============================
一人は朽ち果てようとしていた者を見つけた
一人は魔術師の誇りをかけ、召喚した
一人はただ言われるがままに召喚した
一人は召喚の権利を強奪した
一人は常識を覆す方法で召喚した
一人は兄を助けるために召喚した
一人は追い詰められ、召喚した
そして、ここに一人さらなる召喚者が現れた
冬木市に8騎のサーヴァントは集結する
それを感じ取ったのか、王は果実酒を傾け月へと語りかけた。
"余興にしては贅沢よな"
============================
放課後、いつものように道場で弓を射る僕に美綴綾子が話しかけてきた。
美綴綾子、弓道部の部長で弓道部のくせに薙刀が得意という変わり者。
こいつは他人が弓を射ようとしている所に話しかけるようなやつではなかったと記憶していたが…
仕方ないので構えを解き、視線を向ける
「もうあたしは帰るけど、アンタはどうする?もし残るなら教室にいる衛宮に声かけておいてくれ」
衛宮はまた道場の掃除を引き受けたのか。
まあ、少しばかり時間を忘れて没頭してしまっていたか。どうにもダメだね、今日は早く帰るつもりだったのに
「それじゃあ、僕もこれであがらせて貰うとするよ。良ければ送るけどどうする?最近は物騒だしね」
聖杯戦争、着々とサーヴァントが召喚されている中、一般人を巻き込む事を厭わない魔術師もいないということはない。
今の冬木市は危険ということは間違いないだろう。
「お気遣いどうも。でも大丈夫あたしがそこらへんの男に負けるとでも?」
「僕よりは弱いけどね」
「うっ」
そう、事実だ。夢での僕が大抵のことが出来たように、この僕には土台が仕上がっていた。
だからこそゲーマーの魂が奮い起こされ、ゲームのキャラを育成するかのように自分を高めていた
その結果、試合は殆ど参加してはないものの大抵のやつには勝てる物となっていた
「まあ、お前が強いってのは知ってるから特に心配はしていないさ。ただ女の子にはこういう気遣いが形だけでも必要だろう?」
「女の子扱いをされたのを喜べばいいのか、気遣いが形だけということを怒ればいいのかわからないな。」
「皆はお前を男っぽいだとか姉御とか言うけどさ、僕はお前よりも姉御っぽいというかがさつというか…そういった人を知ってるから十分女の子にしか思わないよ」
思い出すのはかつての記憶。僕の相棒であり、サーヴァントだった女の事だ。
もう2度と会えないかもしれないが、出来れば会いたいと思う僕はつくづく変わったと実感してしまう。
「まったく、そういう女殺しの台詞は違うやつに言ってやれ」
「違いない。じゃあ、僕は着替えてくるよ」
そう言い立ち去る。
道着を着替えつつ今日の事を思い出す。
今日は遠坂がサーヴァントを召喚したのがわかった。姿は見えなかったが裏口あたりで話してるのを見た。
不用心すぎるだろと思うな、遠坂のうっかりはとうとう治らなかったようだね。
桜の方はライダーが守ってるから問題はない。まあそのライダーがもしものためと学校に結界を施していたな。
流石に他者封印・鮮血神殿は止めさせたが……一般人が多くいる学校で使う代物ではない
制服に着替え、鞄を担いだ僕は校門へ向かう。遠坂がライダーの結界を調べている所から察して今の間に街を散策したほうがよさそうだ。
僕が知っているマスターは3人遠坂凛と衛宮士郎とそして、言峰綺礼だ。
まだ衛宮は召喚していないという事を考えてもしかしたら僕が召喚したせいで衛宮は召喚出来ないのかもしれない。
むしろ、衛宮が召喚した理由はなんだ?
コンビニに入り軽い食べ物を買いつつ思考する。
あいつは遠坂のような魔術師の誇りだとかを謳うやつじゃないのはわかっている。
どちらかと言うとヒーローの方があいつは好きだろうな。
そんな衛宮が召喚した理由…何か嫌な予感がする
学校の遠坂の様子を見に行くか。
" "
「(お前、僕を馬鹿にしているのか?流石にサーヴァントに生身で対峙しようと考えるほど自惚れていないよ)」
” ”
「(保険…ね。確かにそれは必要かもしれない。じゃあ頼むよ)」
" "
「(ああ、そいつがいいだろう。なにせ初戦闘になるかもしれないし)」
" "
「(じゃあ、行こうか)」