目の腐ったSAO   作:ウルトラマンイザーク

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茅場晶彦

 

 

ヒースクリフと対峙する俺とキリト。俺はキリトの前に出る。

 

「なんだよエイトマン」

 

「俺があの盾を破壊する」

 

「!」

 

「とどめはお前が刺せ」

 

「おい、それどーいう意味…」

 

「じゃあな」

 

で、俺はいきなり予知を使って突っ込む。ヒースクリフの攻撃を確実にかわして、盾のみを攻撃した。

 

「っぅうああああああっっっ‼︎‼︎‼︎」

 

「っっ‼︎」

 

ガンガン攻撃する。エクストラスキル終了まで残りあと10秒。盾にヒビが入った。残り5秒、盾が大きく欠けた。

残り3秒。そこで、ソードスキル発動。

 

「じゃあな、伝説の盾!」

 

そう吐き捨て、思いっきりソードスキルをぶちかまし、盾を破壊した。その瞬間、視界が消える。俺は振り返ってキリトに笑って見せた。

 

「じゃ、キリト。あとよろしく」

 

「エイ…っ!」

 

俺の背中にヒースクリフの剣が刺さった。だがこれでいい、ヒースクリフの伝説は盾だ。ではその盾を抜くにはどうすればいいか。答えは簡単だ。盾を壊せばいい。だから俺は今の20秒間、全力で盾を破壊した。

 

あとはキリトの仕事だ。

 

 

_____________

 

 

気が付くと、変な水晶の板の上にいた。どこ、ここ?あ、死後の世界ねなるほど。と、思ったら隣にキリトがいた。

 

「お前、死んだの?」

 

「いや、一応死ぬ前に茅場は倒したはずだ。誰かさんが盾を壊してくれたから比較的楽に」

 

「え、なに怒ってんの?」

 

「結局、お前のやり方は変わらなかったからな」

 

「あー…悪い」

 

「お前から謝られるなんてな。ちなみに、お前は死んでないよ」

 

「え?」

 

「お前が死ぬ前に、俺が茅場を倒したから」

 

「……悪い、助かった」

 

「なんか奢れよ」

 

「高いもんは無理だぞ。俺の記憶が正けりゃ財布に400円しかない」

 

「安いもんも無理じゃん…」

 

しばらくボーッとしていた。そこに、声がした。

 

「なかなかに絶景だな」

 

茅場晶彦だった。白衣を着ている以上、本来の姿なのだろう。

 

「見たまえ」

 

茅場が指差す先にはアインクラッドがあった。だが、よく見ると崩壊していっている。

 

「あそこにいた奴等は、どーなった?」

 

「全プレイヤー6147人がログアウトした」

 

その数は明らかに最初のプレイ人数より少ない。つまり、途中でHPが0になったプレイヤーは本当に死んだのだろう。

そこで、キリトが聞く。

 

「なんで、こんなことしたんだ?」

 

「なぜ、か…私も長い間忘れていたよ。なぜだろうな。フルダイブ環境システムの開発を知った時、いやその遥か以前から、私はあの城を、現実世界のあらゆる枠や法則をも超越した世界を創り出すことだけを欲して生きてきた。そして私は…私の世界の法則をも超えるものを見ることができた…」

 

そう語る茅場。そして、その言葉は続く。

 

「子供は次から次へといろいろな夢想をするだろう。空に浮かぶ鉄の城の空想に私が取り付かれたのは何歳のころだったかな…」

 

「ラピュタか?」

 

「エイトマン静かに」

 

「その情景だけは、いつまで経っても私の中から去ろうとしなかった。年経るごとにどんどんリアルに、大きく広がって行った。この地上から飛び立って、あの城に行きたい…長い、長い間、それが私の唯一の欲求だった。私はね、キリトくん、エイトマンくん。、まだ信じているのだよ。どこか別の世界にはあの城が存在するのだと…」

 

「あぁ、そうだといいな…」

 

キリトがそう応える。俺はといえばほとんど聞いてなかったのでなんとも言えない。また、茅場が口を開いた。

 

「…言い忘れていたな。ゲームクリアおめでとう。キリトくん、エイトマンくん」

 

ぽつりと、茅場はそう言った。

 

「では、私はそろそろ行くよ。あ、あとエイトマンくん」

 

不意に名前を呼ばれて返事をし損ねた。顔だけ茅場に向ける。

 

「MAXコーヒー、ありがとう」

 

すると、茅場の姿はどこにもなかった。俺もキリトも、しばらくぼんやりしていた。が、キリトが俺に話しかけてくる。

 

「お別れだな」

 

「お、おう」

 

「お前のそのやり方、結局最後までなにが違うのか教えてやれなかったな」

 

「二年間一緒にいただけで変われると思うな。今の俺は19年間生きてできた腐った人間だからな」

 

「腐ってなんか、ないよ」

 

「あ?」

 

「ちょっと捻くれてるだけさ」

 

「それを腐ってるって言うんじゃないのか?」

 

で、クスッと笑うキリト。

 

「名前」

 

「あ?名前がなんだよ」

 

「リアルでの名前を教えてくれ。一回くらい、会って話がしたい」

 

「はぁ?」

 

「いいだろう。俺も教えるから」

 

で、微笑むキリト。以前の俺なら断っていただろうな。

 

「比企谷八幡だ。今、19歳」

 

「そうか、桐ヶ谷和人。先月で多分16歳」

 

「自分の歳くらいハッキリ覚えとけよ。そこから老化って進むんだぞ」

 

「あははっ、余計なお世話」

 

で、今度はお互い笑う。

 

「じゃ、そろそろ小町に会いたいから」

 

「そっか、てか小町って?」

 

「なんでもない。忘れろ。じゃあな」

 

「おう、またな」

 

で、世界は光に包まれた。

 

 

________________

 

 

目が覚めた。空気の匂いがする。見たことのない…いや、見覚えあるぞこの天井。あー骨折の時ね、はいはい。

 

「お兄、ちゃん?」

 

不意にそんな声が聞こえた。横を見ると見たことのない美少女がいた。

 

「こ…ま、ち?」

 

「お兄ちゃん!」

 

あーやべっ。声が出ない。てか口が上手く動かん。なんとか口をパクパクしてると、小町が抱きついて来た。

あーいかんいかん。ホントに何て言えばいいか分からん。でも、一つだけ浮かんだ言葉がある。それだけ言っとくか。

 

 

「ただいま」

 

 

 


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