基本的に4~5ですが、2、3、6も入れる予定です。
「とりゃああああ!!!!!」
「やあ!」
少年が少女に向かって打ちかかるが、少女はそれを払う。
「あにしゃま、頑張って~」
少年の妹がそう応援する。
「ほら、どうした○○。その程度か?」
「なんの!」
そう言って少年が少女に打ちかかる。だが・・・。
「たあ!!」
ドシ
少女は、冷静に少年の木刀を落とした。
「あにしゃま、カッコ悪い~」
少年の妹がそう言う。
「まだまだだな○○。そんなんでは、私に勝てないぞ」
少年に向けてそう言う少女。
「あにしゃま。このままじゃあ、あねしゃまどころかあねしゃまのあにしゃまにも勝てないよ~」
「確かにそうだけど、もっと鍛錬すればいつかきっと千寿や千寿の兄上に勝てるぞ」
少年が妹にそう言い聞かす。
「なら、鍛錬あるのみだぞ○○。私や兄上に勝つのなら」
「おうよ!」
そう言って少年は木刀を持って少女と剣術のけいこを続けるのであった。
■
「ん~?」
俺は、目を覚ますと布団から起き上がる。
「また、子供のころの夢か。あいつ、元気にしているのかな?」
俺は、そう思いながら布団をたたむ。
そうだ、忘れていた。俺の名前は、天城颯馬(あまぎそうま)。
こう見えて、この家の軍師を勤めている。でも、俺もただの軍師ではない?それは、どういう意味か。信じてくれないだろうが、実は俺には、他の人生の記憶がある。そう、争いのない平和な時代、年号は平成である。そこで生きていたが、ある日学校の帰り道で交通事故に遭ってしまう。そして、いわいる転生でこの戦国時代に生まれ変わったのである。
幸い俺は戦国時代の知識や歴史については、詳しいほうである。
だけど、これが、織田や徳川、武田、上杉、北条などなら楽だったかもしれない。しかし、俺が仕えている家は・・・。
「颯馬、起きている?」
障子の前で誰かが声をかけて来た。
「あ、弘ちゃん?」
俺は、そう呼んだ。
「颯馬、おはよう」
障子を開けると槍を持った1人の女の子が入ってきた。俺の部屋に入ってきた弘ちゃん――島津義弘。
もう、お気づきだろう、島津。そう、ここは、九州の最南端にある薩摩を収める島津家である。そして、弘ちゃんは、島津の次女である。次女、本来なら義弘は男だが、ここにいる義弘は紛れもなく女の子である。本来女性武将は、戦国時代いたにはいたが、少数派。女は政略結婚の道具に過ぎないこの時代。
しかし、これはどうしたことだろうか。彼女だけでなく、この家はもちろん有名どころの武将が、女性になっているのだ。たんなるタイムスリップでないのだ。
颯馬「どうしたんだ弘ちゃん?」
義弘「朝稽古に誘いに来たの」
颯馬「朝稽古か。別にいいぜ、今日こそ勝ってやるからな」
義弘「その口、そっくりそのまま返してあげるわよ」
そう言って、俺と弘ちゃんは部屋を出て道場へ向かった。
■
「あ、おはようございますひろねえ、天城」
義弘「おはよう歳ちゃん」
颯馬「今日も元気だな歳ちゃんは」
「歳ちゃんって言わないでください。それより天城は、ひろねえと稽古ですか?」
颯馬「そうだが」
「稽古もいいですけど、軍師の仕事もやってくださいね。今日提出するはずの書類があるはずですけど?」
颯馬「ああ、あの書類か?あの書類ならあとちょっとで完成するよ。今日中には届けるよ歳ちゃん」
「歳ちゃんって言わないでください!」
俺がそう言うと冷たい口調でそう言い返す、この女の子。名前は島津歳久――通称歳ちゃん。島津家の中で頭のキレが良く、とても頼りになる存在だが、とても毒舌であり、容赦はない。ちなみに、軍略に関する大部分彼女から学んである。なお、弘ちゃんと今は伏せておくが弘ちゃんの上のお姉ちゃんは、歳ちゃんと呼んでいるのに、俺が歳ちゃんと呼ぶと「歳ちゃんといわないでください」と必ず言い返してくる。なんでだろう?
歳久「そうですか。やはり、早いですね天城わ。では、その資料終えたら私のところへ持ってきてください」
颯馬「わかった」
そう返事すると歳ちゃんは、その場を去っていった。
義弘「颯馬って、本当に仕事はできるよね。しかも軍略にも。教わったことを自分のものにしていくなんて」
颯馬「そんなことないよ弘ちゃん」
弘ちゃんの問いにそう答えた俺。こう見えて前世では、学生時代に学業を頑張った方である。それに、歴史の先取りとして、まず農業生産の効率化、生産拡大を行った。それが唐箕、千歯扱きである。俺は、これらは木製の簡素な構造なので簡単に出来上がった。そして、これを現当主に進言し、千歯扱きを普及させた結果、以前より石高が増加し、年貢米も増えた。そのおかげで、当主や弘ちゃん達からかなり信頼されるようになった。
「あら、弘ちゃんと颯馬くんじゃない」
颯馬「あ、義久」
義弘「よしねえ」
俺と弘ちゃんの前に現れた美人。名前は、島津義久――通称よしねえである。「三州一の美女」と言われるほどの綺麗さを持っているが、普段はこんなおっとりしているが、いざという時には、適切な指示と高い統率力を見せてくれる。ちなみに、料理は、壊滅的で厨(台所のこと)には出入り禁止されている。なお、弘ちゃんや歳久さん達は、よしねえと呼んでいるが、俺は呼び捨てで呼んでいる。これは、義久からの要望で、姉妹と2人きりの時のみ呼び捨てで呼んでいる。
颯馬「ところで、義久。こんなところで何をしているんだ?」
義久「今から書類をお父さんのところに持っていくところなの」
義弘「お父さんにね~」
弘ちゃんがそうつぶやいた時
「よ~し~ひ~さ~」
機嫌そうにそう叫んでやって来た若い男性がやって来た。そのまま義久に抱きつこうとしたが。
義久「」←避ける
義弘「」←退く
ドテッ
義久とひろちゃんが避けると男性は、そのまま縁側に顔面から落ちた。
「義久、義弘。何で、避けるんだよ!」
義久「お父さん、急に抱きつかれたら書類がばら撒いちゃうでしょう」
義弘「そうそう」
義久と弘ちゃんの問いに男性は涙ぐんでいた。紹介したくないが、一応紹介しよう。この若い男性、実は何を隠そうこの島津家の現当主、島津貴久である。義久達、年頃の娘がいるとは思えない若々しい外見で文武両道で、家臣からの信頼も厚い存在だが、それは家臣達がいる前でのこと。本当は「若々しい」というよりも、すぐに駄々をこねる・拗ねるなど子どもっぽい。また、極度の親バカで、義久たちからは頼りにされつつも呆れられている。
なお、自分のことをたかぴーと呼んでいる。
颯馬「大丈夫ですか貴久様?」
貴久「なんだ天城、いたのか」
俺に向けてそういう貴久様。俺も貴久様の素のことは前から知っていたが、義久や弘ちゃんに対する接しと俺に対する接しが180度違うのだ。
貴久「まあいいや。ねえ、義久、一緒に遊ばない?」
義久「何を言っているのお父さん。この書類をお父さんに届けた後、残った仕事を片付けないといけないのよ」
貴久「書類なら後で見るからさ。一緒に遊ぼう?」
義弘「ダメに決まっているでしょうお父さん」
義久「そうよ。当主が書類を見ずにそっちのけで遊ぶのはどうかと思うけど?」
義久と弘ちゃんが貴久様に向けてそう反論した。
貴久「2人共冷たいな~」
貴久様がそう言うと弘ちゃんが何かいいことを思いついたかのように口を開いた。
義弘「じゃあ、お父さん。これから、私と颯馬と一緒に道場へ行く途中だけど、お父さんも道場へ行かない?」
貴久「へぇ!?」
義久「そうね。じゃあ、お父さん、弘ちゃんから1本とったら遊んであげるわ」
貴久「ちょっと、待てよ義久。義弘から1本取るなんて無謀だろう普通」
義弘「お父さん情けないな~」
貴久「歳を考えてほしいよ義弘!義弘と勝負するぐらいなら書類をチェックした方がまだいい~」
義久「フフフ。じゃあ、お父さん。この書類よろしくね♪」
そう言うと義久は書類を貴久様に渡すとその場を去っていった。
義弘「颯馬、早く道場へ行こうか」
颯馬「そうだな。みんなを待たせるわけにはいかないからね」
そう言うと俺と弘ちゃんは、その場を去っていた。
貴久「う・・・。結局こうなるのね~」
■
俺と弘ちゃんが道場へ着くとすでにみんな稽古をやっていた。
義弘「みんな、遅れてごめんね」
弘ちゃんがそうお詫びをした。
「あ、ひろねえにソウちゃん!」
「姉上、颯馬。遅いぞ」
俺と弘ちゃんに向けてそう言って来る2人。1人目の名は、島津家久――通称いえちゃん。かわいらしい存在で、癒し系な子だが、4姉妹の中では、かなり軍略的に優れている。
もう1人は、島津豊久。島津家で唯一の男。頑張り屋さんで義久達に追いつこうと頑張っている。ちなみに、この家で、四姉妹並に人気があるとか。
なお、貴久様からとよぴーと呼ばれているが本人はそう呼ばないでほしいと要望している。
家久「ひろねえ、1本手合わせしてくれない?」
義弘「いいよ別に。その代わり手加減しないよ」
家久「もちろん。ソウちゃんより早くひろねえから1本奪ってみるよ」
義弘「奪えるものなら奪ってみな」
弘ちゃんと家ちゃんが打ち合いを始める。
豊久「颯馬。僕と手合わせしてくれる?」
颯馬「別にいいぞ豊久」
そう言うと豊久はうれしそうに頷いて、手合わせを始めた。
その後1時間半、稽古をして全員朝食を食べに行く。
ちなみに、家ちゃんと弘ちゃんの勝負は結局1本も奪えずに終わったのはいうまでもない。
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