リボーン×東方~外界異変~   作:Lan9393

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七話:爆発と疑惑

霊夢Sido

 

  数日後。

どうやら妖夢は何か言われたようだ。

何で私を避けるんだか。

まあいいかと私は席へつく。相変わらず笑って私の前の席に陣取る魔理沙に飽きれてものも言えない。

沢田はこちらをチラッと見て、申し訳なさそうに目を逸らした。

何でこっちを見たのよ。問い詰めたいけれどもあまり関わらないほうがよい、と本能が告げているのだ。

ならばそれに従うのみ。気になるし、隠されればモヤモヤした。

だからこそ、危険だというならば従わないといけない。

私は知ないのだから。

予習のために教科書に目を落とした。

 

———放課後。

 

その日に恐ろしい出来事が起きた。

先日魔理沙が一発ボコった男が転校してきたのだ。

名を獄寺隼人。ファミリーとかいうのの一味らしく、リボーンさんと知り合い。そして自己紹介をされた、あの後、魔理沙と沢田に喧嘩売って倍にして返されて、・・・いいや、沢田は返してないか。でも、獄寺は沢田を「十代目」と呼び慕うようになった。魔理沙にはいっそうの敵意を見せて。。。

なんでなの?

というより、十代目って?

沢田は一体なんなの?

私の知らない間に、何が起こっているの・・・。

私は無意識にも拳を握りしめた。

 

「・・・霊夢?」

「!」

 

魔理沙が私を覗き込んでいるのがわかった。

そこで私が小さく首を振ると、「そうか」と魔理沙は前を歩く。

なんも怖くないとでもいうように、意気揚々と歩く魔理沙に悲劇が襲う。

大爆発だ。火薬によるもの。私たちは、「なんだあいつか」と苦笑したが、それは思ったよりも深刻な状況になっていた。

締め上げられない。それも、倍にして返される、という屈辱を与えた魔理沙によほどイラついていたのか、常識を見失ったような獄寺が魔理沙めがけダイナマイトをいくつも投げたのだ。

ここは、一般住民が多く居る住宅街。そんなものをここで投げてどうするというのだ!

魔理沙は周りを見渡して、焦ったように箒を出す。

火についた部分を箒で斬るように叩き落とす。

次に落とし漏らしたものがないか周りを確認した。

 

一個だけ。

 

子供へと向かって飛んでいたのだ。魔理沙は、それには気づかなかった。

私はほぼ反射的にそれを追った。

獄寺の表情なんて読むヒマはない。ただ子供を抱きしめて庇った。

爆発が起きる。

爆風が私と子供を襲う。流石にあまり物を食べなかったのが災いしたか、いともたやすく私の体は風で吹き飛ばされる。これならもっと考えて食事を取るべきだったわ・・・!

もう爆発は起きない、私はそう横目で判断して、壁にぶつかるのを背中で行う。強い衝撃に胃の中の物が逆流しそうな勢いだったがみっともないので堪える。

 

「・・・う、ぁ」

「お、お姉ちゃん、大丈夫?!」

「ええ、私は平気。あなたは早く行きなさい」

「うん・・・」

 

私は子供を見送る。そして獄寺を叱ろうと視線を戻した、はずだった。

そこには二人の影がなかった。

血痕が点々と続いていく。

私はそれを追いかける。痛む体に鞭を打って、よろよろと暗い道へ入って行く。

すると、「ぐあぁあ!」という獄寺の悲鳴が上がる。

しまった、魔理沙だ。

魔理沙は確かに、常識がない部類に入るかもしれない。

自由が好きだし、楽観的だ。

でも、彼女は『爆発』に、確か恐怖を抱いていたはず。

いけない、気でも狂ってしまえば最後、獄寺は五体満足で帰れない。

よろよろと未だふらゆくもののしっかりと歩いていく。

見つけた、私は鋭く声をあげた。

 

 

「魔理沙ッ」

「・・・あ」

 

血を吐き出した獄寺がその場でうずくまる。よっぽど痛めつけられたのだろう、青アザがいくつもできている。

こんな暴力は初めて見た。

しかし、少しおかしな点がいくつもある。

獄寺はこのようにそこらへんで爆弾を投げるような人だったか?

答えはNOだ。いくらイラついていたと言っても、彼には常識があったじゃないか。こんなことをする前に、いくらでも確認できたはずだ。「これでいいのか?」と。

それに魔理沙も。こんな暴力の仕方は普通じゃない。

普通なら腕か指を折るんだけれど・・・。

こんな目に見えたアザをつけることはなかったのに。

ハッとしたように、魔理沙は獄寺の前にうずくまる。アザができていた獄寺の顔は腕に、魔理沙はどれほど自分がバカをしたかわかってしまったらしい。

優しく、その腕に触れた。

ひどい怪我である。魔理沙は申し訳なさそうにすると、獄寺を見上げた。

 

「私を殴るのぜ、隼人」

「バカ言ってんじゃねぇ・・・俺も普通じゃなかった。・・・今日は帰る」

「・・・」

 

獄寺が立ち上がって私を一瞥すると、怪我を庇うように歩いて行った。

あの一瞥は、「すまない」の意味でもあったのだろうか。

魔理沙に手を伸ばすと、魔理沙はその手をとって立ち上がり、「行こうぜ」と笑って行った。

作り笑いしないでよ、魔理沙。

さて、私も沢田の家に帰って知り合いを当たってきますか・・・。




さて、誰が何をしたのでしょう・・・?

獄寺くんは好きですよ。
嫌いじゃないです。

ではー。

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