目の腐ったSAO   作:ウルトラマンイザーク

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Untouchable

 

 

ダイブすると、街の中だった。とりあえず、キリトを探そうと歩き回る。と、その前にこの世界だとどんな顔になってるんだ?そう思ってその辺のガラスで自分の姿を確認。した瞬間、唖然とした。

……誰?この目の死んだ美少女。

鏡に映っていたのは、肩くらいまでのセミロング、ヤル気なさそうな目、どこをどう見ても女だろうこれ。大丈夫かこのゲーム。おいおいこれナンパとかされてもおかしくねぇぞ。

 

「なんだこりゃあっ!」

 

どっかで聞いたことある声が耳に飛び込んで来た。そっちに行くと長い髪の女の子が窓を見て絶叫している。そして驚愕の入り混じった声でなんかブツブツ話してる。ありゃ近づかない方が良さそうだな。

どっかに離れようとした時、その女の子がどっかのオッさんに声をかけられていた。しばらくその様子を見ていたが、あれは完全にナンパだ。ほっといてもいいのだが、装備を見る限り、俺と同じ服なので恐らく初心者だろう。…助けてやるか。

俺は歩って、女の子の手を握って言った。

 

「ごめんね〜待った?」

 

「は?」

 

「話し合わせて(小声)」

 

「…う、ううん」

 

「なら行こ?」

 

「う、うん!」

 

オッさんはポカーンとしているが、俺は捨て置いてとりあえず離れた。にしても、さっきの演技は鳥肌立つほど気持ち悪かったかもしんない…。

 

「大丈夫?」

 

俺が聞くとその子は「うん」と、答える。さて、困ったぞ。なにを言えばいいか分からん。なんかあんまり怖がってた様子ないしな…。

 

「じゃ、行くから。またね」

 

「ま、待って!」

 

撤退しようとしたら、声を掛けられる。なに?と視線で問うと、その子は言った。

 

「あ、あの…良かったら案内してくれるかな?お…私、このゲーム初めてで…」

 

うわーマジか…俺も初めてなんだけど…。これ以上一緒にいたら男であることがバレそうだ。これは正直に言って撤退してもらおう。

 

「おr…私も初心者なの。だからちょっと案内は出来ね…ないかな」

 

「そ、そうか…ですか…分かりました…」

 

物分りよくて助かる。そのままその子はトボトボと歩いて行った。よし、じゃあ俺もキリト探しへ…と、思ったらさっきの女の子が別の子に話し掛ける。なにやら話すと、どうやら案内してもらえるようだ。

そうか、先生が見つかったか…なら俺のすることもないな。じゃあな名の知らない女の子。と、思ったら

 

「じ、じゃあついでにあそこの子も連れて行っていいですか?連れなんです!」

 

そんな声が聞こえた。マジかあの子どんだけいい子なんだよ。でも俺にはキリトが…。とか思ってるとその子は俺に手を振っている。あーこれは行くしかないな…。

 

「教えてくれる人見つけたよ!」

 

「は、はぁ…よろしくです…」

 

俺がぺこりと頭を下げると、レクチャーしてくれる子は馴れた様子で言った。

 

「こちらこそよろしく。私はシノン」

 

「あぁ、私はエイトマンです」

「キリトです」

 

「「……」」

 

「「ん?」」

 

なんか、知ってはいけないことを知ってしまった…。

 

 

____________________

 

 

俺とキリトは二人して座り込み、顔を抑える。

 

「で、二人ともお互いを女の子だと思ってたわけね…」

 

シノンに呆れたように言われて、無言で頷く俺とキリト。おいマジかよこれ新たな黒歴史の完成だよ。

 

「じゃ、連れも見つかったみたいだしわたし行くから」

 

「ま、待って!俺達だけじゃわかんないんだ!教えてくれ!」

 

キリトが必死にシノンに食い下がる。ここは俺もお願いしたい所だ。じゃないと死銃どころではない。

 

「嫌、女の子のフリして近付く奴に教えることなんてなにもないわ」

 

「だ、だってあの外見で男だったら普通引くだろ!」

 

「正体が男だって分かった時のが引くわよ」

 

なんという正論。キリトじゃ勝ち目はないな。俺がやろう。

 

「じゃあ、交渉しよう。俺達がお前の言うことをなんでも聞いてやろう。それも俺が一つ、キリトが一つで二つ叶えてやる。その代わり、俺達に最低限のこと、それと武器選びを頼む」

 

「あなた達になにが出来るの?」

 

「現役高校生と大学生をナメるな。ある程度『若気の至り』という軽いノリで出来る。それに、ALOならトッププレイヤーだ」

 

ここまで言ったが、ダメか?

 

「…ふーん。じゃ、こっちに来てくれる?」

 

これは承諾というより、試すといった感じか。ま、これでどこまで信頼を得られるかってとこか?

で、シノンに連れてこられたのは、とあるゲーム機の前だった。おい、ゲームの中でゲームとかマジでこのゲーム大丈夫か?

 

「これをクリア出来たらその条件飲んであげる」

 

そのゲームには《Untouchable!》と書かれていた。説明を見ると、弾を避けながら前にいるガンマンに触れば勝ちだそうだ。

 

「ほら、ちょうど挑戦者がいるみたいよ」

 

シノンの指差す先にはいかにも西洋のガンマンって感じのオッさん。クリア宣言と共に開始、そして儚くも散って行った。

 

「…なるほどな」

 

「どう?やる?」

 

挑戦的に聞いてくるシノン。だがお前の認識は甘い。

 

「キリト」

 

「おう」

 

キリトが金を入れて、ガンマンに突っ込む。シノンはとても下手くそなクレーンゲームを後ろから見てるような顔をしているが、次第にそれが曇って行く。キリトが余りにも早くかわすからだ。で、クリア。シノン、唖然。

 

「ふぅ…」

 

「おつかれさん」

 

「うおっなんかお金がたくさん入った」

 

「マジで?いくら?」

 

「ち、ちょっと!」

 

話してる俺とキリトにシノンが突っかかる。

 

「あ、あなた一体どんな反射神経してるの!?あ、あんなの普通…」

 

「避けられるよ。予測線を予測すればね」

 

そう答えるキリトにシノンは狼狽える。だろうな、そんなん普通は無理だ。悔しそうに顔を赤くするシノン。

 

「これないいか?」

 

「……さい」

 

「あ?聞こえねーよもっとハッキリしゃべれハッキリ」

 

「あんたがやりなさい!」

 

は?なんでそーなるの?

 

「あのキリトとかいう奴は認めるわ!次はあんたの番よ!」

 

「わーったよ」

 

つっても、面倒なのでエクストラスキルを使った。歩きながらサクサクかわして終わり。終わってから目が見えなくなってキリトにおんぶしてもらってたが、シノンが悔しがってるのは分かる。

そして、とうとうこう言った。

 

「いいわ、あなた達がやるべきことを全部教えてあげる。ただし、これから始まる大会で私と戦いなさい!ボコボコにしてあげるわ!」

 

そう宣言され、俺とキリトは苦笑い。そのまま、武器屋やら防具屋やらに引っ張り回され、大会の会場へと向かわされた。

 

 


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