黒い銃弾とは何だったのか   作:黄金馬鹿

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また展開遅い上に場面変更多すぎ

あと、スーパーヒーロージェネレーションも並行してやってるのでもしかしたら更新が遅くなる時もあるかもです


トゥエルブパンチ

「ほら、ティナ。」

「ありがとうございます、蓮太郎さん。」

一週間後の休日。蓮太郎はティナと共に行動していた。

あの暗殺事件の後、デブリーフィングと言う名の責任の擦り付けあいが始まった。

蓮太郎はそれを見て聞いた途端、何とも馬鹿らしくなり、その場から出ていきたくなったが、聖天子がこれからの対策を立てるので里見さんも共に。と言ったのだが、頼むから出ていかないでくれと言う視線を悟り、出ていくのはやめた。

防衛隊の保脇や側近が何故今回の会合のルートが漏れたのか等の責任を押し付けあい、最終的に蓮太郎に押し付けてきた。

何とも保脇は蓮太郎が来た途端に今回の件が起きたので蓮太郎が犯人だと思ってるらしく、それを言った途端にドヤ顔をしていた。勿論蓮太郎はその程度では殴らなかった。

蓮太郎は当日聖居に来てくれと言われたため今回の件については斉武と会合するという事しか知らず、それは保脇の嫌がらせのようなものだったらしいが、保脇はその嫌がらせのせいで蓮太郎のアリバイを確立させていた。

騙されてはいけないとかこいつは嘘をついているとか喚きちらしていたので流石に黙らせるかと拳を構えた途端、聖天子が蓮太郎は自分が直接護衛を依頼した民警だ。蓮太郎を疑うことは自分の判断を疑うこと。何より東京エリアを救った英雄に何事だと言った途端、保脇は黙った。だが、チラッと蓮太郎を見た聖天子の目は頼むから大惨事だけは止めてくれという意志がこもっていた。流石に手出しはできなかった。

保脇はその後もブツブツ呪詛みたいな物を吐いていたが、例え手を出してきたとしても蓮太郎には傷一つ負わすことが出来ない上に例え戦車なり戦闘機なり持ってきても数秒で保脇をサイコロステーキに変える事が出来るため、特に何も感じなかった。

後で聞くと、保脇は蓮太郎と聖天子の間には民警と国家元首以上の物があるとか。馬鹿馬鹿しいと思えた。

横でジャラジャラと何かを鳴らしていたティナの方を見ると、ティナはカフェイン錠剤を蓮太郎の買ってきたたこ焼きに振りかけていた。

あんぐりとしている蓮太郎を他所にたこ焼きを口に持っていく。

そして蓮太郎は考える。今回の暗殺。それの目的は一体何か。

それは分からないが、考えられるのは聖天子の熱狂的ファンであるのは無いということ。今回のスナイプはプロでも外しておかしくない距離だ。それを三発連続で当ててきた者を市民だとは考え辛い。

もう少しで二回目の会合が始まる。その時に再び暗殺者は動く。その時になんとか潰す。

と、考えていたら横でべチャッという音とあぅあっと言う声が聞こえてきた。

横を見れば錠剤まみれのたこ焼きが舗装の上に落ちていた。

「……はぁ、貸せ。」

蓮太郎はティナのたこ焼きを奪い取ると、爪楊枝でたこ焼きを刺し、ティナの口に持っていく。

「ほら、食え。」

幸いにもスカートや服にはたこ焼きは落ちていなかった。首を傾げる彼女の口の中にたこ焼きを放り込む。咀嚼するティナを見て二個目を準備する。

「蓮太郎ひゃん、もっとくらひゃい。」

口に物入れたまま喋ったからかそんな感じに聞こえた。上半身を乗り出して目を閉じ、口を開けるティナ。

キスを迫られてるみたいだなと思ったが、何故か小鳥に餌を与えてる感じに似てたので気にせずティナの口の中にたこ焼きを押し込む。

さらに一個、二個と突っ込んでいくと、いつの間にか自分のたこ焼きもあげていたようで、気付けば自分の分のたこ焼きはなかった。

ティナの口元はソースで汚れていたのでハンカチを取り出し、拭こうとする。ティナはされるがままに口元を拭かれる。

拭き終わってよし、いいぞ。と声をかける。

「……私、蓮太郎さんの事、好きです。」

「は?」

あまりに突拍子な事に思わず聞き返す。

「こんなに優しくされたの初めて、かなって。」

ティナは嫌なことでも思い出したのか顔をしかめた。

「両親が死んでから、あまり楽しくない気分です。その後の私の人生は『痛い』だけでした。だから、今、久しぶりに楽しいんです。」

笑いながら言うティナ。蓮太郎は微笑みながら頭にポン。と手を乗っけた。

「痛いってのがどういう事か、両親の事とかは聞かねぇ。けど、これから痛くなったり嫌なことがあったり寂しくなったら俺を呼べ。原因をなんとかできるかは分からないが、今日みたいに楽しくさせてやるよ。」

「蓮太郎さん……」

「だからさ、もっと笑えよ。」

ワッシワシとティナの頭を撫でる蓮太郎。そして無邪気に……けれど、何処か辛そうな顔で笑うティナ。

今日でティナと会うのは四度目。蓮太郎の電話にティナがかけてきて遊園地や外周区をみたいとせがまれた。しかも、自分と会ったことは誰にも言わないでくれという条件までつけて。

だが、せめて、辛くとも、俺と一緒にいて笑うことが出来るなら、楽しくなれるなら。俺はティナと何度でも、何処にでも行ってやる。紛れもない蓮太郎の本心は口から出ることはなく、決意として胸に留まった。

そして、急に鳴り響く無機質な着信音。自分のではない。ティナのだ。

ティナの顔は着信画面を見ると恐ろしいまでに固まった。

「……すみません、私、行かなくちゃ。」

「……そう、か。」

蓮太郎はティナの頭から手を離す。

ティナは蓮太郎に礼をすると、走り去っていった。

走った時に起こる小さな風によりなびくプラチナブロンドの髪は何処かで見たような気がした。

蓮太郎は着信のあった自分の携帯を見てから立ち上がると、もうティナは見えなかった。

 

 

****

 

 

『遅いぞ。』

「すみません、マスター。少し電話に出れない事情がありました。」

『意識を、会話できる状態まで覚醒させよ。』

「……はい。」

ジャラジャラ、ガリッ、ボリボリ。

「それで。」

『次の警護計画書が流れてきた。』

「早いですね。無能の集まりですね、あそこは。」

『ククク……我々の依頼主は東京エリアに逗留中にカタをつけたいとお望みだ。』

「……あの民警が最大の障害です。」

『奴等の正体もわかった。』

「本当ですか?」

『天童民警会社というらしい。また次の会談で邪魔されては困る。ティナ・スプラウト。次の任務を与える。天童民警会社の社長、天童木更を殺害せよ。』

「……はい、マスター。」

彼女の目は、既に暗殺者の目だ。余計な事は、考えない。暗殺の邪魔になるから。

 

 

****

 

 

蓮太郎は携帯に来たメールに書いてあった場所に行くと、そこでは美織が待っていた。その前に扉の前で何処のランボーだとツッコミたくなりそうな程の重装備をした社長がいたが、美織が一瞬で扉の中に引き込んだ。この社長はどうやら蓮太郎が美織の所に行くと言った時に何処に行くんだとか場所を教えろとか言っており、教えてしまったがために来たのだと考えた。

最初は扉を蹴破るとか言ってた木更だったが、美織が請求書突きつけるというとピタッと止んだ代わりに呪詛が聞こえてきた。

目の前にはホログラムウィンドウが何十もあり、美織が扇子を持った手を動かすと共にホログラムウィンドウが動き、一つのディスプレイとなり、水族館調のスクリーンセーバーが起動し、コポコポと音を立てながら部屋全体を青く光らせる。

美織がディスプレイに扇子を向け、聖天子狙撃事件証拠物件と言うと、パネルには現場の写真が次々と映され、美織がその内一つを拡大する

「里見ちゃんが原型を保ったまま叩き落としたライフル弾はライフリングしたけど犯罪経歴なし。クリーンや。」

そうか。と蓮太郎の返事。それを聞き、今度は美織が現場の3Dモデリング画像が写り、一本の線が引かれている。

「相手さんが撃ったのはここや。」

「あぁ、俺も肉眼で確認したのはここだ。間違いない。」

「視力まで鍛えられるってどんな鍛え方したんや……で、里見ちゃん、狙撃の知識は?」

「ほとんど素人だが……この距離で狙撃を三回成功させるのは神業としか言いようがねぇってのは分かる。」

俺なら一瞬で移動できるが。と心の中で付け加えておく。

その後、美織は狙撃の難しさについて色々と講義してくれた。蓮太郎はスナイパーライフルを持つ事もこの先無さそうだし、撃たれても死ななさそうだしという意味合いで要点を掻い摘んでパパっと説明した。

「なるほど……さんきゅ、美織。所で、お前は保脇卓人ってやつは知ってるか?」

「ん~……知らへんな。どれ、調べてみよか。」

美織が検索、保脇卓人と言うと、すぐに保脇のプロフィールらしきものが出てきた。

「保脇卓人、三十二歳男。聖天子様の護衛隊長で階級は三尉やから里見ちゃんの一つ上やね。」

三十二歳……聖天子様の倍歳とってんじゃねぇか。完全にロリコンだあの無能。とか最初は考えたがすぐに次の疑問にぶち当たる。

「は?階級が一つ上?って事は俺は知らねぇ内に一曹にさせられてたのか?」

「正確には里見ちゃんのは擬似階級や。民警には皆与えられとるんよ。里見ちゃんの場合は機密情報アクセスキーと一緒に貰ったもんやな。千位やから一曹。」

「その擬似階級ってのは何が出来るんだ?」

「指揮権は無いけど命令権はある。ようするにほとんど役にはたたへんな。まぁ、これは民警の気分を良くさせて民警は国の持ち物やと証明させてるような感じやな。」

「民間なのに国の持ちもんかよ。」

まぁ、これから先擬似階級なんて使う事はないだろうと擬似階級の事は頭の隅に殴り飛ばしておいた。

「それに里見ちゃんの事を聞くと護衛官達はモタモタしとったんやろ?それの隊長に命令しても拒否られる可能性もあるから気ィつけてな。」

「あいつらノウハウがねぇからな……護衛官なのに何でたと問いただしてぇわ。」

「それはこういう事については耐性が無いからやないかな?今まで肉壁になってただけやし。」

「その言い方はどうかと思うぞ?」

それもそうやねところころ笑う美織。

「あと一つ頼めるか?斉武宋玄について調べて欲しい。あいつが今回の黒幕だ。」

今回の会談で聖天子が死んで得するのは斉武ではないか。蓮太郎の頭にはそんな考えが浮かんでいた。

「ひゅ~。里見ちゃん言うわ~。」

「ウラを固めておくだけでいいんだ。出来ないか?」

「それじゃあこの件も含めて取り引きや。今度、里見ちゃんの全力を見せて。ウチの会社のシュミレーターで。」

「会社から先の家と人が消し飛ぶぞ。」

「それじゃあ建物が壊れん程度の力で。」

「そんくらいなら。じゃ、任せた。」

「任されたで。」

その程度の取り引きであの司馬重工が動いてくれるのなら万々歳だ。

もっとも、相手は大阪エリアの国家元首。そうそう尻尾をつかめるとは蓮太郎も美織も思ってはいないが。

と、その時扉が爆発四散した。

「もう知ったことですか!!美織!お命頂戴!!」

美織は本当に小さく舌打ちすると袖を口元に持っていき、しおらしいポーズをとった。

「かんにんな、かんにんな木更!」

「え?」

「ウチと里見ちゃんは本当に、本っ当に戸の部屋で何もしとらんかったから!だから誤解せんでな、木更。」

あ、これダメな雰囲気だ。蓮太郎は音速で外に飛び出した。

後で木更の誤解を解くために高めのスイーツ買ってくか。と心に決めて蓮太郎は今日も走る。

と、そこでメール。要件は延珠と夏世を連れて研究室に来いとのこと。蓮太郎は目的地を一先ず家に決め、走った。

 

 

****

 

 

「せんせー、来たぞ~」

「菫、遊びに来たぞ!」

「……なんか薄暗い雰囲気ですね。」

延珠と夏世を連れて菫の研究室に行くと、菫はパリンパリンとビーカーやら試験管を割りながら笑い転げていた。

「落ち着け。」

蓮太郎の指弾。菫の後頭部に当たってあだっ!?と菫の悲鳴。

「私の頭が可笑しくなったらどうしてくれる。」

「安心してくれ。もう可笑しい。」

蓮太郎は椅子を三つ取ってきて菫の机の横に置く。蓮太郎を挟んで延珠と夏世が座った。

「ロリハーレムは順調なようだね。」

「ぶん殴っぞあんた。」

「やっぱり蓮太郎は妾のような女が好きなのだな!?」

「はーい、黙りましょうかー。」

「へぶっ!」

「やだ……おまわりさん、この人ロリコンです。」

「罪は同上。」

「い゛っだぁ!?」

延珠は弱めのデコピンだったが、夏世には(夏世にとって)結構強めの拳骨だった。

延珠は額を抑えてるだけだが、夏世は頭を抑えながら床を転げまわり悶絶している。

「幼女を痛がらせて楽しいか君は。やはりロリコンだな。」

「くらえ指弾。」

「あまい。」

再び蓮太郎が菫に指弾を放つが、スッと避けられる。

「さて、鼻塩塩……ではなく話をしよう。私と他の天才についてね。」

「ほう。」

真面目な話と感じたのか、蓮太郎が軽く気を引き締めるが、横でゴロゴロ転がっている夏世がいるのでどうにもシリアスにはならずシリアルになっている。

「新人類創造計画に誘われた君にも話しておくべきかと思ってね。」

「……そういや誘われたな。」

「もう今の君には必要のないことだけどね。さて、私の他に新人類創造計画に関与した天才は三人。オーストラリア支部『オベリスク』最高責任者アーサー・ザナック教授、アメリカ支部『NEXT』最高責任者エイン・ランド教授、そして私。これらを統括する最高責任者がドイツの科学者、アルブレヒト・グリューネワルト教授だ。以上が機械化兵士製造ノウハウを持っている。『四賢人』とか『四天王』とか言われてたのが懐かしいよ。」

そんなにいたのかと正直に思う蓮太郎。横で夏世がビクンビクンしてる。

「まぁ、お互いが手を取り合って目覚しい成果を叩き出すことは出来なかったがな。ただの嫉妬でね。」

確かに、今までオンリーワンだったのに、その存在を脅かす者が出てきたら蓮太郎だって嫉妬するかもしれない。今の状態ならそんなことはないと思うが。

「あの頃は恋人がガストレアに食われて周りが見えなくなってたしね。」

ちょうどその時の菫に蓮太郎は新人類創造計画に加担しないか……いや、『力を制御しないか』と誘われた。

蓮太郎は断ったが、今ではその選択でよかったと思っている。

その時の菫は骨と皮だけで瞳はギラギラしてたように覚えている。

「あの頃の君も色々とあっただろう?」

「……あぁ。あの頃はこの力が制御できなかったからな。」

拳を振れば目の前が消し飛び、走れば壁があれば壁にぶつかり、無かったとしても何処か見知らぬところまで走っていく。

それが力がついたばかりの蓮太郎だった。

その後も菫の話は続いた。自分たちはノウハウを駆使し機械化兵士を作った事。その中には蛭子影胤もいたこと。そして、その計画は呪われた子供たちの戦闘能力の高さに気付き、組織は解散したこと。

「……今じゃエロゲ好きの死体愛好家なのにすげぇ人だったんだな。」

「前のやつは余計だがね。私は君達が生きている異性に興奮するように死体に興奮する。あ、そうだ。君は朝昼は学校、夕方は事務所で木更と。夜は延珠ちゃんと夏世ちゃんと一緒なのに何処で性欲の処理をしているんだ?」

「最高の弄りネタが聞けると聞いて。」

夏世、復活。

「……この世にはこんな言葉がある。『性欲を持て余す』。」

「……つまり?」

「帰らせてもらおう。」

蓮太郎はマジ走りで帰っていった。

人には聞かれたくないことと聞かれてもいいことがある。

「そういえばトイレがイカ臭かったような……」

「よう夏世。デタラメ言うなよこの腹黒ロリ。」

「げぶぁっ!?」

デタラメ言った夏世の頭に一瞬で戻ってきた蓮太郎の鉄拳がめり込む。

頭が……割れる……とビクンビクンしながら悶える夏世を尻目に蓮太郎は本当に帰った。

「で、延珠ちゃん。本当は?」

「さぁ……?夏世の言ったことも嘘だぞ?」

「そうかい……つまらないな。さて、そんな事は置いておくとして、ここからは君達向けの話だ。夏世ちゃんも聞けるのなら聞くといい。」

まだビクンビクンしてる夏世にそれだけ声をかけると、菫は話を進める。

「君達は強いイニシエーターと会ったとき、首の後ろがビリビリとした事はないかい?」

「さぁ……?無いが。」

「どう……じょう……」

なんとかかんとか返事は出来た夏世。

「まぁ、夏世ちゃんは戦闘向きではないから分かっていたが、そうか。なら延珠ちゃん。君はスピード特化のイニシエーターだったね。そのスピードは日頃延び続けているか?」

「ん~……蓮太郎がいるから自分が速くなってるか遅くなってるかよく分からないな。」

人外(アレ)と比べちゃだめだ……まぁ、もしかしたら君にはもう『成長限界点』が来てるのかもしれないね。」

「成長限界点?」

「まぁ、それを超えると『ゾーン』と呼ばれる物に突入できると言われているんだが……聞きたいかね?」

「蓮太郎に勝てるか?」

「ははは、ご冗談を。まぁ、とにかく聞いていくかい?」

「……蓮太郎の足手まといにならない程度に強くなれるのなら。」

「聞いただけでは強くなれないよ。それに彼の足手まといにならないと言うのなら彼と同じ速度で走れないとね。まぁ、聞いていくのなら話そう。」

菫は『ゾーン』について話した。

ゾーンとは、イニシエーターが修行の果てになれる状態の事をさし、ある日突然なれるようになる物らしい。

超高位序列のイニシエーターの多くはゾーンに到達してるらしい。

「ふーん。」

「無関心だね。」

「……だって蓮太郎には勝てるわけないし……」

「……言うな。」

夢も希望もない少女の肩に手を置いて慰める言葉をかけようとするが見つからず、言うなとしか言いようがなかった。

「でも、辿りつけたら蓮太郎に守られる必要がないのなら、妾は目指してみる。」

「……オススメはしないがね。」

「何か言ったか?」

「いんにゃ?それで、護衛の方はどうなっているんだ?」

延珠は話していいものかと考えたが、結局話した。夏世はピクリとも動いていない。

「……それはまずくないか?」

「ん?何故だ?」

「つ、つまり、一度目であれだけの事をやってきたのだから、二度目はさらに確実にするため……天童民警会社を機能させなくさせれば二度目は確実な物となる。と、いう事ですか?」

「そうだ。早く二人で木更を何処かに避難させるんだ。木更を殺したくなければな。」

延珠と夏世は立ち上がり、力を開放し走った。

 

 

****

 

 

ティナは己のマスターから天童民警会社の情報を貰い、既にハッピービルディングの前にいた。

手には対戦車ライフルの時よりさらに厚いガンケース。力を開放しても重いと感じる。

ここにいるのは社長の天童木更、プロモーターの名前は聞きそびれたが、そのイニシエーターの藍原延珠。そして、居候の千寿夏世。何故居候がいるのか疑問に思ったがこのミッションには関係ない。今いるのは天童木更ただ一人。プロモーターもイニシエーターも居候もいないのも確認している。

ティナはガンケースを降ろし、中の銃を持ち上げる。

M134ガトリングガン。バッテリー式のガトリングガンだ。ペインレスガンとも無痛ガンとも言われる程の物で、撃たれたものは痛みにすら気付かず死ぬという。

通行人がそんなティナを横目で見るが、余りに堂々としてるため、何も言わない。

弾薬箱を背負い、天童民警会社のドアの前へ。そして、ノックする。

『さ、里見くんなの!?ふ、ふん!もう何言っても許してあげないんだからね!!例え何か食べ物持ってきても……あ、迷うかも。もう空腹で倒れそうだし……いや、でも許してあげないから!!』

里見という名前に蓮太郎の事を思い出したが、同じ苗字なだけだろうと割り切り、ガチャッとドアを開ける。

「天童木更ですね。」

「え?って!?」

「お命頂戴。」

迷いはない。ボタンを押し込む。それと同時にシリンダーが回転し、すぐさま弾丸が発射される。

リコイルを制御し、踏ん張り、狙いをつけ続ける。だが、木更は椅子の上から横に飛ぶと、手元にある刀に手を掛ける。

刀如きで。ティナはすぐに狙いを修正し木更を肉塊にすべくボタンを押し続ける。

「シッ!!」

木更の短な声とともにガガガガガガン!!と金属と金属が当たる音がする。見れば木更は視認不可能な速さで刀を振るっている。

天童民警会社の人間は化け物しかいないのかと舌打ちしながらもティナは狙いを付け続ける。だが、途中で木更は横に飛び、神速の一閃。

何を空振っていると思ったのも束の間。ガトリングガンの銃口の一部がゴトッと音を立てて落ちる。

飛距離のある斬撃!?驚くのも束の間。木更が斬りかかってくる。流石に弾丸を斬り飛ばす程の速さで刀を振るわれ続ければこっちがやられる。すぐに再びボタンを押し込み、弾幕を張る。木更は自分に振りかかる弾丸のみを切り裂き近付いてくる。

斬られると思ったのは一瞬。木更は何故か腹を抑えて勢いを落とした。

ティナにとっては絶好のチャンス。斜めに切り裂かれ一部尖った銃口を向けて突撃。木更は動かず、腹部に直撃。

「ぐっ!」

壁に叩きつけられる木更。すぐにガトリングガンから手を離し、倒れている木更の首に手をやり、壁に叩きつける。

「いっ!」

「……恨まないでくださいね。」

ギリギリと音を立てて木更の首にティナの指が食い込んでいく。

「がっ…………さと、み……くん……ごめん……ね……」

違う。蓮太郎じゃない。蓮太郎はこの事務所の社員じゃない。

「たすけ……て……里見……くん!」

「助けてやるよ、木更さん!!」

後ろから聞こえた第三者の声。背負っていた弾薬箱を放り投げ、横に飛ぶ。

グシャッ!!と音を立て、弾薬箱が変形し、壁にぶち当たる。

だが、そんな事よりもティナの心情は驚きにしか染まっていなかった。

「蓮太郎……さん?」

「ティナ……?お、おい、なんの冗談だ?なぁ、木更さん?」

「けほっ……その子が私を殺そうとしたの……」

「っ……」

「蓮太郎さん……話を……」

「フンッ!!」

穴だらけの床を全力で殴る。崩壊する床。

蓮太郎の口は動いていた。今回は逃がしてやると。

ティナはやり切れない気持ちで一つ下の窓から飛び出した。

 

 

****

 

 

「嘘だろ……ティナが……」

自分でも気持ちの整理が付けれず、思わずティナを逃がした蓮太郎。

ティナが背負っていた弾薬箱とガトリングガンからティナが元床の惨状を作ったのは理解が出来た。

「里見くん……知り合い……なの?」

「……あぁ。」

木更を何故狙った。それを考える。

だが、すぐに答えは出た。

暗殺の邪魔になるから。即ち、ティナは前回の妨害した暗殺をしてきた犯人。

蓮太郎が何とも言えない気持ちを整理していると、上の階からヤクザが雪崩込んできたが、木更がなんとか追い払った。

「……ティナ。お前が相手でも、聖天子様は殺させない。」

せめて、俺の手で暗殺を……

そう思った瞬間、後ろでドサッと人が倒れる音。

「木更さん!?」

蓮太郎が振り向き、倒れた木更を抱き起こす。

何処かに傷を負ったのでは?と服の上から体を見るが問題な

「お腹……すいた……気分悪い……」

病院に送ったら栄養失調で入院した。

節約のために食事を抜いてたら倒れちゃったてへっと言った木更の頭に鉄拳をぶち込んだ蓮太郎は悪くない。




木更、入院。

蓮太郎が戻ってきた理由は取り敢えず美織に吹き込まれたであろうことを弁解してなにか奢って機嫌を良くしてもらおうと思ったからです

これから多分ティナ中心の場面はなくなると思います

あと、スーパーヒーロージェネレーションにメビウスフェニックスブレイブとかスーパータトバって出るんで(関係ないのでカット

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