島津家の天下取り物語   作:夢原光一

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第12話改

大友と島津が同盟を締結して、数日後。

颯馬「貴久様、ちょっと待ってください」

貴久「天城。ここでは、貴久じゃなくってたかぴーでしょう。バレたらどうするんだ」

貴久様が俺にしかる。

さて、どうして俺と貴久様がこんなところにいるのか?

それは、昨日の話である。

 

回想シーン

 

その日、貴久様が俺を呼んだので部屋まで参った。

颯馬「貴久様、天城です」

貴久「天城か、入って来なさい」

そう言うと俺は貴久様の部屋に入る。部屋に入ると貴久様は、いつも家臣達の前にいる顔であった。

貴久「よく来てくれたな天城。話す前に誰もいないな」

貴久様がそう聞かれると俺は、頷いた。すると・・・。

貴久「それじゃあ、天城。話をするね」

ああ、貴久様のいつものお顔になった。

貴久「実は、この頃疲れていてね。ちょうど戦も終わったことだし、温泉でも行こうかなと思って」

貴久様がそう言う。

颯馬「温泉ですか?」

貴久「そう!前に宗麟から聞いたけど、豊後には温泉地がたくさんあると聞いてね。それで、温泉に行こうと思ったの」

貴久様がそう言う。宗麟がね。まあ、豊後・・・現在の大分県には確かに温泉がいっぱいあったからね。別に驚くことでもないけど。

貴久「それで、温泉に行くけど俺1人じゃあさびしいから天城、俺の警護兼お供してくれ」

颯馬「警護とお供をですか!?」

貴久「ああ。まあ、本当は義久達に頼もうとしたけど、義久は断られるし。義弘は稽古があるから無理と言われて。歳久は、この間のこともあるから行きづらしい。家久は、嫌だの一言出し。豊久は、用事で無理だと。だから、天城に頼んだの」

貴久様がそう言う。つまり俺は、しょうがなく頼んだわけか。なんか、嫌な感じするな~。

颯馬「いいですよ別に」

貴久「ヤッター!じゃあ、頼んだよ天城!」

貴久様が喜んでそう言うのであった。

 

回想シーン終わり

 

と言うわけで、俺と貴久様は温泉へと向かっていた。

貴久「しかし、天城。温泉の宿まで遠いな~」

颯馬「確か、もう少しのはずですよ貴ひ・・・たかぴーさん」

俺がそう言う。そんな時だった。

「なんや、お前達は」

1人の女性の声が聞こえた。

「うせいなお嬢さんよ」

「金さえおいていけば許してやるぞ」

男2人がそう言う。どうやら、追いはぎのようだ。

女性「誰が、お前達に金目のもの置いていくもんかのう!」

女性がそう言う。

男1「なら、しかたがないな兄貴」

男2「ああ。金目のものを置けないなら仕方がない。犯してやるぜ~」

そう言うと男2人で女性を捕まえようとする。男らは、女性を強姦しようとしている止めないと。

男1「いたたたたたたたた!」

貴久「お前ら、2人がかりで女性を犯そうとするとは、恥を知れ!」

貴久様が男1人の腕をつかんでそう言う。どうやら、貴久様は、家臣達の前にいる顔であった。

男2「なんだと!余計なお世話だ!」

男がそう言うと貴久様を襲おうとするが・・・。

貴久「ていやあ!」

男2「うわ!?」

貴久様はなんと、男1人を投げ飛ばした。

男1「あ、兄貴!?」

貴久「さあ、どうする。次は、こうではすまんぞ」

そう言うと貴久様は刀に手をかける。

男1・2「「ひぃぃぃ」」

男らはビビリ逃げていく。

貴久「大丈夫ですかお嬢さん?」

女性「ええ、ウチは大丈夫のう」

女性がそう言う。

貴久「そうですか」

女性「あ、あの。ホンマ危ないところを助けてくれましてありがとうなのじゃ」

貴久「いや、なんの。女性を助けるのは武士として当然です」

貴久様がそう言う。

女性「ホンマ、感謝しておる。何かお礼をせねばならんかのう」

貴久「いや、別に結構です。では、友とともに先を急がなければなりませんのでこれで失礼します。行くぞ、天城!」

颯馬「あ、待ってくださいたかぴーさん!」

そう言うと俺は貴久様の後を追っていった。しかし、貴久様、かっこよくしていたけど、義久達の前でもそうしてくれれば尊敬できる父親なんだけどな~。

 

 

 

 

女性「たかぴーか。あだ名か何かだろうか?」

女性がそう言う。

「あ、義隆様。ここにいたんですか」

「隆豊」

赤髪の女性――冷泉隆豊がそう言う。そう、この女性の正体は大内義隆である。

隆豊「義隆様、探しましたよ」

義隆「ごめんなのじゃあ、隆豊。今、男2人絡まれたけどたかぴーとか言う人に助けられたなのじゃ」

隆豊「なんですって!?だから、義隆様、私から離れるからですよ。そのたかぴーとかいう人がいたからまだよかったものを・・・」

義隆「はいはい。それより、そろそろ帰るのじゃあ隆豊」

隆豊「あ、待ってください義隆様!」

義隆を追いかけていく隆豊。

義隆「(たかぴーか。もう1度会いたいなのじゃあ~。それに、乙女の心がキューンとしたのじゃあ。これは、もしや初恋やったりして~。はあ~、たかぴー~)」

心の中でそう言う義隆だが、そのたかぴーが島津貴久だとは、この時知る由もなかった。


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