セイバーとランサーが対峙する。セイバーは原初の火を、ランサーはゲイ・ボルグを携え眼前の敵を補足する
「わかっているとは思うけど、相手に宝具を発動させたらダメだぞ」
あの槍は必中の槍。発動した時点で因果を歪めて心臓を貫いたという結果を残す宝具。こと対人戦において強力なものであるのは間違いない。
セイバーは一呼吸おいて、わかっていると反応し剣を強く握る。
「戦闘は任せた。僕は補助に回る」
僕がそう言うとセイバーは一足でランサーへと接近する。
敏捷値では向こうのほうが上、故に先手必勝を狙ったというところか。
ランサーは槍を突き刺すといった形で迎撃してきた。
「甘い!!」
槍をいなしその勢いで斬り付ける。すこしばかりだが、確実にダメージを与えた。
槍でガードの構えをとるランサーに今度はセイバーは剣を振りかぶりガードの上から攻撃する
「がはっ!!」
ガードは崩れ、大剣がランサーの肩を斬り付ける。
それでも致命傷とはいかず、ランサーはその槍をくるりと回し、その勢いでセイバーへと攻撃する。
「shock(32)」
コードキャスト、相手の動きを一時的に止める魔術を発動。その隙にセイバーは再度ランサーを斬り付ける。今度は胸部
しかし、ランサーはわずかに身体を動かし
、また致命傷となるのを避けた。
ろくに動かないはずなのによくやるよ
だが、セイバーはそこで止まらない。更なる攻撃、上からの振り下ろしにより、ランサーの肩から斜めを大剣で切り裂くことに成功した。
ようやくの大ダメージ。普通ならもっと弱らせれるはずなんだけどね。相当の使い手のようだ
「ちっ!!」
ランサーはバックスップで距離をとりこちらを睨む、マスターがいないから良かったものの、マスターと一緒に相手することになったら相当に厄介そうだ。
「へっ、随分とマスターとサーヴァントの連携が上手いじゃねえか!」
「当たり前だ!」
まあ、確かに当たり前だろうね。少なくとも僕たちは聖杯戦争経験者だ。だからこそ戦闘における役割を理解してる。1体1なら早々やられはしないよ
「まあ、俺としても本気で戦いてえが、今は様子見ですましてやるさ」
「弱い犬程よく吠えるって言うのは本当のようだね」
「犬って言うな!!」
なんだ、禁句だったか?軽い挑発のつもりだったんだけど
っと、何か接近してくる気配が…
「はぁぁぁぁぁぁぁ!」
「ちっ!!」
突然何者かがランサーへと不可視の剣を振り下ろした。
ランサーはこれを回避、衛宮の家を囲む塀の上に着地したようだ。
それにしても、やっぱり衛宮も召喚したのか……
「セイバーが2人だと!?いったいどういう事だ!!」
僕の眼前に佇むのは2人のサーヴァント、赤を基調としたセイバーに青を基調としたセイバー
2人のサーヴァントがランサーを睨む。
いや、赤い方は戦闘が邪魔されて少し不機嫌みたいだ。
「何にしろ、この状況は不利だな。どうやらあの坊主もマスターになったようだし3人の情報を持ち帰れば上々だろ。」
ランサーは塀から姿を消すかのように消えた…恐らくはセイバーが2人という事態も報告されるのだろうな。
そう考えつつ、思考を切り替えようとしてきた時だ
「お前たちは、何者だ」
青い方がこちらへ不可視の剣を向けてきた。
うわぁ、正直ないわぁ
お前のマスターを助けたの僕達だぞ?
それに剣を向けるなんて騎士の風上にも置けないんじゃないかな?
ガウェインは違う意味でだけど、円卓の騎士っておかしいんじゃないの?
「まってくれ、セイバー!!」
ようやくマスターのご登場か。蔵から這って出てくるのは中々に滑稽だね。衛宮
「何故です?マスター。この者達は敵です、剣を止める必要がありますか?」
「こいつは俺を助けてくれたんだよ!」
「……仕方ありません。ここは見逃します」
なんだ、騎士ってのはみんな頑固者だと思っていたけど案外そうでもないのかな?
それにしても、2人のセイバーか。遠坂あたりが知ったら荒れるだろうなぁ
「何でセイバーが2人もいるのよ!!!」
あ……