目の腐ったSAO   作:ウルトラマンイザーク

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キリトVSエイトマン

 

総武線が若干遅れてたため、遅れてALOに入ったが、すでに誰もいなかった。え、どういうことなの?ここまで来て戦力外通告?とりあえずメッセージで聞こうとしたらアホみたいに通知が着ていた。しかも全部リーファ。え、なにこれ怖いんですけど。

 

『キリトくんを止めて!』

 

これだけの内容を50通分も送ってきたのか…と、思ったらいくつか理由が書かれているのもあった。ようやくすると、ユイがこの真上にアスナがいると言った直後にカードキーが落ちてくる。突然ブチ切れたキリトがアホみたいに鳥籠に突っ込むがシステム的にブロックされるのを繰り返している。とのことだ。

バカかあいつ…!

すぐに宿を出て世界樹へ向かう。見ると、リーファに腕を引っ張られながらも上に飛ぼうとするキリトの姿があった。

 

「やめてキリトくん!この先は無理なの!」

 

「ダメだ!この先にアスナがいるんだ!」

 

「パパ!むりです!」

 

これ、アスナに会わせない方がいいんじゃないか?いや、言ってる場合じゃないな。なにをしてるんだあいつは。俺は急いでキリト達の元へ飛んだ。

 

「きゃあっ!」

 

キリトはリーファとユイを振り払うと、一気に加速する。あの野郎…制裁が必要だな。そう確信すると俺はキリトの真上に飛んで顔面をぶん殴った。見事に入り、地面に叩き付けられるキリト。

 

「!?」

 

「落ち着けバカ」

 

俺はキリトを見下ろす。

 

「エイトくん!」

 

「パパ二号!」

 

叩き付けられたキリトが立ち上がり、尻をパンッパンッと払うと、俺を睨み付けてくる。

 

「邪魔するなエイトマン。上にアスナがいるんだ」

 

「そうは行くかよ。システム的に限界と分かっててこのまま上に進むのは時間の無駄だ」

 

「そんなの関係ない。俺は早くアスナを助けたいんだ」

 

「だから、早く助けたいならそこの門から…」

 

「いいから退けっ!」

 

…もはや聞く耳すら持ってねぇよコイツ。なら仕方ないか、こういうのはあんまり好きじゃないんだけど…。

 

「ここを通りたきゃ、俺を殺していけよ」

 

「「「!?」」」

 

俺の台詞に三人が呆気を取られる。

 

「その代わり、俺が勝てばお前は大人しくスイルベーンで待機してろ。アスナは俺が助ける」

 

「ちょっとエイトくん!どういうつもり!?」

 

「黙ってろリーファ、お前もお兄ちゃんが好きならそっちの味方してもいいぞ」

 

「は、はぁっ!?なに言って…」

 

「上等だ!」

 

リーファが答える前に突撃してくるキリト。俺はそれを剣で受けて蹴り返すが、かわすキリト。そのまま容赦無く攻撃してくる。

 

「ふ、二人ともやめてよ!そんなことしてなんの意味があるの!?」

 

「パパー!」

 

っせぇな、それくらい分かってるっつの。だけどこいつの発狂を止めるにはこれしかないんだよ。俺はこいつの攻撃を確実になやして、なんとか距離を取ろうとするもののしつこく迫ってくる。

こいつに一回斬られるとHPかなり減るしなぁ…。わざと攻撃喰らって距離を取るのも無理だ。となると、向こうの剣技を見切るしかない。こいつの買った剣は大剣だから必ず隙が出来るはずだ。すると、キリトが大きく大剣を振り上げた。そのまま、振り下ろしてくる。そのタイミングで、俺はキリトの攻撃をガード。一瞬キリトの動きが止まり、そこを蹴り落とした。

 

「ぐっ!」

 

「もうよせキリト。お前の戦うべき相手は俺じゃな…は?」

 

キリトは初期武器を取り出し、剣を二本構える。

 

「おいおいマジかお前…」

 

出たな二刀流。そこから先は一方的になった。キリトの攻撃をかわそうとするものの、必ず片方は掠ってしまう。

 

「っはぁぁぁっ!!」

 

仕方ねぇな。悪く思うなよ。俺もエクストラスキルを使用した。その瞬間、キリトの攻撃は当たらなくなる。俺は確実に攻撃をかわす。だが、さすが二刀流なだけあってかわせても反撃が出来ない。でも俺は知っている。この手の攻撃はリズムが大切だ。つまり、一つの歯車を壊してやればいい。狙うとしたら大剣の方、そこに剣を入れてやれば歯車は止まる。

 

「そこだっ!」

 

俺は上手くキリトの剣を弾く、そして割と本気で殴り飛ばした。後ろに吹っ飛ぶが、どうにか体制を立て直すキリト。その瞬間、また特攻してくる。あとは俺の得意分野、重心移動で攻撃をかわして武器破壊。これで終わりだ、そう思った時、間にリーファが飛び込んで来た。

 

 

_______________

 

 

※キリト視点になります。

 

なっ…!スグ…!俺とエイトマンの間にリーファが現れる。

 

「もう二人ともやめてよっ!」

 

まずい…この勢いは止まらない!俺はそこでようやく正気に戻った。ここまで誰のおかげでここに来れたのか、それなのに自分が誰に殺意を向けていたのか、そして自分が今すべきことはなにか。だが、遅過ぎた。俺の剣はスグの肩の直前。だが、俺の剣が刺さる瞬間、スグの体が消えた。代わりに前に出たのは、エイトマンの体だった。

エイトマンの胸を、俺の剣は貫いた。そして、突き刺さった瞬間、エイトマンは俺とスグを同時に抱き締めた。

 

「落ち着け…バカ兄妹…」

 

消え入りそうな声でそう言われた。その時、俺はまるで失った父親に抱かれた感覚だった。暖かく、そして優しい。だが、その感覚も、すぐに消えてしまう。エイトマンは、火の玉になってしまった。

その瞬間、俺はカタカタ震える自分の手を見る。

 

「俺は…なにを、したんだ…」

 

 

_______________

 

 

※八幡に戻ります

 

目が覚めた。後頭部に柔らかい感触、そして目の前にある二つのマウント富士。状況が飲み込めない。

 

「目、覚めた?」

 

聞き覚えのある声にハッと起き上がる。後ろを見るとリーファがジト目で俺を見ている。

 

「よ、ようリーファ…」

 

もしかして膝枕されてたのか?もっと堪能しとけばよかった!

 

「で、なんでそんな不機嫌なの?」

 

「もうっ!なんであんな無茶なやり方したのよ!」

 

「え?」

 

なんのこと?

 

「どうしてあんなやり方でお兄ちゃんを止めたの!?」

 

「あ、止まったんだあいつ…」

 

「止まったんだじゃないよ!あんた、死んじゃったかとおもったんだからね!?」

 

「いや、現に死んでたんじゃ…」

 

「そういうことが言いたいんじゃない!」

 

…なんか、すっごく怒られてるよ…。ていうかなんで泣いてるの?

 

「少しは…少しは、自分のこと大切にしなさいよ!」

 

……あーそういうことか。別に今回は武器破壊で終わらせる予定だったんだけどな…。

 

「悪かった、悪かったから泣くなよ」

 

「泣いてなんかない!」

 

いや明らかに泣いてるでしょ…。と、その前に聞くことがあるな。

 

「キリトはどこだ?」

 

それに、肩をびくっと震わせるリーファ。

 

「キリトく…お兄ちゃんは、『もう俺のせいで誰も傷付けたくない』って言って…」

 

「まさか、一人で行ったのか?」

 

無言で頷くリーファ。ユイがいない所を見ると、一緒に行ったのだろう。さて、あのバカどうしたものか…正直、今のキリトを助けるくらいなら見殺しにして俺とリーファで突った方が効率がいい。そう結論出してリーファに言おうとした時だ。後ろから抱き着かれた。ち、ちょっと!あたってますよリーファさん!バスツ・オブ・バスツがバウンドを繰り返して…。

 

「あの、リーファさん?」

 

「お願い、お兄ちゃんを助けて」

 

「あ?」

 

「殺された人に殺した人を助けてなんて虫がいいのはわかってる。でも…このままじゃ一生アスナさんを助けられない…」

 

「……」

 

「アスナさんを助けられなくて悲しむお兄ちゃんの顔、私は見たくない!」

 

…なるほどな。こいつも大概ブラコンだ。シスコンの兄とブラコンの妹、お互いのためにお互い迷惑かけないようにして目的を達せられない。こんな馬鹿げた話はない。

俺は立ち上がって、門の前に立った。

 

「行ってくる」

 

俺は、門を開いた。

 

 

____________

 

 

「バカ!愚兄!もやしっこ!」

 

俺に助けられたキリトはリーファに怒られている。悪口のチョイスが由比ヶ浜レベルだな…。まぁ、なんとか間に合って良かった。

しかし、この塔は鬼畜過ぎる。あのガーディアンの数は異常過ぎる。回復、囮、特攻に分けるにしてもあの数はなかなか抜けない。最低でも30人は欲しい。俺が把握しているプレイヤーだけでも他にサクヤさん、ルー大柴、レンコン、シグルドしかいないし、シグルドはあの後サクヤさんにシルフ領を追い出されたらしい。まぁ追い出されてなくてもあいつに協力とかごめんだし。それに、他の連中も一回会っただけだから、こんな面倒ごとに巻き込むわけにはいかない。

他には…いた、もっとも頼りやすく、尚且つこの世界においては頼りになる奴が。

俺はほとんど勝ちを確信した顔で立ち上がった。その俺の方をキリトとリーファが振り返る。

 

「二人とも、出発するぞ」

 

「え?」

 

「三人でか?」

 

「ただし、リーファは回復役、俺は囮、キリトは特攻役。いいな?」

 

「でも、この人数で行けるのか?」

 

「安心しろ、この世界でもっとも役に立つ奴が助っ人にくる」

 

二人は顔をキョトンとしていたが、異論を認めない。この作戦は絶対に成功する。

さぁ、お姫様を奪還に行こう。

 

 


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