任せろ!!」

蓮太郎はチラっと夏世を見て微笑んだ。だから、夏世はその場を離れる。足手まといにならぬように。

そして、思った。蓮太郎のように、強くなりたいと。この二人についていきたいと。

 

 

****

 

 

「どうした影胤!思ったよりも弱いんじゃないか!?」

「やれやれ、飛んだ期待をされてたものだ。」

既に戦闘を始めて何分も経っている。だが、影胤は余裕そうだ。

「まぁ、このまま負けるのは嫌なのでね。卑怯でも勝たせてもらおう。」

「なに?」

その影胤の声と共に後ろで何かが地面に激突したような音が響く。

そして、振り向けばそこには狂気の笑みを浮かべた小比奈。

「斬れちゃえ!!」

振るわれる小太刀。それは確かに蓮太郎の脇腹を捉えた。が、

「フンッ!!」

蓮太郎が脇腹に力を入れる。すると、蓮太郎の筋肉が小太刀を挟み込んだ。

「ふぇ?」

血は出ていない。蓮太郎の強靭な肉体がバラニウムの小太刀の侵入すら許さなかった。

流石に予想外だったため、可愛らしい疑問の声をあげる小比奈。

「好都合だ。タイムセールが五時なんでね。一時間は欲しいからもう倒させてもらう。」

「……はて、もう四時五十分だが?」

「……は?」

蓮太郎が携帯電話を見る。四時五十分だった。

ここに来る前トーチカで確認した腕時計を確認する。三時五十分だった。

蓮太郎が俯く。影胤はこれぞチャンスだと全力の一撃を発動する。

「さらばだ、里見君!!」

蓮太郎の腹に赤い光が直撃する。勝った。影胤は確信した。

だが、その赤い光は蓮太郎を貫通しない。腹部で止まっている。

「……今日のタイムセール…………」

そこからは影胤と小比奈が目で追えなかった。だが、蓮太郎は確かに一歩踏み込み、拳を構え、

「もう間に合わねぇじゃねぇかァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッッッッッ!!」

振り抜いた。影胤の顔面に確かにぶち込んで。なんかその時にパリーンって音もした。

影胤は空を舞った。小比奈は脳みその処理が追い付かなかった。夏世も同じだった。延珠は南無。といって両手を合わせて合掌した。

暫くの沈黙。遠くでポチャンと音がした。

「うわァァァァァァァァァァッ!!春の山菜弁当120円がァァァァァァァッ!!牛丼弁当100円がァァァァァァァッ!!ボリュームたっぷりカラマヨ弁当130円がァァァァァァァッ!!」

「…………はっ!パパぁぁぁぁぁぁぁ!!」

蓮太郎が地面に足と手をついて地面に向けて拳を振るう。崩壊していく橋。延珠はそっと夏世を連れて避難し、携帯電話を取り出した。

昨日の分も書いてなかったので書く事にした。

ガストレア一杯、全部ワンパン。

ステージⅣガストレア、連続普通のパンチ。

蛭子影胤、実質ワンパン。と。

「あの弁当が買えれば延珠に肉だって食わせてやれたのに!!チクショォォォォォォォォォ!!」

「…………延珠さん?里見さんは一体……」

「タイムセールに行けなかった事で嘆いておるのだ。何時ものことだ。」

蓮太郎が地面に叩く度にクレーターと地震が発生し、地形が変わっていく。

延珠はその地震をものともせずに立っている。夏世はそんな延珠の足にしがみついている。

延珠の服は小比奈に地面に叩き付けられた際にちょっと汚れたが、それだけだ。

「れんたろー、そろそろケースを回収しないと……」

「俺の肉がァァァァァァァァァァ!!久々に肉が食えると思ったのにィィィィィィィィィィ!!」

「あ、駄目だ。聞いちゃいねぇ。」

延珠はボソッと毒づく。多分教会にあるだろうと延珠は教会に向かおうとする。が、そこで延珠が持ってきた通信機に通信が入った。

「どうかしたか?蛭子親子なら蓮太郎が無力化したぞ。」

『いいえ、違います。……最悪のニュースです。ステージⅤゾディアックの一体、スコーピオンが現れました。』

「…………そんな……」

ガシャン。と延珠が通信機を落とし、夏世の顔色も絶望に染まった。

変わらないのは蓮太郎だけだった。

「焼肉ゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!」

延珠は静かにショットガンを夏世から受け取ると、黙らせるために蓮太郎に向けて発射した。蓮太郎はいでっ!?と言う声とともに黙った。その時には延珠は水なしですぐに効く胃薬を飲んでいた。木更も聖天子の横で水なしですぐに効く胃薬を飲んでいた。

延珠は夏世にもそっと一錠渡した。夏世も迷わず服用するのだった。

 

 

****

 

 

「急げ蓮太郎!でないと被害が出てしまう!!」

「分かっている!!」

(痛い痛い痛い!!首痛い!!折れるもげるもげちゃう!!)

延珠と蓮太郎は走っていた。あの超巨大レールガンモジュール、天の梯子へと向けて。

蓮太郎は夏世を背負っている。が、走る際のGで夏世の首は悪化していく一方。

だが、これも夏世が足手まといになりたくないからと提案したもの。夏世は声を堪えて我慢している。

今の速度は延珠の全速力と同じ。暫くしてから段々と天の梯子が見えてきた。

ステージⅤゾディアック、スコーピオンを倒せる唯一の希望、天の梯子。

音速を超えたバラニウム弾を放つそのレールガンモジュールは通常のバラニウム弾等では歯が立たないであろうステージⅤへの唯一の武器となりうる物だった。

だが、もう使われなくなって十年。もしかしたら行っても使えないかもしれない。

だが、そんな最悪なパターンは想像しない。するだけ無駄だからだ。

さらに数分走って天の梯子にたどり着いた。入り口から中に入り、電源を起動する。

電気が流れ、モニターが活動を始める。ここまでしたら防衛省の方が遠隔操作でレールガンを発射する手はずになっている。

「……俺が行かなくてよかったのか?」

「流石の蓮太郎もステージⅤなんて相手にしたら死んでしまうかもしれん……だから嫌だ。」

「……そうか。」

蓮太郎はポン。と延珠の頭に手を置いた。正直、ステージⅤに自分の拳が通用するのか試したかったが、こう言われては仕方が無い。

だが、ここで異常が起きた。モニターにレールガンのシリンダーの様子がモニターされ、そこには何も入っておらず、はっきりとemptyという表示が出ていた。

「……なぁ、聖天子様や?弾薬は何処におありで?」

『嫌ですねぇ、里見さん。あるわけないじゃないですか。』

レールガンのモニターに何かもう諦めたような笑みを浮かべた聖天子が映る。

あ、詰みだこれ。とレールガンの様子を知るものは全員思った。蓮太郎を除いて。

「おっと、弾丸じゃなくても飛ばせるものはあるぜ?」

『え?』

「……れ、蓮太郎?流石に妾もそれはドン引きだぞ?」

「……あっ」

蓮太郎は弾薬を詰め込む場所に立ち、ロックを解除して中を覗き込む。

「俺自身が弾丸となる事だ!!」

滅茶苦茶キラキラした笑顔で蓮太郎は中に入った。

モニターのemptyという表記が無くなる。

延珠と夏世が聖天子の映るモニターを見る。聖天子はそっと目を遠隔操縦してる者に移した。

『あー、なんかこちらからは撃てませんー。手動で撃ってくださーい。』

逃げやがった!!と全員が思った。

夏世がささ、こちらに。と言って延珠をトリガーの目の前にある椅子に座らせる。えっ、ちょっと声を出すが無理矢理座らされた。

聖天子を見る。そっぽ向いてる。その後ろの木更を見る。そっぽ向いてる。周りの人を見る。そっぽ向いてる。振り向いて涙目で夏世を見る。そっぽ向いてる。

「は……ははっ、もうどうにでもなればいいのだ……」

延珠はもう、何もかも諦めたような乾いた笑いをすると、トリガーに手を掛ける。ロックオンは済んでいる。

トリガーに手をかけたことで安全装置が解除された。そして、余りのストレスに耐えきれなくなった延珠が壊れた。

「あなたのハートにてんちゅーてんちゅー♪」

決めポーズとウインクと共にカチッとトリガーが引かれ、レールガンが蓮太郎を発射した時の光で目の前が真っ白になった。

延珠はさっき薬を飲んだ筈なのにキリキリ痛む胃に向かって胃薬を投入するのであった。苦労人延珠に胃薬はかかせない。

 

 

****

 

 

「痺れるぜェェェェェェ!!」

蓮太郎は電気を纏って音速を超えて飛んでいた。レールガンで発射されたら普通なら愉快なミンチになるのだが、蓮太郎はならなかった。もう、人間をやめている。

そして、段々と見えてきたスコーピオン。

蓮太郎は態勢を整え、いつでも接触できるようにする。

一秒もかからぬうちに直撃。スコーピオンの体が大きく揺れる。

それでも蓮太郎はミンチにならなかった。音速でスコーピオンにぶつかっても。だ。

蓮太郎はスコーピオンの体をよじ登り、頭の天辺まで移動する。途中、鋭いウロコとか吸盤とか触手とかあったが、全部殴り消した。

そして、構える。繰り出すのは全力の一撃。手加減はしない。きっと、このゾディアックなら体のいいサンドバッグになってくれるだろうと期待している。

「必殺『マジシリーズ』!!」

ギリギリギリ……と蓮太郎の拳が音を立てて構えられる。さて、何発で消し飛ばせるのかと内心楽しみの蓮太郎。まるで新しいおもちゃをもらった子供のような笑みを浮かべ、蓮太郎はその力を開放する。

「マジパンチッッッ!!」

そこ拳はゾディアックに直撃した。

何十分の一秒だろうか。そんなの関係ない。常人から見ればほんの一瞬。

ステージⅤのガストレアの一体スコーピオンは、蓮太郎のマジパンチを受けたその瞬間、この世から『消滅』した。

数分後、聖天子等が見た映像では、スーパースローにすると、ゾディアックが一コマで半分以上消滅し、次のコマではゾディアックが完全に消し飛んでいるのが見えた。

そして、スコーピオンを消し飛ばしたその衝撃は留まらず、海に直撃。津波を巻き起こし、幸いにも無人だった近くの陸に直撃。今は人のいない海沿いの街が海水に飲まれ、数秒の間、スコーピオンのいた場所の半径百メートルの水源が無くなり、海底がそのまま見え、水中にいたガストレアがらもれなくその衝撃により消し飛ぶか気絶してた、半径五キロの中で大量の水生ガストレアが発見された。

さらに、海底には隕石がぶつかったのではないかと思える程の大きなクレーターが出来上がり、ゾディアック越しでもそれだけ大きなクレーターを作った事から、蓮太郎の本気は大災害レベルだと無理矢理認識させられる。

さらに起こったのは震度七の地震。そこを中心に震度七の地震が起こり、全世界で地震が発生した。日本では震度五以上の地震が発生。その地震で死者は出なかったが、家具が壊れるなどの小さな問題が起きた。

聖天子はそれをリアルタイムで見ていた。これからしなければならない他エリア等への対応を考えると胃がキリキリとしてきた。そして、腹を抑える聖天子に、一つの錠剤が差し出される。差し出したのは木更。もう片方の手には胃薬の箱があった。

聖天子はそれを受け取り、木更も箱から新しく胃薬を取り出して一緒に飲んだ。

胃薬はキリキリと痛む胃を安らげてくれた。現実逃避出来る程度に。

そして、クレーターの中心に蓮太郎は立っていた。呆然と。

「…………なんだ、ステージⅤもこんなもんか。」

期待をしてた分、このあっさり感に溜め息もつきたくなった蓮太郎だったが、とっとと延珠と夏世にステージⅤを倒したことを知らせようと来た時と同じ速度で走って帰るのであった。

延珠と木更と聖天子が蓮太郎が原因で胃薬飲んでるとも知らずに。




必殺『マジシリーズ』マジパンチ
効果、相手は消滅する

影胤は犠牲になったのだ……タイムセールに間に合わなかった蓮太郎の八つ当たりの犠牲にな……

そして、ゾディアック討伐の答えは3、俺自身が弾丸となることだ!!でした。当たったでしょうか?

そしてゾディアック=サンはしめやかにショウメツ!ゴウランガ!

そんな訳で次回はデブリーフィングのようなもので、その次からは皆さんお待ちでしょう、あの子の登場です

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。