リボーン×東方~外界異変~   作:Lan9393

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二十三話:おにぎりおにぎり。おにぎりいっぱい

 

「山本さん!」

 

妖夢が笑顔で山本に駆け寄る。

山本はそれに気がついたか、「ん?」と返しながら振り返った。

妖夢の手の上には、綺麗な形のおにぎりが二つ。

それを掲げるように見せると、山本は疑問に思ったか声に出す。

 

「それ、どうしたのな?」

「おにぎりですよ!よくできたものなので、差し上げようかと」

「さんきゅな、妖夢!これで今日のこの後も頑張れるぜ!」

 

山本がガッツポーズで妖夢に返すと、妖夢がとても嬉しそうにはにかんだ。

そして、その場でおにぎりにかじりつく。

咀嚼音がその空間に響く。

「良くできた」といったものの、あまり美味しくなかったらどうしよう、と妖夢は内心ハラハラしていた。

たかがおにぎりだが、妖夢はそれにかかわらず不安そうな面持ちで山本を見あげる。

 

「うん、うまい!ちなみに、妖夢」

「はい、なんでしょうか?」

「いや・・・。よくできなかったら、俺もらえてなかったのかなってな」

 

そう問うた山本に、妖夢は考える。

確かに、そうかもしれないと結論に至った妖夢はそのまま伝えた。

 

「・・・まあ、そうですね。悪い気もしますが、人に差し上げるのだったらいい出来の方がいいじゃないですか!」

「そうだなぁ・・・。でも、俺はもらえればいいぜ?妖夢の、美味いからな!」

 

妖夢はその場で硬直した。

いくら霊夢のように鋭くなくとも、だいたいの意味合いはわかるであろう。

今の妖夢の思考では、「妖夢のであればどんなものでもいい」といった感じで捉えている。山本の方が無意識に言っているということを知っていても、自分の料理の腕を認めてもらえているだけだとわかっていても、そう言う意味合いで捉えてしまう。

どうやら、今の妖夢は冷静でないようで、つい声を発しようと口を開けてしまった。

山本は不思議そうに首をかしげているばかり。

 

「・・・あの——」

「あ、悪い!そろそろ時間だ。話はまたあとでな」

「へっ?・・・あ、はっはい!すいません、わかりました!」

 

山本の言葉を聞いて、ハッと気がついた妖夢はつい反射的に言葉を返してしまう。

それを聞いた山本は安心したように「おう!」と言って去っていく。

ぽつんと一人残った妖夢ははふぅ、と息を吐いて胸を撫で下ろす。

 

「なにを言おうとしてたんだろう・・・私ってば、勝手に勘違いしてその挙句、山本さんを困らせるような・・・」

 

また、息を吐く。

何を言おうとしていたかすら自分で把握できずに、妖夢は顔をしかめた。

久しぶりに体を動かしたい。その一心で妖夢は足を動かした。

 

—————————————

 

  コンコン、とドアがノックされる。

応接室の主と化している雲雀はそれを聞いてすぐ動いた。

ドアを自ら開けると、そこには丁寧にお辞儀をした咲夜がいた。

 

「こんにちは、雲雀さん」

「・・・おにぎりは?」

「勿論ここに。ご所望通り作ってまいりました」

 

微笑んでおにぎりを差し出す。

雲雀はそれを掴むと口にする。

 

「・・・悪くはないね」

「勿体無いお言葉です」

「咲夜、もう一個あるのかい?」

「はい?いえ、ありませんが・・・」

「そう。・・・なら、いいよ」

「??」

 

どこか不機嫌そうに眉をひそめた雲雀に、咲夜は何のことかわからない様子で雲雀を覗き込む。

しかし、ふいと逸らされた目と、目が合うことがなく咲夜は肩を落とす。

 

「・・・雲雀さん?」

「別に。なんでもないよ」

「そうですか」

 

雲雀のそっけない態度は普段通りなので咲夜は至って普通に接しようとする。

・・・が、思ったよりも雲雀は不機嫌なようだ。

 

「・・・そろそろ行きますね」

「うん」

「では」

 

咲夜は立ち上がって、応接間から出た。

——刹那、ヒュンッ、と空を切る音が聞こえた。

続けてカァンと金属音がする。

銀の刃が咲夜に襲いかかったのだ。

それをナイフでやり過ごすと、咲夜は笑った。

 

「久しぶりに暴れてるわね、妖夢」

「フーッ、フーッ!・・・咲夜さん」

「はいはい。ここじゃなんだから移動しましょうか」

 

のんびりと歩き出した咲夜に、妖夢が斬りかかる。

パリィンと窓が割れる。

二人は、窓の外へ投げ出された。

 

—————————————

 

  フランドールは単身、勝手に早退していた。

おにぎりを袋へいれて、それを持って走って。

家に着くと、ただ彼がいる部屋に向かった。

 

「あ、やっぱいた!」

「・・・フラン。学校は?」

「リボーンに渡すために帰ってきた!」

 

リボーンはスタスタとフランに近づく。

フランドールはそれを不思議そうに眺める。

パァンッ!頬が思い切り叩かれた。

 

「い、いた」

「バカか、お前は」

「えっ・・・」

「何で休んだ。お前は遅くから勉学に励み始めたんだ。追いつくためにもっと——」

「・・・んで」

 

ポタリ、と、リボーンの頬に雫が落ちる。

フランドールの紅の瞳が潤んでいた。

 

「渡したいって思うのはいけないことなのぉ・・・?」

「・・・」

 

手を離した時に、落ちてしまったおにぎりの袋をリボーンが拾う。

ごそごそとおにぎりを取り出し、口にいれた。

フランドールの手が小さいからか、やけに小さいおにぎりを咀嚼する。

しかし忘れてはいけない。それは、ポイズンクッキング後のおにぎりであることを。

小さいながらも形の悪いおにぎりをまた一つ、口に放る。

 

「・・・美味い」

「!」

「ただ、早退するのはいただけない。明日からしっかり取り組め」

「うん!ありがと、リボーン」

「・・・別に」

 

フランドールが涙を拭いて笑ったのを見て、リボーンも笑った。

・・・ただ、顔色は悪かったが。




おにぎり編終了。
え?咲夜と妖夢はどうなったかって?知りませんよ。
(そしてこれが一番やりたかった展開だなんて言えない)
バレンタインのものと、フラン・リボーンが展開が少々似てるのはしかたないです。
ネタがないんです。察してくださいお願いします。
友人N氏が最近仕事を放るので怖くて怖くて・・・。
あれ、おかしいな・・・次なにやるんだっけ・・・。まあいいか。
というわけで、また次回もお願いします!

では~!

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