島津家の天下取り物語   作:夢原光一

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第11話改

颯馬「よかった。無事に同盟が結ぶことが出来て」

俺がそう言う。

大友家と島津家。史実では、長く争って最後は豊臣秀吉の介入するまで長く争った。その歴史を変えることに成功した。

今回、同盟を締結できた主な理由として2つある。

1つは、昔宗麟に、仕えていたという点である。これが、赤の他人同士なら同盟締結は困難を極め、最悪抵抗を続けていただろう。しかし、宗麟が俺を小姓として、仕えさせてもらっていた。短い間だが、よく可愛がられていたからこそ俺が持ちかけた同盟を結ぶことが出来た。鑑連殿、親貞様、鑑盛殿とは、小姓の時に親しくしていた。また、鎮理とは、幼馴染関係で、鎮理の兄、鎮信殿とは俺のことを弟みたいにかわいがってれくた。千熊丸は、俺の妹だという点もあり同盟に反対することはなかった。

もう1つは、宗麟が南蛮信教にそんなに傾倒がなかったことである。史実では、大友宗麟が南蛮信教を傾倒するあまり神仏を取り壊すと言う暴挙に出て、そのせいで家臣らは謀反したり、寝返ったりし、さらに毛利、島津が領内に進撃するという始末を侵して、秀吉が九州平定する直後まで島津に侵攻を許してしまう。

しかし、この世界の大友宗麟は南蛮信教を信仰していたが、傾倒するぼとではない。けど、神仏を取り壊すと言う暴挙には出ていないが、仏教徒との仲は非常に悪かった。

妹の親貞が南蛮信教を崇拝していたが傾倒までにはいたていない。

そのため島津も同盟を結べた大きな点といえる。

この2つの点があったからこそ、同盟が締結出来たのである。俺は、一安心した俺は部屋に戻ろうとした時。

歳久「天城」

歳ちゃんが後ろから現れた。

颯馬「どうしたの歳ちゃん?」

歳久「歳ちゃんと呼ばないでください天城。それより、話があるのでちょっといいですか?」

颯馬「構わないが?」

歳久「では、来てください」

そう言うと俺は、歳ちゃんの後を続いていく。一体どんな話なんだろう?

 

 

 

 

歳久「・・・・・・・」

部屋に着くと俺は座ったが歳ちゃんは、黙っていた。

颯馬「あ、あの、歳ち・・・歳久?」

俺がそう言うと歳ちゃんは、口を開いた。

歳久「天城、私に何か隠していませんか?」

颯馬「え?」

それを聞いたとたんドキッとする。

颯馬「それは、どういう意味かな?」

俺は、誤魔化そうとする。

歳久「隠さなくてもいいです。天城、あなた。大友宗麟とは知り合いで、さらに吉弘千熊丸は天城の実の妹なのですね」

それを聞いて驚いてしまう。俺は、全身冷や汗をかいてしまう。

歳久「どうやら、本当のようですね」

それを聞いて俺は口を開く。

颯馬「な、何で歳久がそんな話を?!」

歳久「実は、この間。座敷牢の近くで天城の話を聞いてしまったのです」

なんだって!?

歳久「天城が大友と同盟を強く進言していたことに少しばかり疑問を感じていました。それで、私は座敷牢へ向かうと見張り兵がいなく、それで座敷牢の階段を下りると天城が話をしていて、その時に知ったんです」

歳ちゃんがそう言う。これは、もう言い訳は出来ないな。

歳久「話してくれますか?話によっては・・・」

歳ちゃんの威圧に俺はとうとう観念した。

颯馬「わ、わかったよ。全部話すよ」

俺は観念して話すことにした。

颯馬「俺の家は、貧しい家だったけど、吉弘家とは仲が良くって、鎮理と千――千熊丸と仲良く遊んでいたんだ。まあ、鎮理とは、剣術の相手をしていたよ。鎮理の兄、鎮信殿は、俺を弟のように可愛がっていたのさ。ところで、突然両親が亡くなったんだ。財産もほとんどないから、明日の食べ物も買えさえできない。けど、千熊丸だけは、どうしても、不自由な思いだけはさせたくない。だから、俺は、妹を吉弘家の養子にさせたんだ。その時、鎮理の父親から俺も養子にさせようとしたけど、断ったんだ」

歳久「何故、断ったんですか天城?吉弘家の養子になれば、妹ともに暮らせたはずですよ」

颯馬「普通は、そうだけど。吉弘家には、鎮信殿がいたから、俺が養子になる必要性もないし、家督争いをさせるわけにもいかなかった。まあ、鎮理の婿養子の話もあったけど、それさえも蹴って、俺は、吉弘家を出たんだ」

歳ちゃんにそう言う俺。

颯馬「その後、俺は大友家に仕官しようとしていたけど、誰にも相手にさせてくれなかった。けれど、ある日俺が高熱を出して、倒れた時に宗麟が看病してくれたの。その後、宗麟の小姓として働いたんだ。けど、周りは義鑑様を慕うものが多くって、行儀や作法など知らなかった俺を、よくいじめられていたよ。けど、そのたびに宗麟、鑑連殿、鑑盛殿に助けられたんだ。ところが、ある日のことだった。宗麟や鑑連達が出かけている合間に、義鑑様らが来て、身に覚えのない罪を押し付けられて、城を追い出されたんだ。しかも、刺客まで放って・・・」

歳久「ひどい話です」

その話を聞いて、同情する歳ちゃん。

颯馬「俺は、必死で逃げた。けど、ある雨の降った日に倒れて、そこで日新斎様と出会ったんだ」

俺がそう言う。

歳久「そうだったんですか」

歳ちゃんがそう言うと俺は頭を下げる。

颯馬「歳久、島津家のためとはいえ私的なことで同盟を結ばせた。俺は、どうなってもいいからこの同盟だけは!」

俺は、必死でそう言う。

歳久「ふ~、何をバカなことを言っているんです天城。天城は、今は島津にとってなくてはならない存在です。それに、どういう事情とはいえ大友が島津とともに戦ってくれる約束もしてくれました。同盟を結べたのは、全て天城のおかげです。そんなことで、切腹したら一生許しませんよ」

歳ちゃんがそう言う。

颯馬「それじゃあ」

歳久「ええ、この件は私しか知りませんから、内密にしておきましょう」

歳ちゃんがそう言う。感謝感激、まさにそう思った時。

 

「「「「「きゃあ(うわ)!?」」」」」」

 

突然障子が倒れ、見覚えある5人の姿が目に入った。

颯馬「義久!弘ちゃん!家ちゃん!」

歳久「豊久にお父さん!?」

俺と歳ちゃんは、びっくりしながら5人にそう言う。

歳久「どういうことか説明してもらえますか?」

歳ちゃんが恐ろしい目でそういう。これは、歳ちゃんが怒るときの姿、怒らせた歳ちゃんは、何をするかわからないからな・・・。

豊久「実は、としねえちゃんが颯馬と2人きりで部屋に向かう姿を僕とよしねえちゃん、ひろねえちゃん、お姉ちゃん、お父様が目撃して。そしたらお父様「まさか、天城の奴。歳久を襲うじゃあ」とか言ってあわてて引き留めたけど。お姉ちゃん達が興味半分で部屋まで来て盗み聞きしたんだ」

豊久がそう自供する。貴久様はともかく義久達まで・・・。

歳久「なるほど。それで、天城と私の話を聞いたんですね」

そう言うと義久達は頷いた。ど、どうしよう・・・。

義久「颯馬くん、話は聞いたわよ」

義弘「まさか、そんな過去があったなんてね、知らなかったわ」

家久「けど、気にしていないよ。ソウちゃんが島津のために働いていたし、大友家と同盟もソウちゃんが宗麟殿と幼馴染だったから成立したんだから」

豊久「うん。だから、颯馬。安心して」

颯馬「義久、弘ちゃん、家ちゃん、豊久・・・」

4人の言葉を聞きとても嬉しかった。

貴久「あ・ま・ぎ」

しまった、この人の存在を忘れていた。

貴久「お前がそう言う出だとは知らなかった。なら、それを口実に貴様を殺してやる!!!!!!!!!!」

颯馬「ひい!?」

刀を抜くこうとする貴久様に俺はビビッてしまう。

義久「お父さん、ダメよ」

義弘「そうだよ。天城がいたから大友と同盟を結べて、協力してくれるのよ」

家久「そうだよ、お父様。ソウちゃんを殺しちゃあダメだよ」

歳久「ええ。それに、お父さん。会見が嫌だからと同盟を断ろうとしたようですね」

え、そうなの。

貴久「へぇ!?あ、あの。歳久、なんでその話を・・・」

義久「フフフフフ」

義久が不敵に笑いだす。

貴久「まさか、義久。歳久に話したのか!」

義久「さあ、どうかしら?」

とぼけるように顔を別の方角へ向ける。

歳久「この話を聞いた時、呆れましたけど。同盟を結べたから穏便に済ませようとしましたけど、気が変わりました。よしねえ、お父さんはどうやらよしねえの料理が食べたいと前に言っていました」

歳ちゃんがそう言う。どうやら、完全に怒らせたようだ。

義久「そうなんだ。じゃあ、明日の朝、私が腕をぬぐって料理を作るわ」

貴久「アハ、アハハハハハハハ・・・」

かわいそうな貴久様。

こうして、俺の正体を知りながらも軍師として働けるようだ。

ちなみに、貴久様は翌朝予告通り義久の料理を食べて、1日倒れたのは言うまでもない。

 

 

 

 

義祐「おのれ、大友宗麟。助けると言いながら同盟を結ぶとは!」

義祐がそう言う。

日向を取り返してほしい義裕は大友家に助けを依頼したが、宗麟が一旦保留にしていたが、まさかの島津と同盟を結び。逃げるように豊後から逃亡していた。

裕兵「父上、これからどうする?」

義祐「こうなったら、四国へ行く」

祐兵「四国ですか?」

義祐「ああ。阿波の細川晴元様のところ向かう。管領のならきっと助けてくれる」

祐兵「はい」

義祐「待っていろよ大友宗麟、島津。必ず復讐してやる!」

義祐がそう言うのであった。

 

 

 

 

肥前国・佐賀城

「島津と大友が手を結ぶとは、予想外だね直茂」

「その通りです義姉様」

ロングヘアの少し厳つい女性と緑髪の女がそう言う。少し厳つい女性の方は、竜造寺家当主・竜造寺隆信。もう1人の方は、鍋島直茂である。

隆信「さて、直茂。これからどうすればいいかしら?」

直茂「そうですね。まず、島津と対抗するためにも、とりあえず、有馬家を何とかしなければなりません」

隆信「有馬晴信か。あの女、いつまで抵抗するつもりだ」

苦々しそうにそう言う隆信。有馬家はこの肥前国の島原の豪族。竜造寺は攻めるがなかなか落とせずにいた。

直茂「落ち着いてください義姉様。そう焦らなくてもいいです」

隆信「どうしてだ直茂?」

直茂「島津は、大友から譲り受けた筑後国は、飛び地当然です。そことつなぐために肥後国を攻めなくてはいけません。肥前国を攻めてくるまでの時間はあります。その間に有馬をなんとかして防衛に備えるべきと」

直茂がそう進言する。

隆信「なるほど。では、肥後国の連中には頑張ってもらわんとな。じゃあ、円城寺信胤と江里口信常らに有馬を攻略を急ぐように伝えていてくれ直茂」

直茂「わかりました」

直茂がそう言うと笑い出す隆信であった。

 

 

 

 

 

 

長門国・大内館

「島津と大友が手を組んだというのは本当のようじゃのう」

「ええ。そのようです」

「しかし、大内家にはこの2家はしばらく攻めないでしょう。肥後、肥前などいろいろな勢力がいますから」

3人の女性がそう言う。1人目の京言葉を喋る女性は、大内家・現当主、大内義隆。もう1人は、冷泉隆豊。そして、メガネをかける少女は相良武任である。

義隆「それで、武任。ウチらはこれからどうするのじゃあ?」

武任「当分は様子見と言うことで行きましょう。毛利が尼子家の領内に進撃していますから、大内領内はしばらく安泰でしょう」

武任がそう言う。

義隆「わかった。しばらくは、ウチらはこのままで。ウチも最近疲れているからちょうどいいわ」

武任「でしたら、義隆様。温泉へ行くのはどうでしょう?豊前にいい温泉がありますけど」

義隆「温泉か。ほな、行くとしようかのう」

隆豊「義隆様たら・・・」

義隆が温泉に行く気満々であった。




竜造寺家、大内家のキャラは、6をもとにしています。

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