リボーン×東方~外界異変~   作:Lan9393

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全組みいます。そして付き合ってます。
え?何でって聞かれても・・・。
ちなみに、将来こうだったらいいなぁってだけです。
実際違いますけどね。はい。
ラブラブ度(大体)
山本・妖夢>炎真・アリス>ベルフェゴール・早苗>ディーノ・レミリア>獄寺・魔理沙>雲雀・咲夜>綱吉・霊夢>フラン・フランドール
ツナ霊とフラフラは淡白というか・・・こう、実は一番信用しあってるのに、恋愛に関することは両方疎いので進展しないというか・・・はい。
絶対付き合ったのは裏で誰かがやったからですね、絶対。



クリスマス風景~全組~

霊夢Sido

 

「メリープレゼントだぞ、お前ら」

「わぁい!ありがとうリボーンおじさん!」

「リボーンありがとー!」

「---------!」

 

三人が浮かれて喜んでいる。

そりゃあ、まあ欲しかったプレゼントがもらえるのだからそうか。

サンタリボーンさんはプレゼントを持って配り、ガキ牛には鉄拳制裁。

まあ、それでも甘くなった方よね。リボーンさんは。

それを見て笑っていると、私の視界が揺れる。

すると、ズルズルと・・・はぁ?!

 

「霊夢、ちょっといいか?」

「・・・なんだ、綱吉か」

「何だと思ったんだよ?」

「なによ、部屋に連れ込んで」

 

綱吉が私を引きずるように自室へ押し込んだのだ。

少々ドキドキしているように思うのは、きっと気のせいだ。

・・・綱吉相手にドキドキするのは、ちょっとおかしいと感じる私がいる。

でも、これが『恋人』というものなのだ。割り切れ、私よ。

だけれど未だに慣れない。男とこんな関係になることはなかったから。だからっていって女とあったわけじゃないけど。

 

「いいや、プレゼント」

「・・・へぇ。中は?」

「・・・いるか?」

「中は・・・」

「いるか?」

「・・・いる」

 

綱吉は、「よしっ!」と満面の笑みで私にプレゼントの箱を渡す。

さっきは真顔だったから・・・嬉しいっていうか、なんていうか・・・。

そんなのは気にせず、私は箱を開ける。するとそこにはブレスレットがあった。

 

「これ・・・装飾品?よくもまあ手に入ったわね、あんた」

「あー。まあ、オレも十代目だし、な?」

 

言いたくないように頬をかきながら綱吉はそう言った。

ふぅん?面白そうだからからかうようにブレスレットを持ち上げて言ってやった。

 

「権力にものを言わせたものならいらないわよ」

「わーわー!冗談冗談!働きました!アルバイトの結果ですー!」

「・・・『ボンゴレ十代目!女のためにアルバイト?!』」

「記事にはなりません!」

 

なんだ、つまらないの。

私は早速それを右腕につける。

すると、その手が止められ、ブレスレットは左腕につけられた。

 

「なによ」

「いや・・・左手はさ、いつか薬指に指輪を贈りたいから・・・その代わり」

「・・・期待してもいいわけ?それ、プロポー・・・・ひゃぁ?!」

「いいよ?贈ることには変わらないからさ」

 

綱吉は私の耳に顔を寄せてそこで囁くように告げた。

ああもう恥ずかしいじゃない!

クスクスと笑った綱吉は、「前とは立場が逆だな」と言った。

前・・・まだ私がボンゴレを理解していなかった時だ。

あの時はまあ、綱吉もあまり心を許せない男だったわけで。

 

「・・・ねえ、これ、着てくれる?」

「ねぇ、これって・・・サンタコス・・・?」

「うん」

 

綱吉はサンタコス(ミニ)を手渡した。

ミニって・・・つまり、あれな長さなわけで。 

私は綱吉にそれを押し返す。

 

「い、や!なんてもの着せようとしてんのよ!?」

「霊夢サンタ見たい!お願い!」

「嫌なものは嫌!」

 

しならくその口論は続き、ちょっとした『お願いの仕方』をされたら・・・私はしかたなく着ることになった。

ぜっっっっっっったい!もう着ない!

 

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獄寺Sido

 

ガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャ(ry

 

・・・・そんな音で俺は目が覚めた。

何これホラー。

しかたなくドアを開けると、待ってましたと言わんばかりに俺に飛びついてくる女。

霧雨魔理沙だ。

 

「よぅ!おっはよーさん、獄寺!」

「・・・なんの用だ?」

「なにいってんだ!今日はクリスマスだぜ?だから来てやったのぜ~。おっじゃまします!」

「・・ああ、今日だったな」

 

俺は霞む思考をシャキッとさせるため冷水を顔にかける。とまあ、魔理沙がきた時点である程度目は冷めているんだが。

魔理沙は上機嫌で台所に立った。

 

「・・・お前が作るのか?」

「おう。どっかの寝坊助のためにな」

「そうか」

 

ソファに腰掛けると、「反応が薄いぜ~」なんていいながらガサゴソと漁り出す音がする。

なにをしているんだ、あいつは。

台所を漁ってるということは何かを作ろうとしている。

確かあいつガサツだから・・・・。

台所が荒地となりそうだ。

 

「んぁ?獄寺、どうした~?」

「いや、・・・手伝う」

「いいっていいって!」

 

魔理沙は俺を台所から押し出そうとする。

その手をつかんで俺はまた台所に押し入る。

 

「・・・いいから。作るんだろ?」

「おう!」

「またバカなことを・・・」

「流石に荒地にはしないのぜ~?」

「嘘つけ。前は何を作っても散らかしてたくせに」

「厳しいなぁ・・・」

「そもそもがっ!!」

 

俺はビシィッと擬音がつきそうな勢いで魔理沙を指差す。

魔理沙はびっくりして俺を見る。

 

「お前の家は足の踏み場すらないとはどういうことだ?!俺が行くたびに掃除しなくてゃいけないとはお前どういう過ごし方して・・・うおっ?!」

 

俺の説教に飽きたか魔理沙は台所漁りを再開した。

なんだってマイペースなんだ・・・!

台所が一瞬にぐちゃぐちゃになる。

 

「おい、魔理ッ・・・!」

「黙って見てろっ!美味い飯食わせてやるんだからなっ!」

「・・・!・・・あー、ならせめて片付けも自分でやってくれよ?」

「それはヤダ」

「なっ?!ま、魔理沙!」

「あっはは!!まあまあいいじゃねぇかよ~」

 

良くない、と叫ぼうとしたがやめた。

魔理沙は袖をまくり早速作り始めた。

何だかそれを見たら叫ぶ気も失せてため息を吐く。

必死になってやってくれようとしてくれる様をどうしても止めようとも思わない。

 

「・・・んじゃあ俺はあっち行ってるか」

 

踵を返してリビングを片付けることにした。

・・・その後、俺は台所を片付ける羽目になった。

まあ、飯は美味かったからいいか。

 

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妖夢Sido

 

  山本さんは今日も忙しかった。

試合だそうだ。

他の野球部さんはとてもブーイングをしていた。

さすがに恋人さんがいる人もいたんでしょうね。

私は試合を観戦したあと、寒いけれど山本さんのお家に向かっていた。

どうやらお話があるらしく、試合が終わったらきて欲しいとのことらしい。

まあ暇っていうか・・・クリスマスだから特に異論はないのですが。

お話ってなんでしょうか・・・?

 

「こんにちはー!」

「おう!妖夢ちゃんか!上で待っててくれ!」

「はい~!」

 

お家にお邪魔して、 お部屋で待たせていただく。

山本さんのベッドに腰掛け足をぶらぶらさせる。

荷物から木刀を出して素振りでもしようか?

でも流石に人の部屋で素振りは・・・。ものを壊したらまずいし。

私は荷物から木刀をちらつかせながら悩んでいた。

やがて山本さんが帰ってきたらしく部屋へ入ってきた。

ビクリと肩が震えてしまう。

 

「妖夢?」

「あ、えっと、お、おかえりなさいっ!」

「なんか、こうしてると夫婦みたいだなぁ」

「ひゃぁ?!」

 

ふ、夫婦・・・。ニヤついてしまうより先に、私の後ろに、私を抱えるように座ってきた。

すごい接近してて、とても緊張する・・・!

 

「なあ、妖夢。話、なんだけどな?」

「は、はい・・・あ、あの、私になにか至らないところが?」

「・・・そういうことじゃないんだけど。そうだなぁ」

 

頭を掻きながら山本さんは言葉を選んでくださっている。

私はただ山本さんに寄りかかって待つ。

ぎゅうっと抱きしめられる。うう、恥ずかしい・・・。

 

「妖夢はさ、ちゃんと俺のこと、好きだよな・・・?」

「はいっ、好きですよ?」

 

ニッコリ笑って見せると、くいっと引っ張られて口付けられる。

突然のことにあたふたするばかり。

 

「メリー、クリスマス、妖夢」

「きゅ、急になんですか・・・?」

「んー?言いたかっただけなのな~」

 

にやけた山本さんに「もう」とため息混じりにつぶやく。

肩の力を抜いて、なるべく不機嫌そうな表情で山本さんを見上げる。

私の顔を見てちょっと驚いたようにしてみせた。

 

「なんだ?」

「不安なんですかー?」

「いやぁ、だってさぁ?こういうのって再確認した方がいいかなって」

「信じてないことになりません?」

「ないね。俺は妖夢が大好きだしな!」

「・・・好きなのと信じてるって、意味が違いますよ?」

 

私が苦笑しながら言うと、山本さんは「お?」と目を見開いた。

 

「ふふっ。山本さん。大好きですよ」

「俺もなのな!」

 

私たちは笑いあって、ベッドに倒れこんだ。

山本さんはすぐに寝始めてしまったようで、寝息が聞こえる。

・・・なんだかレアなシーンだ。

そっとその頬にキスを落とす。

 

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レミリアSido

 

「メリークリスマース♪」

「・・・ディーノ、あんたなにしてるのよ?」

「開口一番それか?ほら、もっとあるだろ?『ディーノ!私さみしかった!』みたいな」

 

ディーノは私の部屋に入るなりそう叫んだ。

私がそっけなく返せばディーノは悲しそうに苦笑した。

ちょっとした小芝居があり、私は苦笑する。それにディーノは明るい表情を見せた。

が、

 

「私が自分から泊まりに行ったのにそんなこと言えるかっ」

「ぐはっ」

 

腹に一発拳を叩き込む。

久しぶりの対面。しばらく仕事で忙しそうだったからという配慮。私はその間沢田綱吉の家に泊まっていた。

その間は全く会わなかったのだ。まあ、ディーノが怒るのは当たり前。

だが、こんなにも上機嫌で部屋を訪ねるなんて、到底あり得ない話。

しかしそれは他の人間だったら、だ。多少例外はあるだろうが、このディーノはその例外に値するだろう。

上機嫌な理由は、おそらく会えて嬉しいから・・・。なんて、自惚れるようなことを考えてしまう。まあ十中八九そうであろうが。

サンタの服装をしたディーノが何もないところでこける。

しかも、後ろへ。

ドジっていうか、不運っていうか・・・。

私は蔑んだ目で見下ろす。

 

「・・・あんた」

「いや、ちがっ!これは足を・・・!」

「関係ないわよ。ほら、早く起きなさ———」

 

クイッ「ひゃぁ?!」

 

私が助け起こそうと手を延ばせば、その手がディーノによって取られる。

引っ張られ、私はディーノの胸の中へ・・・。

密着している。そう思った私の心臓は信じられないくらいバクバクと鳴っている。

背中に手を回された上に手も取られ。

 

「っ・・・く!その手を離しなさい!」

「なんでだよ?」

「恥ずかしくてならないの!ほら、さっさと!」

「・・・なんでだよ」

 

ぎゅう、と抱きしめられる。

絶対心臓の音聞こえてるって・・・!

彼の低い声にまた反応してしまう。

 

「・・・え?」

「なんで、会ってくれなかったんだ?」

「だ、だってあんたは、仕事があって・・・!」

「それの途中でもよかったろうがっ!!」

 

くるりと視界が回る。気がつけば、ディーノが私の上に馬乗りになっていた。

辛そうで、悲しそうな目。

私がいないことに、そんな耐えられなかったの?

 

「レミ、リアァ・・・!」

「あーもう、はいはい。私が悪かったわ。ごめんなさいね、ディーノ」

「ゆるさねぇ」

「はいっ?」

 

ディーノは私の首元に顔をうずめて肩を震わせたかと思うと、起き上がってどこか面白そうな目で私を見下ろした。

 

「レミリア、俺プレゼントはお前がいい」

「ふざけてんの?酔ってんの?殴って目を覚ます?」

「生憎、俺は正気だ」

 

ニマッと笑んだディーノは、私の頬に手をはわす。

ずぞぞ、と鳥肌が立った。

 

「い、いい、いいかげんにしなさあぁあああああああああああい!!!」

「うぎゃぁ?!」

 

恥ずかしさのあまりつい顔面頭突き+股間膝蹴りを入れる。

ふぅ、スッキリ。

私は近くを通りかかった男にディーノを運ばせるようにお願いする。

・・・ディーノのポケットに、プレゼントをいれるのを忘れない。

どことなくしてやられた感が拭えないまま、ベッドにダイブした。

 

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早苗Sido

 

  ベルさんが寝てる。

くすり、と笑いながらそのソファに近寄る。

静かな寝息。ベルさんが安心して寝ている証拠。

何故か嬉しくなって、ついベルさんに抱きついてしまう。

するとベルさんは起きたらしく、私の肩に手が置かれた。

 

「・・・なに?急に・・・」

「いえ、なんだか嬉しくなったので!」

「よくわかんないけど、まあいっか」

「あ、また寝るんですか・・・?」

「キシシ、睡眠は大事ってしつこく言って来たの、誰だっけかー?」

「・・・う、私ですけどぉ」

 

ベルさんは確信犯だ。寝ようとすれば私が悲しむのを知っている。

それを知った上で、言っているというのだ。

私も、それを知っているんですけどね・・・。

 

「じゃあ寝かせてよ」

「で、でもぉ・・・」

「なんで?」

「え?」

 

ベルさんが私の手を掴み取る。

それによりバランスを崩した私はベルさんに跨るような体制になってしまう。

 

「う、うひゃぁああ?!べ、ベルさん!?」

「なんで?」

「さ、寂しいんですよ・・・。折角のクリスマスで、しかもお仕事もない日なのに」

「ふぅん?そっか。だから寝たいんだけどな」

「うう、ですよね・・・。じゃあ、せめてそばに居させてください」

 

すると、ベルさんが私の発言に目を丸くした・・・ように思えた。

ベルさんの手を握って、真剣に相手の目を見て。

ため息をついたベルさんは「いーよ」と言ってまた目を閉じる。

 

「もう、私の気持ちもわかってもらえないなんて・・・」

 

手を握ったまま私は頬をほころばせた。

 

「私ったら・・・。でも、嬉しい・・・。ベルさんも、私を想ってくれてるんですよね?」

 

なんてつぶやけば、急に引き寄せられて。

目の前にはベルさんの顔(?)。

唇に暖かな感触があることから、キスされてるんだと気づく。

 

「べ、ベルさ・・・」

「愛してる」

「っ?!」

 

息が詰まる。

急な言葉にどうしても返す言葉が見つからず、抱きついて顔を隠す。

絶対、絶対変な言葉で返してしまう!

 

「キシシッ。傑作、その顔」

 

くいっとあげられた私の顔は赤いだろう。

ニヤリと笑ったその顔に私はただ睨むだけ。

 

「ベルさん・・・?」

「やっぱやめた」

「へっ」

 

気の抜けた声を出してしまう。え?やめたって?

つまり、私は遊ばれたってこと?

 

「なんか、そのまま放置するのも面白そう♪」

「ひ、酷いです!ベルさんのばかっ!Sさんっ!」

「だって俺、王子だし♪」

「関係ないです!ベーッ!」

 

ベルさんは笑って去っていく。

うう、やられた・・・!

私は渡し損ねたプレゼントをしまい、選ぶのが遅かった言葉を飲み込む。

ソファに座れば、スクアーロさんが目の前のもう一つのソファに腰掛けた。

 

「・・・はぁ」

「んだおい・・・」

「何でもないですよー。さて、部屋に戻りますね」

「あー・・・」

 

さっさといけと言わんばかりにスクアーロさんが手を振ってくださった。

 

ゾクッ

 

・・・あれ?なんででしょう?

今とても悪寒が・・・。

 

「さっさといけっ!!」

「へ?!え?!はい!」

 

駆け出す。

視界のはしに、面白くなさそうなベルさんが居た気がした——。

 

——————————————————

 

咲夜Sido

 

「咲夜。欲しいものはあるかい?」

「いえ、特には。雲雀さんのお側に居られればそれで十分ですので」

「そうか・・・。じゃあちょっと出かけてくるよ」

「え?雲雀さん?」

「明日には帰ってくる」

 

ふらりと出て行った雲雀さんの言葉。

明日・・・?

 

(ああ、明日はクリスマスなのね。・・・でも、どうして欲しいものなんか?)

 

私は首をかしげた。そんなこと、聞いても意味もないのに。

彼の行動の意味がわからないまま、その日は終わった。

  翌日、私の玄関には箱が置いてあった。

あまり大きくもない箱。

 

「・・・なにかしら?」

 

その箱を開ける。すると、そこには銀製のナイフ。

ご丁寧にいつも使っているものを選んで買ってきてくださったらしく、手に馴染む。

妖夢たちと手合わせするときはいつも全力で、ナイフは何本あっても足りないもの。だからか余計に嬉しく感じる。

 

「・・・雲雀さんは私をナイフ使いとしか思ってないのかしら?でもまあ嬉しいし・・・もらっておきましょう」

 

他に何かないか探っていると、箱の奥に紙があった。

 

『並中の応接室に来なよ』

 

急いで書いたからか汚めの字でそう書いてあった。

適当なノートの切れ端。

冬休みに学校へ来い、だなんて雲雀さんらしくって、なんだか笑えてしまう。

 

「ふふっ。仰せのままにってね」

 

私はその紙をポケットに、ナイフを太もものホルダーに入れていく。

まあ入らないものは私服の中に仕込む。

そうして、私は出かけた。

 

 

「やあ」

「なんでしょうか?」

「・・・ナイフは喜んでもらえたかい?」

「ええ、ありがとうございました。おかげでまたあの戦闘狂の後処理が出来ます」

「そうか。思えば魂魄妖夢と君は仲が良かったね」

「仲がというよりは、腐れ縁ですし。霊夢たちと一緒に暴れるものですから、大変でしたよ」

 

肩を竦めながら雲雀さんに返事を返す。

雲雀さんはふっと笑みを浮かべながら、私に問うた。

 

「君は、今本音で話しているか?」

「はい。勿論。自らが付き従う人には嘘偽りなく話すよう、自分でも意識していますから」

 

なるべく、冷静に。

こんな質問をされる意味がわからないけれど、雲雀さんのことだ、「何となく」なんて言葉で片付けられるだろう。

ならば、わざわざ聞く必要はどこにもない。

返事が決まっているのなら、わざわざ聞いても意味もない。

雲雀さんは笑みを浮かべたまま、私を見やる。

 

「ふぅん?」

「それにしたって、どうやって玄関に・・・」

「君の家の合鍵は僕がもらってるからね」

「・・・そうでしたね」

 

私としたことが、忘れていた。

雲雀さんは嬉しそうにチャラチャラと鍵を指で回す。

「見せるようにしなくていいですから」なんて言えるはずもなく。

苦笑して雲雀さんの行動に異を唱えなかった。

 

「君、さっきからムカつく」

「えっ?も、申し訳ありませ・・・」

「咲夜」

「・・・な、なんでしょう?」

「謝るな。そういう態度も見ててイライラする」

「は、はぁ・・・」

 

雲雀さんが急にイラつき出したのを見て、私はびっくりして雲雀さんをみる。

雲雀さんは私の視線に気づいたのか、「なんだい」と聞いてきて、それに咄嗟に「いいえ」と返す。

何かをつぶやくようにした雲雀さんは応接室の椅子に腰掛け、窓の向こうを見た。

 

「・・・」

「・・・あの?」

「君は、僕のものだよ」

「え・・・」

「君がこれからも付き従うのは、僕だけだって言ってんの」

「はい、勿論でございます」

 

照れたように、こちらを見てからそっぽを向いた彼。

精一杯の笑顔で、見つめた。

 

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炎真Sido

 

「アリス、寒くない?」

「え、ええ。私は平気よ」

「そう?」

「そうよ」

 

アリスは俺の心配は必要ないとでも言うように明後日を向いて言った。

「俺はそっちには居ないよ」なんてからかうように言えば、小さく「うるさい」と咎める声。

今日はクリスマス。だから部屋なんかにいないで、外でデートしようと誘ったのは俺。

だってアリス、ずぅっと中で本読んでるから。

クリスマスはカップルが溢れかえる日だ。そんな日に便乗しない手はないし、なにより、この一日をアリスと過ごしたかった。

プレゼントは用意済み。タイミングを見計らって渡せばいいだけ。

俺はアリスが手に息を吐いているのを見た。

それを見た瞬間、本能的に俺はその手を掴むように握る。

氷じゃないかと思うくらい、その白い手は冷たかった。

 

「・・・わ、手冷た」

「な?!なにしてんのよ?!」

「いやだってあっためなきゃ」

 

アリスの手を取って、俺は驚いたような声を出す。

まあ知ってたことなんだけどさ。

アリスはそれこそ驚いて、俺を見る。

なんか、そんな様が可愛くってつい笑ってしまう。

 

「いいいい、いらないわよ!?ほ、ほら、手、手!手、離しなさい!」

「あはは、焦りすぎだよアリス。ほら、離した」

「・・・ふんっ」

 

機嫌を損ねたようで、アリスは顔を真っ赤にしたまま別方向を見た。

いつものことだから俺は気にしないけど、さ。

 

「ごめんって。寒そうだったからさ、ね?」

「・・・まあ、気遣ってくれるのはありがたいけれど、その・・・一言言って」

「じゃあ、手、握っていいかい?」

「・・・どうぞ」

 

か細い声で承諾された俺はすぐアリスの手を握った。

アリスは恥ずかしいとでもいうように、手と俺の顔とを見て、俯く。

なんだかやりすぎたような気すらする。

 

「アリス?具合でも悪い?」

「誰のせいよ、誰の・・・!」

「いひゃいいひゃい、ほっへふかはないれ」

「全くもう・・・」

「・・・はい、アリス」

 

俺はアリスに手袋を渡す。

最終手段・・・というか、自分が持って生きていたことを忘れてただけなんだけど。

 

「・・・最初からだしなさ・・・じゃなかった。ありがとう」

「どういたしまして・・・と、偉かったね。言い直せて」

「うるさいわね」

 

俺の手袋をつけて、その手を自らの頬に当てる。

人目を気にしているのか、アリスはキョロキョロと辺りを見渡す。

しばらくそうした後、アリスは覚悟を決めたようにすると、これまた小さく俺の名前を呼んだ。

 

「・・・炎真」

「ん?」

「えいっ!」

「あ、アリス!?」

 

なんと、アリスが俺の腕に抱きついてきたのだ。

俺は何が起こったのかわからず、瞬きしたのちに控えめにこちらを見上げるアリスに、何も言えなくなる。

可愛いっていうか、なんていうか。

 

「ええっと、じゃあまあ歩こっか」

「え、ええ」

 

俺は、ポケットの中の箱を掴んだまま、アリスと一緒にクリスマスで浮かれる街を歩いて行った・・・。

 

——————————————————

 

フランSido

 

「ボス、ボス!サンタやってー!」

「うっせーガキ。んなことするほど俺は暇じゃねぇんだよ」

「ぶー!じゃあ外連れてってよー!霊夢は、霊夢かボスを連れてたら外出ていいって言ってたもんっ!」

「どんだけ前の話だよ、馬鹿野郎。とっとと行け」

「ダメなんだもん!霊夢が怒る~~!!」

 

ボスにフランドールが掴みかかってる・・・。

そんなの、ミーに言えば済む話なのに。

フランドールが半泣きになりながらボスにくっついて歩く。

すると、そんなフランドールとバッチリ目が合う。

ミーはなんか知らないけれど目を離してしまった。

しまった、目を合わせた!

そろーりと視線を戻すと、そこには期待の色を浮かべたフランドールがボスの背中に張り付きながら笑っていた。

ああ、やっぱり。

ターゲットはボスからミーに変わった。

 

「ねえねえフラン!フランは連れてってくれる?!」

「いやですよー。なんでわざわざ寒い中いかなきゃいけないんですかー」

「うー!ボス!フランならいーい?!」

「あ?本来ならカス鮫とか・・・あーあーいいよ連れてけばいいじゃねーか」

「わーい!ボス大好き!」

「げぇ、ボス・・・ミーを売りやがったですねー」

 

フランドールになんかして、ボスを訴えてやる・・・!

なんてのを考えながら、ミーはソファから動かない。

このまま寝てもいいけど、それだと壊されかねないな・・・。

フランドールがミーの腕をグイグイ引っ張って訴えかけてくる。

ガンとして無視。

 

「・・・なんでいかないの~?」

「あまり外出たくないっていうか・・・」

「私も一緒だよ!」

「なお心配ですー」

「酷いよおっ!」

 

フランドールががっかりしたようにうなだれる。

ミーはため息をつきながらフランドールを抱きしめる。

やや顔を染めたフランドールが何事かとこちらを見上げてきて、その拍子にひたいに口付けを落とす。

 

「ふぁ?!」

 

顔を真っ赤にして怯むフランドールをボスに預け、ミーはそこからなるべく早めに立ち去る。

 

「しまった・・・やってしまったで・・・ぶぐぅぶ!?」

「ふ、フラン!話は終わってないよぉ!」

「・・・なんですかー?まだ外をご所望ですかー?」

「うん!」

「・・・はぁ」

 

フランドールのキラキラした目になにもいえない。

しかたない、と腹を括る。

彼女の頭を撫でてやって、ミーも準備に入る。

ヴァリアーの制服で出歩くわけにもいかない・・・。私服に着替えてこよう。

部屋へ向かおうとすると、フランドールがミーの前に出てくる。

ちょっとむくれたようにフランドールがこちらを見上げながらじとっと見つめてくる。

怖くはないのでいたって普通に、フランドールの問いに答えた。

 

「どこいくのー?」

「着替えるんですー」

「逃げない?」

「逃げないー」

「ほんと?」

「ほんとですー」

「嘘!ついてく!」

「・・・うへぇ」

 

フランドールは、今度はミーに抱きついて、「いこう!」と楽しげに笑う。

まあ、これは着替えている途中にどんなアクシデントが起きてもしかたないですねー。

 

「・・・カスどもが」

 

どことなくさみしげに聞こえたボスのつぶやき。

はいはいリア充はぜろなんて考えてるんでしょうねー。

なんでだろう、ボスが近しい人に見えてきた・・・気のせいかな。

 

「ねえねえ、フラン!どこいこっか!」

「どこにしますかねー」

「真剣に考えてね!」

「えー」

 

フランドールが、「なんで!」て抗議するの聞かず、部屋へ入った。

——部屋を出る頃には、そこにはもうボスの姿はなかった。

 

 





恋人になったやつら。
カップリング的な呼び方ですすいません。


・ツナ霊:お互いを名前呼び。そして信用しあっている間柄。片方が鈍感+淡白、片方が鈍感+ヘタレなため進展は少ない。十年後のイケメンツナなら何か変わってるかも・・・。

・獄マリ:魔理沙が構ってオーラ振りまき中。獄寺はただひたすらそれを構ってついて回って悶えてる。多分。たまに獄寺が行動に出たら魔理沙は逃げる。獄寺乙。

・山妖:ラブラブきゃっきゃ。山本がノリでいじって妖夢が混乱。それ見て和んだら山本は行動に出る。妖夢はただされるがまま。意識してない時の方がいちゃついていると思う。

・ディノレミ:カリスマになりきれないレミリアに付き合うディーノ。部下がいなくても、レミリアがいるならとかそういうのあったらウマイですもぐもぐ。

・ベルサナ:みんなに笑顔を振りまく早苗。嫉妬に満ち溢れるベル。そしてなんだかんだ愛してあげるんですねわかります。ヤンデレ可能!(勝手な自己分析です)

・ヒバサク:独占欲強い雲雀とずっと付き従う咲夜。なんだかんだうまくいってるけど恋愛要素はそこはかとなく少ない二人。

・炎アリ:アリスのコミュ力だから自分から行動なんてできるはずがない!できたとしても恥ずかしさで硬直するだろう!炎真、リードしろ!

・フラフラ:二人がそういうことに興味なさげだから想いはあっても行動が・・・。まあ、でも愛が確かめればなんでもいいやって、公衆の面前でもすると思う。(たまにフランドールがてれる)


ベルサナが短いなんて言わない。ネタが無いんだ。
室内クリスマスだったら前三組が使い尽くしたって感じがするし、なによりこの二人がクリスマスとか特別な日にニコニコしてる様が思い浮かばない!!!

フラフラにボスが出たのは・・・まあ、しかたないことだよ。うん。
・・・ボスとフランちゃんが仲良くしてるのを見てなんだかわだかまりを感じるフランにフランちゃんが「一緒に~」というのが最初の構成でした。あれ。

ヒバサクが案外スラスラかけてびっくり。
字数気にしてたんだけれどね。

獄マリ、山妖が詰まりつつも楽にかけた感じです。
ツナ霊は・・・もう現代と形成逆転してる気がするからこいつら本当にツナ霊か?!って書き終わったあと思いました(笑

というわけで、クリスマス編でした!
楽しんでいただけたでしょうか?
では、本編の方も、これからもよろしくお願いします!

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