リボーン×東方~外界異変~   作:Lan9393

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二十二話:ポイズンクッキングおにぎり

 

「今日、おにぎりを作るって?」

 

応接室で、雲雀は咲夜に聞いた。

窓の向こうに目をやりながら、雲雀は笑った。

それに、咲夜は何に笑んだかわからないまま返す。

 

「ええ。そうですが・・」

「じゃあそれ頂戴」

 

ぐりん、と咲夜を向いて、雲雀は言った。

笑みはすでにそこになく、無表情であるが。

咲夜はそれに目を丸くする。

 

「えっ・・・」

「鮭ね」

「は、はい・・・」

 

勢いに押されるまま、咲夜は頷いた。

雲雀はその咲夜の返答に満足したのか、またそっぽを向いた。

やや間があって、状況を把握した咲夜はため息を吐いた。

 

(仕方ない人ね)

 

———————————

 

ツナSido

 

「実習で作ったおにぎりを男子にくれてやるーーー!」

「おおおおおお!!!!」

 

女子がおにぎりを持ってやってくるなりそう叫ぶと、男子もそれに釣られるように雄叫びをあげる。というか、歓喜の叫びだ。

女子の列には、京子ちゃんもいるし、博麗たちもいた。

・・・しかし、恐るべきことに京子ちゃんのおにぎりと、博麗、魔理沙のおにぎりはポイズンクッキング済みだ。

うん。フランにはやめておいたんだろう。おそらく。

ああ、神よ。あなたはなぜこんな苦行を・・・!

 

「・・・ツナくん?」

「な、なにかな!?」

 

おにぎり(ポイズンクッキング)を持った京子ちゃんがオレの顔を覗き込んだ。

 

(うわぁああ、ど、どうしよう?!)

 

「食べる?作ったんだけど・・・」

「え、あ・・・」

「十代目、食わないんすか?」

「お、ならもらっていいか?」

 

何も知らない獄寺くんと山本が手を延ばした。

オレはそれを、自分の腕を振り上げることで阻止する。

 

「食べたら、死ぬんだぞ!」

「は、」

「えっ」

 

叫びながら、オレは言い放った。

彼らの手から落ちたおにぎりは、オレがキャッチする。

獄寺くんたちは呆気にとられたようにオレを見る。

 

「ツナ、くん・・・?」

 

しまった、京子ちゃんのを食べないと、嫌われる!

どうしよう?!

ぐるぐるぐると思考が回る中で、パァンッと破裂音が響いた。

強い衝撃。それは頭と腹を通過した。

 

「死ぬ気でおにぎりを食う!」

 

オレは次の瞬間、両手のおにぎりを口に入れ、京子ちゃんが持っていたおにぎりまでも口に入れる。

そして、その隣の人のものを食う。

 

「きゃあ!」

「さ、沢田!?」

 

驚いている声が聞こえるが、知らないな!

オレはまた近場の人のおにぎりを食べる。

 

「食われた!」

「おにぎりがないわ!」

「沢田は暴走したぁあああ!」

「誰か、止めろ!」

 

もぐもぐ、とおにぎりを咀嚼するオレを取り囲むクラスメイト。

その山を飛び越えた。

そして、その先にいる博麗の元へ・・・行くと殴られた。

 

「あでっ?!」

「なにしてんのよ」

「は、博麗・・・痛い。結構」

「早く服着なさいよ」

「うわぁ?!」

 

博麗に指摘されてオレは何処かに落ちている制服を拾って着る。

うう、また死ぬ気になっちゃったよ・・・。

ああやばい、口元に米粒が・・・。

焦るオレを見てため息をつく博麗が、「あっ」と声を漏らした。

 

「「「「「「さ~わ~だぁ~」」」」」」

「ひぃっ?!」

 

男子が恨めしそうにオレを囲んだ。

オレはそれに身を縮こまらせるしかできない。

その男子の一人に、ポンッと肩に手を置いた博麗が口を開く。

 

「あんたら、さっき沢田が言ったこと覚えてんの?『食べたら死ぬ』のよ?笹川のはともかく、他の女のには毒が仕込まれてるかもしれないわ」

「な、なによ博麗さん。私たちがなにかするとでも・・・?」

「違うわよ。魔理沙よ。魔理沙の薬ならそういったものすることできるでしょ?」

「やっと私に話を振ったかと思いきや、酷いぜ霊夢!?」

 

博麗が魔理沙を指差すと、魔理沙がやや涙目で反論。

女子の目は、魔理沙に向けられる。

 

「魔理沙さん、言い訳はあっちで聞くわ。おにぎりを置いてちょっといきましょ」

「ええ!?い、いや勘違いなのぜ!あれは霊夢の罠で・・・お、おい、聞いてんのか?!見てないで助けてくれ妖夢ー!フランー!」

「あー・・・頑張ってください」

「ドンマイ☆」

「救いがねぇ!」

 

魔理沙は女子に引き摺られていった。

おにぎりはそこに残ったままである。

男子の喉がなる。

そこにあるのは、ポイズンクッキングされたおにぎりがあるのみだが。

 

「・・・いただき」

 

男子が手を伸ばすと、たった一つのおにぎりに触れたものがいた。

獄寺くんだ。

彼はそのままひょいっと口にすると、顔を青ざめさせる。

しかし、なんとか全部咀嚼し飲み込むと、がっくりと膝をついた。

 

「・・・ごちそうさま」

「ご、獄寺くん、頑張ったね・・・」

「・・・じゅう、だいめ」

 

獄寺くんは、カクリと意識を失った。

オレはそばに寄って、背中を撫でる。

 

「・・・やっぱこれポイズンなのねー」

「・・・ははは」

「食う?」

「えっ」

「食う?」

 

博麗におにぎりを差し出される。

どこか期待を含んだような視線が突き刺さる。

 

「・・・イタダキマス」

「あら、そう?・・・いいのね?」

「・・・」

 

無言でおにぎりを取る。

そして、大きく口を開けて押し込む。

つい、そのまま飲み込む。

しかし、毒はある・・・・。

 

「おい・・・しいよ・・・」

「あー、さ、沢田・・・?」

 

申し訳なさそうな博麗の声を聞いたのを最後に、オレは眠りについた。




漫画があるだけでこんなに違う・・・!
オリジナリティがなくなってしまうのは、あれですが・・・まあ、東方メンバーいますしね。
次回は、それぞれ・・・東方メンバー(霊夢除く)は誰に渡したか?その反応は?
それを書こうと思います。
・・・・ふぅ。

というわけで、また次回!

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