目の腐ったSAO   作:ウルトラマンイザーク

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勝手にスキルを二つか三つほど作りました


決意

 

 

開戦。と、言っても俺達のグループは周りの雑魚処理。まぁ三人しかいないし、そんなもんだろ。

 

「ところでさ」

 

キリトが話しかけてした。

 

「あんだよ」

 

「お前、昨日帰ったろ」

 

「い、いやぜんぞんかえってなんきゃねぇぜよ?」

 

「いや別に怒ってないから…五割は」

 

半分の時点で十分怖いです。

 

「だから結局、お前だけどのくらい強いか見れなかったんだよ」

 

「さいですか」

 

だから教えろ、みたいな意味を含めてキリトに聞かれるが、あえて気付かぬフリ。ちゃんと聞かないと答えてあげないもん。

 

「だから始まる前に聞いと来たかったんだけど」

 

「それなら、今から見せてやるよ。俺のスタイル」

 

にやりと笑うと、俺はアスナと入れ替わりコボルトの前に立つ。

そう、俺は俺のやり方でいく。陰湿に陰険に斜め後ろ過ぎるやり方で。ノーリスノーリターンのやり方で。

こいつの弱点は腹か、ならそこを狙うのみ。

 

敵に気付かれるこのなく、

 

素早く敵の懐に飛び込み、

 

相手の弱味を抉る、

 

それが俺の戦い方。

 

それをただ延々と繰り返す。クリティカル×弱点突きで最高の一撃を何度も繰り出す。最速で尚且つ数を倒せる。なにより超楽。苦労して隠蔽、速度、観察眼、的確をガンあげしてよかった。防御?知らない子ですね。

キリト視界に入った。唖然としている。アスナもだった。

 

「す、すごいな…あの速度で確実弱点を突くなんて…」

 

「それにほぼクリティカル…でも、な、なんか…」

 

「「なんか嫌」」

 

ほっとけ、てか口を揃えて同じこと言うな。

まぁこんな感じで俺たちの役割はほとんど終盤を迎える。

すると、キリトが口を開いた。

 

「ここが終われば別の所に援護行くぞ」

 

「えぇー俺達の役割はもう終わりだろ。なんもしなくていいんじゃねぇのか?」

 

「なに言ってんだ!周りのみんなはまだ戦闘中だぞ?」

 

「でも全員、無理なく出来る分だけ割り振ったはずだ。もしかしたらパーティごとに連携とかあるかもしれない。俺達がのこのこ出て行くより効率がいい」

 

「お前…」

 

キリトは俺のことを睨む。俺も睨み返す、それをアスナが落ち着いた様子で見ている。俺が言ったことは間違いではないはずだ。むしろ余計なことをして向こうの経験値を奪う方が申し訳ない。

だが、キリトは納得していなさそうなので追い討ちとフォローを同時にかけた。

 

「ま、他の誰かが万が一の自体になったら行けばいいんじゃねぇの。向こうからお呼びが掛かれば行くし、必要ないなら余計なことはしない。それがお互いのためだ」

 

「……っ」

 

「おいお前ら!終わったのなら手伝ってくれ」

 

別の所からお呼びが掛かる。それによって俺とキリトの睨み合いは終わるが、あとで揉めることになりそうだ。

そして、なんやかんやでボスの残りHPが一つになる。ふぅ、これなら死者は出ずに勝てそうだな。後は周りに任せて俺は傍観に回ろう。

と、思った時だ。予想外の声が俺の考えを変えた。

 

「みんな!下がれ!」

 

ディアベルのこの場に合わない声が響いた。見ると、他のやつを下がらせて起きながら一人で特攻していた。え、なにしてんのマジで。

てか周りも周りだ、なんで下がってんだお前ら。

 

「ディアベル!だめだ下がれ!」

 

 

キリトが声を張り上げるが遅かった。ボスの攻撃をディアベルは正面から喰らい、ものの見事にぶっ飛ばされた。

 

「ディア…ッ!」

 

声を上げかけたキリトが真っ先にディアベルの元へ向かう。それに少し遅れて俺もディアベルの元へ。

だが、俺が着いた頃にはディアベルはガラスのように消え去った。俺は思わず黙り込む、周りもだ。俺が余った時に気遣って声を掛けてくれた奴が、俺達にとって大きな一歩となったかもしれないボス線に遅刻した俺を笑って許してくれた奴が、頼れるリーダーであったはずのディアベルが消えたのは余りにもデカすぎた。

だが、だからって、

 

「ここでしょげてる暇はねぇよな」

 

「エイトマン…?」

 

俺はボスに近付きながら剣を抜く。そう、俺達がディアベルのためにしてやれることは泣いてやることや悲しむことじゃない。そんなものは後で十分だ。俺達がディアベルのやつにしてやれることは、

 

あのボスを殺すことだ。

 

いつの間にか、俺の横にはアスナが立っている。

 

「手伝うよ」

 

その声に俺は無言で頷く。そして、逆側にはキリト剣を抜いて立っていた。

 

「お前には話がある。だから、ここで死なれちゃ困る」

 

そして、黒人のデッカい人や頭がもやっとボールの奴も、全プレイヤーが立ち上がった。

さぁ準備は整った。あとは号令を掛けるだけ。俺は大きく口を開く。

 

「行くz…」

 

「行くぞぉぉぉっっっ‼︎‼︎‼︎」

 

……キリトの号令で全員突撃。あれ?そこは俺じゃねぇの?

ディアベルが倒れてからのプレイヤーは皆強かった。それぞれの思いが重なり、今ならサイコフレームをも使えるくらいの勢いでボスのHPを削っていく。

 

「はぁぁぁっっ!」

 

「っだぁぁっ!!」

 

「せぃやぁっ!」

 

そして、キリトとアスナが正面から斬りかかる。それにボスは応えるようにボスも二人に攻撃をかます。ならタイミングはここだ。俺は俺の仕事をこなすとしよう。

ボスが完全に二人に気を取られている間に、俺は奴の背後に回り、ジャンプ。

そこでボスは俺に気付いたようだがもう遅い。お前の弱点は俺の目がロックオンしている。

 

「あああああっ‼︎‼︎‼︎」

 

そして俺は、ボスの首を後ろから突き刺した。その瞬間、全身が青くなるボス。やべ、刀が抜けね…ちょっ…ここは抜いて綺麗に着地してカッコつけさせて…。

なんてやってるうちにボスはパリィンッ!と消え去り、ボスの上から剣を刺した俺はそのまま下に自由落下。

お尻を強打した。

 

「ったく、締まらないわね…」

 

アスナが呆れ顔で俺を見下ろした。

 

「でも、お疲れ様」

 

手を差し伸べてくれる。それを俺はありがたく手に取り、立ち上がった。その時、ピコンッと俺の前になんか出た。

……なるほど、そういうことか。

そして、その瞬間に大きな声が響いた。

 

「なんでや!なんでディアベルはんを見殺しにしたんや!」

 

その声は誰に向けて発しているのか分かるのに少し時間が掛かった。が、すぐにそれがキリトだときづく。

 

「見殺し?」

 

なんのことかさっぱりと言った感じで呟くキリト。それにもやっとボールは怒鳴りちらす。

 

「だって自分!あのボスが使う技、知っとったやないかい!知っててなんでディアベルはんに教えんとかなかったんや!」

 

なるほど、つまりこのもやっとさんはキリトがβテスターだと疑い、そしてそれを知って起きながらディアベルをなんで止めなかったと言ってるのか。

……実に下らない。何故こいつらがβテスターをそこまで嫌悪するかは知らないが、βテスターは一般プレイヤーよりも情報、技術共に上で貴重な戦力とも言える。なぜそれを排除しようとする?

どいつがβテスターなのかなんて知らないが、ここで騒がれるのは面倒だし、もしβテスターが責められることがあるなら攻略が遅れる。それに、その、なんだ、さっきまで一緒に戦ってた奴が傷付くのは見たくない。

なら、どうするか。そんなの簡単だ、奴らの悲しみを怒りに変え、自分に向ければいい。

 

「ふはっ、ふはははっ!」

 

わざと大袈裟に笑って見せる。それも意味有り気に、もやっとボールを全力でバカにするように。

 

「な、なにがおかしいんや!」

 

食いついて来た。あとは奴の矛先、いやここにいる全員の矛先を俺に向ければいい。

 

「いやぁ、お前らがそこまで間抜けだと思わなくてな」

 

「な、なんやと!」

 

「まさか、自分がお利口ちゃんだとでも思ったか?あの状況でディアベルの言ったことを鵜呑みにして下がり、あいつを一人特攻させたお前らがお利口なわけねぇだろ。脳内お花畑なの?もやっとボールみたいな頭して、頭の中では生キャラメルでも作ってんのかよ」

 

「んな……っ」

 

「ぶっちゃければ、ディアベルを見殺しにしたのはお前らだ。そして、なんでじゃあディアベルは一人で突っ込んだのか、それはこいつだ」

 

俺はさっき手に入れた装備を装備する。

 

「おそらく、このLAでも取りに行ったんだろ。だが、俺はそれを悪いことだとは思わない。むしろ奴のお陰でここまで来れたと言っても過言じゃない。だからLAくらいあいつに取らせてもよかったが、あいつのやり方は単細胞過ぎたんだよ。HPが減ったからって特攻とかガルマかよ」

 

今の例えは自分でもよくわからなかったな…。

 

「そうだな、LAを取りに行くなら、ここにいるすべてのプレイヤーの動きを計算した上で行動するべきだな。俺みたいに」

 

その台詞に周りはざわつく。

 

「な、なんや自分。この状況全部が自分の思い通りに行ったとでも言うんかい!」

 

また、ニヤッと笑った。

 

「あぁ、そうだ」

 

なわけねぇだろ。ソレスタルビーイングの戦術予報士でも無理だっつの。

 

「この時のために隠蔽をガン上げしたのも、すでに見つけていたボス部屋を他のやつに見つけさせて攻略会議が開かれたのも、あそこでディアベルが死ぬことも、すべて計算通りだ」

 

すげぇな俺、よくここまでデタラメが思い付くな。

 

「そ、そんなわけあるかい!」

 

まぁそうなるよね。でもこの時のための切り返しは出来てる。

 

「でも、現にボーナスは俺の手の中にある」

 

「……っ!」

 

まぁ、こんなもんでいいだろ。

 

「俺の手駒になってくれてありがとな。俺は先へ行き、このゲームを終わらせる。精々、死なないようにな」

 

俺は階段に足を踏み入れる。チラッとアスナを見ると、ジト目で俺を見てる。あれ?バレてる?キリトに至っては鬼の形相をしていた。なんかあれにもバレてそうだな…。

まぁ、お前らと会うことはもうないだろ。攻略会議の時くらいか。俺は前に振り返り、最後にディアベルのことを思い出した。

……悪いな。ディアベル。

俺はあいつの分まで生き残ると決意し、二層への扉を開いた。




なんか長くなってすいません

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