島津家の天下取り物語   作:夢原光一

7 / 29
第6話改

この日、島津は軍議を行っていた。先日日向を取った島津は、大友家攻略を始め、その最初として佐伯城を攻めた。城は改修工事中だったようで、城は1週間もしないうちに落とすことに成功する。

貴久「ついに大友領内に進撃開始し、佐伯城をまず落とすことができた。これもひとえに皆のおかげだ」

貴久様がそう言う。

何故、こんなにも早く大友領に進撃をしたのか?

それは、話すこと2週間前のことである。

 

 

回想シーン

 

日向を島津に支柱に収め宴会もした翌日のこと。

貴久様、義久、弘ちゃん、歳ちゃん、家ちゃん、豊久とともに貴久様の部屋に集まった。

義久「それで、お父さん。どうして、私達を呼び出したの?」

義久がそう言う。

貴久「話す前に、何で、天城がここにいるのよ~!呼び出した覚えがないんだけど~」

貴久様がそう言う。確かに、呼び出しされた記憶がないのは確かだ。

歳久「何を言っているんですかお父さん。天城は、うちの軍師なんですから。私が連れて来たんです」

貴久「歳久。勝手に連れてこないの!」

義弘「お父さん。そんなこと言っちゃあダメよ」

家久「そうだよそうだよ」

貴久「とにかく、天城がいない方が話が・・・」

歳久「お父さん。これ以上ただこねていないで、いい加減に話を始めてもらえませんか?」

歳ちゃんが怒りを込めてそう言う。

貴久「は、はい!」

貴久様は、その気迫に負けて話を始めた。

貴久「実はだな。今のうちに大友家に攻めようかと考えている」

貴久様の発言に俺と義久達が驚く。

義弘「お父さん。それって、どういう意味なの?」

貴久「ああ。お家騒動を治めた大友宗麟が、異状までに国内の回復している。このままでは、大友が島津に攻め入る可能性がある。そこで、お父さんは、向こうが戦いの準備のひまを与えないために攻め入るのだ!」

貴久様は、「えへん」という顔をする。

歳久「しかし、お父さん。日向を短期間で手に入れましたけど、先の戦いで兵たちは疲れがあります。このまま攻めても得策はありません」

歳ちゃんがそう言う。

豊久「けど、としねえちゃん。まだ半分ぐらいの兵士は疲れがないと言っています」

豊久がそう言う。

歳久「半分でも、6000人ぐらいです。この程度の兵では、大友家を倒すことはできません」

義久「なら、本国にいる兵を入れ替える形でこっちへ呼んだらどうかな?」

義久がそう提案する。

歳久「それでも、3000人が限界です。これ以上は、隙を作ってしまいますから」

歳ちゃんがそう言う。

義弘「でも、もう少し兵力がほしいところね」

家久「ねえ、ソウちゃん。何かいい案ないかな?」

家ちゃんがそう言う。

本当の気持ちは、戦いたくない。けれど、いずれはたたかざるをえない。

颯馬「それだったら、この日向で兵の募集を呼びかけたらよろしいかと」

俺がそう提案した。

歳久「兵士の募集ですか。まあ、それで補えればそれでよしとしましょう。幸い島津家の財力は少しばかりですけど余裕がありますから」

歳ちゃんがそう言う。

貴久「じゃあ、決まりだね。来週ぐらいに大友家に向けて出陣するぞ。そして、今改修工事をしている佐伯城を攻め入るぞ」

義久「お父さん。そこまで、考えていたんだ」

歳久「普段もそのぐらい頭を使ってほしいです~」

歳ちゃんがそう言った。

こうして、1週間という時間で大友家の出陣準備を行った。そして、入れ替えの6000人が到着し、また兵士募集もうまくいき、3000人ぐらい集まり、1万2千人の兵力を整えた。

そして、1週間後、大友家に向けて島津家は出陣したのであった。

 

回想シーン終わり

 

 

 

現在。

 

歳久「ついに大友領内に進撃開始し、佐伯城をまず落とすことが出来ましたが、問題は次は、岡城と臼杵城です」

歳ちゃんがそう言う。

島津家家臣2「ここは、やはり臼杵城でしょう。あそこは、南蛮貿易の交易の1つの場所です。取って損はないです」

島津家家臣1「しかし、臼杵城は堅いし、大友にとって重要拠点だからかなり兵を送るに違いない。だったら岡城を攻めた方がいい!」

島津家家臣4「そんなことしたら、大友家が臼杵城に逃げ込んでしまう。それこそ相手の思う壺だ!」

家臣達がそう言い合う。

義久「ん~、みんないろいろ言っているけど、颯馬くんは軍師として何か策はあるかしら?」

義久が俺に聞く。

颯馬「そうですね。ては、二手に別れ行動するのはどうでしょうか?」

歳久「二手にですか?」

颯馬「はい。臼杵城と岡城に二手で攻める。そうすれば、大友は必ず戦力を分けざるをおえなくなります。どちらか1つを落として大友の居城・府内城を攻め、落とせば挟み撃ちに出来ます」

義弘「なるほど」

貴久「ああ」

俺の策に賞賛する弘ちゃんと貴久様。

歳久「それで、どう分けるのです?」

颯馬「一応、臼杵城は貴久様、義久『様』、家久様、豊久様を。兵は9000人。岡城は、自分と義弘様、歳久様で、兵は3000人と分けました」

俺がそう言う。

歳久「なるほど、臼杵城に戦力をかなり注いで、強敵をそっちに目を向けさせるのですね」

颯馬「はい、臼杵城は大友にとって重大な城。だったら将や兵をこっちにそそいけば、岡城の対応が甘くなるでしょう」

島津家家臣3「なるほど」

貴久「では、わかった。今回も颯馬の策でやってみようか」

颯馬「ありがとうございます貴久様」

こうして、今回の策も俺が考えた策で動くことになった。それに、俺が岡城の方に目を向けたのは、彼女達と戦いたくないということもあるが、大友は島津と激しく抵抗し、大切な将達を失い、衰退したという史実がある。俺は、早期に終わらせるべく行動を始めた。

 

 

 

 

薩摩、大隈、日向を領とした島津は、ついに大友領である豊後に進出し、その最初として佐伯城攻めにかかることになった。佐伯城は、先日まで謀反人との戦いで、城で攻勢したせいで、ボロボロになり、修理を行っていた。そこへ島津家がやって来た。城の修理が中途半端な中で行われた攻城戦は、1週間足らずで落とされてしまう。大友の居城・府内城の謁見の間には、宗麟を始め鎮理、鑑連、鎮信、鑑盛、そして、今回から千熊丸を軍議の戦列に入れた家臣達が集まっていた。

鎮信「まさか、佐伯城が落ちてしまうとは・・・」

鑑盛「しょうがいないですよ鎮信殿。まさか、こんなに早く豊後に攻めて来るなんて思っても見なかったですから」

鎮信と鑑盛がそう言う。

宗麟「言い争っても、何も始まらないわ。それで、敵兵の数はいくらぐらいいる?」

大友家家臣2「情報によりますと1万2千ぐらいだとか」

鑑連「1万2千ですか。こちらは、急いでかき集めても1万ちょっと。兵力の差ではあちらが勝っています」

鎮信「確かにそうですが、負けるわけにはいきません。鑑連殿、何か秘策は、ないだろうか?」

鎮信が鑑連にたずねる。

鑑連「秘策ではありませんが、敵はおそらく二手に分かれるでしょう」

千熊丸「二手にですか鑑連様?」

鑑連「ええ。おそらく、岡城城と臼杵城に攻めてくるんでしょうね。この2つが落ちた先にあるのがこの府内城です」

鑑連がそう説明する。

宗麟「なるほど。じゃあ、岡城と臼杵城にすぐに兵を送るべきね」

鑑連「はい。とくに臼杵城は南蛮貿易で栄えている拠点の1つ、ここはなんとしてでも阻止しなければなりません」

鎮信「確かにそうだな」

大友家家臣1「ここが落ちれば南蛮貿易の拠点を島津に奪われてしまう」

鑑連の説明に賛同する家臣達。

宗麟「じゃあ、臼杵城には、鑑連、鎮理、鎮信、鑑盛。あなた達にお願いします」

鑑連「喜んで、お引き受けします」

鎮理「必ずや死守して見せます」

鎮信「大友家のために思う存分働きます」

鑑盛「私も臼杵城を守るためにひと暴れします」

鑑連、鎮理、鎮信、鑑盛がそう言う。

千熊丸「では、宗麟様。私は岡城を・・・」

鑑連「いいえ、千熊丸。あなたは、府内城を守ってもらいます」

千熊丸「鑑連様!?な、何故なんですか!」

鑑連の意に対して異議を唱える千熊丸。

鑑連「あなたまで、戦場に出ると府内を守る人間がいなくなります。宗麟様や親貞様では、城を死守するのは難しいです。ですから、千熊丸は、ここで宗麟様達をお守りするのです」

千熊丸「しかし!」

宗麟「千熊丸。鑑連の言うとおりこの城を守ってくれないかな?」

千熊丸「宗麟様!?」

宗麟「悔しいが、私には鑑連や鎮理、鎮信、鑑盛のような武功型の武将ではない。あなたが残ってくれればそれで頼もしい。それでも嫌かしら?」

宗麟が千熊丸に対してそう説得する。

千熊丸「そんなことありません宗麟様!この役、千熊丸がお引き受けさせていただきます」

最終的に千熊丸は折れて、府内城に残ることになった。

宗麟「岡城には、そちらで死守するように」

大友家家臣1「お任せください」

大友家家臣2「必ずや島津の進行を抑えて見せます!」

家臣2人がそう言う。

宗麟「では、お願いしますよ」

そう言うと軍議は終わり、宗麟達は出て行った。

 

 

 

 

軍議後、鑑連と鎮理の2人だけが廊下を歩きながら喋っていた。

鎮理「義姉様。千熊丸を府内に置いたのは、もしかして・・・・・・」

鑑連「ええ。千熊丸と颯馬殿を戦わせないです鎮理。確かに戦国の世、親兄弟が敵対することは珍しくありませんが、あの2人だけはどんなことがあっても戦わせるわけには行きませんから」

鑑連がそう言う。

鎮理「義姉様。一体颯馬殿は、何処の隊と行きますかね?」

鑑連「十中八九、岡城の攻める隊でしょうね。颯馬殿も私達と戦いたくないでしょう」

鎮理「なるほど。しかし、今はそうでもいずれは・・・」

鑑連「ええ。きっときます。颯馬殿もわかっていますよ」

鎮理「はあ~、こうなるともはや運命なのかな義姉様」

鑑連「そうかもしれませんね鎮理」

2人は、そう言うと部屋へ戻っていた。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。