日向が島津が手に入り、島津は薩摩の地へ帰還すると宴を始めた。
家臣2「アハハハハ。ついに三州を統一統一したぞ」
家臣1「日新斎様がきっと喜んでいるに違いない」
三州統一を喜ぶ家臣達。
ちなみに、貴久様はここにはいない。酒が入ると本性を出してしまうので宴には参加しない。代わりに義久達が参加していた。
義久「みんな、ご苦労様。今日は、じゃんじゃん飲んでね♪」
義久が家臣にそう言う。
義弘「颯馬、一緒に飲もう」
歳久「そうですね。今回の三州を統一できたのは天城のおかげです。主役が飲まないのはおかしいです」
弘ちゃんと歳ちゃんが俺にそう言う。
家久「ソウちゃんのおかげで、こんなに早く三州を手に入るなんて」
豊久「颯馬の采配はよかったよ」
颯馬「そんなことないよ。日新斎様や歳ち・・・、歳久の教えを学んだことを生かしたまでよ」
俺がそう答える。
歳久「謙遜しないでください天城。あなたが、よく孫子の兵法を読んでいることは、私は知っていますから」
颯馬「な、何で、歳ちゃんがそんなことを知っているんだ?」
歳久「歳ちゃんと言わないでください!」
歳ちゃんがそう言う。
確かに、俺は暇さえあれば孫子の兵法をよく読んでいる。
何しろ、2500年前(前世の頃)の兵法が、有名な人が愛読していた本である。かのナポレオンもその1人だ。また、中華人民共和国を建国した毛沢東もこの本を読んでいた。
一方で、第一次世界大戦の敗戦によりドイツ皇帝の座を追われたヴィルヘルム2世が、退位後『孫子』を知り、20年早く読んでいればと後悔したというエピソードは有名である。
さらに、孫子の兵法は戦争だけでなく経営にも生かされている。某球団の某携帯電話会社の社長もこの本を生かして、大企業にしたのだ。
前世の頃は、その本をよく読んでいた。
そして、転生したこの時代に、孫子の兵法がそう簡単にあるはずがないと思っていたが、ある日とある街で、その本を見つけて、たいまいはたえて買ったぐらいだ。
日新斎様や歳ちゃんの教えに加えて、この孫子の兵法を島津家ために生かしている。もしかしたら、武田信玄を超えるぐらいかもしれない。
義久「ねえ、歳ちゃん。どうして、颯馬くんが孫子の兵法を読んでいると知っているのかな?」
義弘「私、初耳だわ」
家久「教えて、教えてとしねえ~」
歳久「そ、それは、ですね・・・」
義久達に問い詰められている歳ちゃん。
いつもなら、何か言ってかわすのになんでだろう?
島津家家臣4「しかし、三州を手に入れたけど、これからどうするのかな?」
島津家家臣3「そりゃあ、もちろん九州統一だろうな」
島津家家臣2「九州は、戦国時代以前から争いがたえない地だからな」
島津家家臣1「なら、まずは島津の好敵手である大友かな」
島津家家臣3「そうだな。大友を倒せば九州を手に入ったのも当然だ」
島津家家臣4「ああ。大友を倒せば、龍造寺や阿蘇家、相良家なんて怖くないからな」
家臣達がそう言う。
颯馬「(大友か。となるとやるのか・・・)」
俺は少し気が乗れなかった。きっとあいつらと戦うんだろうと。
■
島津が完全に日向全域を支配することに成功したことは、すぐに周りの諸国に知れ渡る。
それは、もちろん大友家も例外ではない。1つの部屋で鑑連と鎮理が話し合いを行っていた。
鎮理「まさか、島津がこれほど早く日向を乗っ取るとは、予想つきませんでしたね義姉様」
鑑連「ええ。私の予想では兵糧攻めをして弱らせてから落とすのかと思いましたけど。まさか、島津がこんな策を使って城をあっという間に落とすなんて・・・」
鎮理「義姉様。一体島津はどんな策で城を落としたというんですか?」
鑑連「物見の話ですと、島津は本陣を城の前に置き、別動隊三部隊を本陣から離れた場所に置いたのです」
鑑連がそう言うと鎮理はビックリする。
鎮理「本陣を城の前に!?」
鑑連「ええ。伊東家は、城から出て本陣を襲うとしようとしましたが、種子島で撃退している隙に別動隊が横に入り壊滅、城もあっという間に落とされたらしいです」
鎮理「義姉様、ちょっと待ってください。種子島で撃退したと言っていましたが、種子島は、次の発射まで時間がかかるはず。それなのに、撃退なんて・・・」
鑑連「ええ、鎮理の言うとおり発射までに時間は確かにかかります。しかし、島津は、三段分けたらしいです」
鎮理「三段?」
鑑連「ええ。最初の部隊が放った後、次の部隊が撃ち、後ろに回った部隊は弾を込める。2番手が放った後に3番手が放ち、最初の部隊は構える準備をします。こう繰り返せば弱点を補うことができるのです鎮理」
鑑連が鎮理にそう説明する。
鎮理「こんなにすごい策を考えるとは、どうやら島津歳久はなかなか頭がキレる相手ですね」
紹運がそう言うと道雪が首を振る。
鑑連「鎮理、それは違います」
鎮理「え?」
鑑連「この策を考えたのは、どうやら島津歳久じゃないらしいです」
鑑連が鎮理にそう言う。
鎮理「では、一体誰が?」
鎮理がそう尋ねると、鑑連が黙り込むが口を開く。
鑑連「天城颯馬らしいです」
鎮理「!?」
その人物の名前を聞いて鎮理はびっくりする。
鎮理「義姉様。それは、誠ですか!?何かの間違いじゃあ・・・」
鑑連「残念ながら、この情報は確かです」
鎮理「そんな・・・」
鑑連の言葉に鎮理は、どこか悲しげになる。
鑑連「幼い頃に親を亡くして、妹を吉弘家に養子縁組させて、大友家に士官するも先代のお屋形様に家を追い出された後は、行方知れずになってしたと聞きましたが、まさか、島津に・・・」
鎮理「義姉様。颯馬は、大友に仕えっていたんですか!?」
鑑連「そういえば、鎮理は知りませんでしたね。颯馬殿むは、大友にいた期間は短かったですけど、私と宗麟様の下で働いていました」
鑑連がそう言う。
鎮理「では、何故颯馬は、大友家から追い出されてしまったんですか義姉様!?」
鑑連「実は、その辺はよく知らないのです。何分、その時は、私と宗麟様はとある用でいなかったので・・・。あとでいろいろな家臣から聞こうとしましたけど、どうやら先代のお屋形様が家臣達に緘口令を出していたらしく、結局今でも知らないのです」
鑑連が鎮理にそう言う。
鎮理「では何故、颯馬は島津なんかに?」
鑑連「それは、わかりません。しかし、今言えるのは、このことを千熊丸と宗麟様には伝えない方がよろしいということです」
鎮理「確かに、これを聞けば千熊丸も宗麟様もきっと悲しむだろうな」
鑑連「きっとそうでしょうね」
鎮理の問いに鑑連も頷くのであった。
鎮理「ところで、義姉様。このことは、兄上と鑑盛殿は知っているのですか?」
鑑連「いいえ、このことは、まだ私と鎮理しか知りません」
鎮理「そうですか。あの時、私が颯馬を強く引き留めていれば・・・」
鎮理がそう言う。
鑑連「どうやら、鎮理は、颯馬殿のことが好きなようですね」
鎮理「そ、そんなことないですよ義姉上///////」
鑑連「鎮理。その顔では、説得力ないですよ」
鑑連がそう言う。
鎮理は、どう説明しようか迷うが、結局は鑑連に納得いける説明ができなかったのであった。