今回は秦羅です。
では、本編
あらすじ
ミレイは、紅魔館のメイドとして、未来へ歩んでいった。
ミ:(秦羅君......ありがとう)
秦:「......ふぅ」
秦羅は白玉楼の縁側にて座っていた。彼の表情はどこか、眠気と哀愁に満ちていた。
それもその筈だ。何故なら、彼は先程までずっと眠っていたのだから。
決して、寝坊した訳ではない。どうしてかと言うと、彼は決戦時から目を覚ましていないからだ。
その出来事は、決戦時に遡る。
〜決戦時、塔の崩壊時〜
ヒ:「まさか、まだ動けたとはな......」
神:「本当に化け物ね」
塔の外に秦羅達はいた。 皆が口々に秦羅の事を言うなか、秦羅は1人佇んでいた。
秦:「......」
妖:「秦羅?どうしたの?」
佇んでいる秦羅を見て、妖夢は不思議に思い近づく。
普段なら、自分の事を言われたら何かを反論するはずだから、妖夢は不思議に思ったのだ。
秦:「ごめん......」
妖:「え......?」
秦羅はそのまま倒れる。血を吐き出しつつ。
妖:「秦羅!秦羅ァァァァ!!!」
〜そして、現在へ〜
秦羅が吐血をしつつ倒れたのは、ただえさえ身体に大きな負担をかけていたのに、動いたからだ。それも、絶神力を発動して。
秦:「......」
以上の事から秦羅の眠気に関しては分かったが、哀愁の表情は分からない。
哀愁の表情の理由は、数時間前に永遠亭を訪れた時に永琳から言われた言葉が原因である。
〜数時間前〜
永:「あれほど無理はするな......と言ったのに」
永琳にしては珍しく怒った様な口調になる。
それほど、秦羅が忠告を守らなかったのがそんなにイライラしてるのだろう。
秦:「分かってる。でも、あいつ......ヒカルには負ける訳にはいかなかった。そして、翔聖達を失う訳にも!」
秦羅の覇気はどんな状態でも衰える事はなかった。
流石は秦羅だ。実力だけでなく覇気においても最強クラスである。
永:「はぁ......。あなたには何を言っても無駄な用ね」
永琳は秦羅の消えることなき燃え続ける蒼き瞳を見て、言葉の意味通り、無駄だと分かると秦羅にある注射を渡す。
秦:「注射?これは?」
永:「痛み止めよ。効果時間は十時間ね。10時間経ったらもうその日は使えないわ。もう一度使うなら、10時間経ってからね」
流石の永琳でも秦羅の痛みを完全に消す事は出来ないようだ。だが、10時間も痛みを止めることが出来れば秦羅にとっては最高である。
永:「でも、いくら痛み止めがあってもヒカルの様な相手と戦ってはだめよ。つまり、あなたはいくら守りたいからって戦うのはやめなさいね。あなたが傷ついて悲しむ人はたくさんいるんだから......」
秦:「......ああ」
〜そして、現在に戻る〜
秦:「......妖夢」
秦羅は思い出してると秦羅の膝で寝ている妖夢を撫でる。
幽々子曰く、秦羅が倒れてからずっと看病していたようだ。少ししか睡眠を取らずに。それほど、心配だったようだ。
幽:「大変だったのよ〜?」
幽々子が背後から声をかける。
秦:「幽々子......その、2人には心配をかけてごめん」
幽:「私はいいのよ〜。1番心配してたのは妖夢なんだから」
幽々子はそう言うと秦羅の隣に座る。
幽:「それにしても......綺麗な髪だったのに切ったのね」
秦:「うん......なんか、長い髪が邪魔になったから」
幽々子の言う通り秦羅はロングだった髪をセミロングにした。彼は邪魔とは言っているが実は、長髪のせいで女に見られるんじゃないかという理由から髪を切ったのだ。だが、セミロングにしたことで更に女の子の様に見えるようになった。
幽:「ふぅーん」
幽々子は秦羅の話に応答しながら秦羅の頭を撫でる。
秦:「幽々子?」
撫でられた秦羅は不思議そうな顔をする。いきなり撫でられたら誰だってこんな顔をする。
幽:「良く頑張ったわね、秦羅。これからはゆっくりと休みなさい。あなたは私達にとって大切な存在なんだから」
秦:「幽々子......ありがとう」
秦羅は笑顔を見せる。秦羅の笑顔を見た幽々子は微笑む。
そして
妖:「うーん......?」
妖夢が目を覚ました。
秦:「おはよう、妖夢」
妖:「おはよう......秦羅」
妖夢は起き上がると眠気まなこを擦りながら辺りを見渡す。
幽:「さぁ、妖夢! お腹空いたからご飯にしましょう。秦羅も目が覚めた事だしね」
幽々子はまだ眠気まなこの妖夢を掴むと引っ張っていく。
妖:「は、はい〜。わ、分かりましたから引っ張らないでください〜」
妖夢はそのまま連れてかれる。
秦:「ハハハ......」
秦羅は連れてかれた妖夢を見て苦笑いになる。
秦羅が笑顔を見せるのは、決戦が終わったのと、誰かに褒められた事による心に余裕が出来たのだろう。
秦:「さて......」
秦羅が2人を追いかけるべく立ちあがると
「秦羅......よかったわね」
どこからか声が聞こえた。いつか聞いたことがある優しく暖かい声が......
秦:「だれだ?」
秦羅は声の主を探して、キョロキョロと見渡すが、誰もいない。
しかし、秦羅は声の主の声に聞き覚えがあった。
秦:「桜花......君なのかい?」
聞き覚えのある声は桜花の声だった。
桜花の魂はここ、白玉楼にあっても不思議ではない。
秦:「桜花......いつまでも見守ってね。僕は世界を見守るからね」
秦羅は聞こえてるかも不明だが、語りかける。見守っている存在に。
そして、秦羅は白玉楼の中に入っていく。
「ええ、見守ってるわ。そして、あなたの近くにいつまでもいるわ」
続く
どうでしたか?
最後の人物、誰か分かりますよね
では、次回を楽しみに
そして、次回で最終話です