あの後、キリトがアスナの病院に行くと聞いた。俺はオベイロンが病院で待ち伏せてるかもしれないと踏んで病院に行ったら、案の定殺されそうになってる桐ヶ谷の姿があった。その辺にあった石を思いっきりぶん投げて、眼鏡のオッさんがぶっ倒れた。
桐ヶ谷はキョロキョロと助けてくれた奴を探していたものの、相変わらず俺の現実の隠蔽も高く見つからない。桐ヶ谷はそのままアスナの病室へ行って告白、アスナと晴れて付き合うことになりましたー。リア充爆発しろ。
ちなみに、オベイロンこと須郷さんは逮捕された。なんかSAO帰還者の脳を、なんか、なんかすごいことしようとしてたらしい。
で、今は一ヶ月後くらい。ソファーでゴロゴロしてた俺にメールが来た。
『打ち上げ、エギルの店でやるから来い。』
桐ヶ谷からだった。打ち上げなんて行くわけねぇだろ。面倒臭い。俺みたいな奴が行って空気悪くするのもアレだ。と、思ったら続きがあった。
『来なかったらリズとシリカが締めるってさ。あとアスナがなんか奢れって』
うわあ…行きたくねぇ…。第一、エギルさんの店を俺は知らない。うん、桐ヶ谷が悪いな。俺は携帯の電源をそっと切って、部屋で勉強でもしようと立ち上がった時だ。呼び鈴が鳴った。嫌な予感しかしねぇ…。
「はいはーい」
「待て出るな小町」
だが遅かった。小町がドアを開けると桐ヶ谷兄妹、結城、あとリズっぽい人、シリカっぽい人、エギルさん、あとあのバンダナ誰だっけ…。とりあえず揃いも揃って来やがった…。
「なにしに来やがった…」
「そんな心底嫌そうな顔するな比企谷。打ち上げだ」
桐ヶ谷が爽やかに言う。
「いや、俺はちょっとあれだから」
「さぁて、エイト。来なかったら締めるって」
「言いましたよね?」
リズっぽい人とシリカっぽい人が指をポキポキと鳴らす。うわぁ、面倒臭ぇ…。結城はそれを苦笑している。
「と、とにかくアレだから今日は…」
「あの、お兄ちゃんのお知り合いの方ですか?いつも兄がお世話になってます。妹の小町です。こんな所で立ち話もあれなのでどうぞ上がって下さい」
「おい小町、そのサラリーマン挨拶そろそろやめろ…っていうかバカ上げるなおい!」
『お邪魔しまーす』
あーあ、全員来ちゃったよ…。どうすんのこれ。で、結局無理矢理上がり込んで来た六人をうちに入れて、そこで打ち上げをやらされた。
俺と小町は料理を作り、それをバカ七人が食い散らかす。なんで向こうが押し込んで来てるのに俺が裏方に回されなきゃあかんのじゃ。ようやく料理が終わり、ソファーでダラっとすると、横に結城が座ってくる。
「エイ…じゃない、八幡くん。ありがとね」
「なにが?」
「和人くんと助けに来てくれたんでしょ?」
「俺はなんもしてないよ」
「そだね、表面ではそうなってるね…」
「てかお前こそ桐ヶ谷と付き合えたんだろ?おめでとさん」
「う、うん。ありがと、でもね…」
そこで、言葉を切る。で、笑顔で言った。
「SAO時代は、八幡くんのこと好きだったんだよ?」
「…………は?」
俺はつい言葉を詰まらせる。開きかけた口からはなにも出ない。今なんつったこいつ?
「なんてね」
あーからかわれたのね。良かったーついうっかり好きになる所だったぜ…。そのあと、俺と結城の間に桐ヶ谷が入り込む。なんか若干不機嫌だ。さらに、俺の隣に直葉が座り、後ろにリズ…じゃねぇや篠崎、綾野、バンダナ、エギルさんが座る。おい背もたれに座るな。壊れんだろ。
「てかなんでお前らこっち来てんだよ」
「八幡くん、前見て」
「あぁ?」
直葉に言われて前見ると、小町が携帯を構えてる。
「撮りますよー!はいピーナッツ!」
カシャッと携帯カメラの電子音が鳴った。おい写真撮るなら撮るって言えよ。そのくらい俺だって渋らねぇっつの。撮る方なら。
……まぁ、悪くない、のかな?
結局、このあと打ち上げは夜の11時まで続き、終電がなくなって、こいつら泊まって行くことになった。