黒い銃弾とは何だったのか   作:黄金馬鹿

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遅れたのは色々とあったのですよ……色々と。うん、学校で色々とあって欝だ学校辞めたい状態だったので暫く書く気が起きませんでした。今も軽くそんな感じですけどw

決して回復してから溜まってたアニメ見てたりスパロボ全然進んでなかったり艦これのイベントやってたり筋肉痛が痛すぎて一日中寝てたりとかはしてませんよ?ホントダヨ?

あ、あとつい最近始まったcomicoノベルの選考にずっと前からちょくちょく書いてたオリジナルの小説を出してみました

と、まぁどうでもいい事はさておき、本編どーぞ


フォーティーパンチ

「着いた!リカの様子は!?」

「呼吸や脈拍は問題ない。とっとと痛み止め打ってやりたいが……」

リカの呼吸は多少荒いものの、命に別状はない。だが、傷が痛むのか時々苦しそうに呻く時がある。

屋上のヘリポートはライトアップされ、地面にはパトカーが多数見えた。あまり悠長にしてる時間はない。

「あ、これ渡しておくわ。途中で落として重要アイテムでした。とかだったら困るし。」

火垂はポケットからとある物を投げ渡す。

「鍵束か?」

それは幾つもの鍵が纏まった鍵束だった。

「ソードテールの近くに落ちてたのをドサクサに紛れて取ってきたの。さ、行くわよ。衝撃を出さずに飛べる?」

「愚問だ。」

「なら急ぐわよ。」

火垂が足を力を込め飛ぼうとした時、屋上に繋がる扉が乱暴に開け放たれた。

「動くな!妙な真似をしたら撃つ!」

そこから入ってきたのは、拳銃を構えた多田島だった。

火垂は構わず飛ぼうとするが、蓮太郎がそれを制す。

「なんで?」

「あの人とは話をしておきたい。」

蓮太郎は片手でリカを落ないように支えてもう片方の手を上げ、振り返る。

「悪いけど、撃たれた仲間がいるんだわ。見逃してくれねぇかな?」

「だったら尚更だ。お仲間がお陀仏して欲しくなければお前らごと身柄を引き渡せ。」

「命に別状はないから見逃してくれるだけでいいんだよ。」

ここで拳銃を下ろしてくれればと思ったが、多田島は拳銃を向けたままだ。

「俺は法の番人なんでな。法と秩序がなければこの世は世紀末だ。混沌が待つだけだ。」

「なら正義はおざなりか?」

「お前は自分が正義だと言うのか?この事件の裏では何が起こっている。お前はそれを知ってるのか?」

「取り調べで言っただろ。ハメられたと。」

「すると何だ?巨大な組織があってお前らはそれを壊滅させようとかいうお決まりの妄想でも言う気か?」

「現に起こっている。」

「頭やられたか?人外よ。」

「組織がやってるのは秩序の破壊だ。アンタはそれに手を貸している。アンタが知らないのはアンタの責任だ。」

蓮太郎はそれだけ言うと、背を向けた。

「行かせるか。」

「櫃間篤朗は警察に侵入したスパイだ。」

「嘘だ!」

だが、多田島は思うところがあったのか、拳銃が震えている。

「……そんなのは、嘘だ。」

「なら撃てよ。俺を撃って逮捕して俺が死刑になって、さらに延珠は殺され、ティナも死刑。木更さんも奮闘するもどうにもならず組織が東京エリアを壊滅させてハッピーエンド。実にいいシナリオなんじゃね?いやー、感動の雨あられだなぁ。」

蓮太郎が煽るように拍手をする。

「ほら、撃てよ。そんでもってあんたの法とやらを守れよ。そんでもってこれから先クソの役にも立たない賞状もらえよ。」

「……被告の擁護はする。」

「ティナが少年法吹っ飛ばして処刑されそうになってるの知らない?あぁ、アンタらにとってはその程度で済む問題か。」

「……なに?」

「……おいおい、知らないのか?俺は聞かされたぞ。ティナは間違いなく銃殺刑にされるってな。だから脱走したんだろ。まっ、所詮アンタらの擁護なんてそんなもんだ。冤罪の少女一人救えない程度のな。」

蓮太郎はリカの手を自分の首周りを掴むように固定して、落ないように支える。

「櫃間篤朗の事、少しは可笑しいと思ったんだろ?可笑しいと思いつつも何もしないんなら、それは上の人間にへつらってるだけだ。」

最後にチラッと多田島を見た。多田島の拳銃を持つ手は震えていた。

「……撃たないなら行くぜ。」

蓮太郎は火垂に向けて頷くと、ビルの屋上から飛び立った。

銃弾は飛んでこなかった。

 

 

****

 

 

「……くそっ!!」

蓮太郎のいなくなった屋上で多田島は空へと発砲した。何故撃てなかったという怒りを乗せてだ。

それでも怒りは収まらず、拳銃を床に投げ捨てた。

撃たなければならなかった。法の番人である多田島は、蓮太郎を撃たなければならなかったのだ。だが、出来なかった。

蓮太郎の迷いのない目、呪われた子供たちすら助ける優しさ、それを垣間見た事のある自分の中の蓮太郎が犯人では無いのではという疑問。そして、櫃間への疑惑。

だが、これは多田島の言う、法の敗北だ。

多田島の法はあの青年の正義に敗北したのだ。

「……正義、か。」

なら、少し青臭い正義を信じてみるか。もしも、あの青年が言った通りのことが起こってるなら、見逃すわけにはいかない。

(櫃間さんに最も近く、そして連絡の取りやすい人物か……調べてみるか。)

 

 

****

 

 

「……ねぇ、蓮太郎。」

「ん?」

「あなた、あの警察官の事、結構買ってるのね。」

「……そりゃ、あの人程警察にふさわしい人はいないだろ。」

蓮太郎はスヤスヤと眠るリカに毛布をかけ、自分も少し離れたところで寝転がる。

「いつまでここでゆっくり寝れるか分からない。今の内に寝とけ。」

「……そう、ね。」

蓮太郎は火垂に毛布を投げ渡し、瞼を下ろす。

リカの近くで衣擦れの音が少し聞こえ、規則正しい呼吸も聞こえてきた。

蓮太郎は今日、寝る気はない。もし、何かあったらすぐに行動できるようにするためだ。

「……ねぇ、蓮太郎。」

「なんだ?」

寝たと思っていた火垂からの会話。蓮太郎は勿論寝てないので、すぐに返事した。

「もうすぐ、誕生日なの。」

「そうか。」

「だから……鬼八さんみたいにいなくならないで。」

「おっ、デレか?」

「違うわよ。ただ……もう一人は嫌なの。」

「……あったり前だ。お前こそ居なくなるなよ。」

「勿論よ。私は異能生存体よ。」

「俺だって人外だ。」

「なら、よろしく。パートナーさん。」

「……この歳でパートナー掛け持ちするとは思わなかったよ。」

「いい人が見つかるまでのってのがパートナーの前につくわね。」

「はいはい。とっとと巣立ちしろよ。」

「その後寂しくて泣くんじゃないわよ。」

「お前がな。」

カツン。と蓮太郎の頭に空マガジンがぶつかる。

「おやすみ、人外。」

「あぁ、いい夢見ろよ、異能生存体。」

 

 

****

 

 

翌日はリカの傷の治療に専念した。

火垂によってザックリやられた部分はもう傷が塞がったらしくリカが寝ている内に抜糸し、問題ないことを確認した。

特に痒いとかはないらしく、痛み止めを打って体を動かさないようにするという事だけでリカは一日過ごし、蓮太郎はとある人物へと連絡を入れていた。

そんなことはさておき、菫の研究室。

「あ!ここにいましたよ!」

「えっ、どこ!?」

「ほらそこ……あ、死んだ。」

「ぬがー!どうしても一人倒したところで死んでしまうぅぅ!!」

「じゃあ、今度は私ですね。兵科を偵察兵にしてっと……」

「プロの暗殺きますよ!」

「よし、まず一人です。次に……よし、倒した」

「百発百中ですね……」

「なぁ翠!蹴れる兵科とかないのか!?」

「残念ながらw」

「笑いながら言うなぁぁぁぁ!!」

何とも賑やかなことになっていた。原因は翠が持ってきた戦場で銃を撃ち合うオンラインで戦えるゲームなのだが。

そんな四人を遠目に菫は死体らしき物が乗っている台で、死体の横に座っている。

「君はまだ動かないのかい?」

コーヒーを飲みながら呟く菫。

「まぁ、好きにするといい。私は口出ししないさ。君が行くよりも蓮太郎くんと一緒にいた方が一億倍安全だろうしね。」

菫は液体の入っていたらしい注射器を片手で弄びながらスクリーンを見る。

「……あいつらが本拠地に乗り込む時に教えてくれ。」

「分かったよ。多分、明日には君を送り出すだろうね。さぁて、伊達に引きこもりしてないゲーマーの力でも思い知らせてやろうかね。」

菫は肩をグルグルと回しながら、ワーワーはしゃいでいるロリっ子四人組の元へと大人気ない事をするために向かった。

 

 

****

 

 

翌日。蓮太郎は生体のりのお陰でもう抜糸が出来たリカを連れて浜辺に来ていた。

火垂は初めて見る海に興奮してはしゃぎ、リカも初めて海に来たのかウズウズとしている。

ここはモノリス内部なのでガストレアが来る心配もない。

「しょっぱ!」

「お前なぁ……塩水舐めたらしょっぱいに決まってるだろ。」

「初めてだから仕方ないでしょ?」

「……リカ、暫く引率を頼む。」

「何でよ。」

「やる事あるんだよ。好きにしてていいから頼んだぞ。」

リカの頭を潰すようにグシャッと押し撫でて蓮太郎は去っていったが、すぐにひゃっほー!!と誰かが海に飛び込む音がした。

呆れたように溜め息をつくと、蓮太郎は指定の場所に向かう。

「よう、連れとの戯れはもういいのか?」

蓮太郎の行った先にはヤクザと思わしき者が立っていた。彼が、蓮太郎の目的の人物だ。

「心配だからなるべく早く済ませたい。」

「話は聞こう。」

「要件は一つ。トリヒュドラヒジンの流通先……どこに運ばれているかを知りたい。」

蓮太郎の要件にやれやれと首を振る。

「この職業は信用が大事だ。信用がなくなれば潰れるだけだ。」

「俺が言わなきゃいいだけだ。俺もあんたらから何か買う以上、信用が大事だからな。で、いくらだ?」

「……相場はこんなもんだ。」

男は指を三本立てた。

「二倍出す。ただ、金はすぐ払えない。」

「出口は真後ろだ。」

「まぁ待て。俺が逃げたら天童民間警備会社のテナントビルにあるゲイバーとかに俺がゲイになったとでも言えば恐るべき速度で東京エリアに広まるし俺は掘られる。あの人達マジで殴っても復活してくるから。」

ちなみに、ゲイバーの奴等は蓮太郎の連続普通のパンチすら致命傷で済ませる人外である。

「そりゃあ社会的にも人間的にも死ぬな。面白い。乗ってやろう。」

「金は阿部さんに渡しておく。」

「渡さなかったらゲイになるからな。さて、詳しい事だが俺もわからない。」

「おいゴルァ。」

「ただ、トリヒュドラヒジンはいつも指定の場所に置いている。かなり妙な場所にな。」

「それは?」

「外周区のモノリス近くにあるマンホールの直下だ。そこから妙な場所に繋がってるが……それが奴等の本拠地だ。」

「……なるほど。」

蓮太郎が地を思いっきり踏む。その瞬間、軽い地震が起きる。

蓮太郎はその振動で地下のマンホールが何処に繋がってるかを確認する。確かに、マンホールの下の坑道が一つ、モノリスに繋がってるのを確認した。

「……情報は確かだな。」

「……阿部さんの言う通り人外だな。」

「すまない、助かったよ。」

「いい商売だったと言える事を期待するよ。」

蓮太郎と男はそれぞれ別方向へ歩き出した。

「おーい、あんまり動きすぎて体力使い過ぎるなよ~」

キャハハとはしゃいでいる火垂とリカを見て、蓮太郎は溜め息をつくのだった。

 

 

****

 

 

黒ビルの休憩室の中。苛立ちのオーラを醸し出す櫃間と悠河はいた。

「ソードテールも破れたか。」

「残念ながら。怒っておいでで?」

「怒ってはいるさ。ただ、それよりも里見蓮太郎、紅露火垂、裏切り者のハミングバードの首を取るのが先決だ。」

声色も表情も怒り一色の櫃間を見て、嫌な上司を持った物だと悠河は溜め息をつく。

「紅露火垂の能力については調べはついています。奴の能力は再生強化です。心臓や頭をバラニウム弾で撃たれた位では死にません。」

悠河はポケットから一つの弾丸を取り出す。それは、一見ただのスナイパーライフル用のバラニウム弾だった。

「これがどうした?」

「この弾丸は当たった瞬間弾け、標的の体の中で液状バラニウムを体内に広げ、再生レベルⅢまでのガストレアを殺害します。紅露火垂は多く見積もってもレベルⅡです。」

ちなみに、アルデバランはレベルⅣ。細胞全てを消滅させないと倒せないレベルで、レベルⅤにもなれば、実質的に殺害は不可能なレベルだ。マグマに落とそうが宇宙に放りだそうが殺すことは出来ない。

なのだが、蓮太郎のマジパンチなら一撃で殺すことが出来る。やはり、あの人外は何処かぶっ壊れてる。

「まぁ、その用意も無駄になるだろうな。」

「何故。」

「民警をぶつける。もうすぐ奴の寝床が判明する。」

「……あぁそうですか。どうせ全滅ですよ。」

「何だと?」

「ご勝手に。僕はあの場所で待つことにしますよ。」

不機嫌な悠河はそのまま去っていった。

櫃間も何とも言えない気持ちのまま、配置に戻った。

 

 

****

 

 

「お前らなぁ……水着でも無いのにはしゃぎすぎだ。」

『はい、すみません。』

ポタポタと水が彫刻工場の床に落ちる音が響く。

結局帰ってくるのが夜になった訳だが、その理由は夕方までずっと火垂とリカが海で遊んでいたからだ。

しかもそのせいで全身ビショビショ。シャワーなんてある訳もなく、ついさっき服ごと二人の頭から買ってきた飲料水を被らせたところだ。

海と飲料水でビショビショになった服を二人は絞って水分を飛ばそうとし、蓮太郎は服を脱いだ二人を直視しないよう、反対を向いて目を閉じている。

「乾かないから他の服着ましょ」

「そうね……」

そんな会話が聞こえるが、蓮太郎は無視。

「明日は早目に行動するからもう寝ろ。明日疲れて昼過ぎに起きたとか洒落にならないからな。」

「分かってるわよ。」

「くれぐれも私達が起きないからって襲ったりしないようにね。」

「安心しろ。そんな日は永遠に訪れない。」

ごそごそと背後で音がした後、二人の規則正しい寝息が聞こえてきた。

そして二人が寝てから暫くして、蓮太郎は一人で立ち上がり、彫刻工場の外に出ようとする。

「おーい、一人で子供でも襲いに行く気?このロリコン。」

「流石にそれは容認しかねるわよ。」

「……なんだよ、寝たふりか。上手いもんだな。」

だが、二人は起きていたようで、外に出ようとした所を呼び止められた。

「ったく……いいか、お前らはすぐ警察に行って俺に脅されて一緒に行動していたんだと言え。俺は一人で馬鹿共をとっちめてくる。」

これから先、地雷でもあろうものなら蓮太郎なら無事だが、火垂とリカは死ぬかもしれない。それに、もしまたソードテールのような暗殺を得意とした敵が現れ、敵の本拠地内部ではぐれた所を襲われたら二人は殺されてしまうかもしれない。

蓮太郎の側は少なくとも危険が付き纏う。だから、火垂達は警察に任せておいた方がいいと判断したのだ。

「馬鹿ね。警察なんかよりも蓮太郎といる方が安全に決まってるでしょ。私は死ぬほど痛い目に自らあいに行く馬鹿じゃないわよ。」

「私に至っては警察に行って素性が知られたら尋問は確実だし知られなくても確実に暗殺されるからこっちにつく方が安全なのよ。」

「……何も言い返せねぇ。」

なのだが、はぐれたとしても蓮太郎を呼べば蓮太郎は壁越しだろうが聞き取って壁を壊して来るし、何よりはぐれたとしてもすぐに合流できるし、下手なシェルターよりも安全だし。警察に行くよりも確実に安全だ。

確かに、命の危険には晒されるが、晒されるだけで別に奪われはしない。火垂に至っては何が来ようが異能生存体なので絶対に死なない。死ぬほど痛い目には合うかもしれないが。

「分かったら行くわよ。もう警察にこの場所は割れてるかもしれないし。」

「そうね。逃亡生活するんなら寝床はちょくちょく変えないと。」

「いや、俺はこのまま五翔会の野望を潰して俺の無罪を勝ち取って水原の敵を取るつもりだったから寝床を変えるつもりは無かったんだが。」

「そうだ。もう寝床を変える必要なんかないぜ。」

蓮太郎の言葉に同意したのは、火垂とリカの少女特有の高い声ではなく、男特有の低い声だった。

蓮太郎はその声に聞き覚えがある。と、言うかつい最近聞いた声だ。

「……ったく、依頼されたのか?警察に。」

「前金たんまり貰ったから行くっきゃないだろ。俺だって来たくなかったぜ、ボーイ。」

「何で私達が自殺未遂させられなきゃならないのよ……」

「この間から特番で深夜アニメの時間ズラされて特番を録画してしまった私は怒ってもいい。」

「いや、知らんがな。」

物騒な物をぶら下げて(約一名変な事言いながら)やってきたのは片桐兄妹と朝霞だった。




完全に人選ミスした警察&櫃間。違う、(依頼する対象は)そうじゃない

原作だと蓮太郎から離れた方が生き残れたのに……と思ったイベントも蓮太郎の側の方が安全だからやるからやらないか迷いましたが、何となくぶち込みました

次回は殴り込みです

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