「今日、おにぎりを作るって?」
応接室で、雲雀は咲夜に聞いた。
窓の向こうに目をやりながら、雲雀は笑った。
それに、咲夜は何に笑んだかわからないまま返す。
「ええ。そうですが・・」
「じゃあそれ頂戴」
ぐりん、と咲夜を向いて、雲雀は言った。
笑みはすでにそこになく、無表情であるが。
咲夜はそれに目を丸くする。
「えっ・・・」
「鮭ね」
「は、はい・・・」
勢いに押されるまま、咲夜は頷いた。
雲雀はその咲夜の返答に満足したのか、またそっぽを向いた。
やや間があって、状況を把握した咲夜はため息を吐いた。
(仕方ない人ね)
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ツナSido
「実習で作ったおにぎりを男子にくれてやるーーー!」
「おおおおおお!!!!」
女子がおにぎりを持ってやってくるなりそう叫ぶと、男子もそれに釣られるように雄叫びをあげる。というか、歓喜の叫びだ。
女子の列には、京子ちゃんもいるし、博麗たちもいた。
・・・しかし、恐るべきことに京子ちゃんのおにぎりと、博麗、魔理沙のおにぎりはポイズンクッキング済みだ。
うん。フランにはやめておいたんだろう。おそらく。
ああ、神よ。あなたはなぜこんな苦行を・・・!
「・・・ツナくん?」
「な、なにかな!?」
おにぎり(ポイズンクッキング)を持った京子ちゃんがオレの顔を覗き込んだ。
(うわぁああ、ど、どうしよう?!)
「食べる?作ったんだけど・・・」
「え、あ・・・」
「十代目、食わないんすか?」
「お、ならもらっていいか?」
何も知らない獄寺くんと山本が手を延ばした。
オレはそれを、自分の腕を振り上げることで阻止する。
「食べたら、死ぬんだぞ!」
「は、」
「えっ」
叫びながら、オレは言い放った。
彼らの手から落ちたおにぎりは、オレがキャッチする。
獄寺くんたちは呆気にとられたようにオレを見る。
「ツナ、くん・・・?」
しまった、京子ちゃんのを食べないと、嫌われる!
どうしよう?!
ぐるぐるぐると思考が回る中で、パァンッと破裂音が響いた。
強い衝撃。それは頭と腹を通過した。
「死ぬ気でおにぎりを食う!」
オレは次の瞬間、両手のおにぎりを口に入れ、京子ちゃんが持っていたおにぎりまでも口に入れる。
そして、その隣の人のものを食う。
「きゃあ!」
「さ、沢田!?」
驚いている声が聞こえるが、知らないな!
オレはまた近場の人のおにぎりを食べる。
「食われた!」
「おにぎりがないわ!」
「沢田は暴走したぁあああ!」
「誰か、止めろ!」
もぐもぐ、とおにぎりを咀嚼するオレを取り囲むクラスメイト。
その山を飛び越えた。
そして、その先にいる博麗の元へ・・・行くと殴られた。
「あでっ?!」
「なにしてんのよ」
「は、博麗・・・痛い。結構」
「早く服着なさいよ」
「うわぁ?!」
博麗に指摘されてオレは何処かに落ちている制服を拾って着る。
うう、また死ぬ気になっちゃったよ・・・。
ああやばい、口元に米粒が・・・。
焦るオレを見てため息をつく博麗が、「あっ」と声を漏らした。
「「「「「「さ~わ~だぁ~」」」」」」
「ひぃっ?!」
男子が恨めしそうにオレを囲んだ。
オレはそれに身を縮こまらせるしかできない。
その男子の一人に、ポンッと肩に手を置いた博麗が口を開く。
「あんたら、さっき沢田が言ったこと覚えてんの?『食べたら死ぬ』のよ?笹川のはともかく、他の女のには毒が仕込まれてるかもしれないわ」
「な、なによ博麗さん。私たちがなにかするとでも・・・?」
「違うわよ。魔理沙よ。魔理沙の薬ならそういったものすることできるでしょ?」
「やっと私に話を振ったかと思いきや、酷いぜ霊夢!?」
博麗が魔理沙を指差すと、魔理沙がやや涙目で反論。
女子の目は、魔理沙に向けられる。
「魔理沙さん、言い訳はあっちで聞くわ。おにぎりを置いてちょっといきましょ」
「ええ!?い、いや勘違いなのぜ!あれは霊夢の罠で・・・お、おい、聞いてんのか?!見てないで助けてくれ妖夢ー!フランー!」
「あー・・・頑張ってください」
「ドンマイ☆」
「救いがねぇ!」
魔理沙は女子に引き摺られていった。
おにぎりはそこに残ったままである。
男子の喉がなる。
そこにあるのは、ポイズンクッキングされたおにぎりがあるのみだが。
「・・・いただき」
男子が手を伸ばすと、たった一つのおにぎりに触れたものがいた。
獄寺くんだ。
彼はそのままひょいっと口にすると、顔を青ざめさせる。
しかし、なんとか全部咀嚼し飲み込むと、がっくりと膝をついた。
「・・・ごちそうさま」
「ご、獄寺くん、頑張ったね・・・」
「・・・じゅう、だいめ」
獄寺くんは、カクリと意識を失った。
オレはそばに寄って、背中を撫でる。
「・・・やっぱこれポイズンなのねー」
「・・・ははは」
「食う?」
「えっ」
「食う?」
博麗におにぎりを差し出される。
どこか期待を含んだような視線が突き刺さる。
「・・・イタダキマス」
「あら、そう?・・・いいのね?」
「・・・」
無言でおにぎりを取る。
そして、大きく口を開けて押し込む。
つい、そのまま飲み込む。
しかし、毒はある・・・・。
「おい・・・しいよ・・・」
「あー、さ、沢田・・・?」
申し訳なさそうな博麗の声を聞いたのを最後に、オレは眠りについた。
漫画があるだけでこんなに違う・・・!
オリジナリティがなくなってしまうのは、あれですが・・・まあ、東方メンバーいますしね。
次回は、それぞれ・・・東方メンバー(霊夢除く)は誰に渡したか?その反応は?
それを書こうと思います。
・・・・ふぅ。
というわけで、また次回!