儀式デッキ使いの日常   作:アリスとテレス

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うう、リアルが忙しいからなかなか書く時間が取れないよぅ
真琴「こっちにしたら何もしなくていいから非常に楽でいいんだがな」
こら主人公
真琴「まあなんやかんやで続いてるよなこの物語」
ひとえに皆様の応援の賜物でございます。お気に入り件数目指せ3ケタ!だな。
真琴「大きな夢を持つのは大切な事だが、無謀だな」
そんなズバッと言うなよ!ったく。まあ、ここらへんで。今回はいつもの第三者視点と違い、サブタイトルでわかると思いますが彩花ちゃん視点で書きます。なぜ真琴君と一緒にいるかがわかる回となっています。
ではでは、本編をどうぞ!


過去の日常 彩花編

私の名前は月見原彩花10歳。家族はお父さん、お母さんに2つ歳の離れた双子の妹と弟、それと私の5人。お父さんは会社員をしていて、お母さんは主婦をしている普通の家族。夕食はいつも5人で食べていたのだけど、2ヶ月前に、ここに新しく入り込んで来た奴がいる。

「真琴君、別に遠慮しなくてもいいのよ?あなたのお父さんには、夫がよくしてもらっていたのだし、なんでも言って頂戴」

そういって入り込んで来たやつにお母さんは心配そうに話しかける。しかし

「いえ、問題はありません。ただ」

「ただ?」

「この子達はどうにかなりませんか?」

そう、入り込んで来たやつ.....真琴の両隣にはお母さんに似た私の翠色の髪の毛と違い、お父さんに似た薄い黄色のような髪の毛をしている、私の双子の妹と弟がいた。それもかなり懐いているのである。

「こら、凛、蓮、真琴君を困らせてはだめでしょう?」

「うー、りん、まことおにいちゃんといる!」

「れんも!れんも!」

と言っているのである。今までそこにいたのは私だったのに、さみしいと思う。子供ながらに懐いていた子を奪われたと思った。

「ほっとけばいいのよ、お母さん。なんやかんやいって相手してくれるってわかってるんだから凛達はそこにいるんだから」

「え、ええ」

困ったようにお母さんは笑っていた。すると、沈黙を貫いていたお父さんは

「彩花、後でお父さんと話をしよう」

そういうと、また夕食を食べ始めた

 

 

夕食が終わり、お父さんの部屋に向かう。お父さんは何が言いたいのか、全くわからなかった。でも、大切な話のようだったので、部屋に向かう。部屋をノックしてから入る。

「来たか。まあ、そこに座りなさい」

そう言うと、私を椅子に座らせ、お父さんはベッドに座った。

「真琴君とは、仲良くできそうにないのかい?」

そう言って切り出した。私はそんなつまらないことのために呼び出したのかと思ってがっかりした。

「だってあいつなんか嫌だもん」

私の真琴に対する思いは最低のものであった。

「だってあいつめんどくさがりやだし、デュエルモンスターズは弱いし、何考えてるのかわかんないし」

そう、真琴を嫌がる理由を言って行く。

「なんかお父さんがあいつのお父さんの友人で昔世話になったからだと言っても、相手する必要な奴そうじゃ無いし!それにいつも泊まっていけば?って言ってくれるお母さんの言い分を無視して隣の自分の家に戻るし!」

そう、真琴に対する思いを言うと

「そうか。でもね、私は真琴君を助けてやらないといけない子だと思っているよ。あの父親に似ているしね。なかなかわかりやすそうだからね。性格が。あいつもあの子ぐらいの時に母親を亡くしていたからな。お母さんがいなくなって、家に誰もいないところに、小学生を返したく無い。だから彩花にはいつも一緒にいてもらいたいんだ」

そう言っているが、

「イヤよ。だってあいつ嫌いだもん」

私はどんな理由だったとしても、あんなやつと一緒にいたくなんか無かった。

「そうか。まだまだ時間がかかりそうだな。話はそれだけだ。もう夜も遅い。早く寝なさい」

そう言ってお父さんは話を終わった。なぜそんなにあいつの事を気にかけているのかわからなかった。妹達だけでなく、お父さんまであいつの味方をしているようで面白くなかった。さっさと出て行こうとすると

「彩花、真琴君は色々と大変だろうが、いつも気にかけてやってくれ」

と、言ってきた。でも、私は無視をして出て行った。

 

 

私は男勝りな可愛くない性格をしている。学校だったり、公園とかでも中心的存在でよくガキ大将と衝突していた。お父さんと話をしていた、2週間ほど後にそれはあった。

いつもの日常に少しだけ違うものがあった。その日、私はカードショップへ行っていました。するとそこにはあの嫌な奴がいた。

 

「........」

 

熱心にファイルのカードを見ていて手にもっているカードと見比べていた。今までと少し様子違ったので少し気になったので、後ろをわざと通る時に手元を見てみると、破滅の女神ルインを持って、高等儀式術のカードを見ていた。たぶんルインを使うために欲しかったのだろう。しかし、今の時代、儀式なんていう遅い、ディスアドバンテージの塊を使おうとするなんて、私には訳がわからなかった。だから、

「あんた、それを使おうと思ってるの?やめときなさい。今時儀式なんて使ってるやつはいないわよ」

そう言ってやった。そして、あいつの反応を見ずにそのまま、デュエルスペースに行ってデュエルをする。あいつがしようとしてることに文句が言えて少しすっとした。あいつがなんとなく嫌いだからであって、審判が禁止になったからでは無い。決して。しかし、それでも動かず、考えているようだったので、気になって仕方が無かった。だから私は何故そこまであいつの心をを動かすのかがわからない儀式の事を聞いてみた。気が進まなかったが。

 

「ねえ、なんであんたはそこまで見ているのよ。今は昔と違って、儀式みたいなカードよりも強いのが多いのよ?儀式にこだわる必要なんて無いと思うわよ?」

「.......そうだな。儀式にこだわる必要なんて無いな」

「ならなんでこだわるのよ?」

「俺が使いたいからだ」

こいつの答えが一瞬、わけが分からなかった。他にも強いカードが沢山あるのに、なぜ儀式を使おうとするのか、理解出来なかった。

「俺はな、使えない訳でも無いのに、ほとんどの人が儀式に見向きもしない。そりゃあ、扱い辛いし、揃わなかったら手札で腐るし、サポートカードも必要になってくる」

「そうだと思ってるなら使うのをやめようとしないの?」

「言っただろ?俺が使いたいから使うんだ。損得じゃ無い。このカードが状況を変えて、一気に相手を倒す。そんな姿が俺は見たい。そう思って、俺はこいつを入れるんだ。このかードを信じて」

そう言ってルインのカードを見せて来た。私と同い年のくせに少しだけ大人びているようで少しだけ、ほんの少しだけ悔しく思った。だから

「これ、あげるわ」

そう言って3枚あるエンジェル・バトンの内1枚をこいつに差し出した。このままひきさがれば、何かこいつに負けているような気がしたから。

「こんな高価なカードは貰えないな。それに、お前は俺の事を良く思ってないだろう?なぜこんなことをする?」

そう言って断ってきた。

「あんたは嫌いよ。でもね、私の所に来てる以上、最低限の強さがあって欲しいの。使い辛いカードを使ってるから負けました。なんて言い訳、聞きたく無いの。準制限にかかっているけど、私は3枚持ってるの。わかったならさっさと受け取りなさい!」

そう言って強引にこいつに持たせる。すると、

「タダで貰うのは気が引ける。お前は確か魔導書デッキを使っていたな?」

「ええ、そうよ?それがどうしたのよ」

すると、腰につけてたデッキケースから、1枚のカードを取り出して、こちらに渡して来た。

「こいつをやる。俺は使わないカードだ。使ってくれるやつに渡した方がいいだろう。これであいこだ」

そう言うと、レジの方に行ってしまった。たぶん高等儀式術を買うのだろう。そこには私だけが残された。その手に魔導法士ジュノンを持って。

 

その翌日。事件は起きた。いつもいつも衝突していたガキ大将が決着を付けると屋上に呼び出して来たのである。屋上にいくと、いきなり後ろから殴りつけられて、倒れてしまった。そして、

「お前、ムカつくんだよ!女のくせに偉そうにしやがって!いつもいつも俺のすることにケチ付けやがって!ボッコボコにしてやるよ!」

そう怒鳴って来た。何か言い返そうと思ったが、私は頭を殴られて、体が思うように動かなかった。それを見てガキ大将は

「はっ!やっぱり女だな!周りに誰かいないと、強くなれないのさ!おい、お前ら、やっちまえ!」

そう言うと、私の腰にあった私のデッキを取り上げた。なかのデッキを見ると、

「ほう、なかなかいいカードもあるじゃないか。お前に持たせるのももったいないし、俺がきちんと活用したやるよ。よかったな」

そう言ってきた。

「特にジュノンが2枚だなんて、お前にはもったいない無いぜ。ハハハハハ!」

そう、昨日、非常に不本意だが、あいつから渡されたのが私の持った2枚目のジュノンだったのである。入れたくも無いが、腐らせるのももったいないので、デッキに入れたのだが、このカードが私を不幸にさせたのかと、呪いたくなった。昨日の今日だから余計に。そして

「お前ら、後は好きにしていいぜ、今までの鬱憤をぶつけてやんな!ハハハハハ!」

そう言って、周りにいた3人のうち1人が私を羽交い締めにしながら起こし、後の2人が私に棒で殴ろうとして来た。来たときに殴られたのはその棒か、などと目をつむりながら現実逃避をしていると、いつまでたっても衝撃がこない事が不思議に思って、目を開けると、棒を持って私を守っている、あいつがいました。そして、

「おい、あれはお前のデッキだよな。なんであいつが持っているんだ?お前は大切にして.....そうか、取られたのか」

そう言うと私を羽交い締めにしていた1人を蹴飛ばすと、2人を蹴飛ばしたやつの方向に押し飛ばした。そして、

「大丈夫か?立てるか?」

などと言ってきた。いろいろと聞きたいことがあるが、なにを言おうか頭がこんがらがって、何を言えばいいか分からなかった。そこに、

「はっ、王子サマのご登場ってか?現実でそんなのなんて無いんだよ!」

そう言ってまくしたてた。その声を聞くと、御鏡は

「別に王子と言うわけでは無い。ただ、どこにもいないから少し探していただけだ。まあ、こんな場面に出くわすとは、思ってなかったがな」

そう言うと

「そのデッキはこいつのだ。返してもらおう」

こう、ガキ大将に向かって、言った。

「なんで俺のをそいつに渡さないといけないんだ!これは落ちていたんだよ。だから俺が拾って、俺の物とした。何か問題でもあるのかよ!」

そう言うと、ガキ大将はドヤ顔をしていた。それを見て御鏡は

「そうか。ならこいつは遺失物届出を出して、その特徴、デッキの内容、カードを入れているケースの種類。傷のつき方。それら全てを警察にいい、お前のそれが一致した場合、そして、お前が拾って警察に届けなかった事に関し、それが故意に生み出されたものであった場合、それは窃盗の容疑になる。刑法235条、窃盗罪。他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。そう知った上で白を切るんだな?」

よくわからないが、御鏡が私のためにしてくれていることはわかった。嫌っているであろう人間を助けるのかはわからないが

「ちっ!なら、俺とデュエルしろよ。お互いのデッキをかけてな!俺はこのデッキをかける。お前はお前のデッキをかけろ!」

なぜかデュエルで勝負しろという話になっていた。御鏡に得が一切無かった。しかし

「デュエルでの物事は神聖なものだ。それをわかって言っているな?」

「はっ知らねえな!、それより、デュエルをするのか⁉︎しないのか⁉︎」

そう、ガキ大将は怒鳴る。すると、御鏡は

「いいだろう。ただし、さっき言ったアンティは確実にかけてもらうぞ。俺もこいつをかける」

デッキをカットし、かばんから取り出したデュエルディスクにセットする。

 

 

「「デュエル!」」

 

「はっはー!先攻くらいはくれてやるよ!すこしくらいはあがいて見せろよ」

ガキ大将は余裕そうに言う

「....俺のターンドロー」

御鏡は何も反応を示さずにドローした。自分のデッキがかかっているといのに、どうしてそこまで淡白なのか、私は訳がわからないし、なぜ自分のデッキのために、危険を犯してまで取り返そうとするのか、頭の中でそんな言葉がぐるぐる回っていた。

「俺は手札からマンジュ・ゴッドを攻撃表示で召喚」

マンジュ・ゴッドATK1400

 

「マンジュ・ゴッドの効果発動。デッキから儀式魔法か儀式モンスターを手札に加えることができる。俺は儀式魔法、高等儀式術を手札に加える。カードを1枚伏せてターンエンドだ」

 

真琴

手札6→5→6→5

モンスター/マンジュ・ゴッド

魔法、罠/セットカード1枚

 

マンジュ・ゴッドが御鏡に儀式魔法を手渡す。しかし、昨日言っていた通り、儀式デッキを使っているようだ。でも

 

「ハッ、儀式なんて雑魚を使っているとは!この町で最強の俺に叶うわけが無いだろ!俺のターンドロー!俺は手札からライトロードパラディンジェインを攻撃表示で召喚!」

あいつはとても強力なデッキである、ライトロードを使っている。儀式じゃひとたまりもない。

ライトロードパラディンジェインATK1800

 

「バトルだ!その雑魚モンスターをけちらせ!ジェイン!ジェインはモンスターと戦闘を行う場合、攻撃力を300ポイント、アップさせる」

 

ジェインATK1800→2100

真琴LP4000-(2100-1400)=3300

 

ライトロードは総じて高いカードだが、あいつはいろんな子供達からカードを取り上げて、揃えた物で、かなりの強さだ。御鏡じゃ相手にならない!

「俺はカードを1枚伏せてターンエンド!エンドフェイズ!ライトロードパラディンジェインの効果で2枚デッキからカードを墓地に送る!」

 

ガキ大将

手札6→4

モンスター/ライトロードパラディンジェイン

魔法、罠/セットカード1枚

落ちたカード→ライトロードマジシャンライラ、死者蘇生

デッキ残数/32枚

 

よしっ!死者蘇生が落ちた!蘇生カードが落ちたのは大きいぞ!

「俺のターンドロー....モンスターをセット、カードをセット。ターンエンドだ」

 

真琴

手札6→4

モンスター/セットモンスター

魔法、罠/セットカード2枚

 

「へっ!早くも防戦一方かよ!俺のターンドロー!俺は手札からソーラー・エクスチェンジを発動!手札のケルビムを捨てて2枚ドロー!2枚墓地に!」

 

落ちたカード→ライトロードサモナールミナス、ライトロードアーチャーフェリス

 

まずい!もうあいつの墓地にライトロードが4種類も!これであのカードを引いていたら真琴の負けだ!

「ちっ!俺は手札からライトロードウォリヤーガロスを召喚!バトル!俺はまずジェインで攻撃!」

ガロスATK1850

ジェインATK1800→2100

 

セットモンスターが露わになる。それは、不思議な体をした虎だった。どうやって受け止めているのかはわからないが、ジェインの攻撃を止めている。

「俺のセットモンスターは魂虎、守備力は2100だ」

「ちっ!小賢しい真似を!俺はカードを1枚伏せてターンエンド!エンドフェイズ、ジェインの効果!2枚墓地へに、そしてガロスの効果でさらに2枚墓地に!....ドローは無い。運がよかったな!」

 

ガキ大将

手札5→3

モンスター/ライトロードパラディンジェイン、ライトロードウォリヤーガロス

魔法、罠/セットカード2枚

落ちたカード→(ジェイン)ライトロードモンクエイリン、トラップ・スタン、(ガロス)ネクロ・ガードナー、死者転生

デッキ残数/23枚

 

‼︎転生も落ちたのは嬉しいが、ネクロ・ガードナーまで落ちた!これでは真琴が余計に不利になる!

「御鏡!早く決着をつけろ!じゃないと負けるぞ!そのデッキが取られちまうぞ!」

そう叫ぶ。すると

「うるせぇ!口出ししてんじゃねぇよ!」

ガキ大将が私に言います。でも、これは私のデッキをかけてもらっているから私にも言い分はあるはず!でも体の感覚が戻ってきたとはいえ、倒れる時に左足を捻ったのか、とても痛い。うまく起き上がれない。そんな中、デュエルは進む

 

「俺のターンドロー」

カードを引いて、真琴は言う。

「このフィールドのままだと、あと4ターン耐えれば勝ちだな」

こう、言った。私ははっとしてしまった。デュエルモンスターズの勝利方法は何もビートダウンだけじゃ無い。デッキレスも、立派な勝利方法だ。そのことを、随分してなかったから、忘れていた。でも真琴は

「俺はモンスターをセット。ターンエンドだ」

たぶんビートダウンで勝利しようとしてるんだと思う。自分の使う儀式がバカにされたから。自分の好きなカードを軽んじられたから。

 

真琴

手札5→4

モンスター/セットモンスター1体、魂虎

魔法、罠/セットカード2枚

 

「へっ!あと2ターンもあれば十分だ!俺のターンドロー!」

ガキ大将はそう言いながらカードを引く。

「俺は手札からソーラー・エクスチェンジを発動!手札からライトロードビーストウォルフを捨てて2枚ドロー、2枚墓地へ。さらに落ちた時にミネルバの効果でさらに1枚墓地へ!」

 

落ちたカード→ライトロードパラディンジェイン、ライトロードメイデンミネルバ、ライトロードアサシンライデン

 

「俺は貪欲な壺を発動!俺は墓地のモンスターを5体デッキに戻し、2枚ドロー!」

 

デッキに戻ったカード→ライトロードパラディンジェイン、ライトロードビーストウォルフ、ライトロードアサシンライデン、ライトロードアーチャーフェリス、ライトロードモンクエイリン

 

ここに来て連続ドロー!おそらくやつはあのカードを引き込んでる!

「ははは!お前にはもったいないが、このカードを見せてやるよ!裁きの時は来た!全てを無に来せ!いでよ!裁きの龍(ジャッジメントドラグーン)!」

裁きの龍ATK3000

 

高らかな宣言と口上のもと、威圧感を放つ龍が現れる。ああ、これでは、あいつの負けだ。私のせいで、あいつのデッキも.....無力な自分が憎い!

「裁きの龍の効果だ!ライフを1000払い、このカード以外のカードを蹂躙する!ジャッチメントハリケーン!」

裁きの龍の輝きが増して、フィールド上に嵐が巻き起こる。でもその中で、

ガキ大将LP4000→3000

 

「リバースカードオープン!マインドクラッシュ!宣言はオネスト!」

御鏡はカードを発動していた。しかし、相手の手札がわからないのに、よくそんなカードを採用してるなと思う。発動されたカードから伸びた影がガキ大将の手札に当たって弾き飛ばす。カードがあったようだ。しかも2枚もはじいた。これであいつのデッキにオネストは無い!

 

ガキ大将手札4→5→4→2

破壊されたカード→(真琴)バトルフットボーラー、マインドクラッシュ、???

(ガキ大将)ブレイクスルー・スキル

 

「ちっ、オネストはやられたが、手札から裁きの龍を2体特殊召喚!これで終わりだ!」

先ほど全てのカードを吹き飛ばしたモンスターがさらに2体ならんだ。もう、あいつは終わりだろう。はってでも先生を呼ぼうとしていたら

 

「くらえー!」

御鏡に突き飛ばされた1人が棒を持って殴りかかった。頭に棒が当たり、かなりの量の血を流す。しかし、御鏡は特に反撃をせずにそいつを睨みつけた。

 

「ひっ!」

睨みつけられたやつは御鏡の顔が怖かったのか、気迫があったのかは分からないが、尻餅をついて、後ろに下がっていった。ズボンにはすこしシミができていた。

 

「別になにもしなくてもよかったんだがな!これで終わりだ!裁きの龍でダイレクトアタック!ジャッチメントレイ!」

裁きの龍のブレスが御鏡を捉える

 

「ぐぅぅぅぅぅぅ!」

 

真琴LP3300ー3000=300

 

正直もう見てられなかった。でも、そんな中、まだ、御鏡は諦めていなかった

「俺のフィールドがガラ空きの時にダイレクトアタックを喰らうと、冥府の使者が姿を現す。現れよ!冥府の使者ゴーズ!カイエン!」

冥府の使者ゴーズDEF2500

カイエントークンATK3000

「ちっ、、倒しきれないか。でもそいつらには退場してもらおう!残りの2体でそれぞれに攻撃だ!これでターンエンドだぜ。エンドフェイズに8枚墓地へカードを送る.....ウォルフの効果!特殊召喚!」

 

ガキ大将

手札0枚

モンスター/裁きの龍2体、ライトロードビーストウォルフ

魔法、罠/無し

落ちたカード→トラップスタン、ライトロードビーストウォルフ、ライトロードモンクエイリン、ライトロードパラディンジェイン、ライトロードウォリヤーガロス、ライトロードアサシンライデン、ライトロードサモナールミナス、ライトロードハンターライコウ

 

せっかく出したゴーズ達が破壊される。相手の裁きの龍とカイエントークンの攻撃力は同じだから破壊されたけど、新たにウォルフまで出て来たし、私はもうこれ以上は戦えないと思った。だから

 

「もういいわよ!そんなことしなくても!あなたのデッキまでなくなっちゃうわよ!私のデッキなんていいから、早く逃げなさい!」

そう叫んだ。正直言って私のデッキがどうでもいいわけなんて無い。でも、私のせいで人が巻き込まれるのは嫌だったから、自分の思いを飲み込んで、そういった。

「それにあなたフラフラじゃない!頭からどれだけ血を流してると思ってるの!早くやめなさいよ!」

こう言うと御鏡は

「あのカードショップのおじさんが言ってたよ。デュエリストにとって、デッキは魂であり、半身であり、命でもあると。なんか扱いは、かわいそうじゃない?自分のデッキに対して。それに、まだデュエルは終わっていない。負けた訳じゃ無い。俺の勝利を祈ってくれよ、それだけで十分だ。エンドフェイズだったな。お前に破壊されたモンスター効果だ。白銀のスナイパー、これで裁きの龍を破壊だ」

「なっ!そんなカードは.....そいつは確か魔法カードとして、セットできたやつか!」

「そうだ、これで、まだ俺は戦える!」

「何かっこつけてるのよ!裁きの龍はあと1体いるのよ!」

「たった、たった1枚だけ、この状況をひっくり返せるカードがある。それを引けるかはわからないけど、それでも、俺は諦めない!俺のターン、ドロー!」

そう言うと、今までとはまるで違う気迫のもとカードを引いた。

私は祈った。勝って、と、祈るしか無かった。こいつは、なんて言っても聞かないだろうから、だから勝って。そう祈るしか無かった

「くっ!だが、まだだ!まだ負けてない!俺は手札からエンジェル・バトンを発動!デッキから2枚ドローし、1枚捨てる!」

「!」

そのカードは!私が昨日、あいつに渡したカード!この土壇場で引いて来るなんて!

「答えてくれ!俺のデッキよ!ドロー!.....このデュエル、俺の勝ちだ!」

 

捨てたカード→タスケルトン

 

「はっ、できるもんならやってみな!」

「俺は手札から高等儀式術を発動!見せるカードは、破滅の女神ルイン!デッキから魂虎とバトルフットボーラーを墓地に送り、特殊召喚!頼むぞ!ルイン!」

こうあいつは叫ぶと昨日見せてくれたカードを場にだす。正直これで勝ちとは思えなかった。それでもあいつの目は死んでいなかった。

「バトル!俺はルインで裁きの龍に攻撃!」

「なっ!攻撃力の低いモンスターで攻撃⁉︎いや、ルインは光属性モンスター....オネストか!墓地からネクロ・ガードナーの効果だ!ルインの攻撃は無効!はっはー!残念だったな!次のターン、俺のモンスターの攻撃で俺の勝ちだ!」

「やはり、使ったか。そりゃあ使うわな。オネストを使われては大ダメージだからな。でも、今回はこれで勝たせてもらうよ!俺は手札から速攻魔法、ダブルアップチャンスを発動!俺のモンスターの攻撃が無効にされた場合、攻撃力を倍にして、再攻撃ができる!行け!ルイン!」

「ぐぅぅぅぅぅぅ!」

ルインATK2300→4600

 

ガキ大将LP3000-(4600-3000)=1400

 

「ライフは残ったぜ!次のターン除去札を引けば俺の勝ちだ!」

「それはどうかな?」

「何⁉︎」

「ルインは戦闘によって相手モンスターを破壊した場合、続けて攻撃を行うことができる!これで終わりだ!ルイン第2撃!」

「うわぁぁぁぁぁ!」

 

ガキ大将LP1400-(4600-2100)=0

 

「勝った.......?勝った⁉︎御鏡!」

そう言ってあいつの元に行こうとすると

「ふざけるな!ふざけるな!この俺が負けるだと⁉︎こいつ!ぶっ殺してやる!」

そういってガキ大将は御鏡に殴りかかった。しかしその2人の間に立ち塞がった人がいた。

「そこまでだ。猿山君君には少し、職員室にまで来てもらおう。あと、君達はすぐに保健室に向かいなさい。話はしたからすぐに保健の先生が来るから」

そう言って降りていった。この後、あの子が沢山の子達からカードを取り上げてデッキを作っていたらしく、大変な騒ぎになった。1番大変だったのは、それに気づけなかった親御さん達だろう。私のところにも来て、私達にとても謝って帰ったいった。しかし、私の頭の中はあの日のあいつの言葉が頭を離れなかった。

 

 

 

保健の先生に連れられて、保健室に行き、手当てをしてもらった。私のは軽い捻挫だったが、御鏡は頭から流れた血が思いの外多く、血が足りなくて、デュエルが終わった後すぐにぶっ倒れてしまった。御鏡は何のためにあんな事をしたのか、私は知りたかった。

「うっ、.....」

「起きたか?」

考え事をしていると、御鏡は起きたようだ。

「大丈夫?」

「もともと傷は深くないんだ。流れた血の量が少し多かっただけだしな」

「そう」

こう言うと、しばらくの間沈黙が場を支配する。もうすぐ先生が帰って来て、起きた御鏡を見ると、送って返そうとするだろう。しかし、気になっていた事だけは、2人しかいない今のうちに聞きたかった。

「何であんな無茶をしたの!下手したらあなたのデッキまで取られていたのよ!」

そう言うと、御鏡は落ち着いた声で言った

「俺は3ヶ月程度しかお前を知らないが、そのデッキはとても大切なんだろう?大会で負けた後、家に帰ると泣きそうな顔をしながらデッキを、いじくっていたからな。そのデッキをきちんと回し切れて上げれなかったから悔しくて仕方が無かったんだろう?俺はそう思ったよ。俺が勝手にな」

そう言って、間を開けると

「それに、お前が泣いていたからな」

「えっ?」

自分の頬を触ると、涙の跡があった

「どんなに強がったとしても、どんなに隠したとしても、本当の思いは、本心から流れ出る涙は嘘をつかない。本当は渡したく無かったからお前の知らないうちにその涙が流れただろう。そんな涙を流している友人である.....いや、俺が勝手に思ってるだけかもしれんな、女の子がいて、助けられる位置に俺がいる。助ける理由なんてそれだけで十分じゃない?」

夕焼けに照らされて、優しい顔でそう言ってきた。なんだか照れ臭くてイヤミをいったわ。

「あんた、ヒーローのつもりだったの?」

「ヒーロー?そんなものに俺はなれん。俺はしたいと思った事をしただけだからな」

でも、あまり気にしてなかったみたい。言われるのがわかってたのかもしれないけど。そして立ち上がって

「もう帰ろう。お前の親御さん達が心配するだろうしね」

そう言って私の左側に立って足を見る。

「歩けそうだが、今日はおぶって帰ってやるよ。悪化したら目も当てられん」

そう言うと、私を背負って帰ろうとする。もちろん私はやらなくていいと暴れるけど

「やかましい。足ケガしてるやつが無理して歩こうとするな。俺のカバンを持っといてくれよ」

そう言うと自分のカバンを渡して来ると

「俺がそうしたいんだ。黙って背負われとけ」

そう言って前を向いてまた歩き出した

「お礼は言わないわよ?」

「いらん。俺がしたいだけだからな」

私は同い年の嫌なやつだと思っていたのに、思っていたより逞しい背中に、不思議と安心感を覚えた。でも、少し、ほんの少しだけ、違う思いが心の中にあった。

 

「おーい、先生、車を持って来ましたよ」

「必要はなさそうですよ。残念です」

「どういう.....ああ、成る程ね。ふふ、いいですねぇ。この事を肴に一杯どうです?」

「いいですねぇ、途中の御鏡君の守ろうとした王子様のような行為と、ヒロインのような月見原君の可愛さでね」

先生達の存在を忘れていて、あとあとあの光景を見られていた事に気付き、とても恥ずかしかった。

 

翌朝、隣の家にいき、真琴を叩き起こす。

「おい、月見原、なんでお前がいるんだ」

不機嫌な声で真琴は言うが、

「さっさと学校にいくわよ!はやく用意をしなさい!」

朝食をとって家を出る。いつもは違う時間帯に出ていたのに、今日は同じだ。自分でも不思議だとおもう。そんな時

「なあ、月見「彩花」原?」

「名前で、彩花って呼びなさい。凛も蓮も苗字は同じなんだから、こんがらがるでしょ」

「前にお前が名前で呼ぶなと言ったんだろうが」

「その時はその時。今は今よ。さあ!行きましょう」

「ったく.....」

私の心の中に、真琴に対する思いで、少し不思議なものがあった。今になって思うと、この時からその思いがあったのだと思う。その思いが恋心だと気がつくのはこれから4年後だった

 




と、言うわけで、彩花ちゃんの過去回でした。予想外の真琴君のドロー運と、現在とは考えられない男前さに作者も驚いています。
彩花「あんたが書いたんでしょ、全く」
あ、彩花ちゃん。今回のあとがきは彩花ちゃんと行いたいと思います。真琴君は今回はお休みです。残念だったね〜。
彩花「あんたの言う残念はなんか無性に腹が立つわ」
やめてください彩花様、作者はデュエリストではないので、ラリアットを喰らえば大ダメージを受けてしまいます。下手したら死にますよ⁉︎
彩花「大丈夫、死なないように手加減はするから。しばらくはご飯が食べれなくなる程度よ」
それって相当問題では?
彩花「あんたがからかうのが悪い。乙女の恋路は邪魔しないことね」
あ、今認めましたね、恋してるって
彩花「あ......う〜、もう!今回のキーカードよ!」
あ、逃げた
彩花「うるさいうるさいうるさい!ぶっ飛ばすわよ!」
お〜怖い怖い

マンジュ・ゴッド
星4/光属性/天使族/攻1400/守1000
(1):このカードが召喚・反転召喚に成功した時に発動できる。
デッキから儀式モンスター1体または
儀式魔法カード1枚を手札に加える。

彩花「この物語における、切込み隊長的立ち位置ね」

彩花「このカードはこれより前に出ていたセンジュ・ゴッドとソニックバードの効果を併せ持つモンスターで、効果を鑑みると、儀式には必須カードと言えるてしょうね」

彩花「このカードを使った後は儀式素材として墓地へ送られた後はカオスのコストにすればいいでしょうね。まだ真琴は作中で1度もカオスモンスターを使っていないけど」

彩花「こんなところかしら」
はい、大丈夫ですよ。しかし、このカードはほぼ確実に今までのデュエルで登場してますね。たぶんこれからも頑張ってもらう事になるだろうけど。
彩花「ある意味、過労死モンスターね」
っと、そろそろ終わりますか。ではではデュエル中のタイミングミス、誤変換、プレイングミスがあれば指摘の程を。あと、感想をいただければ、幸いと思います。皆さんの感想が作者の活力です。では、また次回

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