島津家の天下取り物語   作:夢原光一

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第4話改

日向の南部分を征服した島津は、いよいよ北部を支配する伊東家を倒すため軍を北部へ向かわせた。

大友家が謀反を治めて、いつ伊東家を援助するため出て来るかわからない。しかし、謀反との戦いで疲弊しているため今は動かす気配はないが、長期戦になれば援軍を派遣してくるだろう。

だったら早めに伊東家を倒す必要がある。そう言うことで軍を伊東家の領内に向かわせた。

ほぼ電撃的な行動で、城を落として行く。そして、伊東家の居城、佐土原城に、島津軍が押し寄せた。その城の中に現当主伊東義祐とその息子、祐兵、家臣一同が集まっていた。

義祐「く、島津め。まさか、こんなに早く進撃してくるとは・・・」

敵家臣1「大友家がお家騒動が早期に終わったことに対して、焦りを見せて攻めてきたんでしょう」

敵家臣2「しかし、肝心な大友家は、援軍要請しても動こうとせんぞ!」

敵家臣3「大友は、我々を見捨てるつもりか!伊東家が滅亡すれば大友が危機にさらされるというのに!」

敵家臣達が不満そうにそう言う。

祐兵「父上。ここは、この佐土原城に立てこもり抵抗するべきです。島津も焦りを見せています!」

息子の祐兵がそう進言する。

義祐「そうだな。今いる兵は7500。島津は7000。兵力の差がある。ワシは・・・」

義祐が何か言おうとした時だった。

伝令兵「申し上げます!」

するとそこに伝令兵が軍議の間の前に現れた。

敵家臣2「どうした?」

伝令兵「島津軍の本陣が我が城の前に置かれました!」

敵家臣3「なんだと!」

伝令兵の報告に戸惑う一同。それもそのはず、敵城の門と目と鼻の先に本陣を置くなんてまず常識的にあり得ないことである。

敵家臣1「城の前に本陣を置くとは、正気の沙汰か!?」

敵家臣3「島津側は、どんな様子だ」

伝令兵「あ、はい。島津が本陣を置いてすぐ『伊東家、出てこい。弱虫ども』『本陣を白の前において出てこないとは、怖気ついたのか』と挑発的なことを言ってきています」

祐兵「おのれ、島津め。言いたい放題言いやがって!」

敵家臣1「それで、島津の本陣にいる数は?」

伝令兵「およそ1000人です」

伝令兵がそう言う。

敵家臣2「義祐様。今がチャンスです。本陣はたった千しかいません。突撃しましょう」

義祐「よーし、皆の者。出陣だ!島津を討ちにいくぞ!」

全員「おおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

 

島津本陣

貴久「ん~、大丈夫かな義久?」

お父さんが心配そうに私にそう言う。

義久「お父さん。そんなに心配そうな顔をしなくても」

貴久「これが、心配しないでどうする!本陣を城の前に置くなんて~」

お父さんがそう言う。私も颯馬くんから話を聞いたときには、私もびっくりしたわ。何しろ、敵の城の前に本陣を置くなんてありえないから。お父さんは、最初は反対したけど、でも、颯馬くんには、秘策がある、さらに短期決戦で城を落とすという進言した。結局歳ちゃんの了承で、この策を是とした。

義久「だったら、安全なところにいればいいじゃない」

貴久「そんなわけにはいかないでしょう。当主が本陣にいないなんておかしいじゃない!」

ん~、そうかな?

島津兵1「義久様、貴久様」

 

ピキーン←当主の顔になる

 

義久「どうしたの?」

島津1「敵兵が動き始めました。間もなく城門が開かれます!」

貴久「来るか。で、天城の方は?」

島津1「いつでも準備ができているそうです。義弘様の隊、家久様・豊久様の隊、歳久様の隊も定位置にいます」

貴久「そうか。ご苦労であった。では、いつでも義弘達が動けるよう狼煙を上げれる準備をしておけ」

島津1「了解いたしました」

兵士さんがそう言うと陣を出て行った。

貴久「ねえねえ、義久。準備出来ているって言うけど、あれは時間かかるんだぞ」

義久「心配しないでお父さん。颯馬くんには考えがあるらしいよ。歳ちゃんも颯馬くんの策を聞いた時はびっくりしたけど最後は、颯馬くんの策を了承したから平気よ」

貴久「だと、いいんだけど・・・」

 

 

 

 

島津兵2「天城殿」

颯馬「どうした?」

島津兵2「敵部隊が間もなく来ます」

颯馬「そうか。報告ご苦労であった」

島津兵2「では、失礼します」

そう言うと兵士は出て行った。

颯馬「さてと。皆、聞いたか、間もなく敵がやってくる!ここはなんとしてでも死守し、義弘隊達がやって来るまで持ちこたえるんだ!」

俺が兵士達にそう言った。

島津兵3「天城殿。来ました!」

颯馬「よーし。撃ち方よーい!」

 

 

 

 

伊東家は城門を開くと目の前にいる島津家に向かって突進して来た。

義裕「敵は目の前だ!目指すは島津の大将の首のみ!」

義裕は、そう言う。彼らに油断はなどなかった。島津の首さえほしい。そう思っていた。

「放って!!!!!!!!!」

 

ダダダダダダダーン

 

敵方からあれが飛んでくるまでは・・・。

 

敵兵達「ぎゃあああああああああああああああああ!?」

音と同時に兵士達が倒れていく。

敵家臣2「何事だ!」

敵兵「どうやら、敵は種子島を使ってきました」

敵家臣3「種子島だと!?」

敵家臣が驚いてそう言う。

種子島――現代では、火縄銃と呼ばれる最新兵器。元々種子島がついた難破船に乗っていた南蛮人が持っていた物を種子島が買い取った。そして、その火縄銃初めて作ったことから種子島と呼ばれるようになった。

敵家臣1「屈するな!種子島は、次の発射まで時間がかかる!その隙に突撃だ!」

敵家臣がそう叫ぶ。火縄銃は、鎧を簡単に打ち抜き、弓よりも射程距離が長く飛び、普通の人でも簡単に当てられるすごい武器であるが、逆に使うと次の発射まで時間がかかる上、雨の中では打てないという弱点もある。

敵兵5「臆するな、進め!」

敵兵が島津の鉄砲隊に近づこうとする。しかし・・・。

 

ダダダダダダダーン

 

敵兵達「ぎゃあああああああああああああああ!?」

義裕「ば、バカな。さっき発射してから時間が経っていないのに何故撃てるんだ!?」

義裕がそう言うとまた火縄銃の音が聞こえた。

 

 

 

 

颯馬「休むな!第三陣、放って!」

 

ダダダダダダダーン

 

俺がそう指示を出しながら火縄銃が放たれる。敵兵はきっと驚いているだろうね。火縄銃は、1発放つと時間はかかる。確かにそうだ。けど、その弱点を補うのは簡単である。

鉄砲の数を百~千単位なら発射してから次の発射までの時間を短縮できる。

俺の前世の知識にあった、織田信長が長篠の戦いでやった鉄砲三段撃ちである。

島津兵2「申し上げます。ただいま、義弘隊と歳久隊が佐土原城に突撃を開始、家久・豊久隊も間もなくここへやってきます」

颯馬「そうか。よーし、全軍撃ち方止め!」

そう指示を出すと鉄砲を下ろさせる。このまま撃ち続けては味方に当たる恐れがあるからだ。

そこへ家ちゃん達隊が伊東家の横を突く。先ほどの銃撃で戦力を削った。そして、引き返そうとしても空っぽ同然の城は弘ちゃん達が占拠するだろう。

 

 

 

 

歳久「(まさか、ここまでとは・・・)」

私は遠くから見ていた鉄砲隊の銃撃を見て感心してしまう。

種子島は元々お父さんの興味本位でもらった物で、面白半分で戦に使ったら効果的面だったらしいです。けど、種子島は弱点の多さで、運用は限定的でした。

しかし、天城は今回の作戦で種子島が重要不可欠と言って来て、種子島は今何丁あるかと聞かれ、500丁ほどすぐに用意できると聞いて天城は、嬉しそうにしました。

そして、本陣を城の目の前に置き、私と家久、豊久、ひろねえを離れたところに置く策には、本当に私もビックリしました。

ある意味バクチ的な策でしたけど、天城は短期で城を落とすのはこれしかないと私に言いました。確かに攻城戦は、例え勝ってもこちらの被害はかなり出ます。

大友が攻めて来る前に何とか早く終わらせるために、最終的に私は天城の策を承諾しました。

天城は、500丁の種子島を持たせて兵とともに本陣に控えました。始めは心配しましたが、まさか三段構えとは。撃った後に、撃つ準備をしていた2陣や3陣が撃ち、その間1陣が準備をする。

こうすれば、確かに発射の短縮、種子島の連発ができる。私は度肝を抜かれました。

島津家家臣1「歳久様。義弘様の隊が城に向けて突撃を開始しました」

家臣の1人が私にそう報告が来る。城は天城のおかげで兵全員を本陣のほうへ向かわせた。今なら落とせる機会です。

歳久「私たちも行きますよ」

島津家家臣1「ははあ。全軍、突撃!!!!!!!!!!」

 

 

伊東義祐・祐兵親子は、天城颯馬の策にまんまとひっかかり兵は壊滅。

城はほとんど無抵抗で落とせた。

そして、伊東義祐・祐兵親子は日向から逃亡した。こうして、日向全て、島津家の領内となったのである。


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