地獄先生と陰陽師少女   作:花札

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ぬ~べ~達のもとへと着いた龍二達……


郷子と広、雛菊と渚を外で待たせ、龍二達はぬ~べ~と共に洞窟の中へと入った。


桜守対桜巫女

洞窟の奥へと入った龍二達……

 

 

奥には、不気味な輝きを放つ木が一本生えていた。

 

 

「良く見つけましたね……」

 

 

皐月丸の声がどこからか聞こえ、氷鸞と雷光は人の姿になり武器を構えた。すると、彼は木の陰から姿を現した。

 

 

「皐月丸……」

 

「拙僧の住処を見つけた事、褒めて差し上げましょう」

 

「そんなことより、早く我等の主の魂を返せ!」

 

「桜巫女の魂が、そんなに欲しいのですか?

 

なら、望み通り桜巫女を返して差し上げましょう……」

 

 

皐月丸の声に反応するかのようにして、彼の後ろから蘇芳色の着物を着て、白い羽織を着た麗華が現れた。

 

 

「麗華!!」

「麗様!!」

「麗殿!!」

 

「おい、様子がおかしいぞ?」

 

「?!」

 

 

ぬ~べ~の言葉に、龍二は麗華を観た。彼女の目には光は無く、まるで催眠術にでも掛かっているかのような目をしていた。

 

 

「皐月丸!!麗華に、麗華に何した!?」

 

「少しばかり、拙僧の操り人形になってもらった」

 

「?!」

 

「桜雅……

 

 

そなたには、この桜巫女と戦ってもらいます」

 

「?!!

 

そ、そんなこと」

「待て」

 

 

飛び出そうとした雷光の前に、手を出しながら桜雅は止めた。桜雅は刀を抜き取り前へ出た。

 

 

「皐月丸、俺が勝てば桜巫女は返してもらうぞ」

 

「いいだろう。

 

お前達二人が戦っている間、神主達節操が相手をしよう」

 

 

槍を手に持ち、不敵な笑みを溢す皐月丸……

 

傍にいた麗華は、弓を引き桜雅に矢を放った。飛んできた矢を彼は素早く刀を振り、矢を切り裂き一瞬のスピードで麗華の前へ行き、刀を振りかざした。降り下りてきた刀を、麗華は弓で防ぎ手に持っていた矢で攻撃してきた。

 

 

「麗華!!」

 

「桜巫女を助けたければ、拙僧を倒す他はない……

 

彼女に掛けた催眠術は、拙僧が死なぬ限り解けはしない……」

 

 

皐月丸の体が分裂し、四人へと増えた。ぬ~べ~はすぐに鬼の手を開放し構え、龍二は一枚の紙を取り出し、指を噛み血を出した。血が出た指で龍二は持っている紙に触れた。

 

紙は龍二の血に反応し、煙を出しその中から剣が出てきて、龍二はそれを手に掴んだ。

 

 

「やはり、兄妹だな」

 

「何が?」

 

「麗華も、お前と同じようにして武器を出した」

 

「あっそ。

 

氷鸞、雷光、十分注意しろ」

 

「承知」

「承知」

 

「鵺野、アンタもだ」

 

「分かっている」

 

「節操には敵わぬ。

 

永遠にな……」

 

 

 

 

 

 

『姫様……』

 

 

『あぁ……姫様…』

 

誰?

 

『なぜ……なぜ、死んでしまったのです……姫様…』

 

皐月丸?

 

『私は……姫様を……姫様を守りきることが、できなかった……』

 

『い、行かなくては……』

 

『姫様!?』

 

『あの……桜の木の元へ……桜雅が……桜雅……』

 

『桜……どのような桜ですか?!』

 

『あなたには……分からないわ……あの桜は……私と桜雅だけが知っている……秘密の……場所……そこに……あるの……ですから……』

 

『秘密の……場所?』

 

『桜雅……私はあの桜の下で……あなたの帰りを……お待ち……しています……』

 

『……?姫様?』

 

『……』

 

『姫様ぁ!!

 

 

許さぬ!!桜雅め!!お前のせいで……姫様は……姫様は!!全ての桜を……枯らしてやる!!二度と、お前と姫様が会わぬ様にな!!』

 

 

……あいつ(皐月丸)は自分の失敗を……桜雅に……

 

 

『姫様……』

 

 

『私は……もう、この自縛から解き放たれたいと思っています……自分が今、間違っていることをしていることは、もう承知しています……

例え魂が消えようとも……私はもう……この世に未練はありません……』

 

 

皐月丸……

 

そうか……

 

 

お前はもう、自分の罪を知っていた……

 

死んだ桜夜にもう一度会いたかった……

 

 

私を大事にしていた桜雅を、逆恨みし私の魂を取った。桜雅の苦しむ顔を見たいがために……

 

 

 

 

……あいつの所へ行ったら、私の体を使って、お前の気持ちを伝えてくれ……

 

 

 

 

「……」

 

 

目を覚ます麗華……

 

 

外を見ると、既に暗くなっており、月光が部屋に差し込んでいた。

 

 

「麗…」

 

 

麗華が目を覚ました事に気付いた焔は、伏せていた顔を上げた。

 

 

「焔……」

 

 

焔の名を呼んだ麗華は、起き上がろうと体に力を入れるが、なかなか入らずやっとの思いで、体を起こしそして立ち上がった。

 

立ち上がった途端、足がふら付きよろけ倒れそうになり、傍にいた焔は人の姿になり、慌てて彼女を支えた。

 

 

「どうしたんだ!?まだ、起き上がれるほどの」

「焔、頼みがある……」

 

「頼み?」

 

「私を……兄貴達の所へ……」

 

「けど……」

 

「大丈夫だから……私は」

 

 

息を切らしながら、麗華は焔に頼んだ。焔は少し考えてから、狼に姿を変え背に彼女を乗せ家から飛び立った。


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