大友と島津が同盟を締結して、数日後。
颯馬「貴久様、ちょっと待ってください」
貴久「天城。ここでは、貴久じゃなくってたかぴーでしょう。バレたらどうするんだ」
貴久様が俺にしかる。
さて、どうして俺と貴久様がこんなところにいるのか?
それは、昨日の話である。
回想シーン
その日、貴久様が俺を呼んだので部屋まで参った。
颯馬「貴久様、天城です」
貴久「天城か、入って来なさい」
そう言うと俺は貴久様の部屋に入る。部屋に入ると貴久様は、いつも家臣達の前にいる顔であった。
貴久「よく来てくれたな天城。話す前に誰もいないな」
貴久様がそう聞かれると俺は、頷いた。すると・・・。
貴久「それじゃあ、天城。話をするね」
ああ、貴久様のいつものお顔になった。
貴久「実は、この頃疲れていてね。ちょうど戦も終わったことだし、温泉でも行こうかなと思って」
貴久様がそう言う。
颯馬「温泉ですか?」
貴久「そう!前に宗麟から聞いたけど、豊後には温泉地がたくさんあると聞いてね。それで、温泉に行こうと思ったの」
貴久様がそう言う。宗麟がね。まあ、豊後・・・現在の大分県には確かに温泉がいっぱいあったからね。別に驚くことでもないけど。
貴久「それで、温泉に行くけど俺1人じゃあさびしいから天城、俺の警護兼お供してくれ」
颯馬「警護とお供をですか!?」
貴久「ああ。まあ、本当は義久達に頼もうとしたけど、義久は断られるし。義弘は稽古があるから無理と言われて。歳久は、この間のこともあるから行きづらしい。家久は、嫌だの一言出し。豊久は、用事で無理だと。だから、天城に頼んだの」
貴久様がそう言う。つまり俺は、しょうがなく頼んだわけか。なんか、嫌な感じするな~。
颯馬「いいですよ別に」
貴久「ヤッター!じゃあ、頼んだよ天城!」
貴久様が喜んでそう言うのであった。
回想シーン終わり
と言うわけで、俺と貴久様は温泉へと向かっていた。
貴久「しかし、天城。温泉の宿まで遠いな~」
颯馬「確か、もう少しのはずですよ貴ひ・・・たかぴーさん」
俺がそう言う。そんな時だった。
「なんや、お前達は」
1人の女性の声が聞こえた。
「うせいなお嬢さんよ」
「金さえおいていけば許してやるぞ」
男2人がそう言う。どうやら、追いはぎのようだ。
女性「誰が、お前達に金目のもの置いていくもんかのう!」
女性がそう言う。
男1「なら、しかたがないな兄貴」
男2「ああ。金目のものを置けないなら仕方がない。犯してやるぜ~」
そう言うと男2人で女性を捕まえようとする。男らは、女性を強姦しようとしている止めないと。
男1「いたたたたたたたた!」
貴久「お前ら、2人がかりで女性を犯そうとするとは、恥を知れ!」
貴久様が男1人の腕をつかんでそう言う。どうやら、貴久様は、家臣達の前にいる顔であった。
男2「なんだと!余計なお世話だ!」
男がそう言うと貴久様を襲おうとするが・・・。
貴久「ていやあ!」
男2「うわ!?」
貴久様はなんと、男1人を投げ飛ばした。
男1「あ、兄貴!?」
貴久「さあ、どうする。次は、こうではすまんぞ」
そう言うと貴久様は刀に手をかける。
男1・2「「ひぃぃぃ」」
男らはビビリ逃げていく。
貴久「大丈夫ですかお嬢さん?」
女性「ええ、ウチは大丈夫のう」
女性がそう言う。
貴久「そうですか」
女性「あ、あの。ホンマ危ないところを助けてくれましてありがとうなのじゃ」
貴久「いや、なんの。女性を助けるのは武士として当然です」
貴久様がそう言う。
女性「ホンマ、感謝しておる。何かお礼をせねばならんかのう」
貴久「いや、別に結構です。では、友とともに先を急がなければなりませんのでこれで失礼します。行くぞ、天城!」
颯馬「あ、待ってくださいたかぴーさん!」
そう言うと俺は貴久様の後を追っていった。しかし、貴久様、かっこよくしていたけど、義久達の前でもそうしてくれれば尊敬できる父親なんだけどな~。
■
女性「たかぴーか。あだ名か何かだろうか?」
女性がそう言う。
「あ、義隆様。ここにいたんですか」
「隆豊」
赤髪の女性――冷泉隆豊がそう言う。そう、この女性の正体は大内義隆である。
隆豊「義隆様、探しましたよ」
義隆「ごめんなのじゃあ、隆豊。今、男2人絡まれたけどたかぴーとか言う人に助けられたなのじゃ」
隆豊「なんですって!?だから、義隆様、私から離れるからですよ。そのたかぴーとかいう人がいたからまだよかったものを・・・」
義隆「はいはい。それより、そろそろ帰るのじゃあ隆豊」
隆豊「あ、待ってください義隆様!」
義隆を追いかけていく隆豊。
義隆「(たかぴーか。もう1度会いたいなのじゃあ~。それに、乙女の心がキューンとしたのじゃあ。これは、もしや初恋やったりして~。はあ~、たかぴー~)」
心の中でそう言う義隆だが、そのたかぴーが島津貴久だとは、この時知る由もなかった。