目の腐ったSAO   作:ウルトラマンイザーク

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シグルド

 

 

リーファの案内により、俺達は世界樹を目指している。のんびりと飛行しつつも、襲いかかって来たモンスターは確実に潰す。という流れの途中で、後ろから「リーファ!」という声がした。なんだよリーファって人気者だな。

後ろには男が3人くらいいる。

 

「あ、シグルド」

 

「貴様!パーティを抜ける気なのか?」

 

挨拶もなしにいきなり本題に入るあたり、やっぱり日本の大人は話を聞かない奴が多いらしい。

 

「あーまぁね。貯金も大分貯まったし、ちょっとゆっくりしようと思って」

 

「勝手だな。残りのメンバーに迷惑掛かるとおもわないのか!?」

 

「ちょっ…勝手って…」

 

つまり、リーファは元々こいつらのパーティで幹部的な立ち位置だったわけね。だけどリーファの独断で抜けられてご立腹な分けか。なら俺の出番だ。人と人との縁を切るのは得意だ。

 

「あー俺達急いでるんだけど」

 

「ウンディーネは黙っていろ」

 

「いや俺ウンディーネって名前じゃないし。人のこと種族で呼ぶんじゃねぇよ。もしここにウンディーネが100人いたらお前どーするつもりだよ」

 

「なっ…!」

 

「お前みたいな奴が将来上司になった時、部下に影で『あの人、部下の話聞いてくれないよねー』とか愚痴られるんだよ」

 

「……っ!」

 

「それにね、ゲームってのは基本的に自由に遊んでいいものだろ。そうやって束縛し合うのはリアルだけにしろ。ゲームにまで腐れ切った人間社会を作るな」

 

「き、貴様ァ…」

 

「じゃ、行こうぜ」

 

言いたいことだけ言ってさっさと帰る。これほど向こうが腹立つことはない。

 

「待てっ!貴様、もう生かしておけん!」

 

言いながら剣を抜くシグルド。こうなればあとは脅せばいい。

 

「言っとくけど、俺はSAOサバイバーだ。それもラスボスを倒した2人のうちの片方」

 

その瞬間、キリトとリーファがぶふっ!と吹き出す。

 

「お前、俺と戦争したいの?」

 

その一言で完全に怯むシグルド。あとは見せしめに何人かボコれば完璧だが、キリトに怒られそうなのでやめとこう。いや、もうキリト怒ってるな…。

 

「じゃ、行こうぜ」

 

俺とキリトとリーファはそのまま飛び去った。飛んでる途中に横からリーファにガンッと殴られた。

 

「なんだよ…ていうか超痛ぇ…」

 

「なんであんなバカなこと言ったの!?あんなこと言っちゃったらシルフの人達がまとめて襲い掛かってくるかもしれないよ!?」

 

「そしたら、お前らだけ先に行けばいいだろ。どーせ俺は負けないし、絶対後から追い付く」

 

「…あんたはそれでいいの?」

 

「人に弾劾されるのは馴れてる」

 

「……」

 

そこまで言えばこいつも黙らざるを得まい。と、思ったらまた口を開いた。

 

「で、でも…途中で束縛がどうしたとか言ってたよね…」

 

「ん?お、おう」

 

「あ、あそこは少しスッキリしたわ。ありがと…」

 

そう言ってふいっと顔を逸らすリーファ。ふーん、可愛いとこあるじゃねぇの。今度はキリトが言った。

 

「変わらないな。お前は」

 

「人間、そうそう変わるもんじゃないだろ」

 

「でも、パパがよく言ってたパパ二号の話ってこの人だったんですね〜」

 

急に出てくるユイ。

 

「は?よく言ってたって?」

 

「やめろユイそれ以上言うな」

 

「こんな状況でも自分より人のことを考えてる捻デレ野郎ってよく言ってましたよ」

 

「……」

 

キリトは顔をあちゃーって感じで押さえる。へぇー、そんなこと言ってたんだキリトくん。まぁ別にいいんだけどよ。だけど、

 

「キリト、後で話がある」

 

「…悪かったよ」

 

「仲良しさんなんですね」

 

「「それはないな」」

 

なんて感じで飛ぶこと数分。リーファが着地した。それに続き、俺もキリトも着地する。

 

「ここで一旦、ローテアウトしよっか」

 

「ろ、ローテ…なに?」

「ロウゼンズール?」

 

「いや流石にそうは聞き間違えないでしょ…」

 

思いっきり呆れられた。

 

「リアルはもう7時だからね。家の人とか心配してるんじゃない?だから代わり番こに落ちて、一旦休憩するの。ここは中立地帯だから即落ちも出来ないし」

 

そういえば小町がいたな。

 

「なるほどな。じゃあお前らから行けよ」

 

「いいのか?」

 

「あぁ、兄妹で落ちた方がいいだろ?」

 

「分かった。20分くらいで戻ってくるよ」

 

「おー」

 

で、桐ヶ谷兄妹が寝た。その間、俺はすることがないので木の数を数えようとしたら、キリトのポケットからひょこっとユイが出てくる。

 

「よう」

 

「パパ二号、こんにちはです!」

 

「じゃ、俺は木の数を数えてるから静かにしてろよ」

 

「ち、ちょっと!私とお話ししようとは思わないんですか!?」

 

「あー思わなかったわ。なんせ俺はいつでも一人だからな。一人で出来ることしか思い浮かばないんだ」

 

「…こ、これからは私がいますから!一人じゃないですから!」

 

すごい勢いで慰められちまった…。

 

「で、なにを話したいんだ?」

 

「SAO時代でのパパとの関係です!」

 

「戦友。以上」

 

「そ、それじゃ終わっちゃいますよ!それだけじゃなくて!あとママとの関係も教えて欲しいです!」

 

「あぁ?あいつらとは基本的に攻略の時以外顔合わせてねぇよ。てかママってアスナか?」

 

「そうですよ?二人ともたまに私に会いにきてくれたんですけど、毎回パパ二号のことばかり話すんです。おもしろい奴がいるって」

 

「俺は面白い奴じゃないよ。ただ人より屑いだけだ」

 

「でも、屑な人は人のために自分を犠牲にしないと思います」

 

…今ちゃっかり屑って言ったよこの子。

 

「私はパパ二号が大好きです。だって、パパともママとも仲良しですから!」

 

「仲良しじゃねーよ」

 

すると、リーファとキリトが帰ってくる。

 

「ただいま、あたしの体になにかしてないでしょうね」

 

「俺はそんな命知らずじゃない。じゃあキリト、俺の体頼むわ」

 

「おう!」

 

「…頼むから俺が寝てる間に先に行ったりするなよ。流石に自殺するぞリアルで」

 

「しない!しないから!」

 

それだけ言うと、俺はログアウトした。

 

 

________________

 

 

ふぅ、帰って来たな。小町もう飯作っちゃったかな。

リビングに行くと、誰もいなくて机の上には飯と手紙が置いてあった。

 

『小町は妖精になってきます!』

 

「なにいってんのこいつ…」

 

今更なろうとしなくても、お前はすでに俺の妖精だZE☆

で、俺は飯をかっ込むとすぐにまたナーヴギアをかぶった。

 

 

__________________

 

 

「ん……」

 

目を開くと、キリトとユイとリーファがいた。当たり前か。流石にいなくなってたらホントに自殺するとこだった。

 

「お、来たな?じゃあ行こっか」

 

と、キリトは飛ぼうとするが、その足をリーファが掴む。おかげで顔面から地面に落ちるキリト。

 

「こっから先は飛んでいけません。洞窟の中から行くよ」

 

「さ、先に言ってくれないかな…」

 

「君がせっかち過ぎるんだよー」

 

なんて言いながら歩き出す。その時、俺は近くにコウモリ的ななにかがいるのに気付いた。…なんだ?そのコウモリはジッとこっちを見ている。

 

「なぁ、あれ…」

 

だが、二人はすでに歩き始めている。ま、いっか。そのまま俺は二人の後を追った。

 

 

 


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