地獄先生と陰陽師少女 作:花札
ぬ~べ~と共に郷子と広は、麗華の家へとやってきた。
家には既に、戻ってきた龍二と氷鸞達がいた。
氷鸞と雷光が、祠を見つけたことを伝える龍二……
「見つかったなら、早く麗華を探しに!」
「祠が見つかっても、住処が見つからない。
それより……」
腕を組み、龍二は振り返り後ろで正座をしている二人を睨んだ。二人は頭を下げ、目を合わさぬようにしていた。
「お前等確か、雛菊と桜雅と一緒に、この神社を中心に森や廃墟、社を探せって言ったよな?」
「ウ……」
「それが何で、お前等二人が祠を探しだしたんだ?」
「そ、それは……」
「偶々社を探していたら、偶然見つけて」
「偶然ねぇ……
随分と遠くまで行ったもんだ」
「っ……」
「ったく……
麗華が心配なのは分かる。だからって、勝手な行動は止せ」
「面目ない」
「申し訳ございません」
「まぁ、説教はこれくらいにする。
祠を見つけたから、俺達も昨日言った通り住処を探すぞ」
「おぉ!」
「任せてください!」
「見当はついてるのか?」
「一応、桜雅の記憶を辿って、範囲を縮めた結果がこれだ」
そう言いながら、龍二は円を描いた地図を見せた。その地図は麗花たちの家を中心に円が描かれており、十個以上のバツ印が示されていた。
「このバツ印は?」
「結界が貼っていて、普通の人間じゃ見えない場所だ。
ここには、洞窟や社……さらには妖怪が記憶から造り出した城もある」
「城?」
「妖怪になる前、生前住んでいた場所だ。
このバツ印に、各自で行って調べてくれ」
「分かった……って、私達霊感ないわよ?」
「そうだよな」
「お前等二人は、鵺野と一緒だ。
雷光、お前はこいつ等と一緒に行ってくれ」
「承知した」
「雛菊は桜雅と、氷鸞と渚は俺と一緒だ」
「承知した」
「承知した」
「了解」
「今丁度、三時だ。
五時になったら、またここに戻って来い。もし見つけたら、その場で待機」
「分かった」
「鵺野、住処を見つけたとしても、中に入らず近くの茂みに身を潜めてろ。
皐月丸は、人の魂を食らう妖怪だ。そのうえ、霊力もお前以上に高い。絶対に戦おうとするな」
「あぁ、そのつもりだ」
「ならいい。
じゃあお前等、また後で。渚」
狼姿となった渚の背に乗り、龍二は行ってしまった。その後を雛菊と桜雅、外へ出て巨鳥の姿となった氷鸞がついて行った。
龍二達を見届けたぬ~べ~達も家を出て行った。
二時間後……
「よ、ようやく…最後の一か所」
「つ、疲れたぁ……」
深い森の中にある、絶壁を見つけた郷子と広は膝を着きながらそう言った。
ぬ~べ~は、霊水昌を手にその絶壁を通して観ると、そこには大きな穴があった。
「どうやら、ここのようだな……
雷光、頼む」
「貴様に言われずとも」
吐き捨てるように言うと、雷光は雷を放ち合図を送った。
雷に気付いた龍二は、皆を呼び集めぬ~べ~達の元へと急いで行った。
その様子を見る皐月丸……
「おやおや……もう見つかっちゃいましたか……
しかし……あなたが相手では、あちらも手の出しようがありませんでしょうな?
そう思うでしょう?桜巫女」
振り返り、後ろにいる麗華を見る皐月丸……
麗華は、着物を着弓矢を持たされ、目は操られているような目の色をして、その場に立っていた。